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第二部 パーティに捨てられた泣き虫魔法使いは、ダンジョンの階層主に溺愛される
96. 不死者の輪舞曲
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シンは不気味な笑みを浮かべ、右手を振り上げた。それを合図に、後ろに控えていた4人の冒険者が武器を取り出しシンの前に歩み出た。
皆、目は虚で焦点が定まっていない。シンの言う通り、操られているのは明白だ。
「チッ、テメェは高みの見物ってわけか」
「ククッ、まずはお手並み拝見といこう」
2人の剣士は剣を構え、勢いよくホムラに切り掛かった。ホムラは灼刀を抜くと、難なく太刀を受け止める。
刀を交え、ホムラは眉根を顰めた。
灼刀を振り抜き、剣士2人を剣圧で吹き飛ばすが、2人は悲鳴も上げずにくるくると宙を回転して着地した。身体能力も強化されているようだ。
それよりも、ホムラが危険を感じたのは2人が使用する剣である。刀を交えて至近距離で見たところ、剣が僅かに紫紺の光を帯びていた。シンのことだ、恐らく呪詛の類だろうとホムラは推測した。擦り傷ひとつが致命傷となりかねない。
「ったく、相変わらず狡いことしやがる」
「何のことだ?呪詛のことを言っているのならばお門違いだな。これも俺の魔法であり能力だ。さぁ、どうする?またエレインの光魔法に頼るのか?」
「チィッ、どこまでも行け好かねぇ野郎だぜ」
エレインは自らの名前が呼ばれてびくりと肩を震わせた。
エレインは本能的に感じていた。
(怖い…このシンって人、なんだかすごく怖い…)
シンの瞳に宿る冷たい光。自分の手を汚さずに他人を利用することを厭わない様子。不気味な笑い方。シンの一挙手一投足がエレインの不安な気持ちを掻き立てる。
エレインは無意識のうちに、祈るように胸の前で両手を組み合わせていた。その手は微かに震えている。エレインの見つめる先では、2人の剣士とホムラが激しく斬り合っている。その間にも、残された2人の魔法使いが何やら詠唱をしているようだ。
(…ダメ。震えてるだけじゃダメ。私はホムラさんの隣に立って、背中を預けて戦える存在になるんだから…!)
光魔法は闇魔法に効果的だとウォンにも言われたではないか。シンと戦う武器になると。
エレインは「ふぅぅぅ」と深く深く息を吐き出し、一歩前に出た。まだ微かに手は震えているが、いつでも魔法を放てるように身体の中に魔力を巡らせる。
キィィン!
「っし!」
剣が交わる度に眩い火花を散らしていたが、再び剣が交差した時、ホムラが灼刀を握る手にグッと力を込めて素早く剣士の太刀を刀の腹で流して柄を弾き飛ばした。
クルクルと弧を描きながら剣が宙を巻い、シンの足元に突き刺さった。
剣を失った剣士2人は、素早く拳を構えてホムラを牽制する。
「素手でやり合おうってのかァ?舐められたもんだな」
その時、後方に控えていた魔法使い2人が杖を高々と掲げて呪文を叫んだ。
「「召喚魔法、《不死者の輪舞曲》!!」」
「これは…っ!」
「ひっ…ま、まさか…」
呪文が唱えられると同時に、地面に巨大な魔法陣が出現した。
怪しく光る魔法陣のあちこちで、地面がぼこぼこと波打ち、エレインはいつかの見覚えのある光景にサァッと顔から血の気が引いていく。アグニも何が起きようとしているか悟ったのか、素早くエレインの隣に移動して、安心させるように手を固く握ってくれた。
「あああ…あ…」
「おお…おお、お…」
声になり損ねた不気味な音を漏らしながら、それは地面を割って現れた。
「ひぃっ…!あ、アンデッド…!!」
巨大な魔法陣の至る所から爛れた手が突き出している。メリメリと嫌な音を鳴らしながら地面から這い出たアンデッド達は、ゆらりと揺れながらホムラやエレインに視線を向けた。かつて眼球があった凹みの奥にはぼんやりと紫紺の光が灯っている。
「ははっ!アンデッドを召喚したのか!おもしれぇ!」
「アハハ!お前の得意の剣技はアンデッドには通じない。クク…アンデッドを倒すには中々骨が折れるぞ?この魔法陣が発動している間は無数に召喚される。術者の魔力が切れるまでな!」
依然として灼刀を構えるホムラに、シンは可笑そうに額を押さえて天を仰いでいる。
シンの前に立つ2人の魔法使いが杖を振り下ろすと、アンデッド達はズルズルと朽ちた脚を引き摺りながら、縋るように手を差し出してホムラ達に歩み寄る。
「クッ、そうだなァ。確かにアンデッドに俺の刀は通用しない。だがな、こちとらもう経験済みなんだよ。なァ?」
「…へっ!?」
迫り来るアンデッドに意識が飛びそうになるエレインだが、アグニの手の温もりがエレインを支えてくれている。そして、ホムラもエレインの隣に移動すると、楽しそうにエレインの肩を引き寄せた。
「なんだよ?まだこんな奴らにビビってんのかァ?俺のこと守ってくれるんじゃなかったのかよ」
「あ…」
『私にもホムラさんを守らせてください。ホムラさんの隣で戦えるように、これからも修行してもっともっと強くなりますから』
ホムラと気持ちを通じ合わせた日、月明かりの下で誓った言葉。
エレインが弾かれたようにホムラを見上げると、ホムラは優しく目を細めながらエレインを見つめていた。その瞳には強い信頼の色が込められていた。
アグニとホムラが与えてくれる温もり。触れ合う場所から優しい熱が伝ってきて、エレインの胸を優しく暖める。
(そうだ、怖気付いてなんかいられない。私が大切な人を守るんだ…!)
エレインはホムラとアグニに目配せし、一歩前に踏み出した。そして両手をアンデッドに、いや、魔法陣に魔力を注ぎ続ける魔法使い達に向ける。手の震えはもう止まっていた。
ハイエルフの力を使いこなすため、日々血の滲むような鍛錬を積んできた。まだ100%の力を発揮できている感覚はないが、その力の一端を引き出すことはできるようになった。修練の日々は、確かにエレインの自信となり積み重なっている。
力の源は大切な人を守りたいという想い。それなら今、十分にエレインの胸を満たしていた。
「全てを浄化する光を!《聖なる領域》!!」
「ぎやぁぁぁぁ!!」
「あぁぁぁぁあ…!」
エレインが叫ぶと同時に、白く淡い光が弾けた。怪しく光る魔法陣を上書きするように、光の陣が床に描き出されている。
その輪の中に囚われたアンデッド達は、浄化の光に耐えることができずに次々と断末魔のような悲鳴を上げながら消滅していく。アンデッドが光の粒子となり、天に登っていく。この世に囚われたアンデッド達の魂が浄化されていく。
魔法陣を発動していた魔法使いもエレインの浄化の光に包まれて、膝から崩れ落ちるように倒れて動かなくなった。僅かに黒い靄のようなものが滲み出て、光の中に消えていったように見えた。魔法使いだけでなく、2人の剣士も光の陣の範囲内に居たため、同様に浄化の光を浴びてがくりと地面に倒れ伏してしまった。
やがて70階層に現れた無数のアンデッドは、綺麗さっぱり消滅してしまった。
その様子に歯を食いしばるのは、他でもないシンである。
驚いたように目を見開き、エレインがここまで光魔法を使用できることが計算外だったのか、悔しそうに表情を歪めている。
「あれだけの数のアンデッドを浄化し、冒険者どもを操っていた俺の魔法までも解除するか…お前、ハイエルフの魔力を引き出しているのか?」
目を細めてエレインを凝視するシン。視線を受けるエレインは、どこか心のうちを覗かれているかのような不快感を覚える。吸魂鬼というだけあり、魂の状態を見ることができるのだろうか。
「ふん、なるほど…お前自身の魔力と、内に眠るハイエルフの魔力が混ぜ合わさっているのか。だが、まだ完全ではないようだな」
シンに図星を突かれて、エレインは不服そうな表情を浮かべる。
「ふぅむ。まさかお前がダンジョンの中でハイエルフの魂と共鳴するとはな。まさかとは思うが、かつてのハイエルフの魂もお前が浄化したのか?」
「…それは違う。あの時は、みんなが助けてくれたから」
(ウォンの話は避けた方がいいのかな…大昔は一緒に遊んだ仲だったみたいだけど…)
かつてはウォンの大事な存在であったシン。道を違え、今やダンジョンの脅威となりうる存在へと変わり果てたシン。エレインはどうしても聞かざるを得なかった。
「あなたは、どうしてここまでダンジョンを嫌うの?なんでこんなことをするの?」
その問いに、シンはぐにゃりと口元を歪めた。
ーーーーー
12時過ぎにまた更新します!
皆、目は虚で焦点が定まっていない。シンの言う通り、操られているのは明白だ。
「チッ、テメェは高みの見物ってわけか」
「ククッ、まずはお手並み拝見といこう」
2人の剣士は剣を構え、勢いよくホムラに切り掛かった。ホムラは灼刀を抜くと、難なく太刀を受け止める。
刀を交え、ホムラは眉根を顰めた。
灼刀を振り抜き、剣士2人を剣圧で吹き飛ばすが、2人は悲鳴も上げずにくるくると宙を回転して着地した。身体能力も強化されているようだ。
それよりも、ホムラが危険を感じたのは2人が使用する剣である。刀を交えて至近距離で見たところ、剣が僅かに紫紺の光を帯びていた。シンのことだ、恐らく呪詛の類だろうとホムラは推測した。擦り傷ひとつが致命傷となりかねない。
「ったく、相変わらず狡いことしやがる」
「何のことだ?呪詛のことを言っているのならばお門違いだな。これも俺の魔法であり能力だ。さぁ、どうする?またエレインの光魔法に頼るのか?」
「チィッ、どこまでも行け好かねぇ野郎だぜ」
エレインは自らの名前が呼ばれてびくりと肩を震わせた。
エレインは本能的に感じていた。
(怖い…このシンって人、なんだかすごく怖い…)
シンの瞳に宿る冷たい光。自分の手を汚さずに他人を利用することを厭わない様子。不気味な笑い方。シンの一挙手一投足がエレインの不安な気持ちを掻き立てる。
エレインは無意識のうちに、祈るように胸の前で両手を組み合わせていた。その手は微かに震えている。エレインの見つめる先では、2人の剣士とホムラが激しく斬り合っている。その間にも、残された2人の魔法使いが何やら詠唱をしているようだ。
(…ダメ。震えてるだけじゃダメ。私はホムラさんの隣に立って、背中を預けて戦える存在になるんだから…!)
光魔法は闇魔法に効果的だとウォンにも言われたではないか。シンと戦う武器になると。
エレインは「ふぅぅぅ」と深く深く息を吐き出し、一歩前に出た。まだ微かに手は震えているが、いつでも魔法を放てるように身体の中に魔力を巡らせる。
キィィン!
「っし!」
剣が交わる度に眩い火花を散らしていたが、再び剣が交差した時、ホムラが灼刀を握る手にグッと力を込めて素早く剣士の太刀を刀の腹で流して柄を弾き飛ばした。
クルクルと弧を描きながら剣が宙を巻い、シンの足元に突き刺さった。
剣を失った剣士2人は、素早く拳を構えてホムラを牽制する。
「素手でやり合おうってのかァ?舐められたもんだな」
その時、後方に控えていた魔法使い2人が杖を高々と掲げて呪文を叫んだ。
「「召喚魔法、《不死者の輪舞曲》!!」」
「これは…っ!」
「ひっ…ま、まさか…」
呪文が唱えられると同時に、地面に巨大な魔法陣が出現した。
怪しく光る魔法陣のあちこちで、地面がぼこぼこと波打ち、エレインはいつかの見覚えのある光景にサァッと顔から血の気が引いていく。アグニも何が起きようとしているか悟ったのか、素早くエレインの隣に移動して、安心させるように手を固く握ってくれた。
「あああ…あ…」
「おお…おお、お…」
声になり損ねた不気味な音を漏らしながら、それは地面を割って現れた。
「ひぃっ…!あ、アンデッド…!!」
巨大な魔法陣の至る所から爛れた手が突き出している。メリメリと嫌な音を鳴らしながら地面から這い出たアンデッド達は、ゆらりと揺れながらホムラやエレインに視線を向けた。かつて眼球があった凹みの奥にはぼんやりと紫紺の光が灯っている。
「ははっ!アンデッドを召喚したのか!おもしれぇ!」
「アハハ!お前の得意の剣技はアンデッドには通じない。クク…アンデッドを倒すには中々骨が折れるぞ?この魔法陣が発動している間は無数に召喚される。術者の魔力が切れるまでな!」
依然として灼刀を構えるホムラに、シンは可笑そうに額を押さえて天を仰いでいる。
シンの前に立つ2人の魔法使いが杖を振り下ろすと、アンデッド達はズルズルと朽ちた脚を引き摺りながら、縋るように手を差し出してホムラ達に歩み寄る。
「クッ、そうだなァ。確かにアンデッドに俺の刀は通用しない。だがな、こちとらもう経験済みなんだよ。なァ?」
「…へっ!?」
迫り来るアンデッドに意識が飛びそうになるエレインだが、アグニの手の温もりがエレインを支えてくれている。そして、ホムラもエレインの隣に移動すると、楽しそうにエレインの肩を引き寄せた。
「なんだよ?まだこんな奴らにビビってんのかァ?俺のこと守ってくれるんじゃなかったのかよ」
「あ…」
『私にもホムラさんを守らせてください。ホムラさんの隣で戦えるように、これからも修行してもっともっと強くなりますから』
ホムラと気持ちを通じ合わせた日、月明かりの下で誓った言葉。
エレインが弾かれたようにホムラを見上げると、ホムラは優しく目を細めながらエレインを見つめていた。その瞳には強い信頼の色が込められていた。
アグニとホムラが与えてくれる温もり。触れ合う場所から優しい熱が伝ってきて、エレインの胸を優しく暖める。
(そうだ、怖気付いてなんかいられない。私が大切な人を守るんだ…!)
エレインはホムラとアグニに目配せし、一歩前に踏み出した。そして両手をアンデッドに、いや、魔法陣に魔力を注ぎ続ける魔法使い達に向ける。手の震えはもう止まっていた。
ハイエルフの力を使いこなすため、日々血の滲むような鍛錬を積んできた。まだ100%の力を発揮できている感覚はないが、その力の一端を引き出すことはできるようになった。修練の日々は、確かにエレインの自信となり積み重なっている。
力の源は大切な人を守りたいという想い。それなら今、十分にエレインの胸を満たしていた。
「全てを浄化する光を!《聖なる領域》!!」
「ぎやぁぁぁぁ!!」
「あぁぁぁぁあ…!」
エレインが叫ぶと同時に、白く淡い光が弾けた。怪しく光る魔法陣を上書きするように、光の陣が床に描き出されている。
その輪の中に囚われたアンデッド達は、浄化の光に耐えることができずに次々と断末魔のような悲鳴を上げながら消滅していく。アンデッドが光の粒子となり、天に登っていく。この世に囚われたアンデッド達の魂が浄化されていく。
魔法陣を発動していた魔法使いもエレインの浄化の光に包まれて、膝から崩れ落ちるように倒れて動かなくなった。僅かに黒い靄のようなものが滲み出て、光の中に消えていったように見えた。魔法使いだけでなく、2人の剣士も光の陣の範囲内に居たため、同様に浄化の光を浴びてがくりと地面に倒れ伏してしまった。
やがて70階層に現れた無数のアンデッドは、綺麗さっぱり消滅してしまった。
その様子に歯を食いしばるのは、他でもないシンである。
驚いたように目を見開き、エレインがここまで光魔法を使用できることが計算外だったのか、悔しそうに表情を歪めている。
「あれだけの数のアンデッドを浄化し、冒険者どもを操っていた俺の魔法までも解除するか…お前、ハイエルフの魔力を引き出しているのか?」
目を細めてエレインを凝視するシン。視線を受けるエレインは、どこか心のうちを覗かれているかのような不快感を覚える。吸魂鬼というだけあり、魂の状態を見ることができるのだろうか。
「ふん、なるほど…お前自身の魔力と、内に眠るハイエルフの魔力が混ぜ合わさっているのか。だが、まだ完全ではないようだな」
シンに図星を突かれて、エレインは不服そうな表情を浮かべる。
「ふぅむ。まさかお前がダンジョンの中でハイエルフの魂と共鳴するとはな。まさかとは思うが、かつてのハイエルフの魂もお前が浄化したのか?」
「…それは違う。あの時は、みんなが助けてくれたから」
(ウォンの話は避けた方がいいのかな…大昔は一緒に遊んだ仲だったみたいだけど…)
かつてはウォンの大事な存在であったシン。道を違え、今やダンジョンの脅威となりうる存在へと変わり果てたシン。エレインはどうしても聞かざるを得なかった。
「あなたは、どうしてここまでダンジョンを嫌うの?なんでこんなことをするの?」
その問いに、シンはぐにゃりと口元を歪めた。
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12時過ぎにまた更新します!
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