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第1話 待ちに待った成人の日
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「ーーこうして、人魚姫は海の泡となってしまいました。その後、人魚姫は風の精霊となって人々に幸せを運んだのでした。おしまい」
「ねぇ、ママぁ~もう一回読んで!」
深い深い海の中、水面からわずかに差し込む月光の元で、少女は目を輝かせながら母親に絵本をせがんでいる。少女がパタパタと月の光に煌めく尾鰭を振ると、小さな水流が装飾の海藻を揺らめかす。
母親と思しき女性は、愛おしそうに少女の頭を撫でると、優しく語りかけた。
「あらあら、マリアンヌも人間に興味があるのかしら?それとも恋のお話が好きなの?」
「ううん!私が好きなのは獣人さんっ!」
母親の問いかけを一蹴し、少女が無邪気な笑顔で言うと、母親は怪訝な顔をした。
「え、獣人さん?」
「そう!あのふわふわした綺麗な毛並み、もふもふって顔を埋めて暮らせたら、どんなに幸せか…でゅふふふ…」
「やだ、涎出てるわよ」
少女は妄想の世界に旅立ち、だらしなく頬を緩めながら涎を垂らす。慌てて母親がハンカチで口元を拭いてやる。
「うふふ、わたしね、大きくなったら、獣人の国に行って獣人さんとけっこんするの!」
母親は目を見開き驚いているが、小さく息を吐くと、夢見る少女を優しく抱きしめた。
「…そう。叶うといいわね」
「うん!!」
満面の笑みで元気よく頷いた少女は、再び絵本の世界へとのめり込んでいった。
◇◇◇
時は流れ、十一年後ーーー
「はいっ、今日も私の圧勝~!」
十五歳に成長した少女は、海中をものすごい勢いで泳ぎ抜けていた。ゴールに設定した岩場を通り過ぎると、急旋回して停止する。
少女の下半身には均等に美しい鱗が並んでいる。海中で停止するために尾鰭を揺らしているため、陽の光を反射してキラキラと輝いている。
少女が波に漂っているときゅうきゅうと可愛い声で鳴きながら、イルカたちが集まって来た。少女は笑顔でイルカたちの頭を撫でる。
「ぜぇ、はぁ…ま、マリンは本当速いな…」
イルカたちと戯れていると、少し遅れて同じく尾鰭を携えた少年が岩場に到着した。全力で泳いできたようで、ぐったりとしている。
「ふふん。だって私はこの国で一番速いもの!」
マリンと呼ばれた少女は、得意気に腕を組んで胸を逸らせた。
彼女の本名はマリアンヌ。近しい家族や友人からは、マリンという愛称で呼ばれている。その名にふさわしいマリンブルーの艶やかな髪を靡かせ、ピンクブロンドの輝く瞳を有している。
彼女がいる国は、その名もシーウッド海王国。魚人の治める、珊瑚が美しい海底の国である。
マリアンヌは、この平和な国の第七皇女であった。
「ねぇ、アンドレ!お昼にしよう!」
「お、おう…ぜぇ、はぁ」
未だに息を整えているのは、マリアンヌの幼馴染のアンドレである。マリアンヌの父王の側近の息子で、幼い頃からの遊び仲間だ。
マリアンヌとアンドレは、珊瑚の森へと泳いでいく。キラキラと輝く美しい珊瑚は、装飾品としても人気が高い。
二人は、珊瑚のベンチに腰掛け、バスケットを開いた。中からサンドイッチを取り出して、流されないよう気をつけながら思い切り頬張る。
「マリンもいよいよ明日で成人だな」
アンドレに言われ、マリアンヌはごくりとサンドイッチを嚥下すると、アンドレに向かって身を乗り出した。マリアンヌの美麗な顔立ちが眼前に迫り、アンドレの頬に朱が差す。
「そうなの!!!どれだけこの日を待ち侘びたか…はぁ…」
うっとりと表情を蕩けさせるマリアンヌに、アンドレもとろんとした瞳で見惚れている。
ここシーウッド海王国には、いくつかの決まり事があった。
十六歳の成人の日を迎えるまでは、国外に出てはならないこと。
成人の日を迎えたら、国外、並びに地上への渡航が許されること。
マリアンヌはとある夢…いや、野望のために幼い頃から成人の日を待ち侘びていた。
マリアンヌの野望、それは―――
「はぁ…やっと、やっとやっと!夢にまで見たもふもふをこの手に感じることができるのね…!ぐふ、ぐふふふ」
もふもふとした毛並みを誇る獣人と出会い、結婚することであった。
おとぎ話でも有名な人魚姫は、はるか昔に実際に存在した。だが、それから長い年月を経て、魚人の在り方は大きく変わっていた。
人間やその他種族との友好関係を結び、人やモノの交流を深め、異文化もたくさん取り入れ、発展してきた。
だが、そんな中で、唯一疎遠な種族がいた。それが、獣人であった。
彼らは、サバン獣王国という国を築き、他国とも関わりを持つごく普通の種族であるのだが、魚人とは昔から馬が合わなかったのだ。
獣人の持つ鋭い牙や爪は、魚人にとっては恐怖の対象でしかなかった。
一方の獣人も、昔から魚は食用という意識が強く、魚人とは一線引いた距離を保っていたのだ。
マリアンヌは、幼い頃から童話や図鑑を始め、たくさんの本に親しんできた。そこで知った獣人の存在は、マリアンヌの好奇心を大いに掻き立てた。
水中では感じ取れない肌触りや触感。獣人の多くは人型であるが、その耳や尻尾はとてもマリアンヌを惹きつけたのだ。
「あっ!そろそろ帰って明日の用意をしなくちゃ!お父様に叱られちゃうわ」
飛んでいた意識を取り戻したマリアンヌは、慌ただしくバスケットを片付けて、ぶんぶんとアンドレに手を振りながら王宮へと戻って行く。
「ま、マリンー!その、明日…俺、楽しみに待ってるからなぁー!」
「ん?ええ、私もよー!じゃあねー!」
アンドレが何やら意味深なことを叫んでいるが、ちょっとよく分からないマリアンヌは首を傾げるばかりだ。まあいいかと適当に返事をして帰路に着いた。
◇◇◇
そして迎えた成人の日ーーー
美しく着飾ったマリアンヌは、王と王妃である両親と対面していた。
第七皇女としてのお披露目が終わり、今は親子の時間であった。
ソワソワと落ち着きのないマリアンヌを前に、王妃であるオリビアが王のトリスタンを肘で突いた。
するとトリスタンは、げふんげふんとわざとらしい咳払いをし、いそいそと幾つかの写真を取り出した。見るからにそれらは釣書であった。
「可愛い可愛いマリンちゃんや。お前ももう成人したことじゃし…その、そろそろ伴侶を決めてもいい頃合いじゃろう?ワシとしてはいつまでもここに居てくれてもいいんじゃが…いてて、痛いぞオリビア」
中々本題を切り出さないトリスタンの肘をつねるオリビア。トリスタンは改めてマリアンヌに向かい合った。
「ほれ、見てみろ!お前にこんなにも縁談が来ておるのだ、どれも良縁ばかり…お、これはワシの側近の息子だったかの。悪くないんじゃないか?さぁ、好きに選んで――」
「お父様!全てお断りしてください!私は今日から地上で暮らしますのでー!では!お元気で!」
「ちょっと!?マリンちゃんんん!?」
マリアンヌはトリスタンが言い切るのを待たずに、煌びやかなドレスを脱ぎ捨てて、勢いよく部屋を飛び出していった。
慌ててトリスタンが後を追うが、マリアンヌはぐんぐん泳いで行ってしまう。
「はぁ…はぁ…ま、マリンちゃん速いのう…」
すぐにバテてへたり込むトリスタン。遅れて追いついたオリビアがトリスタンの背をさする。
「まったく…あの子に泳ぎで勝てるわけないじゃないの」
「ぜぇ…ん?マリンちゃんって、何の加護を受けておったかの?バンドウイルカじゃったか…?ふむ、そりゃ泳ぎが速いわけだ…」
一人納得するトリスタンであるが、対するオリビアは呆れ顔である。
「はぁ…アナタ、自分の子供の守護獣ぐらい把握しておきなさい」
「だってワシ、子沢山じゃし…」
人差し指をつんつんして拗ねるトリスタンであるが、オリビアは無視してマリアンヌが泳いで行った方に視線を向けた。
「やれやれ…やっぱりこうなったわね…」
深くため息をつくと、オリビアは窓の外を見つめ、海上から差し込む光に目を細めた。
「ねぇ、ママぁ~もう一回読んで!」
深い深い海の中、水面からわずかに差し込む月光の元で、少女は目を輝かせながら母親に絵本をせがんでいる。少女がパタパタと月の光に煌めく尾鰭を振ると、小さな水流が装飾の海藻を揺らめかす。
母親と思しき女性は、愛おしそうに少女の頭を撫でると、優しく語りかけた。
「あらあら、マリアンヌも人間に興味があるのかしら?それとも恋のお話が好きなの?」
「ううん!私が好きなのは獣人さんっ!」
母親の問いかけを一蹴し、少女が無邪気な笑顔で言うと、母親は怪訝な顔をした。
「え、獣人さん?」
「そう!あのふわふわした綺麗な毛並み、もふもふって顔を埋めて暮らせたら、どんなに幸せか…でゅふふふ…」
「やだ、涎出てるわよ」
少女は妄想の世界に旅立ち、だらしなく頬を緩めながら涎を垂らす。慌てて母親がハンカチで口元を拭いてやる。
「うふふ、わたしね、大きくなったら、獣人の国に行って獣人さんとけっこんするの!」
母親は目を見開き驚いているが、小さく息を吐くと、夢見る少女を優しく抱きしめた。
「…そう。叶うといいわね」
「うん!!」
満面の笑みで元気よく頷いた少女は、再び絵本の世界へとのめり込んでいった。
◇◇◇
時は流れ、十一年後ーーー
「はいっ、今日も私の圧勝~!」
十五歳に成長した少女は、海中をものすごい勢いで泳ぎ抜けていた。ゴールに設定した岩場を通り過ぎると、急旋回して停止する。
少女の下半身には均等に美しい鱗が並んでいる。海中で停止するために尾鰭を揺らしているため、陽の光を反射してキラキラと輝いている。
少女が波に漂っているときゅうきゅうと可愛い声で鳴きながら、イルカたちが集まって来た。少女は笑顔でイルカたちの頭を撫でる。
「ぜぇ、はぁ…ま、マリンは本当速いな…」
イルカたちと戯れていると、少し遅れて同じく尾鰭を携えた少年が岩場に到着した。全力で泳いできたようで、ぐったりとしている。
「ふふん。だって私はこの国で一番速いもの!」
マリンと呼ばれた少女は、得意気に腕を組んで胸を逸らせた。
彼女の本名はマリアンヌ。近しい家族や友人からは、マリンという愛称で呼ばれている。その名にふさわしいマリンブルーの艶やかな髪を靡かせ、ピンクブロンドの輝く瞳を有している。
彼女がいる国は、その名もシーウッド海王国。魚人の治める、珊瑚が美しい海底の国である。
マリアンヌは、この平和な国の第七皇女であった。
「ねぇ、アンドレ!お昼にしよう!」
「お、おう…ぜぇ、はぁ」
未だに息を整えているのは、マリアンヌの幼馴染のアンドレである。マリアンヌの父王の側近の息子で、幼い頃からの遊び仲間だ。
マリアンヌとアンドレは、珊瑚の森へと泳いでいく。キラキラと輝く美しい珊瑚は、装飾品としても人気が高い。
二人は、珊瑚のベンチに腰掛け、バスケットを開いた。中からサンドイッチを取り出して、流されないよう気をつけながら思い切り頬張る。
「マリンもいよいよ明日で成人だな」
アンドレに言われ、マリアンヌはごくりとサンドイッチを嚥下すると、アンドレに向かって身を乗り出した。マリアンヌの美麗な顔立ちが眼前に迫り、アンドレの頬に朱が差す。
「そうなの!!!どれだけこの日を待ち侘びたか…はぁ…」
うっとりと表情を蕩けさせるマリアンヌに、アンドレもとろんとした瞳で見惚れている。
ここシーウッド海王国には、いくつかの決まり事があった。
十六歳の成人の日を迎えるまでは、国外に出てはならないこと。
成人の日を迎えたら、国外、並びに地上への渡航が許されること。
マリアンヌはとある夢…いや、野望のために幼い頃から成人の日を待ち侘びていた。
マリアンヌの野望、それは―――
「はぁ…やっと、やっとやっと!夢にまで見たもふもふをこの手に感じることができるのね…!ぐふ、ぐふふふ」
もふもふとした毛並みを誇る獣人と出会い、結婚することであった。
おとぎ話でも有名な人魚姫は、はるか昔に実際に存在した。だが、それから長い年月を経て、魚人の在り方は大きく変わっていた。
人間やその他種族との友好関係を結び、人やモノの交流を深め、異文化もたくさん取り入れ、発展してきた。
だが、そんな中で、唯一疎遠な種族がいた。それが、獣人であった。
彼らは、サバン獣王国という国を築き、他国とも関わりを持つごく普通の種族であるのだが、魚人とは昔から馬が合わなかったのだ。
獣人の持つ鋭い牙や爪は、魚人にとっては恐怖の対象でしかなかった。
一方の獣人も、昔から魚は食用という意識が強く、魚人とは一線引いた距離を保っていたのだ。
マリアンヌは、幼い頃から童話や図鑑を始め、たくさんの本に親しんできた。そこで知った獣人の存在は、マリアンヌの好奇心を大いに掻き立てた。
水中では感じ取れない肌触りや触感。獣人の多くは人型であるが、その耳や尻尾はとてもマリアンヌを惹きつけたのだ。
「あっ!そろそろ帰って明日の用意をしなくちゃ!お父様に叱られちゃうわ」
飛んでいた意識を取り戻したマリアンヌは、慌ただしくバスケットを片付けて、ぶんぶんとアンドレに手を振りながら王宮へと戻って行く。
「ま、マリンー!その、明日…俺、楽しみに待ってるからなぁー!」
「ん?ええ、私もよー!じゃあねー!」
アンドレが何やら意味深なことを叫んでいるが、ちょっとよく分からないマリアンヌは首を傾げるばかりだ。まあいいかと適当に返事をして帰路に着いた。
◇◇◇
そして迎えた成人の日ーーー
美しく着飾ったマリアンヌは、王と王妃である両親と対面していた。
第七皇女としてのお披露目が終わり、今は親子の時間であった。
ソワソワと落ち着きのないマリアンヌを前に、王妃であるオリビアが王のトリスタンを肘で突いた。
するとトリスタンは、げふんげふんとわざとらしい咳払いをし、いそいそと幾つかの写真を取り出した。見るからにそれらは釣書であった。
「可愛い可愛いマリンちゃんや。お前ももう成人したことじゃし…その、そろそろ伴侶を決めてもいい頃合いじゃろう?ワシとしてはいつまでもここに居てくれてもいいんじゃが…いてて、痛いぞオリビア」
中々本題を切り出さないトリスタンの肘をつねるオリビア。トリスタンは改めてマリアンヌに向かい合った。
「ほれ、見てみろ!お前にこんなにも縁談が来ておるのだ、どれも良縁ばかり…お、これはワシの側近の息子だったかの。悪くないんじゃないか?さぁ、好きに選んで――」
「お父様!全てお断りしてください!私は今日から地上で暮らしますのでー!では!お元気で!」
「ちょっと!?マリンちゃんんん!?」
マリアンヌはトリスタンが言い切るのを待たずに、煌びやかなドレスを脱ぎ捨てて、勢いよく部屋を飛び出していった。
慌ててトリスタンが後を追うが、マリアンヌはぐんぐん泳いで行ってしまう。
「はぁ…はぁ…ま、マリンちゃん速いのう…」
すぐにバテてへたり込むトリスタン。遅れて追いついたオリビアがトリスタンの背をさする。
「まったく…あの子に泳ぎで勝てるわけないじゃないの」
「ぜぇ…ん?マリンちゃんって、何の加護を受けておったかの?バンドウイルカじゃったか…?ふむ、そりゃ泳ぎが速いわけだ…」
一人納得するトリスタンであるが、対するオリビアは呆れ顔である。
「はぁ…アナタ、自分の子供の守護獣ぐらい把握しておきなさい」
「だってワシ、子沢山じゃし…」
人差し指をつんつんして拗ねるトリスタンであるが、オリビアは無視してマリアンヌが泳いで行った方に視線を向けた。
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