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番外編 クロードの日常-前編-
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クロードの朝は早い。
日の出と共に目を覚まし、胴着に着替えて修練場へと向かう。ヴァンブルク家では、家臣が自由に特訓できるようにと修練場を開放している。
屋敷に一室を与えられ、住み込みで従事するクロードも、毎朝ここで木刀を振って身体を鍛えている。
ヴァンブルク家の臣下として、万一の時に主人を護る剣となり盾となるために日々の鍛錬は怠らない。
「ふぅ……ん?」
一通りの鍛錬を終え、流れる汗をタオルで拭っていると、制服を身に纏い、しゃんと背筋を伸ばして外を歩くルイーゼの姿が目に入った。どうやら玄関の門へ向かっているようだ。
ルイーゼはいつも始業前にヒューリヒ王立学園の鳥小屋で、鳥達に餌をやっている。今日も早起きして鳥小屋へ向かうのだろう。
ルイーゼの後ろ姿を見送りながら、クロードはフッと笑みを漏らした。
「あの様子だと…今日はアーサー様と一緒だな」
玄関の門へ向かうルイーゼの足はほんの僅かに弾んで見えた。クールなルイーゼのことなので、他人に気取られる程感情を表に出すことはしない。その些細な変化に気付けるのは、クロードと、ルイーゼの弟であるアレンぐらいであろう。
ようやく正式に婚約者となったルイーゼとアーサーであるが、第一王子は多忙な身なので、相変わらず中々2人で過ごす時間が取れていないようだ。
たまに学園に許可を取り、朝の早い時間にアーサーが鳥小屋に訪れることがある。勿論愛しのルイーゼに会うために違いないのだが、そのことはクロードの胸のうちに留めていた。
アレンにバレようものなら何としてでも割り込み邪魔をしようとするだろう。流石にそれはルイーゼが気の毒なので、クロードは何も知らない素振りをしていた。
クロードはルイーゼの姿が見えなくなるまで見送ると、汗を流すべくシャワー室へと向かった。
◇◇◇
「ほら、遅刻しますよ。起きてください」
「う~~~ん、あと5分…むにゃぁ」
シャワーを浴びてスッキリした後、制服に袖を通して主人であるアレンを起こしに私室へと向かう。
如何せんアレンは朝にすこぶる弱い。クロードの1日の仕事の中でも、アレンを起こすことは大変なタスクの一つである。
だが、今日は魔法のアイテムを用意してある。
「まったく、起きないのならルイーゼ様お手製のクッキーはお預けですね。ああ、とても美味しいのに残念です」
「なんだって!?姉さんの手作りクッキー!?」
「おはようございます」
クロードの一言で、アレンはガバッと布団から飛び出してクロードに掴みかかる勢いで起き上がって来た。
(ルイーゼ様、ありがとうございます)
アレンをひらりと躱しながら、心の中でルイーゼに礼を言う。
ルイーゼは、昨晩手作りしたクッキーをクロードとアレンにも包んでくれていたのだ。
アレンにバレるとうるさいので、大体こうした手作りのお菓子などはクロードに預けるルイーゼであった。ルイーゼの手作りを前にしてアレンが冷静でいられる訳もなく、感涙のあまり鼻水を垂らしてルイーゼに迫ること必至なのだ。
ちなみに、夜遅くまでクッキーを焼いていたのは、勿論今朝会うアーサーのためだろう。綺麗に包装したクッキーを見つめるルイーゼの柔らかな瞳が全てを物語っていた。
ルイーゼの手作りにありつけるとなれば、アレンが飛び起きるのは間違いなかった。アーサー用のついでというのは決して口にしてはならないことであるが。
そして案の定勢いよく飛び起きて来たアレンがあまりにも思惑通りすぎて、クロードは密かに笑みを溢した。
「どこ!?どこにあるの!?」
「食堂ですよ。早く着替えてください」
「分かったよ!!1分で支度する!!」
ばびゅん!とクローゼットに突進して制服を取り出し、目にも止まらぬ速さで着替えるアレン。毎朝これぐらいスムーズに用意してくれたら楽なのに、とクロードは溜息をつきつつ、後ろ手を組んでアレンの着替えを待つ。
「お待たせー!さあ、早く姉さんの愛のこもった麗しのクッキーをいただきに行こうじゃないか!」
「…全く、ネクタイが歪んでますよ」
「おっと、ありがとう」
慌てて準備をしたため、アレンのネクタイは斜めになっていた。やれやれと肩をすくめながら素早くネクタイを整えてやると、アレンはにこやかに礼を言った。
ネクタイを整え終えると、アレンは走って食堂へと向かって行ってしまった。屋敷を走るなといつも口うるさく言っているのだが、ルイーゼのことが絡むとどうもネジが外れてしまう。
(見目麗しいのに中身は極度のシスコンなんだから、残念な人だよな)
クロードは肩をすくめながら、アレンの後を追って食堂へと向かった。もちろん優雅に歩いて。
◇◇◇
アレンと共に登校したクロードは、アレンとは学年が違うため靴箱で別れると、自らの教室へ向かった。
(ルイーゼ様は…まだか)
クラスメイトと挨拶を交わしながら、同じクラスのルイーゼの姿を探す。大抵アレンとクロードが登校する時間には自席に着席しているのだが、アーサーとの話が弾んでいるのだろうか。間も無く始業の鐘が鳴るというのにまだその姿は見えない。
「ルイーゼ様…どうしたのでしょうか」
「そうですね、今日は遅いですわね」
ラナとマリアも不安そうにしている。
いよいよマリアがルイーゼを探しに教室を飛び出そうとしていた時、ガラリと後方のドアが開いて、ルイーゼが教室に入って来た。
「ルイーゼ様!おはようございます!」
「おはようございます!事故にでもあったのかと心配いたしました…!あぁ、今日も大変お美しいです…!」
「ご、ごきげんよう。ごめんなさい、心配をかけてしまったみたいで」
ラナとマリアの勢いにたじろぎながらも、優雅に挨拶をするルイーゼ。ほわほわと僅かに頬を朱に染めている。アーサーと楽しいひとときを過ごせたようだ。
「あら?ルイーゼ様…首元が赤く…虫に刺されておりますわ」
「なんですって!?なんて不届きな虫…私だってルイーゼ様の綺麗な首筋に触れることは叶わないというのに…っ!」
「えっ!?あ…!鳥小屋の近くで刺されてしまったのかしら…」
ラナに指摘され、ルイーゼは慌てて首筋を押さえた。マリアは見当外れなことを喚いているが、始業の鐘が鳴ったので渋々自席へと着席した。難を逃れたルイーゼは、ホッとした様子だ。
…やれやれ、どうやらアーサーとの仲は非常に良好らしい。
クロードは何も言わずにカバンからスカーフを取り出してさりげなくルイーゼに手渡した。こんな事もあろうと、密かに忍ばせていたのだ。ちなみにルイーゼとクロードの席は窓際の前後である。
ルイーゼは顔を真っ赤にしてスカーフを受け取ると、消え入りそうな声で礼を言い、シュルっと赤い花を隠すように首に巻いた。
(アーサー殿下は悪戯好きだからな…随分とルイーゼ様の反応を楽しまれているようだ)
困った王子だとクロードは肩肘をついて、窓からグラウンドに視線を投げた。
間も無く教師が入ってきて、その日の授業が始まった。
日の出と共に目を覚まし、胴着に着替えて修練場へと向かう。ヴァンブルク家では、家臣が自由に特訓できるようにと修練場を開放している。
屋敷に一室を与えられ、住み込みで従事するクロードも、毎朝ここで木刀を振って身体を鍛えている。
ヴァンブルク家の臣下として、万一の時に主人を護る剣となり盾となるために日々の鍛錬は怠らない。
「ふぅ……ん?」
一通りの鍛錬を終え、流れる汗をタオルで拭っていると、制服を身に纏い、しゃんと背筋を伸ばして外を歩くルイーゼの姿が目に入った。どうやら玄関の門へ向かっているようだ。
ルイーゼはいつも始業前にヒューリヒ王立学園の鳥小屋で、鳥達に餌をやっている。今日も早起きして鳥小屋へ向かうのだろう。
ルイーゼの後ろ姿を見送りながら、クロードはフッと笑みを漏らした。
「あの様子だと…今日はアーサー様と一緒だな」
玄関の門へ向かうルイーゼの足はほんの僅かに弾んで見えた。クールなルイーゼのことなので、他人に気取られる程感情を表に出すことはしない。その些細な変化に気付けるのは、クロードと、ルイーゼの弟であるアレンぐらいであろう。
ようやく正式に婚約者となったルイーゼとアーサーであるが、第一王子は多忙な身なので、相変わらず中々2人で過ごす時間が取れていないようだ。
たまに学園に許可を取り、朝の早い時間にアーサーが鳥小屋に訪れることがある。勿論愛しのルイーゼに会うために違いないのだが、そのことはクロードの胸のうちに留めていた。
アレンにバレようものなら何としてでも割り込み邪魔をしようとするだろう。流石にそれはルイーゼが気の毒なので、クロードは何も知らない素振りをしていた。
クロードはルイーゼの姿が見えなくなるまで見送ると、汗を流すべくシャワー室へと向かった。
◇◇◇
「ほら、遅刻しますよ。起きてください」
「う~~~ん、あと5分…むにゃぁ」
シャワーを浴びてスッキリした後、制服に袖を通して主人であるアレンを起こしに私室へと向かう。
如何せんアレンは朝にすこぶる弱い。クロードの1日の仕事の中でも、アレンを起こすことは大変なタスクの一つである。
だが、今日は魔法のアイテムを用意してある。
「まったく、起きないのならルイーゼ様お手製のクッキーはお預けですね。ああ、とても美味しいのに残念です」
「なんだって!?姉さんの手作りクッキー!?」
「おはようございます」
クロードの一言で、アレンはガバッと布団から飛び出してクロードに掴みかかる勢いで起き上がって来た。
(ルイーゼ様、ありがとうございます)
アレンをひらりと躱しながら、心の中でルイーゼに礼を言う。
ルイーゼは、昨晩手作りしたクッキーをクロードとアレンにも包んでくれていたのだ。
アレンにバレるとうるさいので、大体こうした手作りのお菓子などはクロードに預けるルイーゼであった。ルイーゼの手作りを前にしてアレンが冷静でいられる訳もなく、感涙のあまり鼻水を垂らしてルイーゼに迫ること必至なのだ。
ちなみに、夜遅くまでクッキーを焼いていたのは、勿論今朝会うアーサーのためだろう。綺麗に包装したクッキーを見つめるルイーゼの柔らかな瞳が全てを物語っていた。
ルイーゼの手作りにありつけるとなれば、アレンが飛び起きるのは間違いなかった。アーサー用のついでというのは決して口にしてはならないことであるが。
そして案の定勢いよく飛び起きて来たアレンがあまりにも思惑通りすぎて、クロードは密かに笑みを溢した。
「どこ!?どこにあるの!?」
「食堂ですよ。早く着替えてください」
「分かったよ!!1分で支度する!!」
ばびゅん!とクローゼットに突進して制服を取り出し、目にも止まらぬ速さで着替えるアレン。毎朝これぐらいスムーズに用意してくれたら楽なのに、とクロードは溜息をつきつつ、後ろ手を組んでアレンの着替えを待つ。
「お待たせー!さあ、早く姉さんの愛のこもった麗しのクッキーをいただきに行こうじゃないか!」
「…全く、ネクタイが歪んでますよ」
「おっと、ありがとう」
慌てて準備をしたため、アレンのネクタイは斜めになっていた。やれやれと肩をすくめながら素早くネクタイを整えてやると、アレンはにこやかに礼を言った。
ネクタイを整え終えると、アレンは走って食堂へと向かって行ってしまった。屋敷を走るなといつも口うるさく言っているのだが、ルイーゼのことが絡むとどうもネジが外れてしまう。
(見目麗しいのに中身は極度のシスコンなんだから、残念な人だよな)
クロードは肩をすくめながら、アレンの後を追って食堂へと向かった。もちろん優雅に歩いて。
◇◇◇
アレンと共に登校したクロードは、アレンとは学年が違うため靴箱で別れると、自らの教室へ向かった。
(ルイーゼ様は…まだか)
クラスメイトと挨拶を交わしながら、同じクラスのルイーゼの姿を探す。大抵アレンとクロードが登校する時間には自席に着席しているのだが、アーサーとの話が弾んでいるのだろうか。間も無く始業の鐘が鳴るというのにまだその姿は見えない。
「ルイーゼ様…どうしたのでしょうか」
「そうですね、今日は遅いですわね」
ラナとマリアも不安そうにしている。
いよいよマリアがルイーゼを探しに教室を飛び出そうとしていた時、ガラリと後方のドアが開いて、ルイーゼが教室に入って来た。
「ルイーゼ様!おはようございます!」
「おはようございます!事故にでもあったのかと心配いたしました…!あぁ、今日も大変お美しいです…!」
「ご、ごきげんよう。ごめんなさい、心配をかけてしまったみたいで」
ラナとマリアの勢いにたじろぎながらも、優雅に挨拶をするルイーゼ。ほわほわと僅かに頬を朱に染めている。アーサーと楽しいひとときを過ごせたようだ。
「あら?ルイーゼ様…首元が赤く…虫に刺されておりますわ」
「なんですって!?なんて不届きな虫…私だってルイーゼ様の綺麗な首筋に触れることは叶わないというのに…っ!」
「えっ!?あ…!鳥小屋の近くで刺されてしまったのかしら…」
ラナに指摘され、ルイーゼは慌てて首筋を押さえた。マリアは見当外れなことを喚いているが、始業の鐘が鳴ったので渋々自席へと着席した。難を逃れたルイーゼは、ホッとした様子だ。
…やれやれ、どうやらアーサーとの仲は非常に良好らしい。
クロードは何も言わずにカバンからスカーフを取り出してさりげなくルイーゼに手渡した。こんな事もあろうと、密かに忍ばせていたのだ。ちなみにルイーゼとクロードの席は窓際の前後である。
ルイーゼは顔を真っ赤にしてスカーフを受け取ると、消え入りそうな声で礼を言い、シュルっと赤い花を隠すように首に巻いた。
(アーサー殿下は悪戯好きだからな…随分とルイーゼ様の反応を楽しまれているようだ)
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