スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
101 / 338

第54話 時間魔法から始まる回復魔法です #4

「はぁ、恥ずかしいところをお見せしてすみません」
冷静さを取り戻した校長先生は、さっきまでと同じようにゆっくりと話し始めた。
「……では説明しますね。最初にカルア君がやったのは時空間魔法の【復元】です。あれは少しの時間でもかなりの魔力量を必要としますが、使ってみてどうでした?」

ええと、さっきやった【復元】は……

「そんなに減った感じはなかった、と思います」
「…………」

あれ? また遠い目を……

「おっとすみません、話を続けましょう。先ほどイメージしたのが【回復】のような挙動であるなら、【復元】はあの枝単体にではなく元の木全体に対して発動したはずです。それ程長い時間じゃないにしても、あの大きさの木の時間を遡らせた訳ですから、それなりの量の魔力は必要なはず。ならばカルア君は保有魔力量が大きいだけではなく、魔力の使用効率も並外れて……高い……?」

あれ? 途中からまた自分の世界に旅立って――あ、お帰りなさい。

「まあその辺りは今はいいとしてカルア君……ふふ、おめでとうございます。君は【固定】に続き【復元】も習得した訳です。いくらエルフの習得方法を使用したとはいえ、通常はこんな事ありえないんですが……本当に君は何て言うか……」

校長先生は少し何か考えるような仕草を見せて、でもすぐにそれを放棄したような諦めたような顔になって……
「まあいいでしょう。とにかく習得おめでとうございます」

やった! これでやっと胸を張って『時空間魔法師』ですって言えるよ!
――今までは『空間魔法師』だったから。

「それで本日の課題だった回復魔法ですが……、どうやら君は【中回復】ではなく【大回復】を習得したようですね。こちらは魔力の減りはどうでした?」

減った――のかな?

「減ったのかどうかよく分かりませんでした」
「ふふん、もう驚きませんよ? より消費が大きい【復元】の感想がアレでしたから想定通りの返事ですとも。ええ、例えそれが常識からかけ離れていたとしても、もう驚きませんからね!」

あの、ちょっとその反応が想定外なんですが……

「おっと失礼。それでその【大回復】についての注意点です。既に聞いていると思いますが、【大回復】はほとんど使える者がいない魔法です。無用なトラブルを防ぐため、対外的には【中回復】を習得したとしておいて下さい。ああ、でもパーティメンバーには伝えておいた方がいいでしょう。冒険者であれば命に関わる場面も当然あり得ますから、その時に迷う事がないようにね。まあ何はともあれ、こちらも習得おめでとうございます」
「はいっ、ありがとうございます」

「あ、ところでまだ魔力循環してますよね。止めてみて下さい」
魔力循環停止、ぷしゅーーーっ
「はい、止めました」

「それでは……今魔力が減った感じはしていますか?」
「いえ、循環停止状態での満タンな感じです」
「ふむ……」
今度は少し真面目な表情で何か考え始め、やがて考えがまとまったのか続きを話し始めた。

「それはつまり、循環状態の魔力が停止状態の魔力にチャージされた――という事なのかな? だとしたらカルア君、その状態で魔力が少なくなったと感じたら一瞬だけ循環すれば再チャージ出来るのかもしれませんね。それと、普段の君は常に停止状態ですから、その状態でどこまで【復元】や【大回復】が使えるかもきちんと把握しておくように」

なるほど……ためになります。
「ははは……では学校に戻りましょうか」
そして僕達は校長先生の【転移】で校長室に戻ってきた。ただいまーー。

「はい、では今度こそ時空間魔法の授業は終了です。時間もちょうどですね。ではお疲れ様でした」
「ありがとうございました!」

さあ、みんなの待つ教室へ戻ろう。
みんなは【回復】覚えたかな?



「戻ってきたわねカルア。ふふん、あたし達全員【回復】使えるようになったわよ!」
「へえ、みんなもう覚えたんだ。凄いや」
「ふっふーーん、それであんたはどう? 【中回復】は使えるようになった?」

う……
まだ使えないって言いづらい……

「それがさ、【中回復】は加減が難しくてまだ使えなかったんだ。あ、でも【大回復】だけなら使えるようになったよ」
「はえ!?」

アーシュの口から変な声が出た。

「ちょちょちょちょっと! あんた今何て言ったの?」
「【中回復】はまだだけど、先に【大回復】が出来るようになった」
「ええっと、やっぱり聞き間違いかしら? 【大回復】は出来るけど【中回復】が出来ない――って言った?」
「うん、そうそう」
「……意味分かんない」

小さく溜息を吐いたアーシュだったけど、校長先生と違ってすぐに気持ちを切り替えたみたい。
「それで、何がどうしたらそんな事になるわけ?」
「ええっと……【中回復】しようとすると【大回復】になっちゃうんだよ。ほら、【中回復】って加減が難しいからさ……」

「駄目、何回聞いても意味が分かんない! ねえみんな、これあたしがおかしいのかな?」
「そんな事無いよアーシュ。おかしいのはカルアだよ。決まってるじゃないか」
「ああ、俺もそう思うぞ」
「カル師、やっぱりマジカル師匠。相方はラジカル師匠?」

あの、校長先生……
パーティメンバーにも【中回復】って言った方が良かったみたいですよ……



ギルド本部インフラ技術室長室。
キュピーーーン☆
「やあ、これで立て続けの4回めかあ。ここに来てカルア君が加速気味だねえ。この時間は学校の授業中のはずだから、今回も僕の対処は必要ないよね。いやー、カルア君が学校に入ってくれて本当に良かったよ。自分でやるのも楽しいけど、誰かに任せるのもそれはそれで気楽でいいねえ。んーー、でも興味はあるから今度カルア君に訊いてみようかな。……いや必要ないか。そろそろ校長のところに学校の誰かが泣きついてくる頃だろうからね。誰が来るのかなあ?  やっぱり第一候補は今の校長あたりだよねえ。一体どんな話を聞かせてくれるのかなあ。あーー楽しみだなあ」



▽▽▽▽▽▽
カルア 「実は僕、この前【収納】と間違えて【ゲート】を覚えちゃったんですよ」
ラーバル「カルア君、失敗の仕方を失敗しないで下さい!!」

モリスの想定外センサー4回の内訳
1回目、隠蔽
2回目、エルフ流習得術
3回目、取り寄せ
4回目、大回復
感想 2

あなたにおすすめの小説

さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~

遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。 パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。 アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

異世界ダンジョンホテル 

雷神様
ファンタジー
大阪府某所。 中堅クラスのホテルで働くホテルマン 「指宿 蛍」いぶすき ほたる(25) は、薄給長時間労働の末、命を落としてしまう。 だが、気が付くとそこは森の中だった。 理由もわからず彷徨い、その先に見出したものとは、、、 【作者より】 物語の内容は非常にゆっくりと進みます。 ゆっくり楽しんでもらえたら幸いです。 毎日0時に更新 現在 80話まで進行中 お気に入り登録やいいね下さった方々ありがとうございます! コツコツと頑張りますのでよろしくお願いします!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。