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第六話 ルイーゼの微笑み
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『僕はアレン…アレン・ヴァンブルクです。姉のルイーゼが大変お世話になっているようで…今後ともよろしくお願いしますね』
アレンと教員のバードンが去った後、マリアは一人靴箱に取り残されていた。
先ほどのアレンの言葉を脳内で反芻する。人懐っこくて愛らしく、まだあどけなさが残る魅力的な青年だと好感を持っていただけに、その衝撃は計り知れない。
今更ながら、アレンの髪と目の色が、ルイーゼと全く同じであることに気づき、マリアはハッとした。
自分はアレンの前で何を言っただろうか。働かない頭を懸命に奮い立たせて記憶を辿る。
『…まさか、ルイーゼ様……?』
『実は私のクラスメイトに、目も合わせてくれず挨拶も無視するような方がいるの。いつも気取った態度を取るようなお方で…もしかするとその方の悪戯なのかと思ったのだけれど…』
『私がしたと気づいて…?』
知らなかったとはいえ、ルイーゼの弟であるアレンの前で、ルイーゼを犯人のように扱ったり、蔑んだりしてしまったのだ。マリアの背筋につうと冷たい汗が一筋流れた。
マリアがルイーゼの話をしている時のアレンの冷たい目。
ーーーひょっとすると、彼は全て知っているのかもしれない。
マリアはぞくりと身を震わせた。まだ足に力が入らず座り込んで立ち上がれない。
しばらくぼうっと俯いていたため、影が重なるまで誰かが近づいて来ていたことに気づかなかった。
その人物が目の前に来てようやくマリアは我に帰ったように顔を上げた。
「るっ、ルイーゼ様…」
マリアを見下ろすように立っていたのは、ルイーゼ・ヴァンブルクであった。
マリアは居た堪れずに瞳を左右に揺らす。マリアの顔色はこれ以上ないくらい蒼白だ。
ルイーゼはいつものように無表情である。じっとマリアを見つめた後、靴箱に視線を移した。そして少し考える素振りを見せたかと思うと、他の靴箱を覗き込んだりキョロキョロ周囲を見渡したりし始めた。
ルイーゼが何をしているのか、マリアはすぐには理解が追いつかなかった。だって、まさかあのルイーゼが…自分達のことに一切関心を示さず見下すような態度を取っているルイーゼがーーーマリアの靴を探しているだなんて。
呆気に取られるマリアをよそに、ルイーゼは制服が汚れることも厭わず、靴箱の下の隙間まで覗き込んでいる。
「な、なんで…」
やっとのことでマリアが口から紡ぎ出した言葉にピクリと反応するルイーゼ。そして表情を変えず、少し視線を落とした後、
「…だって、靴がないと困るでしょう?」
かろうじて聞き取れるほどの声量ではあるが、鈴を転がすような声でそう言った。
そこでマリアはハッとする。ルイーゼはきっと、以前マリアが上履きを隠した時に、今のマリア同様困惑し不便な思いをしたのだ。ルイーゼのことだ、困っていても他の生徒は遠巻きで見るだけで手助けして貰えなかっただろう。明らかな悪意のある行為を目の当たりにし、ルイーゼの心はどれほどに痛んだことだろう。同じ境遇に立ち、マリアはようやくルイーゼの気持ちに気づいた。そして今更込み上げる後悔や罪悪感に胸が締め付けられる思いがした。
いつもは感情が読めず、何を考えているのか分からないルイーゼ。そんな彼女が不気味で、でもその何にも屈しない凛とした態度に少なからず憧憬の念を抱いていたのだろう。そんな自分の感情も気に食わず、ケビンとの仲もうまく行っていない八つ当たりも相まって、マリアはルイーゼに嫌がらせをしていた。
ああ、自分はなんと愚かで醜いのだろう。マリアは、じわりと込み上げる涙を溢すまいと唇を強く噛み締める。
マリアの反応が無くなったことに疑問を抱いたのか、ルイーゼは躊躇いながらもマリアの正面にしゃがみ込んだ。他人に無関心なルイーゼらしくない行動にマリアは恐る恐る視線を上げた。
涙に気づいたのだろう、ルイーゼは小さく目を見開き、おずおずとマリアの頬に手を添えたかと思うと、親指でマリアの涙を掬い取った。思わずマリアの胸がどきりと高鳴った。
マリアは目を見開いてルイーゼを凝視するが、その表情は変わらず無表情で、依然として感情が読めない。
何か言おうとして口を開きかけたその時だった。
「あれ、姉さん?」
バードンに連れられて行ったアレンが戻って来たようだ。マリアと共にルイーゼがいることに大仰に驚いている。
そして、無表情のままのルイーゼが、顔を上げてアレンを見たかと思うと、
「アレン…!来ていたのね」
花が綻ぶように微笑んだ。
「っ!」
「ぐぅふっ!姉さんの悩殺スマイル…相変わらずの殺傷力だね」
アレンは胸を押さえてふらつきながら靴箱に背を預けてもたれかかった。
そんなルイーゼの微笑みを目の前で見せられたマリアは、その笑みに釘付けになってしまった。胸が高鳴り、血の気が引いていた頬に朱が差す。今まで表情らしい表情を見たことがなかったマリアにとって、ルイーゼの微笑みの破壊力は相当のものであった。
な、なんなのこれ…
マリアはどきどき高鳴る胸を押さえながら困惑しているが、そんなマリアを置いて見目麗しい姉弟二人が話し始めた。
「それで姉さんはこんなところで何をしているの?」
「マリア様の靴が見当たらなかったから、もしかしたら無くしたのかと思って一緒に探していたのよ。それに…少しだけお話も」
「えっ!?嘘でしょ!?姉さんが!??」
少し恥ずかしそうに目を伏せるルイーゼの回答に、今度はアレンが驚き目を見開いた。アレンにとって人見知りを拗らせているルイーゼが自分から誰かに関わり、ましてや会話をしていたなど信じられないほどの進歩であった。
「…何よ、私だって頑張るときは頑張るんだから。それに、困っているクラスメイトを放ってはおけないじゃない…」
少し頬を膨らませるルイーゼは、年相応の魅力的な女性そのものだ。アレンがいるからか、かなり饒舌になっている。いつもと違いすぎるルイーゼの姿に、開いた口が塞がらないマリア。
「は?姉さんは天使かい?」
「アレンあなた何を言っているの?」
なぜか鼻を押さえながら呼吸が荒いアレンと、そんなアレンを怪訝そうにじっと見つめるルイーゼ。そしてアレンから視線を外したルイーゼの目にあるものが映り込んだ。
「あっ!あれじゃないかしら?」
パァッと顔を明るくして、駆け出したルイーゼが手にしたのは、マリアの靴であった。
ーーー実はアレンの指示でクロードが隠していたのだが、隠れて状況を確認していたクロードの判断で靴を見つけやすい場所に置いたのだった。
「あったわ!よかったわね、マリア様」
心から嬉しそうに頬を上気させるルイーゼは、マリアに駆け寄り靴を手に持たせる。
なすがまま靴を受け取ったマリアはポツリと呟いた。
「あ、ありがとう…あなた、そんな表情もできたのね…」
「あっ…」
思わずはしゃいでしまった自分を取り成すように、ルイーゼはひとつ咳払いをすると、すんっといつもの無表情に戻ってしまったのだった。
「姉さん、せっかく人並みに対話できてたのに…」
「……アレン、行きましょう」
「あ、待ってよ姉さん!じゃあ、マリアさんまた今度…ゆっくり話しましょうね」
ルイーゼは気まずいのかスタスタと先を行ってしまった。アレンは慌てて靴に履き替えると、振り向き際にマリアに声をかけてルイーゼを追いかけた。
マリアは両手にルイーゼが乗せてくれた靴を持ったまま、茫然自失としていた。
自分はルイーゼという人物を大いに誤解していたのかもしれない。本当は相手を慮れる心優しい人なのではないか。
自分のために靴を懸命に探してくれたルイーゼ。
自分の頬に触れ、涙を拭ったルイーゼ。
思わず見惚れるほどの美しくも愛らしい笑顔を見せたルイーゼ。
アレンと学園の門へと向かうルイーゼは、自分を見つめるマリアのうっとりとした眼差しに気づいてはいなかった。
アレンと教員のバードンが去った後、マリアは一人靴箱に取り残されていた。
先ほどのアレンの言葉を脳内で反芻する。人懐っこくて愛らしく、まだあどけなさが残る魅力的な青年だと好感を持っていただけに、その衝撃は計り知れない。
今更ながら、アレンの髪と目の色が、ルイーゼと全く同じであることに気づき、マリアはハッとした。
自分はアレンの前で何を言っただろうか。働かない頭を懸命に奮い立たせて記憶を辿る。
『…まさか、ルイーゼ様……?』
『実は私のクラスメイトに、目も合わせてくれず挨拶も無視するような方がいるの。いつも気取った態度を取るようなお方で…もしかするとその方の悪戯なのかと思ったのだけれど…』
『私がしたと気づいて…?』
知らなかったとはいえ、ルイーゼの弟であるアレンの前で、ルイーゼを犯人のように扱ったり、蔑んだりしてしまったのだ。マリアの背筋につうと冷たい汗が一筋流れた。
マリアがルイーゼの話をしている時のアレンの冷たい目。
ーーーひょっとすると、彼は全て知っているのかもしれない。
マリアはぞくりと身を震わせた。まだ足に力が入らず座り込んで立ち上がれない。
しばらくぼうっと俯いていたため、影が重なるまで誰かが近づいて来ていたことに気づかなかった。
その人物が目の前に来てようやくマリアは我に帰ったように顔を上げた。
「るっ、ルイーゼ様…」
マリアを見下ろすように立っていたのは、ルイーゼ・ヴァンブルクであった。
マリアは居た堪れずに瞳を左右に揺らす。マリアの顔色はこれ以上ないくらい蒼白だ。
ルイーゼはいつものように無表情である。じっとマリアを見つめた後、靴箱に視線を移した。そして少し考える素振りを見せたかと思うと、他の靴箱を覗き込んだりキョロキョロ周囲を見渡したりし始めた。
ルイーゼが何をしているのか、マリアはすぐには理解が追いつかなかった。だって、まさかあのルイーゼが…自分達のことに一切関心を示さず見下すような態度を取っているルイーゼがーーーマリアの靴を探しているだなんて。
呆気に取られるマリアをよそに、ルイーゼは制服が汚れることも厭わず、靴箱の下の隙間まで覗き込んでいる。
「な、なんで…」
やっとのことでマリアが口から紡ぎ出した言葉にピクリと反応するルイーゼ。そして表情を変えず、少し視線を落とした後、
「…だって、靴がないと困るでしょう?」
かろうじて聞き取れるほどの声量ではあるが、鈴を転がすような声でそう言った。
そこでマリアはハッとする。ルイーゼはきっと、以前マリアが上履きを隠した時に、今のマリア同様困惑し不便な思いをしたのだ。ルイーゼのことだ、困っていても他の生徒は遠巻きで見るだけで手助けして貰えなかっただろう。明らかな悪意のある行為を目の当たりにし、ルイーゼの心はどれほどに痛んだことだろう。同じ境遇に立ち、マリアはようやくルイーゼの気持ちに気づいた。そして今更込み上げる後悔や罪悪感に胸が締め付けられる思いがした。
いつもは感情が読めず、何を考えているのか分からないルイーゼ。そんな彼女が不気味で、でもその何にも屈しない凛とした態度に少なからず憧憬の念を抱いていたのだろう。そんな自分の感情も気に食わず、ケビンとの仲もうまく行っていない八つ当たりも相まって、マリアはルイーゼに嫌がらせをしていた。
ああ、自分はなんと愚かで醜いのだろう。マリアは、じわりと込み上げる涙を溢すまいと唇を強く噛み締める。
マリアの反応が無くなったことに疑問を抱いたのか、ルイーゼは躊躇いながらもマリアの正面にしゃがみ込んだ。他人に無関心なルイーゼらしくない行動にマリアは恐る恐る視線を上げた。
涙に気づいたのだろう、ルイーゼは小さく目を見開き、おずおずとマリアの頬に手を添えたかと思うと、親指でマリアの涙を掬い取った。思わずマリアの胸がどきりと高鳴った。
マリアは目を見開いてルイーゼを凝視するが、その表情は変わらず無表情で、依然として感情が読めない。
何か言おうとして口を開きかけたその時だった。
「あれ、姉さん?」
バードンに連れられて行ったアレンが戻って来たようだ。マリアと共にルイーゼがいることに大仰に驚いている。
そして、無表情のままのルイーゼが、顔を上げてアレンを見たかと思うと、
「アレン…!来ていたのね」
花が綻ぶように微笑んだ。
「っ!」
「ぐぅふっ!姉さんの悩殺スマイル…相変わらずの殺傷力だね」
アレンは胸を押さえてふらつきながら靴箱に背を預けてもたれかかった。
そんなルイーゼの微笑みを目の前で見せられたマリアは、その笑みに釘付けになってしまった。胸が高鳴り、血の気が引いていた頬に朱が差す。今まで表情らしい表情を見たことがなかったマリアにとって、ルイーゼの微笑みの破壊力は相当のものであった。
な、なんなのこれ…
マリアはどきどき高鳴る胸を押さえながら困惑しているが、そんなマリアを置いて見目麗しい姉弟二人が話し始めた。
「それで姉さんはこんなところで何をしているの?」
「マリア様の靴が見当たらなかったから、もしかしたら無くしたのかと思って一緒に探していたのよ。それに…少しだけお話も」
「えっ!?嘘でしょ!?姉さんが!??」
少し恥ずかしそうに目を伏せるルイーゼの回答に、今度はアレンが驚き目を見開いた。アレンにとって人見知りを拗らせているルイーゼが自分から誰かに関わり、ましてや会話をしていたなど信じられないほどの進歩であった。
「…何よ、私だって頑張るときは頑張るんだから。それに、困っているクラスメイトを放ってはおけないじゃない…」
少し頬を膨らませるルイーゼは、年相応の魅力的な女性そのものだ。アレンがいるからか、かなり饒舌になっている。いつもと違いすぎるルイーゼの姿に、開いた口が塞がらないマリア。
「は?姉さんは天使かい?」
「アレンあなた何を言っているの?」
なぜか鼻を押さえながら呼吸が荒いアレンと、そんなアレンを怪訝そうにじっと見つめるルイーゼ。そしてアレンから視線を外したルイーゼの目にあるものが映り込んだ。
「あっ!あれじゃないかしら?」
パァッと顔を明るくして、駆け出したルイーゼが手にしたのは、マリアの靴であった。
ーーー実はアレンの指示でクロードが隠していたのだが、隠れて状況を確認していたクロードの判断で靴を見つけやすい場所に置いたのだった。
「あったわ!よかったわね、マリア様」
心から嬉しそうに頬を上気させるルイーゼは、マリアに駆け寄り靴を手に持たせる。
なすがまま靴を受け取ったマリアはポツリと呟いた。
「あ、ありがとう…あなた、そんな表情もできたのね…」
「あっ…」
思わずはしゃいでしまった自分を取り成すように、ルイーゼはひとつ咳払いをすると、すんっといつもの無表情に戻ってしまったのだった。
「姉さん、せっかく人並みに対話できてたのに…」
「……アレン、行きましょう」
「あ、待ってよ姉さん!じゃあ、マリアさんまた今度…ゆっくり話しましょうね」
ルイーゼは気まずいのかスタスタと先を行ってしまった。アレンは慌てて靴に履き替えると、振り向き際にマリアに声をかけてルイーゼを追いかけた。
マリアは両手にルイーゼが乗せてくれた靴を持ったまま、茫然自失としていた。
自分はルイーゼという人物を大いに誤解していたのかもしれない。本当は相手を慮れる心優しい人なのではないか。
自分のために靴を懸命に探してくれたルイーゼ。
自分の頬に触れ、涙を拭ったルイーゼ。
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