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第二章 帝国中央編
第36話 川底のダンジョンⅠ
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翌朝。
朝食を食べ終えた俺は宿裏にある井戸で水浴びをし、部屋に戻り荷物を整えていざ出発。ダンジョンとはどういうモノなのだろうか、どんな魔獣や魔物がいるのか楽しみでならない。
ギルドまでの道すがら、色々な店を通り過ぎながら、俺はこの街をまだちゃんと見て回っていない事に気が付いたが、もう今更だ。しょうがない、またの機会だな。
「おはようございます。ジン・リカルドと申しますが、マスターとお約束しているのですが」
「あ、リカルドさんですね。おはようございます。話は聞いておりますので、どうぞ執務室へ」
「はい、ありがとうございます」
階段を上がり、深呼吸をしてから執務室のドアをノックする。
「失礼します」
「おう、来たか」
「おはようございます」
入るとギルドマスターのレイモンドさんの他に、既に4人が待っていた。
慌てて自己紹介する。
「初めまして、ジンです。遅れて申し訳ありません。初級者の俺なんかを入れて頂けるようで、本当にありがとうございます」
「いや、俺達も来たばかりだ。初めましてジン君。俺はパーティーリーダーのアーバイン。戦士だ」
「武闘士のガンツっす! よろしく頼むっす!」
「デイトリヒよぉ、デイトでいいわぁ。よろしくね~、ジンく~ん。あ、魔法術師でーす♪」
「治癒術師のシズル。よろしく」
「皆さん、よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませ、レイモンドさんを交えて今回のダンジョン行きの最終確認に入る。
「―――という訳だ。昨日も言った通り、ジンの要望でお前らにはペナルティは無い。存分に使ってやれ」
「それは有難いというか何というか。ジン君は本当にそれでいいのか? ダンジョンは初めてなんだろ?」
「はい。構いません。魔物とは戦った事はありませんので、正直に言うと初見は一度お任せしたいのですが、それ以降は戦闘に加わらせて下さい。私の怪我の事はお気になさらず使ってください。あと私の事は呼び捨てで結構です」
「気合入ってるっすね! 嫌いじゃないっすよそういうの!」
「…分かった。ジンの初見の魔物以外は普通にメンバーとして扱わせてもらう。はっきり言って厳しいと思うが、覚悟しておいてくれよ? 死なないようには俺達も気を付ける」
「当り前でしょぉー、初級者さん死なせたらペナルティ無くてもぉ、もう私達この街にいられないわぁ。だからその部分は安心していいわよぉ♪」
「私、治癒術師」
「あ、ありがとうございます。なるべくお世話にならないよう気を付けます」
「では早速出発しよう! 行き先は西に半日ほどの『川底のダンジョン』だ」
「はい! よろしくお願いします!」
こうして俺達は川底のダンジョンに向かうべく、マイルズのすぐ南にあるメルベール大河を舟で西に向かう事になった。
出発前にギルドに手持ちの金を預けておくのを忘れない。本来なら金の出し入れはギルドカードが必要らしいが、カードが出来ていないのはギルド側の都合という事で、特別に預かってくれた。このシステムは『ギルドバンク』という名称らしく、預けた貨幣は世界中どこのギルドでも引き出せるようになっており、国が変わるとその国の通貨に換算して引き出せるらしい。その素晴らしい仕組みに感動し、預ける際にメンバーの皆に少し笑われた。
5人でギルドを出て、街と繋がっている船着き場に到着する。商人や旅行者と違い、冒険者は舟の使用を優先されていると、アーバインさんが教えてくれた。
これは冒険者が渡河の安全を担っているからこその特権である。メルベール大河には水棲の魔獣が棲んでおり、時折舟を襲う事があるらしい。
4人は船着き場に隣接している馴染みの店で、手際よくブリットという薄い生地に肉や野菜を挟んだ食べ物を買い、繋がれた舟に乗り込んだ。
シズルさんにブリットを無言で手渡され、初めて乗る舟の上で食べる。少し辛めに味付された肉に、シャキシャキの野菜に掛かったソースとの相性は抜群で食べる手が止まらない。舟の上で食べているという事もまた、特別感があっていい。
兎にも角にも、舟は西に向かって進んでゆく。こんな大きな川は前世でも見た事が無い。前世では海は見た事があったので、最初は海かと勘違いした程だ。向こう岸がまるで見えない。
この大河は東から西に流れているので、西に向かう舟と対岸双方に向かう舟が大量に行き交っていた。中には馬車ごと乗せている大型の舟もある。
爛々とその大きな舟を見ながら、その舟に高くそびえる棒と布は何なのだろうと、不思議に思っていると、ガンツさんが俺の様子に気付いて教えてくれた。
「ジンは帆船は初めて見るっすか?」
「はんせん?」
「俺達が今乗ってる舟は櫂で漕いで進むタイプっすが、あっちのは船についている帆で風を受けて進んでるんすよ」
「な、なんと! 漕ぎ手が必要ないという事ですか!」
「そうっす。その代わり船の方向を決める操舵手と帆を調整する人、つまり水夫と呼ばれる人が必要っすから結局人数は多くなるっすがね。」
「それでも、あれだけの大きさの船が風の力で動いているなんて…ガンツさんは博識なのですね。敬服いたしました」
「そ、それほどでもないっすよ」
「よかったねぇガンツぅ。褒めてもらえて♪」
「止めるっす! 馬鹿にされてる気分っす!!」
俺はまた新しい事を知ってしまった。帝都へ渡るときは是非とも帆船に乗らなければ。
見ているだけで、すでに大冒険している気分になる。心地よい川風と舟の揺れに身を任せ、ダンジョンの事を忘れそうになる。だがこれではいけないと、今のうちにダンジョンについて聞いておく事にした。
「あの、皆さん。ダンジョンについてお教えいただきたのですが」
「おう、何でも聞いてくれ。そういった事も初級者をパーティーに入れて活動する理由だしな」
「俺は細かい事はわかんねぇっす。けど魔物の事だったら任せるっす」
「ありがとうございます。ではその…そもそもダンジョンって何なのでしょうか?」
「ダンジョンは分かっていない事が多い」
ポツとシズルさんが答えてくれる。こういう研究者目線をこのパーティで持ち得ているのはシズルさんだけらしい。
「分かっているのは、ダンジョンは世界中に存在し、この世界の魔素の発生源であるという事。世界最古の文献にもダンジョンの事が描かれている事から、あらゆる文明以前から存在したとされ、今も新たなダンジョンは生まれ続けている」
「今もですか?」
「そう。発見されていないだけで、今この瞬間もダンジョンは生成されている、というのが今の通説。なぜダンジョンが生まれるのかは分かっていない。最後に発見されたのは25年前。東大陸の果てに広がるサルバトル大砂海で発見された『砂のダンジョン』。それ以降は新たに見つかっていない」
「そうなのですか。今向かっている川底のダンジョンはいつ見つかったものなのですか?」
「見つかったのは皇帝歴2年、初代皇帝クルドヘイムがアルバニアに遷都した翌年に、周辺調査で見つかったとされている。つまり…298年前」
「そ、そんなに古いのですか…では中はかなり調査されているという事でしょうか」
「わからない」
「え?」
ここでリーダーのアーバインさんが説明に入る。
「歴史上、ダンジョンの最奥まで行った者は誰一人としていないんだよ」
「つまり、どこまで続いているか分からない以上、今分かっている事がどの程度なのかもわからない、という事でしょうか」
「そういう事だ。9割分かっているのか、1割しか分かっていないのか。それも分からないという事だ。俺の目標は『川底のダンジョン』の最奥まで行き着く事。ここにいる3人もそれぞれ目標があって、利害の一致でパーティーを組んで以来、行動を共にしている」
「私はなぜダンジョンが出来るのかの究明」
「俺は強くなるためっす! ダンジョンにはゴロゴロ強いやつがいるっすからね!」
「私はお宝目当てよぉ~。深ければ深いほどいいモノがあるのよぉ♪」
「お、お宝があるのですか?」
「そっ♪ 宝石とか鉱石とか、たまに武器とかも落ちてるわねぇ」
「武器や防具は大昔にダンジョンで誰かが落としたもの。稀に深部で見つかる物の中には、現代の記録に無いものがある。それこそが、今の文明以前からダンジョンが存在していたという論拠にもなっている。その中に強力な魔素の影響で形態や性質が変化して、特殊な効果を持つ武器や防具になっているものがある」
「なるほど。それは興味深いですね。」
「でしょ~♪ 私とシズルは武器なんかいらないし、ガンツに至っては素手でしょぉ。アーバインがいらないって言ったヤツは売って、みんなで山分けするのよ♪」
ダンジョンの最奥には何があるのか、あるいは何もないのか。話に興味が尽きない。実に興味深い。アーバインが冒険者生命を賭けているのもよくわかるな。いつか俺もこんな風に気の合う仲間と共に、ダンジョンにも挑んでみたいものだ。
続いてダンジョンの魔物についても聞いてみる。
「因みにダンジョンで倒した魔物の素材はどうなさるのですか? 強力な魔物であればいい素材も出るんですよね? 持ち歩くのですか?」
「ああ、ジンは魔物と戦ったことが無いんだったな」
「お恥ずかしい限りです」
「いや、あのスルトに住んでいたのなら仕方のないことだ。ジン、期待外れで悪いが、魔物は倒すと消えるんだ。だから、素材は取れない」
「え!? それってどういう…」
「魔物は魔獣と違って魔力の集合体。魔物を倒すと言う行為は、その魔物が持つ魔力を霧散させることによって魔素に還すという事と同義。魔物は『魔力核』と言う魔力の結晶を体内に持っていて、核が周囲の魔素を集めて魔物は形作られている。魔素を散らせば魔力核だけが残る。その核が魔物を倒した時に得られる素材であり報酬」
「な、なんと。そうなんですね…。つまり魔物はダメージを与えると、その部分の修復に魔力を使う事になるから、修復が間に合わなくなった時が魔物が死ぬ時という事でしょうか」
「ご明察」
「ジンは理解が早いっす! 俺は理解するのに1年掛かったっす!」
「ガンツは馬鹿だからねぇ」
「う、うるさいっす!」
「そういう事だ。ダンジョンに潜った際の報酬の大半はその魔力核なんだよ。ダンジョンの外に持ち出せば、魔力核は魔物にはならない。そのまま『魔道具』として加工されたり、装飾品としても重宝されているんだ」
「魔道具?」
「ああ。デイトの魔法杖も魔道具の一種だ」
「そうよぉ、私の魔法杖には魔力核が組み込まれてて、魔力操作力と魔力出力を上げてくれるのよぉ♪ 魔法師は大体持ってるわねぇ。ちょっとお高いのがキズだけど」
「そ、そんな便利なものが存在するとは…では魔力核を使って、自分で武器を作る事も可能ですか?」
「うーむ、それはあまりお勧めできない。魔力核は脆いからな。近接武器に組み込んでも武器自体が脆くなってしまうし、効果も劇的に上がるわけでもない。だから武器や防具としての使い道はかなり限られてくるんだ」
「なるほど。脆いというのは致命的ですね。それこそ街中で日常生活に活用する方がよっぽど効果的に使える気がします」
魔道具というものに少し興味が湧いてきたぞ。その内使い道の研究でもしてみるとするか。
朝食を食べ終えた俺は宿裏にある井戸で水浴びをし、部屋に戻り荷物を整えていざ出発。ダンジョンとはどういうモノなのだろうか、どんな魔獣や魔物がいるのか楽しみでならない。
ギルドまでの道すがら、色々な店を通り過ぎながら、俺はこの街をまだちゃんと見て回っていない事に気が付いたが、もう今更だ。しょうがない、またの機会だな。
「おはようございます。ジン・リカルドと申しますが、マスターとお約束しているのですが」
「あ、リカルドさんですね。おはようございます。話は聞いておりますので、どうぞ執務室へ」
「はい、ありがとうございます」
階段を上がり、深呼吸をしてから執務室のドアをノックする。
「失礼します」
「おう、来たか」
「おはようございます」
入るとギルドマスターのレイモンドさんの他に、既に4人が待っていた。
慌てて自己紹介する。
「初めまして、ジンです。遅れて申し訳ありません。初級者の俺なんかを入れて頂けるようで、本当にありがとうございます」
「いや、俺達も来たばかりだ。初めましてジン君。俺はパーティーリーダーのアーバイン。戦士だ」
「武闘士のガンツっす! よろしく頼むっす!」
「デイトリヒよぉ、デイトでいいわぁ。よろしくね~、ジンく~ん。あ、魔法術師でーす♪」
「治癒術師のシズル。よろしく」
「皆さん、よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませ、レイモンドさんを交えて今回のダンジョン行きの最終確認に入る。
「―――という訳だ。昨日も言った通り、ジンの要望でお前らにはペナルティは無い。存分に使ってやれ」
「それは有難いというか何というか。ジン君は本当にそれでいいのか? ダンジョンは初めてなんだろ?」
「はい。構いません。魔物とは戦った事はありませんので、正直に言うと初見は一度お任せしたいのですが、それ以降は戦闘に加わらせて下さい。私の怪我の事はお気になさらず使ってください。あと私の事は呼び捨てで結構です」
「気合入ってるっすね! 嫌いじゃないっすよそういうの!」
「…分かった。ジンの初見の魔物以外は普通にメンバーとして扱わせてもらう。はっきり言って厳しいと思うが、覚悟しておいてくれよ? 死なないようには俺達も気を付ける」
「当り前でしょぉー、初級者さん死なせたらペナルティ無くてもぉ、もう私達この街にいられないわぁ。だからその部分は安心していいわよぉ♪」
「私、治癒術師」
「あ、ありがとうございます。なるべくお世話にならないよう気を付けます」
「では早速出発しよう! 行き先は西に半日ほどの『川底のダンジョン』だ」
「はい! よろしくお願いします!」
こうして俺達は川底のダンジョンに向かうべく、マイルズのすぐ南にあるメルベール大河を舟で西に向かう事になった。
出発前にギルドに手持ちの金を預けておくのを忘れない。本来なら金の出し入れはギルドカードが必要らしいが、カードが出来ていないのはギルド側の都合という事で、特別に預かってくれた。このシステムは『ギルドバンク』という名称らしく、預けた貨幣は世界中どこのギルドでも引き出せるようになっており、国が変わるとその国の通貨に換算して引き出せるらしい。その素晴らしい仕組みに感動し、預ける際にメンバーの皆に少し笑われた。
5人でギルドを出て、街と繋がっている船着き場に到着する。商人や旅行者と違い、冒険者は舟の使用を優先されていると、アーバインさんが教えてくれた。
これは冒険者が渡河の安全を担っているからこその特権である。メルベール大河には水棲の魔獣が棲んでおり、時折舟を襲う事があるらしい。
4人は船着き場に隣接している馴染みの店で、手際よくブリットという薄い生地に肉や野菜を挟んだ食べ物を買い、繋がれた舟に乗り込んだ。
シズルさんにブリットを無言で手渡され、初めて乗る舟の上で食べる。少し辛めに味付された肉に、シャキシャキの野菜に掛かったソースとの相性は抜群で食べる手が止まらない。舟の上で食べているという事もまた、特別感があっていい。
兎にも角にも、舟は西に向かって進んでゆく。こんな大きな川は前世でも見た事が無い。前世では海は見た事があったので、最初は海かと勘違いした程だ。向こう岸がまるで見えない。
この大河は東から西に流れているので、西に向かう舟と対岸双方に向かう舟が大量に行き交っていた。中には馬車ごと乗せている大型の舟もある。
爛々とその大きな舟を見ながら、その舟に高くそびえる棒と布は何なのだろうと、不思議に思っていると、ガンツさんが俺の様子に気付いて教えてくれた。
「ジンは帆船は初めて見るっすか?」
「はんせん?」
「俺達が今乗ってる舟は櫂で漕いで進むタイプっすが、あっちのは船についている帆で風を受けて進んでるんすよ」
「な、なんと! 漕ぎ手が必要ないという事ですか!」
「そうっす。その代わり船の方向を決める操舵手と帆を調整する人、つまり水夫と呼ばれる人が必要っすから結局人数は多くなるっすがね。」
「それでも、あれだけの大きさの船が風の力で動いているなんて…ガンツさんは博識なのですね。敬服いたしました」
「そ、それほどでもないっすよ」
「よかったねぇガンツぅ。褒めてもらえて♪」
「止めるっす! 馬鹿にされてる気分っす!!」
俺はまた新しい事を知ってしまった。帝都へ渡るときは是非とも帆船に乗らなければ。
見ているだけで、すでに大冒険している気分になる。心地よい川風と舟の揺れに身を任せ、ダンジョンの事を忘れそうになる。だがこれではいけないと、今のうちにダンジョンについて聞いておく事にした。
「あの、皆さん。ダンジョンについてお教えいただきたのですが」
「おう、何でも聞いてくれ。そういった事も初級者をパーティーに入れて活動する理由だしな」
「俺は細かい事はわかんねぇっす。けど魔物の事だったら任せるっす」
「ありがとうございます。ではその…そもそもダンジョンって何なのでしょうか?」
「ダンジョンは分かっていない事が多い」
ポツとシズルさんが答えてくれる。こういう研究者目線をこのパーティで持ち得ているのはシズルさんだけらしい。
「分かっているのは、ダンジョンは世界中に存在し、この世界の魔素の発生源であるという事。世界最古の文献にもダンジョンの事が描かれている事から、あらゆる文明以前から存在したとされ、今も新たなダンジョンは生まれ続けている」
「今もですか?」
「そう。発見されていないだけで、今この瞬間もダンジョンは生成されている、というのが今の通説。なぜダンジョンが生まれるのかは分かっていない。最後に発見されたのは25年前。東大陸の果てに広がるサルバトル大砂海で発見された『砂のダンジョン』。それ以降は新たに見つかっていない」
「そうなのですか。今向かっている川底のダンジョンはいつ見つかったものなのですか?」
「見つかったのは皇帝歴2年、初代皇帝クルドヘイムがアルバニアに遷都した翌年に、周辺調査で見つかったとされている。つまり…298年前」
「そ、そんなに古いのですか…では中はかなり調査されているという事でしょうか」
「わからない」
「え?」
ここでリーダーのアーバインさんが説明に入る。
「歴史上、ダンジョンの最奥まで行った者は誰一人としていないんだよ」
「つまり、どこまで続いているか分からない以上、今分かっている事がどの程度なのかもわからない、という事でしょうか」
「そういう事だ。9割分かっているのか、1割しか分かっていないのか。それも分からないという事だ。俺の目標は『川底のダンジョン』の最奥まで行き着く事。ここにいる3人もそれぞれ目標があって、利害の一致でパーティーを組んで以来、行動を共にしている」
「私はなぜダンジョンが出来るのかの究明」
「俺は強くなるためっす! ダンジョンにはゴロゴロ強いやつがいるっすからね!」
「私はお宝目当てよぉ~。深ければ深いほどいいモノがあるのよぉ♪」
「お、お宝があるのですか?」
「そっ♪ 宝石とか鉱石とか、たまに武器とかも落ちてるわねぇ」
「武器や防具は大昔にダンジョンで誰かが落としたもの。稀に深部で見つかる物の中には、現代の記録に無いものがある。それこそが、今の文明以前からダンジョンが存在していたという論拠にもなっている。その中に強力な魔素の影響で形態や性質が変化して、特殊な効果を持つ武器や防具になっているものがある」
「なるほど。それは興味深いですね。」
「でしょ~♪ 私とシズルは武器なんかいらないし、ガンツに至っては素手でしょぉ。アーバインがいらないって言ったヤツは売って、みんなで山分けするのよ♪」
ダンジョンの最奥には何があるのか、あるいは何もないのか。話に興味が尽きない。実に興味深い。アーバインが冒険者生命を賭けているのもよくわかるな。いつか俺もこんな風に気の合う仲間と共に、ダンジョンにも挑んでみたいものだ。
続いてダンジョンの魔物についても聞いてみる。
「因みにダンジョンで倒した魔物の素材はどうなさるのですか? 強力な魔物であればいい素材も出るんですよね? 持ち歩くのですか?」
「ああ、ジンは魔物と戦ったことが無いんだったな」
「お恥ずかしい限りです」
「いや、あのスルトに住んでいたのなら仕方のないことだ。ジン、期待外れで悪いが、魔物は倒すと消えるんだ。だから、素材は取れない」
「え!? それってどういう…」
「魔物は魔獣と違って魔力の集合体。魔物を倒すと言う行為は、その魔物が持つ魔力を霧散させることによって魔素に還すという事と同義。魔物は『魔力核』と言う魔力の結晶を体内に持っていて、核が周囲の魔素を集めて魔物は形作られている。魔素を散らせば魔力核だけが残る。その核が魔物を倒した時に得られる素材であり報酬」
「な、なんと。そうなんですね…。つまり魔物はダメージを与えると、その部分の修復に魔力を使う事になるから、修復が間に合わなくなった時が魔物が死ぬ時という事でしょうか」
「ご明察」
「ジンは理解が早いっす! 俺は理解するのに1年掛かったっす!」
「ガンツは馬鹿だからねぇ」
「う、うるさいっす!」
「そういう事だ。ダンジョンに潜った際の報酬の大半はその魔力核なんだよ。ダンジョンの外に持ち出せば、魔力核は魔物にはならない。そのまま『魔道具』として加工されたり、装飾品としても重宝されているんだ」
「魔道具?」
「ああ。デイトの魔法杖も魔道具の一種だ」
「そうよぉ、私の魔法杖には魔力核が組み込まれてて、魔力操作力と魔力出力を上げてくれるのよぉ♪ 魔法師は大体持ってるわねぇ。ちょっとお高いのがキズだけど」
「そ、そんな便利なものが存在するとは…では魔力核を使って、自分で武器を作る事も可能ですか?」
「うーむ、それはあまりお勧めできない。魔力核は脆いからな。近接武器に組み込んでも武器自体が脆くなってしまうし、効果も劇的に上がるわけでもない。だから武器や防具としての使い道はかなり限られてくるんだ」
「なるほど。脆いというのは致命的ですね。それこそ街中で日常生活に活用する方がよっぽど効果的に使える気がします」
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