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仮題。タイトルが思いつかないコメディ台本(男1 女1)コメディ

仮題。タイトルが思いつかないコメディ台本

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恵美めぐみ
「もしもし?」

紘汰こうた
「ん、なに?」

恵美:
「いや、一人で暇だったからさぁ」

紘汰:
「あ、別になにか話があるわけじゃないのね」

恵美:
「うん。お風呂溜まるまでの話し相手ほしかったの。可愛い所あるでしょ?」

紘汰:
「はいはい。かわいーかわいー」

恵美:
「てきとー。ま、いいけど」
「…、…さむー」

紘汰:
「ん?エアコンは?」

恵美:
「ついてるよ?」

紘汰:
「じゃあ温度調整しなよ」

恵美:
「うん…」
「…あーあぁ…。今年もクリスマスまでに恋人出来そうにないなぁ…」

紘汰:
「え?」

恵美:
「なに?」

紘汰:
「いや…」

恵美:
「…」

紘汰:
「いま夏だけどね!?」

恵美:
「えっ?」

紘汰:
「バリバリ8月だけど!?」

恵美:
「マジで!?こんなに寒いのに!?」

紘汰:
「寒いのは冷房のせいだろ!」

恵美:
「あー…、そういうことか…」

紘汰:
「あとお前どうせまた服着てないだろ」

恵美:
「いやいやいや、パンツは履いてる。可愛いヤツ」

紘汰:
「え…」

恵美:
「あ、想像した?、パンツも脱いであげよっか?」

紘汰:
恵美めぐみ…。寒いって言ってんのに…、お前実は馬鹿なんじゃないかなって思ってたけど…、…馬鹿だろ」

恵美:
「はぁ!?んなわけ無いでしょうが!!!この眉目秀麗びもくしゅうれい見目麗みめうるわしい恵美めぐみさんが!?馬鹿!?馬鹿じゃないの?紘汰こうた、馬鹿なんじゃないの?馬鹿っていうほうが馬鹿なんたからな!ばぁーかっ!!!」

紘汰:
「落ち着けよ。ブーメラン帰るの早いって」

恵美:
「いや…、でも落ち着いて考えてみても紘汰こうたって馬鹿だよね」

紘汰:
「は?」

恵美:
「っていうか、紘汰こうたに限らず。男性ってみんな馬鹿よ」

紘汰:
「なに?全世界に喧嘩売る練習でもしてんの?」

恵美:
「だってさ、こんなにPERFECTパーフェクトLADYレディが居るわけじゃない?」

紘汰:
「…どこに?」

恵美:
「ここに」

紘汰:
「あー…。うん。続けて?」

恵美:
「なんでこの私に恋人の一人もいないのか」

紘汰:
「そういうところじゃない?」

恵美:
「待って?一回想像して?」

紘汰:
「なにを」

恵美:
「目閉じた?」

紘汰:
「はいはい。閉じるのね」

恵美:
「まず、私は高校生です」

紘汰:
「コスプレ?」

恵美:
「馬鹿なの?設定よ」

紘汰:
「あー…、はいはい。女子高生設定ね」

恵美:
「そうそう。で、私やっぱり可愛いし、モテるじゃん?」

紘汰:
「虫に?」

恵美:
「人にね。朝起きてさ、鏡見て思うわけよ。あー。今日の私も世界一かわいい。って」

紘汰:
「…きっつ…」

恵美:
「学校に向かう道ももうキラキラしてんのよ。いや、キラッッキラしてんのよ」
「空は青空。雲が適度に流れてて、ちょっと風が強く吹いたら、スカートが揺れて?空には桜が舞っててね。アニメの一話みたいな感じね?」
「で、道で同級生にあって、ごきげんようとか挨拶するわけじゃん?」

紘汰:
「マジか…」

恵美:
「…、いや、ごきげんようはちょっと盛った。おはようにしとこう」

紘汰:
「あぁ…、よかった」

恵美:
「で、学校ついて靴箱開けるじゃん。手紙が入ってるわけよ。今日の放課後にどこどこに来てくださいって書かれてるわけですよね!」

紘汰:
「なに?ヤキ入れられんの?調子乗ってた?」

恵美:
「告白でしょうが!!!お前のヤンキー漫画捨てたろか!」

紘汰:
「こわっ」

恵美:
「でも私ももう毎週毎日のように呼び出されてっからね?流石さすがに慣れっこなわけですよ。だから、あー。どう言って断ろうかなぁ…ってちょっと気が重くなるのよね」

紘汰:
「断るんだ?」

恵美:
「だってさ?世界で一番かわいい私が誰かのものになっちゃったらさ、悲しむ人が出てくるわけじゃん」

紘汰:
「あー…、家の亀とかね?」

恵美:
「人な?亀飼ってねぇしよ」

紘汰:
「あー、そっかそっか」

恵美:
「相手もさ?やっぱり世界で一番かわいい私が恋人になったらさ。幸せにしなきゃっていう重圧と、周りからの羨望せんぼうと嫉妬の目で辛くなっちゃうからさ。こう、お互いのためにね?」

紘汰:
「絶望と…、なんて?」

恵美:
「せ!ん!ぼ!う!」

紘汰:
「うるさ…」

恵美:
「その日は一日さ?授業中とか休み時間にソワソワしてる人とか、目があったけどすぐそらしちゃう人見ると、あ、あの人なのかな?って思っちゃうわけじゃん」

紘汰:
「犯人がね?」

恵美:
「犯人?あー、犯人…といえば、犯人?かな?まぁまぁまぁまぁ、犯人にしとこう。ここは。いいよそれで」
「で、約束の時間になってさ?行くわけよ。校舎裏とか屋上とか、まぁ場所はどこでもいいけどさ」

紘汰:
「男子トイレ前とか、校長室前とかね」

恵美:
「あー、ごめん。じゃあ校舎裏で」

紘汰:
「なんだよ。わがままだな」

恵美:
「さっきからオーディエンスがうるさいな!」

紘汰:
「現実から乖離かいりし過ぎなんだよな」

恵美:
「じゃあ何か?オドレは男子トイレ前か校長室の前にマブいスケ呼び出すんか?」
 (マブいスケ=美人)

紘汰:
「ごめんて」

恵美:
「(咳払い)。で、校舎裏についたら言われるわけですよ」

紘汰:
「おい、ジャンプしろよ」

恵美:
「カツアゲじゃん!現実に聞いたことないよ!告白って言ってんだろうがよ!」

紘汰:
「あぁ、そっかそっか」

恵美:
「はぁ…。いいよもう…なんかつかれた。あ、次は、紘汰こうたの理想の告白聞かせて」

紘汰:
「えー?なんでそうなんだよぉ…。俺の理想の告白かぁ…。そうだな…」
「あ、じゃあ夜中に急に女の子から電話掛かってきてさ、一緒に家出しようよって言われるのは?ちょっとワクワクしない?」

恵美:
「理想の告白だよ?」

紘汰:
「え?うん」

恵美:
「てことはまだ付き合ってないんだよ?」

紘汰:
「そうだね」

恵美:
「付き合ってもないやつと家出しないでしょ。もうちょっと現実見てどうぞ」

紘汰:
「…。じゃあ一緒にこたつに入ってテレビとかみてる時にさ、こう、ぼそっと好きだよ…みたいな。そしたら、こう、あっちも顔真っ赤にして下向きながらさ、…うん。って」

恵美:
「いや、今は夏ですけど」

紘汰:
「うるせぇー!!!季節の指定聞いてねぇーし!」

恵美:
「そもそもさ、付き合ってないのに一緒に家出とかさ!こたつに入ってテレビ見るとかさ!その状況ってなに?」

紘汰:
「…」

恵美:
「そんなんもう恋人じゃん。カップルじゃん!アベックじゃん!ステディじゃん!」
 (アベック=恋人)
 (ステディ=恋人との関係性のこと)

紘汰:
「ワードが古いんだって…」

恵美:
「どうせこたつでみかん食べてんでしょ!!!!どうせ紅白とか一緒に見てんでしょ!!!!そんなんさぁ!」

紘汰:
「ごめんって!たしかにこのシチュエーションはないな。ごめん」

恵美:
「はい次」

紘汰:
「えー」

恵美:
「夏な」

紘汰:
「…え?」

恵美:
「夏の。理想の告白な?」

紘汰:
「こわ…。キャラ変わってるじゃん…。えー…っと、んー…。あ、じゃあ一緒にプール行ってさ…」

恵美:
「は?それもう付き合ってるでしょ」

紘汰:
「えー…、じゃあ…、えーっと…。あ、補習の帰りにさ」

恵美:
「馬鹿じゃん」

紘汰:
「うるさいな!ちょっとは黙って聞いとけよ」
「(咳払い)。補習の帰りに、いつもはそれぞれの友達と帰るからさ、別々に帰るんだけど、今日はたまたまタイミングが被って、あ、家こっちなんだ、一緒に帰ろうよ、みたいな」

恵美:
「でも馬鹿なんでしょ?つか、お互いの友達は補習受けてないなら、馬鹿なのあんたらだけじゃん」

紘汰:
「…うるっせぇなこいつ。あ、じゃあ終業式終わって、帰ろうってなったときに、こう、制服の裾ちょんちょんって引っ張られて、振り向いたらちょっと下向きながら、夏休み…、暇?って聞いてくるとかどう?」

恵美:
「え?何?てかなんで紘汰高校生設定なの?年齢考えたら?もう若くないんだし」

紘汰:
「よっし。とりあえず次会ったら2発殴るわ」

恵美:
「こっわ。いや、でも現実見てよ!もう私達社会人だから!終業式もなければ、夏休みもないから!」

紘汰:
「いや、俺の会社は夏休みあるけど」

恵美:
「は?殺すぞ」

紘汰:
「つか、そもそも高校生とか言い出したの恵美めぐみの方だからな」

恵美:
「わかった。それについては謝ってやるとして、とりあえず高校生設定は却下。今の紘汰こうたで。ナウの紘汰こうたでよろしく」

紘汰:
「なんでそんなに上から来れるんだコイツ…。でもそうだな…、今の俺だな?」

恵美:
「うん。ナウの紘汰こうたがこんな告白されたらうれしー!みたいなやつ頂戴」

紘汰:
「され方?告白のされ方か…。あー、じゃあ10年後にまだお互いが好きだったら、ここで会おうって約束を頼りに、10年ぶりに高校の屋上で再会するとか。結構ロマンチックじゃない?」

恵美:
「いや…えぇ?うちらの高校潰れたじゃん。もう取り壊しも終わって跡形もないけど。よしんば高校が残ってたとて不法侵入だし」

紘汰:
「…。あ、わかった!仕事終わって家帰ったらさ…」
(可能なら一息で)「裸エプロンの色白巨乳美女がいて、美味しい料理食卓に並んでて、アタッシュケースにお金ぎっしり詰まってて、私のヒモになる前提で結婚してくださいって言われたい」

恵美:
「待て待て待て待て!急に本物の馬鹿になるじゃん!!なんだよそのシチュエーション!現実見ろよ!」

紘汰:
「なんだよ!理想って言ったの恵美めぐみだろうが!理想と現実は対義語なんだよ!それにいいだろ、仕事で疲れて帰ってきたら家に色白金髪巨乳美女がいるんだぞ!?いいじゃないか!」

恵美:
「帰って家に知らない人いたら最初に浮かぶ感情は恐怖だろ!」

紘汰:
「いーや!色白金髪碧眼へきがんの巨乳美女ならいつでもウェルカムだね!」

恵美:
「そのメンタルがこえーよ!あとなんかちょっとずつ属性足すな!」

紘汰:
「メイド服でもいい、あ。チャイナドレスもいいよね。ナース服…。ふふふふふ」

恵美:
「…こっわ。えっ?紘汰こうたってそういう趣味だったの…?引くわー…」

紘汰:
「なんだよ家帰って料理作ってあったら嬉しいだろ」

恵美:
「いや、まじで共感できるのそこまでなのよ。それ以降の部分が…。いや、ごめんお金は嬉しいわ…」

紘汰:
「だろ?」

恵美:
「いや、でも駄目でしょ!」
「ていうかなんで男って相手から告白されたがるのよ!受け身かよ!あー!これだから男はよぉ!自分の手で掴み取ってみせろよ!幸せをよぉ!何もせずに受け入れてくれるのはお前のかぁちゃんだけだよ!それならかぁちゃんと結婚しろよ!」

紘汰:
「言葉つっよ…。いや、つか理想の告白のされ方って言ったの恵美めぐみだろ!?」

恵美:
「え…?言ったっけ?」

紘汰:
「え…、多分」

恵美:
「わかった、じゃあ変えてやるよ!紘汰こうたの理想のプロポーズ教えてよ!」

紘汰:
「だからさっきからなんで上からなんだよ!」

恵美:
「うるせぇ!黙ってさっさと教えろ!」

紘汰:
「えー…、そうだな。じゃあ一緒に寝てるじゃん?ベッドでも布団でもいいけど」

恵美:
「いやだからそのシチュエーションは付き合ってるだろ!」

紘汰:
「今のお題プロポーズだから付き合ってるだろ!?」

恵美:
「あ、そっかそっか。そうだわ。ごめん続けて」

紘汰:
「ったく…。で、起きたら、彼女の左薬指に指輪があって、ちょっとしてから彼女が気づいて、あっ!これ…!みたいな」

恵美:
「あー……、ボツ」

紘汰:
「ボツ!?理想にボツとかある!?」

恵美:
「チープ」

紘汰:
「チープ!?」

恵美:
「はい、次」

紘汰:
「…釈然としねぇな。あー、じゃあ、一緒になんか見てて、テレビとか…雑誌とか?」

恵美:
「うん」

紘汰:
「で、なんか彼女が、あ、このお揃いかわいいー、みたいな話をして、お、じゃあ俺達もお揃いする?え?なにを?名字。みたいな」

恵美:
「古い」

紘汰:
「あ!?」

恵美:
「いや、古いよ。古い。流石さすがに古い。もうそういうの何回も聞いた。古すぎて一周回って新しいよ」

紘汰:
「さっきから恵美めぐみも文句ばっかりじゃねぇか」

恵美:
「いや、思ったよりも文句出るわ。この理想の告白っていう話題」

紘汰:
「だろ?」

恵美:
「あ、わかった。じゃあさっきの料理の話」

紘汰:
「うん?」

恵美:
「家に帰ったとき、何が作ってあると嬉しい?それ聞かせてよ。あ、男性一般の意見としてね」

紘汰:
「どういうこと?」

恵美:
「いや、肉じゃがとか、カレーとか、なんか、これ嫌いなやつはおらんやろみたいな料理で、彼女が作ってくれたら嬉しい…みたいな?それ練習しといたらいざそういう場面になったときに作れるじゃん」

紘汰:
「ああ…、なるほどな。そうだな…。冷奴ひややっこ…だな。豆腐美味しい」

恵美:
「切って出すだけじゃん!練習もクソもないよ!なに?どこで個性だすの!?醤油のかけ具合?薬味の切り方?」

紘汰:
「枝豆の塩ゆで?」

恵美:
「居酒屋!それにあれも湯に通すだけでしょ…?多分。…作ったことないけど…」

紘汰:
「ったく、わがままだな…。じゃあ…カップラーメン」

恵美:
「ぼくー?料理って知ってるー?」

紘汰:
「なんだよ!冷奴も枝豆もカップラーメンも!みんな好きだろ!」

恵美:
「いや、だから!あー!もう!じゃあ紘汰こうたが好きなやつでいいよ!」

紘汰:
「えー?俺が好きなのって…、普通に肉じゃがとか好きだけど」

恵美:
「肉じゃがかぁ…」

紘汰:
「あとは…カレーとか」

恵美:
「カレーねぇ…」

紘汰:
「なに?」

恵美:
「いや…、なんか、普通だなぁって」

紘汰:
「はぁ?」

恵美:
「いや、なんかさ、家に帰ってご飯があったら嬉しいのは確定じゃん?」

紘汰:
「うん」

恵美:
「でも肉じゃがかカレーだったら、なんか、他の女も作れそうじゃん」

紘汰:
「…、まぁ。作れるよね」

恵美:
「それって、印象に残らなくない?」

紘汰:
「いや…、ええ…?」

恵美:
「どうせならさ、こう、残したいじゃん!印象に!強く刻みつけたいじゃん?私を」

紘汰:
「なんだよ印象に残る料理って」

恵美:
「だーかーらぁ!うわー!こうきたかー!みたいな料理」

紘汰:
「えぇ…?なんだよ。他の女には作れなさそうな印象に残る料理って」

恵美:
「それがわかんないから聞いてんじゃん!」

紘汰:
「なんでキレ気味なんだよ…。しゃあない。ちょっと想像してみるか」

恵美:
「想像?」

紘汰:
「目閉じたか?」

恵美:
「あぁ、はいはい。閉じた閉じた」

紘汰:
「はい。じゃあ仕事終えて帰ってきて。よーいスタート」

恵美:
「………」

紘汰:
「……」

恵美:
「………」

紘汰:
「あれ?死んだ?」

恵美:
「え?今玄関入って電気つけて服も脱いだよ」

紘汰:
「あ、そういう感じ?ちょっと無言でやらないでもらっていい?」

恵美:
「リアルな方がいいかなぁって」

紘汰:
「ちょっとリアルすぎた。悲しくなっちゃったわ」

恵美:
「女の一人暮らしを悲しいっていうのやめてもらっていいですか?」

紘汰:
「そこまで言ってないですー。あれかな、ちょーっと被害感が強いかもしれないですね。お薬出しときましょうか?」

恵美:
「強めのやつお願いします」

紘汰:
「ガチじゃん。もう怖くて触れられねぇよその話題」

恵美:
「冗談だよ。一人暮らしだからただいまっていう習慣なくなっちゃってた」

紘汰:
「ちょっともう一回やろう」

恵美:
「おっけおっけ。(咳払い)。ただいま」

紘汰:
「おかえりー!お疲れ様。今日は恵美めぐみが好きなご飯用意しといたよ」

恵美:
「ほんと?ありがとう」

紘汰:
「おなかすいてる?」

恵美:
「もうペコペコだよー」

紘汰:
「よし、じゃあすぐに食べよう。手洗ってきて、準備しとくから」

恵美:
「はーい」

紘汰:
「はい!いま!」

恵美:
「え?」

紘汰:
「食卓に何並んでる?」

恵美:
「えっと…」

紘汰:
「何が並んでたら嬉しい?」

恵美:
「並んでたら嬉しいもの!?」

紘汰:
「そう。想像して」

恵美:
「…えっと…」

紘汰:
「一番最初に思いついたのは?」

恵美:
「えっと…、えっと…、つ……強めの酒」

紘汰:
「え」

恵美:
「すぐ酔っぱらえるようなやつ。アルコール9%のビッグ缶」

紘汰:
「ちょっと待ってもらっていい?」

恵美:
「味は何でもいい」

紘汰:
「待てって。ご飯設定はどこに行ったんだよ」

恵美:
「え…、あ!そっかそっか。ご飯か。ごめんごめん。ちょっとリアルすぎた」

紘汰:
「いや、リアルっていうか…、辛いって」

恵美:
「…」

紘汰:
「…。辛いって…」

恵美:
「えっとねぇ…。梅水晶」

紘汰:
「いや、酒のあてじゃん。飲む気満々じゃん。つかそうじゃないって」

恵美:
「いや、でも真面目な話さ。明日も仕事で早いからさ?夜なんていかに早く意識失うかみたいなところあるじゃん?」

紘汰:
「ねぇよ。やべぇよ。俺今までの人生で一番心配してるよ今」

恵美:
「ていうか気づいたけどさ!私の意見聞いても意味ないでしょ!男の意見聞きたいんだからアンタがやりなさいよ」

紘汰:
「いや…、それについてはたしかにそうなんだけど、お前今の生活マジで体に悪そうだって」

恵美:
「目閉じた?」

紘汰:
「…、はぁ…。閉じた」

恵美:
「はい、じゃあスタート!」

紘汰:
「ただいまー」

恵美:
「おかえりー!お疲れ様。今日はね、紘汰こうたの好きなもの準備したんだー!おなかすいてる?」

紘汰:
「すいてるすいてる」

恵美:
「じゃあ、すぐ食べよう。準備するから手洗ってきて」

紘汰:
「はーい」

恵美:
「はい!完コピ!食卓に何並んでますか?はいどーぞ!はい答えてはやくーはいどーぞー」

紘汰:
「あ!わかった!」

恵美:
「お。なになに?」

紘汰:
「あったよ。他の人は作らないだろうけど、絶対美味しいし、恵美めぐみでも作れて、男が好きな料理」

恵美:
「まじ?いいじゃん。完璧じゃん。教えて教えて」

紘汰:
「カレー肉じゃがだよ!」

恵美:
「カレー…肉じゃが?」

紘汰:
「うん。ただのカレーもただの肉じゃがも嫌なんだろ?だから、肉じゃがをカレー味にするんだよ」

恵美:
「あー!なるほどね!でも、カレー味って…、作ったことないけど、どれぐらいカレー粉入れたらいいんだろ」

紘汰:
「そこはもうカレーのルゥ入れたらいいだろ」

恵美:
「たしかに!それでいいのか!それなら簡単だし、他の女は作らないかも!」

紘汰:
「だろ?それに、絶対美味しいし、嫌いなやつもまぁいないだろ!」

恵美:
「いいじゃんそれ!天才!」

紘汰:
「まぁな!いや~、最適解出たなこれ」

恵美:
「あ、ちょうどお風呂溜まった」

紘汰:
「タイミングも完璧かよ」

恵美:
「じゃあ来週の金曜日の夜にカレー肉じゃが作りに行ってやるよぉ。仕方ないなぁ」

紘汰:
「マジで?普通に嬉しいかも。じゃあ朝まで酒付き合ってやるよぉ。仕方ないなぁ」

恵美:
「マジ?超嬉しい!じゃあ来週ね!次の日予定入れないでよ!絶対だからね!」

紘汰:
「いれねーよ。どうせ潰されてるだろうし」

恵美:
「よっし、楽しみができたわ。これで来週も頑張れる。じゃあお風呂入ってくる。ありがとね」

紘汰:
「はーい。じゃなー」

恵美:
「ばいばーい」

紘汰:
1週間後!

恵美:
「…これカレーだ!?」
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