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君とタコ焼き(男1:女2:不問1)コメディ

君とタコ焼き

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紗彩:
「んん……ゆーまぁ、いまなんじ?」

佑馬:
「んー………、8時……52分…」

紗彩:
「んー………。まだ寝れる…」

佑馬:
「んー」

紗彩:
「あれ……?今日……何曜日…?」

佑馬:
「あー………、んー……、えー……、日曜」

紗彩:
「ん!!起きなきゃ!」

佑馬:
「……ん?」

紗彩:
「あっぶない!見逃すところだった!」

佑馬:
 久しぶりの二人揃っての休日。昨夜はちょっと盛り上がりすぎて、2時頃までお酒を飲み交わしていた。今日は気の済むまで寝ようねと二人で話していたが、紗彩はそそくさと寝室を出ていってしまった。

「さーやぁ……。んー……」

 まだ寝れると頭では思いながらも、紗彩が居ない寝室は、ベットは。妙に広くて…、

「…ふぅ。起きるか…」

***

紗彩:
「あ、おはよー。ゆーまもコーヒー飲む?」

佑馬:
「あー。うん。ほしい。顔洗ってくる…」

紗彩:
「はいはい」

佑馬:
 寝室をのそのそと出ていくと、紗彩はソファに座りテレビの前に待機していた。洗顔を終わらせて紗彩の隣に座り、淹れてくれたコーヒーを嗜む。

「コーヒーありがと」

紗彩:
「ん」

佑馬:
「なに?なに待ち?なにが始まるの?」

紗彩:
「お料理番長」

佑馬:
「なにそれ」

紗彩:
「えー…っとね…、料理…番…組?」

佑馬:
「え、なんで疑問符?」

紗彩:
「んん……、えーっとねぇ、料理を作るんだよ」

佑馬:
「うん」

紗彩:
「あの、料理が下手な人がね?」

佑馬:
「え?料理番組なのに?」

紗彩:
「そう。えーっとねー…、んー…、あ。見るのが一番はやい。もうすぐだし」

佑馬:
「うん…」

紗彩:
「今日はね、特別スペシャルなの」

佑馬:
「なにそれ?」

紗彩:
「始まってからずっとやってたアナウンサーの人がね。引退するの」

佑馬:
「アナウンサーを?」

紗彩:
「いや、この番組を」

佑馬:
「ああ。別番組にうつるとか?」

紗彩:
「いや…料理が上手になっちゃて…」

佑馬:
「え……?」

紗彩:
「あっ、はじまるよ」

アナウンサー:
「さて、始まりました。料理番長のお時間です」
「今まで一年半ほど、この番組にお世話になってきましたが、今回で最後の出演となってしまいました…」
「実は2ヶ月ほど前から私が卒業することは決まっていたのですが、当日ともなると、ちょっと…名残惜しい気持ちでいっぱいですね」

佑馬:
 番組がはじまると、早速ナレーターがお別れの挨拶をはじめる。

アナウンサー:
「最後に誰をゲストに呼びたいかをプロデューサーさんから質問されまして、じっくり考えたんですが、やっぱりこの方しかいない!と、いう方がゲストに来ていただけることになりました!」
「では早速お呼びしましょう。この番組の1回目でゲストにきていただいた、アイドルのあいみさんに、再び来ていただいています!」

あいみ:
「こんにちはー!お久しぶりです!」

アナウンサー:
「こんにちは!お久しぶりですね!どうですか?その後、料理、楽しんでますか?」

あいみ:
「はい!なんかこの料理番長に来てから料理に目覚めちゃって!」
「この仕事やってると、どうしても料理の時間ってなかなか取れないんですけど、できるときは自分で料理をするようにしてます」

アナウンサー:
「おー!素晴らしいですね」
「最近はどんなものを作られたんですか?」

あいみ:
「はい。多分今写真出してもらってると思うんですけど、このフレンチトーストとかすっごくうまくできました」

アナウンサー:
「うわー!これは可愛らしい。粉砂糖までかかって…、このままお店に出せそうなクオリティですね」

あいみ:
「ホントですか?ありがとうございます」

アナウンサー:
「ではでは、あいみさん今回は何を?」

あいみ:
「はい!この前友達とたこ焼き作ったんですよ!でも、その時ちょっとうまくまぁるく作れなくて、だからリベンジしたいんです!」

アナウンサー:
「なるほど。という訳で、今回はたこ焼きですね」

佑馬:
「へぇー。たこ焼きだって。でもそんなに難しくないけど…」

紗彩:
「いやー…、どうかな」

翔馬:
「え?」

 今のところー…、普通の料理番組…かな?

アナウンサー:
「はい。じゃあ今回のメイン食材のタコに登場していただきましょう」

あいみ:
「登場?って!?ええっ!タコ!タコ!?生きてる!」

アナウンサー:
「そりゃタコですからねぇ」

あいみ:
「ちょっ!?これ!どうするんです!?」

アナウンサー:
「たこ焼きに」

あいみ:
「生きてる!?よ!?えっ!?」

佑馬:
 アナウンサーがセットの奥から持ってきた水槽には、たっぷりの水と、それはそれは立派なタコが、隠れる場所もなく、水槽の底に寝そべっている。
 横をみると紗彩はお腹を抱えて笑っている。

紗彩:
「こっからかぁー!大変!」

佑馬:
「……えぇ……」

アナウンサー:
「さぁ、行きましょう」

あいみ:
「ええっ!これ!?どうするんです!?」

アナウンサー:
「えーっと、まずは…塩ゆで、ですかね?」

あいみ:
「ええっと…!?あ!?そうか!まずお鍋に水を…!?」

アナウンサー:
「お鍋で大きさ足りますか?寸胴ずんどうの方がよくないですか?」

あいみ:
寸胴ずんどう!?え!?」

佑馬:
「これ…いま、何を見せられてる?」

紗彩:
「あははははは!」

アナウンサー:
「あ、違った。先に…えーっと、活き絞め…ですか」

あいみ:
「活き…締め…?」

アナウンサー:
「えーっと、端的に言うと………、殺す」

あいみ:
「殺す!?」

アナウンサー:
「で、そのあとに塩でもんでぬめりとりですね。何回か繰り返して、滑りがなくなってからゆでるみたいです。カンペ、有難うございます」

佑馬:
「アイドルに…タコを、殺させる…テレビ…」

紗彩:
「んふふふふっ」

アナウンサー:
「はい。えーっとあいみさん。前回タコ焼き作ったときは活き絞めしました?」

あいみ:
「やるわけないですよ!?普通にスーパーでぶつ切り買いましたけど!?」

アナウンサー:
「あっ…、……じゃあもしかして、やり方わからなかったりします?」

あいみ:
「わかんないですけど!?」

アナウンサー:
「やり方のVTRあります?あ、ある。あ、じゃあ…まずはVTR見ましょうか」

あいみ:
「VTR…?」

アナウンサー:
「タコの活き絞めのやり方についてです。ではVTR、お願いします」

あいみ:
「うひゃっ!?きもいきもいきもい!タコきもい!」

アナウンサー:
「あー。なるほど。ここ、ここに包丁を。ほー」

あいみ:
「えっ!ええっ!!」

アナウンサー:
「あっ、すごい。絞まったらタコが白くなるんですね!おー!すごいすごい」

あいみ:
「………」

アナウンサー:
「…なるほど」

あいみ:
「これ……、私がやるんですか…?」

アナウンサー:
「はい。そうですね」

あいみ:
「はいそうですね!って!そうですねってぇっ!」

アナウンサー:
「よし。じゃあ…やっていきましょう」

あいみ:
「よしってぇ!よしってぇ!!」

アナウンサー:
(咳払い)
「あいみさん…」
「やっていきましょう」

あいみ:
「この人圧がすごいよ!?」

アナウンサー:
「活き絞めのあと、内蔵をとって、ぬめりとり、茹でて…、タコを切って、タコ焼きの生地つくって…、んー、ちょーっとペースあげないときついかもしれないですね」

あいみ:
「ペースとかそう言う奴じゃないですよ!料理番組ってあれですよ!?用意しておいたこちらをつかいます。とか!」

アナウンサー:
「ええ。こちらで用意しておいたタコをつかいます」

あいみ:
「だ゛か"ら"ぁ"!!生゛き゛て゛る゛!の゛!」

アナウンサー:
「あ、マイク音割れてる……、っぅ……。ふぅ。失礼しました」

あいみ:
「そもそも!スーパーで買うときもぶつ切りじゃないですかぁ!!」

アナウンサー:
「あいみさん」

あいみ:
「…ヒッ!」

アナウンサー:
「やっていきましょう」

あいみ:
「ねぇ!!!この人こんなヤバイ人だった!?」

佑馬:
「…放送事故…?」

紗彩:
「いや、いつも大体こんな感じだよ」

佑馬:
「えぇ…?」

紗彩:
「いやー。はじめはさ。普通の料理コーナーだったんだよ」

佑馬:
「コーナー?」

紗彩:
「そうそう。はじめは朝の情報番組のさ、コーナーの1つだったのよ」
「料理苦手アナウンサーと、ゲスト二人でも作れる簡単で美味しい料理つくってさ?主婦の味方ー!みたいな」

佑馬:
「あー…ね?」

アナウンサー:
「では、そろそろ水槽から出していきましょう」

紗彩:
「それが段々こう…、ハプニング?が、面白くて、人気になって、時間長くなっていって、最終的には、別番組に暖簾分のれんわけ…みたいな」

佑馬:
「なにそれ…」

あいみ:
「むりむりむりむりむりむりむり!!!」
「さわれないさわれない!!!やだ!!!」

紗彩:
「私が一番好きだったのはさぁ、唐揚げカレーつくる!って回で、結構美味しそうな唐揚げとカレーが出来てさ、じゃあたべましょう!ってなったとき、炊飯器のスイッチ押してなくって、生米だったの!」

佑馬:
「へぇ…」

アナウンサー:
「あ、噛まれると放送できなくなるらしいんで、怪我にだけは気をつけてくださいってことです」

紗彩:
「そのままゲストと二人で、あー……って言って終わったの」

佑馬:
「放送事故じゃん!」

紗彩:
「ほんとにね!!」

あいみ:
「いーやー!!ぬるぬるする!ぬるぬるする!」

佑馬:
「…え?さーやはさぁ…。こう、どういうテンションでこの番組みてるの?」

紗彩:
「え…?テンション…?」

あいみ:
「吸盤!!!外れない!いたいいたいいたい!!」

紗彩:
「そう…だなぁ…。なんか、こどもの成長日記にコメディをかけた感じ…?」

佑馬:
「その二つって両立する…?」

アナウンサー:
「あ、今三十分過ぎたみたいです。折り返しです」

あいみ:
「見てるだけじゃなくて手伝ってくださいよ!!!」

アナウンサー:
「んー。あ、じゃあお湯沸かしときますね」

あいみ:
「この人はっ!この人はぁっ!」

佑馬:
「すっげー番組…」

アナウンサー:
「そうそう!そうです!そこ!そこに差し込んでください」

あいみ:
「はい!殺した!殺しましたー!!はい!殺しましたー!!!」

アナウンサー:
「おー。色が真っ白になりましたね。すごいすごい。じゃ、次は内蔵とりですね」

あいみ:
「も…、もう無理…」

アナウンサー:
「まだ活き絞めが終わっただけですよ」

あいみ:
「活き絞め私がやったんですから、内蔵とるのやってくださいよ!!」

アナウンサー:
「んー…、私が内蔵取る絵って需要ありますか?」

あいみ:
「…え?」

アナウンサー:
「どう思います?あ、でも時間ない?あー。じゃあ、やりますね。よっ……と」

あいみ:
「えっ!?」

アナウンサー:
「こうして……、よっと。取れました」

あいみ:
「上手くないです!?」

アナウンサー:
「じゃ、次。ぬめりとりお願いしますね」

あいみ:
「…えっ!?そんな流れ作業でやれることですか!?内蔵とりって」

アナウンサー:
「え?まぁ…、時間押してるんで」

あいみ:
「あーん!ぬるぬるするぅ……」

アナウンサー:
「そのぬめりをとってるんですよー。今」

佑馬:
「なんでだろう…。なんか、タコ焼き食べたくなってきた…かも」

紗彩:
「おっ?今日の晩御飯はたこ焼き?」

佑馬:
「久しぶりにいいかもね」

紗彩:
「よし。じゃあ生きたタコ、買いに行こっか」

佑馬:
「いや……、死んだタコでいいです」
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