戦国武将異世界転生冒険記

詩雪

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第二章 帝国中央編

第48話 功績

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 翌朝、俺はベッドの上で目を覚ました。ここは何処かなんて眠たい事は言わない。竜を倒した後ここに運ばれたのだろう。恐らく、騎士団関連か冒険者ギルド関連の施設。内装の感じからギルドの方だと推察する。

っ!」

 腹に鈍痛が走る。見た感じは治癒魔法ヒールのお陰か傷や打痕は無いが、母上曰く、深い傷は治癒後に初めて動かす時に、再生した組織が初稼働に驚いて痛みが発するらしい。この痛みは左腕以来だなと、懐かしく感じる。腹をさすっていると誰かが部屋に入ってきた。

「ジン君! 目が覚めたんだな!!」

「ユーリさん! 無事でしたか! よかった!」

「君のお陰でなんとかね! って、そんな事はいい! とにかく職員の人を呼んでくるよ!」

 そう言ってユーリさんは部屋から出ていった。ユーリさんがいて、職員と言うからにはここは冒険者ギルドで間違いないようだ。暫くするとバタバタと音がしてバンと勢いよくドアが開いた。

「ジンぐ~ん!」

 ガバッと抱き着いてくる女性。

「よがっだ~、よがっだよ~。わだじのぜいで死んじゃうかと思っだよ~」

「ちょ、ニーナさん落ち着いて下さい。おかげさまで生きておりますし、ニーナさんのせいと言うのも意味が解りませんよ」

「だっで…ぐすっ…だっでわだじが森のどうばつどおじぢゃっだじ~(私が森の討伐依頼を承認してしまった)…ずずっ、ごめんなざ~い」

「な、泣かないで下さいニーナさん。ニーナさんは何も悪くありません。私が逃げずに勝手にやっただけの事ですから!」

「でもジンぐん…ひぐっ…ギルドここに運びごまれたどき、おながぐちゃぐちゃだっだんだよぉ、うわ゛ぁぁぁん!」

 腹がぐちゃぐちゃ? そんなひどい事になっていたのか…全く気付かなかった。これも大地魔法のお陰か?

 しかし、だ。致命傷にも関わらず戦闘が継続のは、かなり危険な事なのではないだろうか。そこは今後気を付けねばならないかもしれない。

 俺が左腕を千切った時もアリアは大泣きしたらしいし、ひどい怪我は人をこんなにも不安にさせるものなのだ。反省しなければならない。

「ご心配おかけして申し訳ありませんニーナさん。以後気を付けます。もう大丈夫なので、そんなに泣かないで下さい」

「ニーナ君…ジン君が困っていますよ。それに貴方が窓口にいないと他の皆の負担が増えてしまいます」

「アイザックさん!」

 俺がニーナさんの対応に困っていると、ギルドマスターのアイザックさんが後ろから助け舟を出してくれた。帝都に来てからの半年間、アジェンテとして何度も顔を合わせている人物だ。

「うぐっ…わ、わがりまじた…ジン君まだあどで」

 トボトボと部屋を出ていくニーナさんを見送り、アイザックさんがため息をついた。

「はぁ…すまなかったねジン君」

「いいえ、心配して下さるのは有難い事ですから」

「そういってもらえると助かるよ。でも実際、傷はかなり深手だった。それは忘れない方がいい。いくら強化魔法が得意とはいえ、今回のような戦い方はお勧めしない。それは覚えておいてくれ」

「はい。申し訳ありませんでした…」

「反省してくれればそれでいい。君が救った命は多い。責めるのはお門違いと言うものだ。まさか、君が黒王竜ティアマットと一対一で戦えるほどの力を持っていたとはね。色々話さなきゃならないんだけど、話は出来るかい?」

「ええ、綺麗に治して頂きましたので、もう大丈夫です」

 アイザックさんの話では、俺が倒した黒い竜は、帝都南西にあるグレイ山脈から飛来した黒王竜ティアマットの幼体であった事、竜の炎で起きた森林火災は騎士団と魔法師団の尽力で無事収まった事に加え、王種の事など色々教えてくれた。

 特に王種に関しては今後も気を付ける様にと注意を受けた。魔獣にはギルドが冒険者向けに強さをランク付けしているが、王種はすべからくS級指定されているらしい。

 有名どころでは俺が倒した黒王竜、そのほか銀王獅子や緋王熊といったのがおり、王種とはその種の頂点を跋扈ばっこする魔獣を指すとのことだ。

「あ、あれで赤子だったのですか…成体は恐ろしいほどの力を持つのでしょうね」

「ああ。成体の討伐難易度はS、最高ランクに位置付けられている。幼体でも難易度はAだよ。人的被害が全く無かった事は奇跡に等しい。君には感謝しなければならない。帝都を代表してお礼を言わせてくれ。ありがとうジン君」

「運が良かっただけですよ。最初は暴れ狂うだけだったのですが、途中から竜が私を敵として認識してくれたからこそ、最後まで戦えました」

「なるほど。君はそっちの人間か」

「?」

「いや何でもない。安心しただけだよ。それよりここからが割と本題だったりする。今回の討伐で、君に陛下より感状をたまわっています。それと国民と帝都を守った報奨金として白金貨200枚、騎士団と魔法師団より名誉隊長の職と称号『王竜殺しドラゴンキラー』の認定を受けました。それに加えて、ギルドから緊急依頼達成の通常報酬として大金貨30枚、特別報酬として大金貨30枚となった。」

 何か色々多いな。

「えーっと…陛下より感状を賜るとは光栄です!」

「ふっ、いろいろ付いて来られないのはよく分るよ。とりあえず、君は一生遊んで暮らせるお金を得て、騎士団と魔法師団の2つの隊長の座を得て、帝都のどこへ行っても『王竜殺しドラゴンキラーのジン』と呼ばれるようになった、という事です」

「あああっ! 止めて下さい! 過度な富は破滅をもたらすと両親が言っていましたし、なぜ騎士団や魔法師団の隊長に任命されたのかもよくわかりません。それに私は冒険者なので騎士団には参りません! それにそのような物騒な二つ名は不要です!」

「はっはっは! そう言うと思って、お金の事はともかく君の名前は世間にまだ公表していないよ。まだ『誰かが竜を一人で倒した』という事にしかなっていない。知っているのは一部の冒険者と職員、それに国のお偉方だけだよ」

「それはよかった…お願いですから公表はしないで下さいね? それに―――」

「ああ。騎士団と魔法師団もジン君のお陰で誰も死なずに済んだ。君はアジェンテでもあるから、両団との繋がりも強いだろう? だから、両方の団から誰も反対意見が無かったらしいよ。『ジンなら問題無い』ってさ。どれだけ信用されているんだい君は…。まぁ両団内で隊長扱いになるだけで、入団する必要も無ければ、命令を受けたりするわけじゃない。君は冒険者のままだよ」

「そ、それは光栄なお話ですが…いつかご恩に報いなければなりませんね。あ、それと報奨金の白金貨200枚? でしたっけ。そちらも全てギルド経由で何かに役立てて下さい。そのような大金は私の手に余ります」

「えええっ!? そ、それはもちろん責任をもってやらせてもらうが…本当にいいのかい?」

「構いません。ギルドは世界中にあるのですよね? ならば、世界中で不遇な状況にある人達へ役立ててもらえたら嬉しいです」

「わ、わかったよ…でも条件がある。君のご両親にアルバニア冒険者ギルドマスターとして感状を送りたい。それぐらいはいいだろう?」

「はい、構いません。恥じる事ではありません」

「ならば結構だ。お金の使い道は安心してくれ。ああ、それと。君が倒した黒王竜ティアマットだけど、冒険者である君が倒したからギルド預かりになっている。解体して売ってしまうかい?」

「そうですね…狩った獲物は糧とするようにと、両親から教わってきました。食用として少しの肉と、鱗を3枚、それに牙を1本頂けますか? 後はギルドで引き取って下さい。」

「了解だ。黒王竜ともなると相当な値が付くはずだ。糧とするんだろう? 代金は全て君のバンクに突っ込むからそのつもりでいてくれよ。もうこれ以上の寄付は認めない。因みにもう欲しがっている貴族や商会から、沢山問い合わせが来ているからね」

 一通り話した後、部屋にユーリさんが呼ばれパーティーとしての活動報告に入った。一応俺がユーリさんの試験官という事になっているからその件だ。俺はユーリさんの採取の知識や体力、実際にゴブリンを倒した事などの評価点を次々挙げていき、Fランクへのアップを相当と認めた。

「―――では、Gランクのユーリ君はこれよりFランクへアップ、ジン君は特別功績者として、特例だが2ランクアップのBランクとします。実力も伴っているので、上級クラスでも何の問題も無いとの判断もあります。2人共、これからも頑張って下さいね」

『はい!』

 その後俺とユーリさんは、受付でニーナさんに猛烈な感謝を受けながら、新たなギルドカードを受け取った。2ランクアップは予期していなかったが、まぁ別に困る事では無い。今度は銀のギルドカードになり、なぜか従来のカードの半分ほど、小指の半分程度の大きさになっている。

なぜ小さくなったのかと聞いてみたら、ギルドカードは戦闘中だろうが何だろうが、何時いかなる時も身に付けておくように、と言うのがギルドの方針なので、カードはなるべく小さなものが好ましい。

 しかし、カードが小さければ小さいほど、組み込む魔法陣も小さくなって作成が難しいのだという。その分コストがかかるので、上級者にしか配布されないとの事だった。もちろん、機能としては従来のカードと何ら変わらない。

 俺とユーリさんは冒険者ギルドを後にし、その後一緒に食事をする事にした。実はものすごく腹が減っている。向かった先は猫又亭。この半年、俺は金袋と睨み合いながら可能な限り通っている、初めて帝都にやってきた頃からのお気に入りの店だ。今日は報酬も入ったし、好きに飲み食いしてやろうと思う。
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