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獣人国グエン

207.コックローチなら任せてください。

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「王よ。婿殿とわだかまりがなくなったのは良いのだがコックローチの対策はどうするのだ。」

俺が対処しても良いんだけど、それは国として良いのだろうか?

エルの実家のピンチだから是非とも協力したい。

あれ、俺ももう身内だから良いのか?

ちょっと試したい魔法もあるからちょうど良いな。

それには大規模な魔法を使って良いか確認しないとな。

「グオン王、大規模な魔法の使用許可をいただければ確約はできませんがコックローチを一掃してきましょうか?もちろん御三方全員の賛同をいただければですが。」

今までの話をして特にプライドが高い雰囲気はないので自国の危機は自国の軍で対応するべきという考えはなさそうだから大丈夫とは思うんですがどうでしょ?

「それは是非ともお願いしたいがライオネル将軍、ロイド侯爵。懸念事項はないか?」

「大規模魔法とは実際どのくらいの規模になるようでしょうか?」

今考えている魔法の規模ならコックローチの大群が一瞬で凍り付くはずだ。

「おそらく草原一面が凍り付きます。」

「草原一面ですか・・・。それなら王都から徒歩で二日ほど離れたライヒ荒野で使用させるのがちょうど良いかと。そこでなら周囲への被害もないでしょう。」

草原やら森やらが凍り付いたら作物への被害がなくても生態系への被害は甚大になるし、おそらく荒野ならゼロにはならないけど生体系への被害も最小限に留まってくれるだろう。

「ちなみにコックローチの一掃を確約できないというのは魔法が失敗するかもしれないと言うことですか?」

ライオネル将軍は俺が失敗した場合も考えてくれているようだ。

「魔法そのものは失敗しないですが、コックローチがどのような状態で王都に向かってくるか分かりません。なので俺の魔法で大半のコックローチを倒せても一掃はできないかもしれません。」

そうなんだよな。

コックローチが一塊になって動いているのなら魔法で一掃できるけどバラバラに動かれたらどうなるか分からん。

「それでしたら婿殿が魔法を放った後の残った少数のコックローチは獣王騎士団が対処しましょう。」

「よろしくお願いします。」

「それではライオネル将軍、婿殿と共に獣王騎士団を引きいてライヒ荒野にてコックローチを討て!」

「は!」

「婿殿もよろしく頼む。」

「微力ながら全力を尽くします。」

ライオネル将軍について部屋を後にした。



獣王騎士団の前で挨拶をすることになったがすでに王女の婿として俺のことが浸透しているらしく暖かく出迎えられた。

どうやら獣人族と言っても獣とはほど遠いほどに温厚であり且つ王女のエルが王国中で人気がありその婿に対しても友好的なことが大きく寄与したと思われる。

ただ全員からライオネル将軍のときと同じようにバシバシ背中を叩くのはやめてほしい。

もしかして俺がエルを嫁にしたこと恨んでる?

恨んでないよね?ね?

気のせい、気のせいだ。

そんな荒々しい歓迎を獣王騎士団から受けた後いよいよ出兵となった。

王都の大通りを獣王騎士団と共に王都の国民に見送られながら出兵した。

王都の国民の間でもすでに俺のことを婿殿と呼んでいたことにはすでに驚かない。
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