148 / 200
第六章 ラクリ解放編
第144話 サイレント・クライ
しおりを挟む
ドルムに続き、ソルムとゴドルフの幕切れを見ている事しか出来なかった弓術士の魔人エンリケは、ガタガタと震えながら膝を折っていた。
「あは…あははっ…」
どこだ? どこで間違えた?
過去の記憶が走馬燈の様に廻転する。
◇
この子を連れて行きましょう。
本気か、兄者。
ええ。絶望の中でも生気を失わず良い目をしています。
俺は面倒みねぇぞ。
――――スラムから僕を救い出してくれた
食べないのですか?
肉は嫌いか。
食べて…いいんですか?
食わないなら俺が食うぞ。
――――何も無い僕にあたたかい食事をくれた
うわーっ!
エンリケ! 離れろっ!
ご、ごめんなさい…
よいのですよ。これも得難い経験となったでしょう。
――――危険から僕を守ってくれた
当たった! ドルムさん!
うむ。鍛錬を続ければいい弓術士になれる。
喜ぶな! そんなんじゃあオークも倒せん!
ゴドルフは厳し過ぎる…
――――こんなに弱い僕を根気よく育ててくれた
や、やったっ! 今日から僕もDランクだぁっ!
よく頑張りましたね。
あのエンリケが中級とはなぁ…
たいしたものだ。
――――頑張った時は褒めてくれた
ははっ! 死ね死ねーっ!
エンリケ。たとえ魔獣であろうと無闇な殺生はなりません。
自分より弱い者に無用な力を振るうな。
恥ずかしい真似はやめろ馬鹿者。
――――僕が間違えた時ちゃんと叱ってくれた
ちくしょう! もっとちゃんとしてればっ!
はっ、子供が気にしてんじゃねぇ。
失敗せん人間などおらん。
貴方はよくやっています。焦らずに行きましょう。
――――僕が失敗して迷惑かけても慰めてくれた
エンリケ! その目はどうしたのです!?
大丈夫ですよ何ともありません!
そんな事より僕、魔力矢を撃てるようになったんです!
これなら見えないし矢の数も心配しなくて済みます!
静寂の狩人のネームにぴったりだと思いませんか!?
もっと皆さんのお役に立てますよ!
エン…お前…
……っく!
――――僕が勝手に新しい力を手に入れた時は何も言わずに納得してくれた
みなさんも王様のところに行ったんですね!?
すごいや! これでSランクも夢じゃないよ!
確かに凄い力だ…
ああ…
皆よく聞きなさい
我ら四人
断罪の時に至らんが為
共に冥府魔道
修羅の道を歩まん
――――よく分からないけどカッコいい これで僕たちは最強だ
◇
「なのに…なんで…最強なのになんでみんな…」
魔人エンリケの様子がおかしい。先程から下を向き、ブツブツと独り言を話している。
「Sランクにも負けないはずなのに…」
俺の視線を受け止めることなく、先程までの威勢は消え失せ、怯える様にブルブルと震えるその姿を見て少し腹が立った。
「貴様。一人では何も出来ないのか」
ビクッと肩を揺らすエンリケ。俺は続ける。
「ソルムとゴドルフは魔人だが戦士だった。最初に倒れたという事は、おそらく盾術士の者もそうだったんだろう」
ドルムと戦ったアッガス、ウォーレス、フロール、ジャックの4人は心の中で頷いた。
「…もはや貴様は斬る価値もない。失せろ」
この言葉に冒険者達は見逃すのかとざわめくが、リーダー達が『生殺与奪はジンにある』とそれを制する。アイレもため息を付きながらしぶしぶ俺の宣言を受け入れたが、仇敵を睨み付けたまま微動だにしていない。
「そうさ…僕らは女王にも勝ったんだ。ニーナさんに霧の中で不意に首輪をはめられた時のあのじょおうのおどろきようといったら…いまおもいだしだだけでも…ぷくく」
「何だと…?」
意識を外し背を向けようとしかけたが、今の声高な独り言は聞き捨てならない。
…首輪?
「ジン殿」
心当たりがあると声を上げたのはローブ姿の魔法師の冒険者。グレオールと名乗った彼は、アッガスさんの鉄の大牙のメンバーだという。
是非にと言うと、グレオールさんは左方で戦っていた3体の魔人の内の一人が漏らした情報を、自身の予想を踏まえながら端的に説明してくれた。
「恐らくその首輪は、魔力の発現を出来なくするものです」
「……」
俺の無言の思考を『続けろ』と捉えたのか、グレオールさんは根拠を持って続けた。
「ジオルディーネ軍は魔人の魔力反応を隠し、奇襲する事を戦術としていました。それを可能にしていたのが、魔力を遮断する腕輪だったのです」
「それと同じ効果が女王にはめられた首輪にもあったかもしれない、という事ですね」
「いかにも」
首輪と腕輪では大きさが違う。腕輪の大きさでその効果が発揮できる魔道具なら、それより大きな首輪で同様の効果を持たせるのは十分可能に思える。
もしそうならば、女王ルイが静寂の狩人に後れを取った事も納得がいくと言うもの。魔力を封じられれば、いくら力と技術、知恵を持ち合わせていたとしても、魔人の力の前では圧倒的不利と言わざるを得ない。
しかもあの霧の中、初見なら第三者の奇襲を予見して対処する事は至難の業だ。探知魔法無しで瞬時に奇襲に対処するには、俺には迅雷なくして不可能だ。さらに魔力を遮断されては、少なくとも俺は勝てないと断言できる。
「どうやらその可能性が高い―――」
ゴオッ!
俺のつぶやきが契機となったかは分からないが、ここで強風が吹き荒れる。
ルイが負けた原因がはっきりと分かり、しかも卑劣な手段と道具を使ったと知って、怒りが一気に頂点に達したアイレは細剣を抜き放っていた。
「ゆ、許せない…あの女っ!」
聞けばルイに首輪をはめたニーナという魔人。アイレに因縁のあった魔人だったようで、中央で倒したのもその魔人だったという。何とも憎らしいヤツだったらしく、彼女の怒りが早々と頂点に達したのも仕方のない事だった。
『獲物の横取りはしてはならない』というのは冒険者の暗黙のルールであり、アイレには関係がない。しかも仇敵とあらば、強大な殺意をエンリケに向け、斬り掛からんとする彼女を止める事など誰も出来るはずが無い。
だが、振るわれんとする細剣を止めたのは、他でもない魔人エンリケだった。
「なのになんで…みんな…みんナシンジャッタンダヨォッ!」
―――なっ!?
突如エンリケが叫び、手で顔をかきむしり一人血まみれになる。引っ搔いては治り、引っ搔いては治りを繰り返す内、周囲に血だまりが出来始め、魔人が治る際に沸き立つ白いもやがエンリケを包み込んだ。その声も人間特有の抑揚が無くなっている。
明らかに様子の変わった魔人を前にし、アイレと冒険者達も警戒の色を強めた。
魔力反応を見るため遠視魔法を展開すると、その魔力は周囲に漏れ出して漂い始めている。
次第に身体から出ていた白いもやは黒く染まり、エンリケ自身の大きさを変えていった。
『オマエダ! オマエタチノセイダ!』
「ま、魔人兵…」
冒険者の誰かがそうつぶやいた。大きく歪んだその身体は徐々に黒く染まり、最早人間の姿は見る影もない。
『オ゛オ゛ォォォォッ!』
シュドドドドドドドド!
咆哮を上げたエンリケから複数の魔力反応を察知した瞬間、全身から黒い矢が無差別に放たれた。
「おわっ!」
「黒い魔力矢だと!?」
「他愛もない」
冒険者達はそれぞれ難なく矢に対応し、ジャックも見えるならと飛来する矢を手で掴むという力技を敢行。アイレは風で吹き飛ばし、コハクも頭にマーナを乗せたままひょいひょいと避け、地面に突き刺さった黒い何かを突っついている。
「暴走してもやる事は同じか。それよりも…」
「アレ、ほっといても消えるわねぇ」
フロールさんが俺の言葉を繋ぎ、皆が哀れみの目をエンリケに向けた。
先程から黒いもや、すなわち膨大な魔力が漏れ出ている。魔力で構成される魔物から魔力が失われ続けるという事は、死に向かっている事と同義。魔人から魔人兵となったエンリケは、既に言葉も、自分の名すら失っているだろう。
仲間の死を受け入れられず怒りと悲しみに支配され、失意の中自我まで失った魔人の成れの果て。
「アイレ。どうする」
同様に怒りを爆発させていたアイレに、自ら引導を渡すかを一応聞いておく。
「…もういいわ。あんなの仇じゃない」
細剣と共に怒りを収めたアイレはフイッと横を向いて、癒しをマーナとコハクに求めて抱き着いた。
いつも通りに戻ったようで何よりだ…しかし、放っておいて軍に向かわれても面倒だな。
収納魔法から弓矢を取り出し、矢を番える。
「お前さん、結構エグいな」
「相応しいだろう」
「ジン君いい性格してるぅ」
「ヤツの見えない矢に散々やられました。いい気味です」
リーダー三人とジャックさんがそれぞれ声を上げる。
「未熟な弓術士に最期に教えてやろうと思いましてね」
ギリリリリリリ…バチッ――――
わざわざ魔力で矢を成すなど無意味、魔力の無駄が過ぎる。実体を持たない分威力は大幅に落ちるし、魔力を感じる事が出来る相手には不可視などまるで意味がない。連射がお好みのようだったが、矢速は遅いし威力もない。本来、矢とは必中を要し、遠距離から一撃で相手を穿つものだ。お前は矢の真髄をまるで理解していなかった。
残った魔力で弓と矢を強化、ついでに雷も合せてやる。
魔人兵となったエンリケの腹には橙の魔力核が露出している。
急所を一撃で射る。これが弓術士、ひいては弓手の役割だ。
「その身に叩き込んでやる。これがオプトさんから教わった、弓の一撃だ」
シュバン! ――――ドンッ!
稲妻の尾を引く矢は発射の瞬間、衝撃波を後方へ生み出し、エンリケの魔力核へ一直線に走る。
核を矢に貫かれた事を腹の大穴に手を当てて初めて気付いたエンリケは、残りの魔力を放出するかのように断末魔を上げる。
『ウヴァァァァン!!』
ビリビリと空気を震わせる咆哮は、幼子の泣き声を思わせた。
「あは…あははっ…」
どこだ? どこで間違えた?
過去の記憶が走馬燈の様に廻転する。
◇
この子を連れて行きましょう。
本気か、兄者。
ええ。絶望の中でも生気を失わず良い目をしています。
俺は面倒みねぇぞ。
――――スラムから僕を救い出してくれた
食べないのですか?
肉は嫌いか。
食べて…いいんですか?
食わないなら俺が食うぞ。
――――何も無い僕にあたたかい食事をくれた
うわーっ!
エンリケ! 離れろっ!
ご、ごめんなさい…
よいのですよ。これも得難い経験となったでしょう。
――――危険から僕を守ってくれた
当たった! ドルムさん!
うむ。鍛錬を続ければいい弓術士になれる。
喜ぶな! そんなんじゃあオークも倒せん!
ゴドルフは厳し過ぎる…
――――こんなに弱い僕を根気よく育ててくれた
や、やったっ! 今日から僕もDランクだぁっ!
よく頑張りましたね。
あのエンリケが中級とはなぁ…
たいしたものだ。
――――頑張った時は褒めてくれた
ははっ! 死ね死ねーっ!
エンリケ。たとえ魔獣であろうと無闇な殺生はなりません。
自分より弱い者に無用な力を振るうな。
恥ずかしい真似はやめろ馬鹿者。
――――僕が間違えた時ちゃんと叱ってくれた
ちくしょう! もっとちゃんとしてればっ!
はっ、子供が気にしてんじゃねぇ。
失敗せん人間などおらん。
貴方はよくやっています。焦らずに行きましょう。
――――僕が失敗して迷惑かけても慰めてくれた
エンリケ! その目はどうしたのです!?
大丈夫ですよ何ともありません!
そんな事より僕、魔力矢を撃てるようになったんです!
これなら見えないし矢の数も心配しなくて済みます!
静寂の狩人のネームにぴったりだと思いませんか!?
もっと皆さんのお役に立てますよ!
エン…お前…
……っく!
――――僕が勝手に新しい力を手に入れた時は何も言わずに納得してくれた
みなさんも王様のところに行ったんですね!?
すごいや! これでSランクも夢じゃないよ!
確かに凄い力だ…
ああ…
皆よく聞きなさい
我ら四人
断罪の時に至らんが為
共に冥府魔道
修羅の道を歩まん
――――よく分からないけどカッコいい これで僕たちは最強だ
◇
「なのに…なんで…最強なのになんでみんな…」
魔人エンリケの様子がおかしい。先程から下を向き、ブツブツと独り言を話している。
「Sランクにも負けないはずなのに…」
俺の視線を受け止めることなく、先程までの威勢は消え失せ、怯える様にブルブルと震えるその姿を見て少し腹が立った。
「貴様。一人では何も出来ないのか」
ビクッと肩を揺らすエンリケ。俺は続ける。
「ソルムとゴドルフは魔人だが戦士だった。最初に倒れたという事は、おそらく盾術士の者もそうだったんだろう」
ドルムと戦ったアッガス、ウォーレス、フロール、ジャックの4人は心の中で頷いた。
「…もはや貴様は斬る価値もない。失せろ」
この言葉に冒険者達は見逃すのかとざわめくが、リーダー達が『生殺与奪はジンにある』とそれを制する。アイレもため息を付きながらしぶしぶ俺の宣言を受け入れたが、仇敵を睨み付けたまま微動だにしていない。
「そうさ…僕らは女王にも勝ったんだ。ニーナさんに霧の中で不意に首輪をはめられた時のあのじょおうのおどろきようといったら…いまおもいだしだだけでも…ぷくく」
「何だと…?」
意識を外し背を向けようとしかけたが、今の声高な独り言は聞き捨てならない。
…首輪?
「ジン殿」
心当たりがあると声を上げたのはローブ姿の魔法師の冒険者。グレオールと名乗った彼は、アッガスさんの鉄の大牙のメンバーだという。
是非にと言うと、グレオールさんは左方で戦っていた3体の魔人の内の一人が漏らした情報を、自身の予想を踏まえながら端的に説明してくれた。
「恐らくその首輪は、魔力の発現を出来なくするものです」
「……」
俺の無言の思考を『続けろ』と捉えたのか、グレオールさんは根拠を持って続けた。
「ジオルディーネ軍は魔人の魔力反応を隠し、奇襲する事を戦術としていました。それを可能にしていたのが、魔力を遮断する腕輪だったのです」
「それと同じ効果が女王にはめられた首輪にもあったかもしれない、という事ですね」
「いかにも」
首輪と腕輪では大きさが違う。腕輪の大きさでその効果が発揮できる魔道具なら、それより大きな首輪で同様の効果を持たせるのは十分可能に思える。
もしそうならば、女王ルイが静寂の狩人に後れを取った事も納得がいくと言うもの。魔力を封じられれば、いくら力と技術、知恵を持ち合わせていたとしても、魔人の力の前では圧倒的不利と言わざるを得ない。
しかもあの霧の中、初見なら第三者の奇襲を予見して対処する事は至難の業だ。探知魔法無しで瞬時に奇襲に対処するには、俺には迅雷なくして不可能だ。さらに魔力を遮断されては、少なくとも俺は勝てないと断言できる。
「どうやらその可能性が高い―――」
ゴオッ!
俺のつぶやきが契機となったかは分からないが、ここで強風が吹き荒れる。
ルイが負けた原因がはっきりと分かり、しかも卑劣な手段と道具を使ったと知って、怒りが一気に頂点に達したアイレは細剣を抜き放っていた。
「ゆ、許せない…あの女っ!」
聞けばルイに首輪をはめたニーナという魔人。アイレに因縁のあった魔人だったようで、中央で倒したのもその魔人だったという。何とも憎らしいヤツだったらしく、彼女の怒りが早々と頂点に達したのも仕方のない事だった。
『獲物の横取りはしてはならない』というのは冒険者の暗黙のルールであり、アイレには関係がない。しかも仇敵とあらば、強大な殺意をエンリケに向け、斬り掛からんとする彼女を止める事など誰も出来るはずが無い。
だが、振るわれんとする細剣を止めたのは、他でもない魔人エンリケだった。
「なのになんで…みんな…みんナシンジャッタンダヨォッ!」
―――なっ!?
突如エンリケが叫び、手で顔をかきむしり一人血まみれになる。引っ搔いては治り、引っ搔いては治りを繰り返す内、周囲に血だまりが出来始め、魔人が治る際に沸き立つ白いもやがエンリケを包み込んだ。その声も人間特有の抑揚が無くなっている。
明らかに様子の変わった魔人を前にし、アイレと冒険者達も警戒の色を強めた。
魔力反応を見るため遠視魔法を展開すると、その魔力は周囲に漏れ出して漂い始めている。
次第に身体から出ていた白いもやは黒く染まり、エンリケ自身の大きさを変えていった。
『オマエダ! オマエタチノセイダ!』
「ま、魔人兵…」
冒険者の誰かがそうつぶやいた。大きく歪んだその身体は徐々に黒く染まり、最早人間の姿は見る影もない。
『オ゛オ゛ォォォォッ!』
シュドドドドドドドド!
咆哮を上げたエンリケから複数の魔力反応を察知した瞬間、全身から黒い矢が無差別に放たれた。
「おわっ!」
「黒い魔力矢だと!?」
「他愛もない」
冒険者達はそれぞれ難なく矢に対応し、ジャックも見えるならと飛来する矢を手で掴むという力技を敢行。アイレは風で吹き飛ばし、コハクも頭にマーナを乗せたままひょいひょいと避け、地面に突き刺さった黒い何かを突っついている。
「暴走してもやる事は同じか。それよりも…」
「アレ、ほっといても消えるわねぇ」
フロールさんが俺の言葉を繋ぎ、皆が哀れみの目をエンリケに向けた。
先程から黒いもや、すなわち膨大な魔力が漏れ出ている。魔力で構成される魔物から魔力が失われ続けるという事は、死に向かっている事と同義。魔人から魔人兵となったエンリケは、既に言葉も、自分の名すら失っているだろう。
仲間の死を受け入れられず怒りと悲しみに支配され、失意の中自我まで失った魔人の成れの果て。
「アイレ。どうする」
同様に怒りを爆発させていたアイレに、自ら引導を渡すかを一応聞いておく。
「…もういいわ。あんなの仇じゃない」
細剣と共に怒りを収めたアイレはフイッと横を向いて、癒しをマーナとコハクに求めて抱き着いた。
いつも通りに戻ったようで何よりだ…しかし、放っておいて軍に向かわれても面倒だな。
収納魔法から弓矢を取り出し、矢を番える。
「お前さん、結構エグいな」
「相応しいだろう」
「ジン君いい性格してるぅ」
「ヤツの見えない矢に散々やられました。いい気味です」
リーダー三人とジャックさんがそれぞれ声を上げる。
「未熟な弓術士に最期に教えてやろうと思いましてね」
ギリリリリリリ…バチッ――――
わざわざ魔力で矢を成すなど無意味、魔力の無駄が過ぎる。実体を持たない分威力は大幅に落ちるし、魔力を感じる事が出来る相手には不可視などまるで意味がない。連射がお好みのようだったが、矢速は遅いし威力もない。本来、矢とは必中を要し、遠距離から一撃で相手を穿つものだ。お前は矢の真髄をまるで理解していなかった。
残った魔力で弓と矢を強化、ついでに雷も合せてやる。
魔人兵となったエンリケの腹には橙の魔力核が露出している。
急所を一撃で射る。これが弓術士、ひいては弓手の役割だ。
「その身に叩き込んでやる。これがオプトさんから教わった、弓の一撃だ」
シュバン! ――――ドンッ!
稲妻の尾を引く矢は発射の瞬間、衝撃波を後方へ生み出し、エンリケの魔力核へ一直線に走る。
核を矢に貫かれた事を腹の大穴に手を当てて初めて気付いたエンリケは、残りの魔力を放出するかのように断末魔を上げる。
『ウヴァァァァン!!』
ビリビリと空気を震わせる咆哮は、幼子の泣き声を思わせた。
0
あなたにおすすめの小説
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる