7 / 7
私、リアスで幸せに暮らします
しおりを挟む
リアスでは各地で作物の収穫時期を迎え、毎日忙しい日々を過ごしておりました。
全ては難しいため、アルベルト様が厳選したいくつかの商談もうまく話が進んでいる模様です。何より嬉しかったのは、その際にアルベルト様が私の意見も聞きたいとおっしゃってくださったことです。私は出張らない程度に数点気になる点をお伝えしたところ、「なるほど!その視点はなかった。ありがとうクリス。君は本当に頼りになる」と褒めてくださいましたの。
私を認め、側に置いてくださるアルベルト様。この方のために私の持てる力を存分に発揮したいと心より思っております。
リアスの地もすっかり草木が茂り、道端には美しい花々も咲き乱れるようになりました。空気もとても美味しくて、領民の方の健康状態まで向上したのだとか。
そうそう、アルベルト様のお父様も今ではすっかりお元気になられて、お母様と軽い散策が楽しめるほどにまで回復されたんですよ。お母様もリアスの農作物をたっぷり召し上がって、以前より肌艶も良く美しさに磨きがかかっているようです。
そんなある日、アルベルト様が私にこう言ったのです。
「そういえばクリス。落ち着いたら実家に連絡を入れると言っていたが、ちゃんと手紙は書いたのか?これだけ手伝ってもらっておいて今更なんだが…ご両親が心配しているんじゃないか?
「あら、いけません。すっかり忘れておりましたわ」
あっ、と口元を抑える私を見て頬を引き攣らせるアルベルト様。彼は私の両親がいかに過保護かご存じなので、色々と想像を巡らせておられらのでしょう。
「はぁ、そんなことだと思った。実はな、君の実家からクリスを知らないかと手紙が届いたんだ」
「あら、そうだったんですの」
アルベルト様が背広から取り出したのは見慣れた家紋が押された淡いクリーム色の手紙でした。これは確かにロレーヌ家が使う手紙に間違いありません。
恐る恐る中を改めると、そこには、私の行方が分からなくなっていること、私がフィリップ様に婚約破棄をされたこと、そのことに怒り狂っているということ、そしてフィリップ様の現在の状況が殴り書きで記されておりました。
フィリップ様は私が去ってからというもの、不運な出来事が続き、とうとう負債を抱えきれずにお家取りつぶしになることが決まったのですって。あらあらまぁまぁ、お気の毒に。ざまあないですわね。あのような杜撰な仕事ぶり、私が側から離れたら一気に崩壊することは目に見えておりましたので大して驚きませんでしたわ。
「ふぅ、流石にこれ以上心配をかけられませんわね。実家に戻るとしましょう」
「…そうだな。その方がいい」
私が息をついて零した言葉に、アルベルト様は首肯しつつもひどく寂しそうな顔をしていらっしゃいました。
「その、クリスティーナ?」
「はい、なんでしょう?」
「あー、いや。早い方がいいだろう。馬車を手配するから必要な荷物をまとめておいで」
「え?」
「ん?」
荷物をまとめろと言われた私は、思わずキョトンとして聞き返してしまいましたわ。それに対してアルベルト様も首を傾げていらっしゃいます。
「私、実家への説明が終わりましたら、またここに戻ってくるつもりなのですが…」
「えっ!?」
私の言葉に驚きを隠せないご様子のアルベルト様。すっかりリアスでの生活が気に入ってしまった私は、これからもこの地で暮らしたいと考えていたのですが…言うならば私は居候の身。これ以上私の我儘でご迷惑をおかけする訳には行かない…ですわね。
「…すみません、ご迷惑ですわよね…?」
「いやっ!!そんなことない!クリスが望むのならばいつまでだってリアスに居るといい!」
肩を落として尋ねると、首がちぎれてしまうのではと心配するほどアルベルト様は首を横に振って否定してくださいました。
「…それに、俺はずっと…その、クリスと一緒にいたいと思っている」
そして顔を赤らめて、視線を逸らせながらそんなことをおっしゃっいました。
「アルベルト様…嬉しいですわ」
アルベルト様に拒絶されなかったことに心から安堵している自分がおります。あ、ほらまた胸がむずむずいたします。リアスに来てから私を悩ませているこの感情、この機にアルベルト様に相談してみましょうか。
「アルベルト様、実は私悩みがございまして、相談してもよろしいでしょうか?」
「えっ、なんだ?なんでも言ってくれ」
悩みと聞いて心配そうな表情をされるアルベルト様。私は素直な気持ちを話し始めました。
「…私、アルベルト様と居ると胸がむずむずするのです」
「え、あ、ああ。そう、なのか?」
「はい。最初は病気かも…と心配したのですが、アルベルト様が触れた箇所が熱を持って、熱くて苦しくて、でも全く嫌ではなくて、むしろ心地よいとさえ思えるのです」
「…」
「少しでも長くアルベルト様のお側に居たい。別れてからも早くアルベルト様に会ってお話がしたい。最近ではそう思うようになっておりまして」
「そ、そうか」
「ええ。特段二人きりの時など、不躾ながらアルベルト様に触れたい衝動に駆られることもしばしば…今だってあなたに触れたくて仕方が…」
「~~~~っ!クリス、ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
思うがままを言葉にしていたら、次第にアルベルト様の顔が赤く染まっていき、遂には湯気が出るほどに真っ赤っかになってしまいました。
「え?どうなさいました?顔が真っ赤ですわよ!?ご病気では!?」
「いや!病気じゃない!至って健康だ!」
私が慌ててアルベルト様の額に手を添えると、びくりと身体を揺らしたアルベルト様。そのままアルベルト様の大きな手が私の手を絡め取り、胸の高さでぎゅっと握り締められてしまいました。
「さっきから、その…俺のことが、好きで好きで仕方がないと言っているようにしか聞こえなくてだな…すまん、勝手に解釈して自惚れているだけかもしれないんだが…」
「えっ…」
アルベルト様にそう言われて、一息遅れて私の顔も湯気が出るほど真っ赤に染まってしまいました。私、恋愛経験というものがございませんので、自分のこの感情がなんなのかずっと分からずモヤモヤしていたのですが…なんということでしょう。これが人を好きになるということ…ということは、私はアルベルト様をお慕いしているということ…ですの?
「えっと、その…恐らくですが、アルベルト様の解釈で間違っていないかと…」
私は急に恥ずかしくなり、遠回しな言い方をしてしまいましたわ。ですが、その言葉を聞いたアルベルト様は次第に目を見開き、潤んだ瞳を柔らかく細められました。
「あー…その、クリス。やっぱり俺もロレーヌ家へ同行してもいいだろうか?」
「えっ、ですが、お仕事は?」
「なんとかする」
「はぁ…」
アルベルト様らしくない強引なお考えです。本意が読めずに同意致しかねていると、瞳を揺らして逡巡していたアルベルト様が、意を決したように私の肩を掴んで言いました。
「俺は、クリスが好きだ…クリスにずっと側で支えてほしい。クリスと、正式に婚約がしたい。クリスさえよければ、その…ご両親に挨拶に行きたいんだが、ダメだろうか?」
「っ!アルベルト様っ…私、とっても嬉しいです。是非ともよろしくお願いいたしますわ」
アルベルト様の言葉に笑顔で頷くと、そのまま強く強く、息が止まってしまうかと思うほど強く、逞しい腕で抱きしめられました。
ああ、想いが通い合うとはこうも幸せなものなのですね…
私はアルベルト様の広い背中に腕を回し、精一杯抱きしめ返しました。
ーーーさて、遠い異国の地では、私のような物事の巡り合わせや運気を上昇させるを女性を“あげまん”と呼称されるようですが、私の場合はそう単純なものではございませんの。
実はここだけの話、私は“女神の加護”を受けているのです。この国では一代に一人だけ、女神の加護を受ける令嬢がいるのです。それはその当人と家族、そして王族しかしらないことで、国家機密とされております。なぜなら、このことが公になると女神の加護を受けた令嬢を手に入れようと強引な手を用いる方が現れるかもしれませんから。
このことについては、正式に婚姻関係を結んだら、アルベルト様に打ち明けようと思っております。私の秘密を知っても、きっとアルベルト様なら今までと変わらず接してくださると信じておりますわ。
それから瞬く間に出立の準備を整えたアルベルト様と私は共に馬車へと乗り込みました。馬車の規則正しい揺れに身を委ねながら、私は小さな声で尋ねました。
「…アルベルト様は、婚約破棄なんてなさらないですよね?」
「当たり前だろう。どこぞの馬の骨と一緒にすると言うのなら、クリスといえど怒るぞ」
「…すみません」
「………それに、俺は小さい頃からずっと、その…クリスのことを想っていたんだ」
「えっ!」
「~~~っ!皆まで言わせるな」
真っ赤になった顔を見られないようにでしょうか、アルベルト様は半ば強引に私を腕の中にすっぽりと閉じ込めてしまいました。
「あっ…」
「好きだよ、クリス。昔も今も、ずっと変わらず愛している」
「…アルベルト様。私も…ずっとずっと愛しております」
こうして女神の加護を受けたクリスティーナは、彼女を愛し、敬う田舎町の領主様と幸せな結婚をしました。クリスティーナは知らないことですが、女神の加護が最大限の効果を発揮するのは、”愛し愛され、その身を愛でいっぱいにした時”なのです。
愛に溢れたクリスティーナとアルベルトにより、リアスの地がこの先この国に不可欠なほど豊かになり、富を産むことになるのは…まだ先のお話。
全ては難しいため、アルベルト様が厳選したいくつかの商談もうまく話が進んでいる模様です。何より嬉しかったのは、その際にアルベルト様が私の意見も聞きたいとおっしゃってくださったことです。私は出張らない程度に数点気になる点をお伝えしたところ、「なるほど!その視点はなかった。ありがとうクリス。君は本当に頼りになる」と褒めてくださいましたの。
私を認め、側に置いてくださるアルベルト様。この方のために私の持てる力を存分に発揮したいと心より思っております。
リアスの地もすっかり草木が茂り、道端には美しい花々も咲き乱れるようになりました。空気もとても美味しくて、領民の方の健康状態まで向上したのだとか。
そうそう、アルベルト様のお父様も今ではすっかりお元気になられて、お母様と軽い散策が楽しめるほどにまで回復されたんですよ。お母様もリアスの農作物をたっぷり召し上がって、以前より肌艶も良く美しさに磨きがかかっているようです。
そんなある日、アルベルト様が私にこう言ったのです。
「そういえばクリス。落ち着いたら実家に連絡を入れると言っていたが、ちゃんと手紙は書いたのか?これだけ手伝ってもらっておいて今更なんだが…ご両親が心配しているんじゃないか?
「あら、いけません。すっかり忘れておりましたわ」
あっ、と口元を抑える私を見て頬を引き攣らせるアルベルト様。彼は私の両親がいかに過保護かご存じなので、色々と想像を巡らせておられらのでしょう。
「はぁ、そんなことだと思った。実はな、君の実家からクリスを知らないかと手紙が届いたんだ」
「あら、そうだったんですの」
アルベルト様が背広から取り出したのは見慣れた家紋が押された淡いクリーム色の手紙でした。これは確かにロレーヌ家が使う手紙に間違いありません。
恐る恐る中を改めると、そこには、私の行方が分からなくなっていること、私がフィリップ様に婚約破棄をされたこと、そのことに怒り狂っているということ、そしてフィリップ様の現在の状況が殴り書きで記されておりました。
フィリップ様は私が去ってからというもの、不運な出来事が続き、とうとう負債を抱えきれずにお家取りつぶしになることが決まったのですって。あらあらまぁまぁ、お気の毒に。ざまあないですわね。あのような杜撰な仕事ぶり、私が側から離れたら一気に崩壊することは目に見えておりましたので大して驚きませんでしたわ。
「ふぅ、流石にこれ以上心配をかけられませんわね。実家に戻るとしましょう」
「…そうだな。その方がいい」
私が息をついて零した言葉に、アルベルト様は首肯しつつもひどく寂しそうな顔をしていらっしゃいました。
「その、クリスティーナ?」
「はい、なんでしょう?」
「あー、いや。早い方がいいだろう。馬車を手配するから必要な荷物をまとめておいで」
「え?」
「ん?」
荷物をまとめろと言われた私は、思わずキョトンとして聞き返してしまいましたわ。それに対してアルベルト様も首を傾げていらっしゃいます。
「私、実家への説明が終わりましたら、またここに戻ってくるつもりなのですが…」
「えっ!?」
私の言葉に驚きを隠せないご様子のアルベルト様。すっかりリアスでの生活が気に入ってしまった私は、これからもこの地で暮らしたいと考えていたのですが…言うならば私は居候の身。これ以上私の我儘でご迷惑をおかけする訳には行かない…ですわね。
「…すみません、ご迷惑ですわよね…?」
「いやっ!!そんなことない!クリスが望むのならばいつまでだってリアスに居るといい!」
肩を落として尋ねると、首がちぎれてしまうのではと心配するほどアルベルト様は首を横に振って否定してくださいました。
「…それに、俺はずっと…その、クリスと一緒にいたいと思っている」
そして顔を赤らめて、視線を逸らせながらそんなことをおっしゃっいました。
「アルベルト様…嬉しいですわ」
アルベルト様に拒絶されなかったことに心から安堵している自分がおります。あ、ほらまた胸がむずむずいたします。リアスに来てから私を悩ませているこの感情、この機にアルベルト様に相談してみましょうか。
「アルベルト様、実は私悩みがございまして、相談してもよろしいでしょうか?」
「えっ、なんだ?なんでも言ってくれ」
悩みと聞いて心配そうな表情をされるアルベルト様。私は素直な気持ちを話し始めました。
「…私、アルベルト様と居ると胸がむずむずするのです」
「え、あ、ああ。そう、なのか?」
「はい。最初は病気かも…と心配したのですが、アルベルト様が触れた箇所が熱を持って、熱くて苦しくて、でも全く嫌ではなくて、むしろ心地よいとさえ思えるのです」
「…」
「少しでも長くアルベルト様のお側に居たい。別れてからも早くアルベルト様に会ってお話がしたい。最近ではそう思うようになっておりまして」
「そ、そうか」
「ええ。特段二人きりの時など、不躾ながらアルベルト様に触れたい衝動に駆られることもしばしば…今だってあなたに触れたくて仕方が…」
「~~~~っ!クリス、ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
思うがままを言葉にしていたら、次第にアルベルト様の顔が赤く染まっていき、遂には湯気が出るほどに真っ赤っかになってしまいました。
「え?どうなさいました?顔が真っ赤ですわよ!?ご病気では!?」
「いや!病気じゃない!至って健康だ!」
私が慌ててアルベルト様の額に手を添えると、びくりと身体を揺らしたアルベルト様。そのままアルベルト様の大きな手が私の手を絡め取り、胸の高さでぎゅっと握り締められてしまいました。
「さっきから、その…俺のことが、好きで好きで仕方がないと言っているようにしか聞こえなくてだな…すまん、勝手に解釈して自惚れているだけかもしれないんだが…」
「えっ…」
アルベルト様にそう言われて、一息遅れて私の顔も湯気が出るほど真っ赤に染まってしまいました。私、恋愛経験というものがございませんので、自分のこの感情がなんなのかずっと分からずモヤモヤしていたのですが…なんということでしょう。これが人を好きになるということ…ということは、私はアルベルト様をお慕いしているということ…ですの?
「えっと、その…恐らくですが、アルベルト様の解釈で間違っていないかと…」
私は急に恥ずかしくなり、遠回しな言い方をしてしまいましたわ。ですが、その言葉を聞いたアルベルト様は次第に目を見開き、潤んだ瞳を柔らかく細められました。
「あー…その、クリス。やっぱり俺もロレーヌ家へ同行してもいいだろうか?」
「えっ、ですが、お仕事は?」
「なんとかする」
「はぁ…」
アルベルト様らしくない強引なお考えです。本意が読めずに同意致しかねていると、瞳を揺らして逡巡していたアルベルト様が、意を決したように私の肩を掴んで言いました。
「俺は、クリスが好きだ…クリスにずっと側で支えてほしい。クリスと、正式に婚約がしたい。クリスさえよければ、その…ご両親に挨拶に行きたいんだが、ダメだろうか?」
「っ!アルベルト様っ…私、とっても嬉しいです。是非ともよろしくお願いいたしますわ」
アルベルト様の言葉に笑顔で頷くと、そのまま強く強く、息が止まってしまうかと思うほど強く、逞しい腕で抱きしめられました。
ああ、想いが通い合うとはこうも幸せなものなのですね…
私はアルベルト様の広い背中に腕を回し、精一杯抱きしめ返しました。
ーーーさて、遠い異国の地では、私のような物事の巡り合わせや運気を上昇させるを女性を“あげまん”と呼称されるようですが、私の場合はそう単純なものではございませんの。
実はここだけの話、私は“女神の加護”を受けているのです。この国では一代に一人だけ、女神の加護を受ける令嬢がいるのです。それはその当人と家族、そして王族しかしらないことで、国家機密とされております。なぜなら、このことが公になると女神の加護を受けた令嬢を手に入れようと強引な手を用いる方が現れるかもしれませんから。
このことについては、正式に婚姻関係を結んだら、アルベルト様に打ち明けようと思っております。私の秘密を知っても、きっとアルベルト様なら今までと変わらず接してくださると信じておりますわ。
それから瞬く間に出立の準備を整えたアルベルト様と私は共に馬車へと乗り込みました。馬車の規則正しい揺れに身を委ねながら、私は小さな声で尋ねました。
「…アルベルト様は、婚約破棄なんてなさらないですよね?」
「当たり前だろう。どこぞの馬の骨と一緒にすると言うのなら、クリスといえど怒るぞ」
「…すみません」
「………それに、俺は小さい頃からずっと、その…クリスのことを想っていたんだ」
「えっ!」
「~~~っ!皆まで言わせるな」
真っ赤になった顔を見られないようにでしょうか、アルベルト様は半ば強引に私を腕の中にすっぽりと閉じ込めてしまいました。
「あっ…」
「好きだよ、クリス。昔も今も、ずっと変わらず愛している」
「…アルベルト様。私も…ずっとずっと愛しております」
こうして女神の加護を受けたクリスティーナは、彼女を愛し、敬う田舎町の領主様と幸せな結婚をしました。クリスティーナは知らないことですが、女神の加護が最大限の効果を発揮するのは、”愛し愛され、その身を愛でいっぱいにした時”なのです。
愛に溢れたクリスティーナとアルベルトにより、リアスの地がこの先この国に不可欠なほど豊かになり、富を産むことになるのは…まだ先のお話。
111
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
没落寸前でしたが、先祖の遺産が見つかったおかげで持ち直すことができました。私を見捨てた皆さん、今更手のひらを返しても遅いのです。
木山楽斗
恋愛
両親が亡くなってすぐに兄が失踪した。
不幸が重なると思っていた私に、さらにさらなる不幸が降りかかってきた。兄が失踪したのは子爵家の財産のほとんどを手放さなければならい程の借金を抱えていたからだったのだ。
当然のことながら、使用人達は解雇しなければならなくなった。
多くの使用人が、私のことを罵倒してきた。子爵家の勝手のせいで、職を失うことになったからである。
しかし、中には私のことを心配してくれる者もいた。
その中の一人、フェリオスは私の元から決して離れようとしなかった。彼は、私のためにその人生を捧げる覚悟を決めていたのだ。
私は、そんな彼とともにとあるものを見つけた。
それは、先祖が密かに残していた遺産である。
驚くべきことに、それは子爵家の財産をも上回る程のものだった。おかげで、子爵家は存続することができたのである。
そんな中、私の元に帰ってくる者達がいた。
それは、かつて私を罵倒してきた使用人達である。
彼らは、私に媚を売ってきた。もう一度雇って欲しいとそう言ってきたのである。
しかし、流石に私もそんな彼らのことは受け入れられない。
「今更、掌を返しても遅い」
それが、私の素直な気持ちだった。
※2021/12/25 改題しました。(旧題:没落貴族一歩手前でしたが、先祖の遺産が見つかったおかげで持ち直すことができました。私を見捨てた皆さん、今更掌を返してももう遅いのです。)
好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」
佐藤 美奈
恋愛
好きじゃない人と結婚した。子爵令嬢アイラは公爵家の令息ロバートと結婚した。そんなに好きじゃないけど両親に言われて会って見合いして結婚した。
「結婚してほしい。君は家にいるだけで何もしなくてもいいから」と言われてアイラは結婚を決めた。義母と義父も優しく満たされていた。アイラの生活の日常。
公爵家に嫁いだアイラに、親友の男爵令嬢クレアは羨ましがった。
そんな平穏な日常が、一変するような出来事が起こった。ロバートの幼馴染のレイラという伯爵令嬢が、家族を連れて公爵家に怒鳴り込んできたのだ。
婚約破棄されたので30キロ痩せたら求婚が殺到。でも、選ぶのは私。
百谷シカ
恋愛
「私より大きな女を妻と呼べるか! 鏡を見ろ、デブ!!」
私は伯爵令嬢オーロラ・カッセルズ。
大柄で太っているせいで、たった今、公爵に婚約を破棄された。
将軍である父の名誉を挽回し、私も誇りを取り戻さなくては。
1年間ダイエットに取り組み、運動と食事管理で30キロ痩せた。
すると痩せた私は絶世の美女だったらしい。
「お美しいオーロラ嬢、ぜひ私とダンスを!」
ただ体形が変わっただけで、こんなにも扱いが変わるなんて。
1年間努力して得たのは、軟弱な男たちの鼻息と血走った視線?
「……私は着せ替え人形じゃないわ」
でも、ひとりだけ変わらない人がいた。
毎年、冬になると砂漠の別荘地で顔を合わせた幼馴染の伯爵令息。
「あれっ、オーロラ!? なんか痩せた? ちゃんと肉食ってる?」
ダニエル・グランヴィルは、変わらず友人として接してくれた。
だから好きになってしまった……友人のはずなのに。
======================
(他「エブリスタ」様に投稿)
妹のほうが可愛いからって私と婚約破棄したくせに、やっぱり私がいいって……それ、喜ぶと思ってるの? BANします!
百谷シカ
恋愛
「誰だって君じゃなくキャンディーと結婚したいと思うさ!」
「へえ」
「狙撃なんて淑女の嗜みじゃないからね!!」
私はジャレッド伯爵令嬢イーディス・ラブキン。
で、この失礼な男は婚約者リーバー伯爵令息ハドリー・ハイランド。
妹のキャンディーは、3つ下のおとなしい子だ。
「そう。じゃあ、お父様と話して。決めるのはあなたじゃないでしょ」
「ああ。きっと快諾してくれると思うよ!」
そんな私と父は、一緒に狩場へ行く大の仲良し。
父はもちろんハドリーにブチギレ。
「あーのー……やっぱり、イーディスと結婚したいなぁ……って」
「は? それ、喜ぶと思ってるの?」
私は躊躇わなかった。
「婚約破棄で結構よ。私はこの腕に惚れてくれる夫を射止めるから」
でもまさか、王子を、射止めるなんて……
この時は想像もしていなかった。
====================
(他「エブリスタ」様に投稿)
出来損ないのポンコツ令嬢は、王子様に目を付けられても今まで通りに過ごしたいようです
こまの ととと
恋愛
「そうだ! 元々家格の低いお前が、俺に釣り合うはずが無い!! 惨めに捨てられるのがお似合いなんだッ!!!」
それまで己の婚約者だった少女を罵り上げた男は、当然だと言わんばかりに彼女を見下していた。
彼女は平穏を愛する者、ただそれを受け入れるしかない。
彼の言う通り、身分に差がある者同士では文句を付ける権利も無いのだ。
しかし、そんな彼女の為に立ち上がった男がいた。
彼女の従者として過ごした男は、孤児でありしがらみの無い立場であった為に、元婚約者の男を殴り飛ばしてしまったのだ。
事が終わった後、自ら家を離れる決心をする従者の男性を見送る事しか出来なかった彼女。
その夜に行われた学園の舞踏会に、どのような気持ちで向かったかなど誰に分かるはずも無い。
ただ一つ、それでも自身の平穏を貫いて行く事だろう。例え彼女を放っておかない者達が現れても……。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
婚約破棄されたら兄のように慕っていた家庭教師に本気で口説かれはじめました
鳥花風星
恋愛
「他に一生涯かけて幸せにしたい人ができた。申し訳ないがローズ、君との婚約を取りやめさせてほしい」
十歳の頃に君のことが気に入ったからと一方的に婚約をせがまれたローズは、学園生活を送っていたとある日その婚約者であるケイロンに突然婚約解消を言い渡される。
悲しみに暮れるローズだったが、幼い頃から魔法の家庭教師をしてくれている兄のような存在のベルギアから猛烈アプローチが始まった!?
「ずっと諦めていたけれど、婚約解消になったならもう遠慮はしないよ。今は俺のことを兄のように思っているかもしれないしケイロンのことで頭がいっぱいかもしれないけれど、そんなこと忘れてしまうくらい君を大切にするし幸せにする」
ローズを一途に思い続けるベルギアの熱い思いが溢れたハッピーエンドな物語。
もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?
当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。
ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。
対して領民の娘イルアは、本気だった。
もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。
けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。
誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。
弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。
【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?
江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。
大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて……
さっくり読める短編です。
異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
幸せなお話はいいですね、ほのぼのとして読んだ後もほっこりです☺️
読ませていただきありがとうございます😊
こちらも読んでくださったのですね…!
ほっこりいただけて何よりです♡
こちらこそありがとうございます(*^o^*)
なんて初々しい二人
たった7話でこんなほっこりするなんて
もう少し長く浸っていたくなるリアスの
領地でした。 ありがとうございます♪
感想ありがとうございます♪
終始初々してましたね笑
サクッと読んでいただけるようにと短めに仕上げましたが、そう言ってもらえて嬉しいです(^-^)
悪役令嬢の弟〜から来ました。
二人の恋の行方にじれじれしつつも、
最後はほっこりさせて頂きました。
この二人、尊すぎる‼︎
こっそり作者をお気に入り登録させて頂きました♡
次回作もお待ちしております。
いらっしゃいませ!
悪役令嬢の弟〜も読んでくださったのですね(^-^)
ありがとうございます〜!
本作の方が悪役令嬢の弟〜よりも前に書いた恋愛系初作品なので、楽しんでいただけてよかったです★
なんと!ありがとうございます♡
今連載中の作品が落ち着いたら、次はまた異世界恋愛系のお話を書きたいと考えておりますので、気長に待ってていただけると嬉しいです( ^ω^ )