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第4話「さようならの夜」
ヴェルナー家の夜会は、季節外れのほど華やかだった。
広間いっぱいに花が飾られて、楽団が明るい曲を奏でていた。招かれた人々は笑顔で談笑して、シャンデリアの光がそのすべてを等しく照らしていた。
お別れの夜会なのに、まるで祝祭のようだ、とわたしは思った。
でもそれがミリアらしかった。
悲しい顔で送られるより、笑顔の中で旅立ちたい。そういう人だった。
「アリス、来てくれた」
声のした方を向くと、ミリアがこちらに歩いてきた。今夜の彼女は淡い金色のドレスを纏っていた。栗色の髪に小さな花を飾って、いつもより少し大人びて見えた。
「もちろんよ」
抱き合って、互いの頬に口づけを交わす。ミリアがわたしの両手をぎゅっと握った。
「綺麗よ、アリス」
「あなたの方が綺麗だわ」
「今夜は主役だもの」とミリアが笑った。
その笑顔は明るくて、寂しさを見せなかった。
わたしも笑い返した。
夜会が進むにつれ、広間は賑やかになっていった。
ミリアは引っ張りだこで、次々と人に声をかけられていた。笑って、話して、ダンスに誘われて、それでも少しも疲れた顔を見せなかった。
わたしはそれを、少し離れたところから眺めていた。
そのとき、隣に誰かが立った。
気配でわかった。
「来ていたのか」
クリスだった。
「ええ」とわたしは答えた。
「あなたも」
「当然だろう」
彼もミリアを見ていた。その横顔は穏やかで、でもやはりどこかいつもより遠かった。
わたしたちは並んで、しばらく何も言わなかった。
楽団が曲を変えた。柔らかい、少し哀愁のある旋律だった。
「踊らなくていいのか」とクリスが聞いた。
「今夜はいいわ」
「なぜ」
「眺めていたい気分なの」
クリスが少しわたしを見た気がしたけれど、わたしは視線をミリアの方に向けたままにした。
「……俺もだ」
クリスがそう言って、また前を向いた。
二人で、賑やかな広間の端に立っていた。
おかしな夜だ、とわたしは思った。こんなに人がいるのに、クリスとわたしだけが取り残されているような気がした。
夜が深まってきた頃、ミリアがわたしを見つけて走り寄ってきた。
「アリス、少しいい?」
クリスに「失礼するわね」と断って、ミリアに連れられて広間の端の小部屋に入った。
扉が閉まると、夜会の喧騒が遠くなった。
ミリアがわたしの手を取った。
「アリス」
「なに?」
「わたし、行くわね」
わかっていた言葉なのに、改めて聞くと胸がきゅっとなった。
「ええ」
「寂しいけど」ミリアが微笑んだ。
「でも大丈夫よ。手紙を書くから」
「わたしも書く」
「約束ね」
「約束よ」
ミリアがわたしをぎゅっと抱きしめた。彼女の香水の匂いがした。花と、少しの甘さが混ざった、ミリアらしい香りだった。
この匂いを、しばらく嗅げなくなる。
わたしは目の奥が熱くなるのを感じて、ゆっくり息を吐いた。
「幸せになってね」とわたしは言った。
「なるわよ」ミリアが笑った。「絶対に」
それから彼女は少し身を引いて、わたしの目を真っ直ぐ見た。
「アリス、一つだけ言っていい?」
「なに?」
ミリアが静かに微笑んだ。
「あなたも、幸せになって」
それだけ言って、彼女はわたしの答えを待たずに扉を開けた。
賑やかな音が戻ってきて、ミリアはまた広間の光の中に溶けていった。
小部屋を出て、広間に戻ると、クリスはまだ同じ場所に立っていた。
わたしを見て、少し目を細めた。
「泣いていたか」
「泣いていないわ」
「目が赤い」
「……気のせいよ」
クリスが何か言いかけて、やめた。代わりに、給仕が持っていたグラスを一つ取って、わたしに差し出した。
「飲め」
「ありがとう」
受け取って一口飲むと、果実の甘い味がした。
楽団が新しい曲を始めた。今度は軽やかで、人々がまたフロアに集まり始めた。
ミリアが誰かと笑いながらダンスをしていた。本当に楽しそうで、見ているだけで少し胸が軽くなった。
「きれいだな」
クリスが呟いた。
わたしは彼の視線を追った。
ミリアを見ていると思ったけれど。
その視線が、ほんの少しだけこちらに向いた気がした。
気のせいだ、とわたしは思った。
きっと気のせいだ。
夜会が終わりに近づいた頃、ミリアがわたしとクリスの元に来た。
少し息が上がっていて、頬が薔薇色に染まっていた。
「二人とも、今夜はありがとう」
「こちらこそ」とわたしは言った。
ミリアがクリスを見た。
「クリス様、長い間お世話になりました」
「こちらこそ」クリスが静かに答えた。「元気で」
「はい」ミリアが頷いた。それから、いたずらっぽく笑った。「クリス様、アリスのことをよろしくお願いしますね」
「ミリア」とわたしは慌てて言った。
「何かしら」ミリアが澄ました顔をした。
クリスが短く「ああ」と答えた。
その一言が、どういうわけか、胸の奥にすとんと落ちた。
ミリアがわたしをもう一度ぎゅっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「アリス、ちゃんと自分の気持ちを大切にしてね」
それだけ言って、彼女は離れた。
最後にもう一度、二人に向かって笑顔で手を振ってミリアは人波の中に消えていった。
その後どうやって夜会を終えたか、あまり覚えていない。
気づいたら外に出ていて、夜の空気が頬に冷たかった。
馬車を待っている間、隣にクリスが立っていた。
「送っていく」
「いいわ、馬車があるから」
「俺も同じ方向だ」
有無を言わせない口調だった。
結局、同じ馬車に乗ることになった。
馬車が動き出して、しばらく沈黙が続いた。
窓の外に夜の街が流れていく。
ミリアは今頃、まだ夜会にいるだろうか。それとも既に引き上げているだろうか。明後日の朝、彼女は王都を発つ。
そう思ったら、急に目の奥が熱くなった。
「アリス」
クリスの声に、わたしは窓から視線を戻した。
「なに?」
「……お前は、大丈夫か」
その声が、思いのほか柔らかくて、わたしは少し驚いた。
「大丈夫よ」
「そうか」
クリスがまた黙った。
馬車の揺れが、眠気を誘うようで。わたしはもう一度窓の外を見た。
ミリアの言葉が頭の中で繰り返されていた。
ちゃんと自分の気持ちを大切にしてね。
どういう意味だったのだろう。
わかっていた。わかっていたけれど、わからないふりをしていた。
馬車がわたしの屋敷の前で止まった。
降りようとしたとき、クリスが「アリス」と呼んだ。
振り返ると、彼は少し迷うような顔をしていた。
「……なに?」
「いや」クリスが視線を落とした。「気をつけて」
それだけだった。
わたしは「おやすみなさい」と言って馬車を降りた。
屋敷の中に入って、扉が閉まって。
わたしはしばらく、そこに立ち尽くした。
クリスの馬車が遠ざかる音がした。
やがてそれも聞こえなくなって、辺りはしんと静かになった。
ミリアがいなくなる。
そうしたら、この胸の引っかかりも、少しは楽になるだろうか。
そうは、ならないだろうと思った。
翌々日の朝、ミリアは王都を発った。
見送りに行ったわたしは、最後まで笑っていた。
彼女の馬車が見えなくなってから、クリスがわたしの隣に立っていることに気づいた。
二人で、しばらくそこに立っていた。
何も言わなかった。
それでよかったと思う。
言葉にしてしまったら、何かが崩れてしまう気がしたから。
広間いっぱいに花が飾られて、楽団が明るい曲を奏でていた。招かれた人々は笑顔で談笑して、シャンデリアの光がそのすべてを等しく照らしていた。
お別れの夜会なのに、まるで祝祭のようだ、とわたしは思った。
でもそれがミリアらしかった。
悲しい顔で送られるより、笑顔の中で旅立ちたい。そういう人だった。
「アリス、来てくれた」
声のした方を向くと、ミリアがこちらに歩いてきた。今夜の彼女は淡い金色のドレスを纏っていた。栗色の髪に小さな花を飾って、いつもより少し大人びて見えた。
「もちろんよ」
抱き合って、互いの頬に口づけを交わす。ミリアがわたしの両手をぎゅっと握った。
「綺麗よ、アリス」
「あなたの方が綺麗だわ」
「今夜は主役だもの」とミリアが笑った。
その笑顔は明るくて、寂しさを見せなかった。
わたしも笑い返した。
夜会が進むにつれ、広間は賑やかになっていった。
ミリアは引っ張りだこで、次々と人に声をかけられていた。笑って、話して、ダンスに誘われて、それでも少しも疲れた顔を見せなかった。
わたしはそれを、少し離れたところから眺めていた。
そのとき、隣に誰かが立った。
気配でわかった。
「来ていたのか」
クリスだった。
「ええ」とわたしは答えた。
「あなたも」
「当然だろう」
彼もミリアを見ていた。その横顔は穏やかで、でもやはりどこかいつもより遠かった。
わたしたちは並んで、しばらく何も言わなかった。
楽団が曲を変えた。柔らかい、少し哀愁のある旋律だった。
「踊らなくていいのか」とクリスが聞いた。
「今夜はいいわ」
「なぜ」
「眺めていたい気分なの」
クリスが少しわたしを見た気がしたけれど、わたしは視線をミリアの方に向けたままにした。
「……俺もだ」
クリスがそう言って、また前を向いた。
二人で、賑やかな広間の端に立っていた。
おかしな夜だ、とわたしは思った。こんなに人がいるのに、クリスとわたしだけが取り残されているような気がした。
夜が深まってきた頃、ミリアがわたしを見つけて走り寄ってきた。
「アリス、少しいい?」
クリスに「失礼するわね」と断って、ミリアに連れられて広間の端の小部屋に入った。
扉が閉まると、夜会の喧騒が遠くなった。
ミリアがわたしの手を取った。
「アリス」
「なに?」
「わたし、行くわね」
わかっていた言葉なのに、改めて聞くと胸がきゅっとなった。
「ええ」
「寂しいけど」ミリアが微笑んだ。
「でも大丈夫よ。手紙を書くから」
「わたしも書く」
「約束ね」
「約束よ」
ミリアがわたしをぎゅっと抱きしめた。彼女の香水の匂いがした。花と、少しの甘さが混ざった、ミリアらしい香りだった。
この匂いを、しばらく嗅げなくなる。
わたしは目の奥が熱くなるのを感じて、ゆっくり息を吐いた。
「幸せになってね」とわたしは言った。
「なるわよ」ミリアが笑った。「絶対に」
それから彼女は少し身を引いて、わたしの目を真っ直ぐ見た。
「アリス、一つだけ言っていい?」
「なに?」
ミリアが静かに微笑んだ。
「あなたも、幸せになって」
それだけ言って、彼女はわたしの答えを待たずに扉を開けた。
賑やかな音が戻ってきて、ミリアはまた広間の光の中に溶けていった。
小部屋を出て、広間に戻ると、クリスはまだ同じ場所に立っていた。
わたしを見て、少し目を細めた。
「泣いていたか」
「泣いていないわ」
「目が赤い」
「……気のせいよ」
クリスが何か言いかけて、やめた。代わりに、給仕が持っていたグラスを一つ取って、わたしに差し出した。
「飲め」
「ありがとう」
受け取って一口飲むと、果実の甘い味がした。
楽団が新しい曲を始めた。今度は軽やかで、人々がまたフロアに集まり始めた。
ミリアが誰かと笑いながらダンスをしていた。本当に楽しそうで、見ているだけで少し胸が軽くなった。
「きれいだな」
クリスが呟いた。
わたしは彼の視線を追った。
ミリアを見ていると思ったけれど。
その視線が、ほんの少しだけこちらに向いた気がした。
気のせいだ、とわたしは思った。
きっと気のせいだ。
夜会が終わりに近づいた頃、ミリアがわたしとクリスの元に来た。
少し息が上がっていて、頬が薔薇色に染まっていた。
「二人とも、今夜はありがとう」
「こちらこそ」とわたしは言った。
ミリアがクリスを見た。
「クリス様、長い間お世話になりました」
「こちらこそ」クリスが静かに答えた。「元気で」
「はい」ミリアが頷いた。それから、いたずらっぽく笑った。「クリス様、アリスのことをよろしくお願いしますね」
「ミリア」とわたしは慌てて言った。
「何かしら」ミリアが澄ました顔をした。
クリスが短く「ああ」と答えた。
その一言が、どういうわけか、胸の奥にすとんと落ちた。
ミリアがわたしをもう一度ぎゅっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「アリス、ちゃんと自分の気持ちを大切にしてね」
それだけ言って、彼女は離れた。
最後にもう一度、二人に向かって笑顔で手を振ってミリアは人波の中に消えていった。
その後どうやって夜会を終えたか、あまり覚えていない。
気づいたら外に出ていて、夜の空気が頬に冷たかった。
馬車を待っている間、隣にクリスが立っていた。
「送っていく」
「いいわ、馬車があるから」
「俺も同じ方向だ」
有無を言わせない口調だった。
結局、同じ馬車に乗ることになった。
馬車が動き出して、しばらく沈黙が続いた。
窓の外に夜の街が流れていく。
ミリアは今頃、まだ夜会にいるだろうか。それとも既に引き上げているだろうか。明後日の朝、彼女は王都を発つ。
そう思ったら、急に目の奥が熱くなった。
「アリス」
クリスの声に、わたしは窓から視線を戻した。
「なに?」
「……お前は、大丈夫か」
その声が、思いのほか柔らかくて、わたしは少し驚いた。
「大丈夫よ」
「そうか」
クリスがまた黙った。
馬車の揺れが、眠気を誘うようで。わたしはもう一度窓の外を見た。
ミリアの言葉が頭の中で繰り返されていた。
ちゃんと自分の気持ちを大切にしてね。
どういう意味だったのだろう。
わかっていた。わかっていたけれど、わからないふりをしていた。
馬車がわたしの屋敷の前で止まった。
降りようとしたとき、クリスが「アリス」と呼んだ。
振り返ると、彼は少し迷うような顔をしていた。
「……なに?」
「いや」クリスが視線を落とした。「気をつけて」
それだけだった。
わたしは「おやすみなさい」と言って馬車を降りた。
屋敷の中に入って、扉が閉まって。
わたしはしばらく、そこに立ち尽くした。
クリスの馬車が遠ざかる音がした。
やがてそれも聞こえなくなって、辺りはしんと静かになった。
ミリアがいなくなる。
そうしたら、この胸の引っかかりも、少しは楽になるだろうか。
そうは、ならないだろうと思った。
翌々日の朝、ミリアは王都を発った。
見送りに行ったわたしは、最後まで笑っていた。
彼女の馬車が見えなくなってから、クリスがわたしの隣に立っていることに気づいた。
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