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第一章「完璧な結婚式の裏側」
鐘が、鳴った。
王都の空に響き渡る、澄んだ金属音。一つ、二つ、三つ十二を数えたところで、エリシア・ヴァルトハイムは静かに目を閉じた。
正午だ。
もう、逃げられない。
白いドレスは重かった。
レースとサテンを幾重にも重ねた花嫁衣装は、仕立て屋が「王国一の美しさです」と胸を張った一品だったが、エリシアにはただ鎧のように感じられた。
控え室の鏡の中に、知らない女が立っている。
整えられた薄茶の髪。花で飾られた細い首。わずかに青ざめた頬。
これが、今日から公爵夫人になる女の顔か。
エリシアは小さく息を吐いた。震えそうになる指先を、ドレスの裾に押しつけて。
「奥様いえ、まだ奥様ではありませんね」
背後から声がした。
専属侍女のマリーが、目を真っ赤にしながらも懸命に笑顔を作っていた。庶民出身の彼女は、貴族の涙の堪え方をまだ知らない。それがエリシアには、むしろ愛おしかった。
「泣いているの、マリー」
「泣いておりません。目にゴミが入っただけです」
「そう」
「……少しだけ、泣いております」
エリシアは微笑んだ。今日、初めて。
「行きましょう」と彼女は言った。「花嫁を待たせるのは、花婿への無礼になるそうだから」
愛してもいない相手への、礼儀。
その言葉を飲み込んで、エリシアは扉へと歩き出した。
大聖堂は、息が止まるほど美しかった。
天井まで届く白百合の装飾。ステンドグラスから差し込む色とりどりの光。左右に並ぶ貴族たちの、華やかな衣装と宝石。
そして祭壇の前に立つ、一人の男。
レオンハルト・アシュフォード。
公爵。二十六歳。王国一の完璧な男、と社交界で謳われる人物。
エリシアは花道を歩きながら、初めてまともに彼を見た。
噂は本当だった。
背が高い。肩幅が広い。漆黒の礼服が、まるで最初からその体のために作られたように似合っている。銀糸のような金髪は、ステンドグラスの光を受けて淡く輝いていた。
顔立ちは、絵画のように整っている。
彫りの深い目元。すっと通った鼻筋。薄いが形の良い唇。
完璧だ。
エリシアはそう思いながら、同時に気づいた。
あの目は冷たい。
感情がない、という意味ではなかった。ただ、そこには何も映っていなかった。喜びも、期待も、緊張も。花嫁を迎える男の目には、あるはずの何かが綺麗に欠落していた。
エリシアは歩みを止めなかった。
止めるわけにはいかなかったから。
誓いの言葉は、滞りなく交わされた。
レオンハルトの声は低く、よく通った。誓いの文句を読み上げる口調は完璧で、まるで何百回も練習したかのように淀みがなかった。
エリシアも同じように答えた。
声が震えなかったことを、自分でも少し誇らしく思った。
指輪が、はめられる。
冷たい金属が薬指に触れた瞬間、エリシアはレオンハルトの顔を盗み見た。
彼は前を向いたまま、彼女を見ていなかった。
それでいい。
エリシアは視線を祭壇の十字架へ戻した。
最初から、期待などしていない。
披露宴は華やかだった。
百名を超える貴族が集い、上質なワインと料理が並び、弦楽四重奏が優雅な旋律を奏でていた。エリシアはレオンハルトの隣に座り、笑顔を絶やさず、言葉を選び、完璧な公爵夫人を演じ続けた。
三時間、一度も気を抜かなかった。
レオンハルトも同じだった。彼は社交的ではなかったが、一言一言が的確で、誰に対しても礼を失しなかった。隣に座るエリシアへも、必要なときには話しかけ、料理を勧め、形式上の優しさを見せた。
完璧な夫婦だ。
そんな囁きが、会場のあちこちから聞こえた。
エリシアは微笑み続けた。
その声が聞こえたのは、披露宴も半ばを過ぎた頃だった。
「レオン!」
明るい、よく通る女の声。
エリシアは無意識に、その声のする方へ顔を向けた。
金色の髪が揺れていた。
碧眼の、美しい女性。年はエリシアと同じくらいか、少し上か。薔薇色のドレスをまとい、会場の人混みをかき分けるようにしてまっすぐレオンハルトへと向かってくる。
誰だろう。
エリシアがそう思う間もなく、女性はレオンハルトの肩に手を置いた。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。馬車が混んでいたの」
親しげな、当たり前のような口調だった。
エリシアはレオンハルトを見た。
彼の顔に変化があった。
わずかな変化だった。ほんの少し、目元が和らいだ。口の端が、微かに上がった。
それだけだった。
けれどエリシアにとって、それは十分だった。三時間の披露宴で、夫が初めて見せた、人間らしい表情だったから。
「セレスティア」とレオンハルトは言った。「来られないと思っていた」
「来るに決まっているでしょう、あなたの結婚式に」
女性セレスティアは、そこでようやくエリシアへ視線を向けた。
値踏みするような目だった。一瞬だけ。すぐに完璧な社交界の笑顔に戻ったが、エリシアはその一瞬を、しっかりと見ていた。
「エリシア様ね。セレスティア・ローゼンベルクと申します。レオンとは幼い頃からの親しい仲なの」
親しい仲。
その言葉の重さを、エリシアは静かに量った。
「存じています」とエリシアは答えた。「お越しいただき光栄です、ローゼンベルク様」
笑顔は崩さなかった。
声も揺れなかった。
ただ、胸の奥の、どこか小さな場所が音もなく、冷えていった。
夜が来た。
祝宴の灯りが遠ざかり、花びらが散り、客人たちが帰っていく。
エリシアは公爵邸の廊下を歩きながら、今夜見た全てを、静かに整理していた。
初夜の寝室まで、あと数歩。
今夜、彼は何を言うだろう。
期待ではなかった。ただの予感だった。
何かが起きる気がした。この結婚の、本当の始まりが。
扉を開けた。
レオンハルトは、既に室内にいた。
窓の外の夜景を見つめて、背を向けて立っていた。その背中は広く、真っ直ぐで、やはり完璧だった。
エリシアは静かに扉を閉めた。
「……」
沈黙が、部屋を満たした。
エリシアは何も言わなかった。レオンハルトが振り返るのを、ただ待った。
やがて彼は、ゆっくりと振り向いた。
その顔に、感情はなかった。披露宴の仮面と同じ顔だった。
いや一つだけ違うものがあった。
迷い、だろうか。
ほんのわずかな、人間らしい揺らぎが、彼の目の奥にあった。
レオンハルトは口を開いた。
低く、静かな、よく通る声で。
「君は、私を好きになっては困る」
エリシアは動かなかった。
息を止めた。心臓が、一瞬だけ痛いくらい跳ねてそれからゆっくりと、静かになった。
ああ。
そういうことか。
頭の中で、今日一日の全てが繋がっていった。
政略結婚。冷たい誓いの声。披露宴で初めて見せた人間らしい顔それがセレスティアに向けられたものだったこと。
全部、繋がった。
「わかりました」
自分の声が、思いのほか静かだったことに、エリシアは少し驚いた。
「旦那様のご意向、承りました」
レオンハルトは何も言わなかった。
ただ一度、深くエリシアを見て踵を返し、寝室を出ていった。
扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。
エリシアは一人になった。
窓の外には月があった。丸く、白く、何も知らない顔で。
エリシアはドレスのまま、椅子に腰を下ろした。
泣かなかった。
泣く理由がわからなかった。最初から愛のない結婚だと、知っていたはずだから。
ただ胸の奥の、さっき冷えた場所が、今度は少しだけ痛かった。
好きになるな。
その言葉を、エリシアはゆっくりと、自分の中に仕舞った。
鍵をかけるように。
もう二度と、取り出さないように。
夜明けまで、まだずいぶんあった。
エリシアはただ、月を見ていた。
これが、私の結婚の始まりだった。
王都の空に響き渡る、澄んだ金属音。一つ、二つ、三つ十二を数えたところで、エリシア・ヴァルトハイムは静かに目を閉じた。
正午だ。
もう、逃げられない。
白いドレスは重かった。
レースとサテンを幾重にも重ねた花嫁衣装は、仕立て屋が「王国一の美しさです」と胸を張った一品だったが、エリシアにはただ鎧のように感じられた。
控え室の鏡の中に、知らない女が立っている。
整えられた薄茶の髪。花で飾られた細い首。わずかに青ざめた頬。
これが、今日から公爵夫人になる女の顔か。
エリシアは小さく息を吐いた。震えそうになる指先を、ドレスの裾に押しつけて。
「奥様いえ、まだ奥様ではありませんね」
背後から声がした。
専属侍女のマリーが、目を真っ赤にしながらも懸命に笑顔を作っていた。庶民出身の彼女は、貴族の涙の堪え方をまだ知らない。それがエリシアには、むしろ愛おしかった。
「泣いているの、マリー」
「泣いておりません。目にゴミが入っただけです」
「そう」
「……少しだけ、泣いております」
エリシアは微笑んだ。今日、初めて。
「行きましょう」と彼女は言った。「花嫁を待たせるのは、花婿への無礼になるそうだから」
愛してもいない相手への、礼儀。
その言葉を飲み込んで、エリシアは扉へと歩き出した。
大聖堂は、息が止まるほど美しかった。
天井まで届く白百合の装飾。ステンドグラスから差し込む色とりどりの光。左右に並ぶ貴族たちの、華やかな衣装と宝石。
そして祭壇の前に立つ、一人の男。
レオンハルト・アシュフォード。
公爵。二十六歳。王国一の完璧な男、と社交界で謳われる人物。
エリシアは花道を歩きながら、初めてまともに彼を見た。
噂は本当だった。
背が高い。肩幅が広い。漆黒の礼服が、まるで最初からその体のために作られたように似合っている。銀糸のような金髪は、ステンドグラスの光を受けて淡く輝いていた。
顔立ちは、絵画のように整っている。
彫りの深い目元。すっと通った鼻筋。薄いが形の良い唇。
完璧だ。
エリシアはそう思いながら、同時に気づいた。
あの目は冷たい。
感情がない、という意味ではなかった。ただ、そこには何も映っていなかった。喜びも、期待も、緊張も。花嫁を迎える男の目には、あるはずの何かが綺麗に欠落していた。
エリシアは歩みを止めなかった。
止めるわけにはいかなかったから。
誓いの言葉は、滞りなく交わされた。
レオンハルトの声は低く、よく通った。誓いの文句を読み上げる口調は完璧で、まるで何百回も練習したかのように淀みがなかった。
エリシアも同じように答えた。
声が震えなかったことを、自分でも少し誇らしく思った。
指輪が、はめられる。
冷たい金属が薬指に触れた瞬間、エリシアはレオンハルトの顔を盗み見た。
彼は前を向いたまま、彼女を見ていなかった。
それでいい。
エリシアは視線を祭壇の十字架へ戻した。
最初から、期待などしていない。
披露宴は華やかだった。
百名を超える貴族が集い、上質なワインと料理が並び、弦楽四重奏が優雅な旋律を奏でていた。エリシアはレオンハルトの隣に座り、笑顔を絶やさず、言葉を選び、完璧な公爵夫人を演じ続けた。
三時間、一度も気を抜かなかった。
レオンハルトも同じだった。彼は社交的ではなかったが、一言一言が的確で、誰に対しても礼を失しなかった。隣に座るエリシアへも、必要なときには話しかけ、料理を勧め、形式上の優しさを見せた。
完璧な夫婦だ。
そんな囁きが、会場のあちこちから聞こえた。
エリシアは微笑み続けた。
その声が聞こえたのは、披露宴も半ばを過ぎた頃だった。
「レオン!」
明るい、よく通る女の声。
エリシアは無意識に、その声のする方へ顔を向けた。
金色の髪が揺れていた。
碧眼の、美しい女性。年はエリシアと同じくらいか、少し上か。薔薇色のドレスをまとい、会場の人混みをかき分けるようにしてまっすぐレオンハルトへと向かってくる。
誰だろう。
エリシアがそう思う間もなく、女性はレオンハルトの肩に手を置いた。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。馬車が混んでいたの」
親しげな、当たり前のような口調だった。
エリシアはレオンハルトを見た。
彼の顔に変化があった。
わずかな変化だった。ほんの少し、目元が和らいだ。口の端が、微かに上がった。
それだけだった。
けれどエリシアにとって、それは十分だった。三時間の披露宴で、夫が初めて見せた、人間らしい表情だったから。
「セレスティア」とレオンハルトは言った。「来られないと思っていた」
「来るに決まっているでしょう、あなたの結婚式に」
女性セレスティアは、そこでようやくエリシアへ視線を向けた。
値踏みするような目だった。一瞬だけ。すぐに完璧な社交界の笑顔に戻ったが、エリシアはその一瞬を、しっかりと見ていた。
「エリシア様ね。セレスティア・ローゼンベルクと申します。レオンとは幼い頃からの親しい仲なの」
親しい仲。
その言葉の重さを、エリシアは静かに量った。
「存じています」とエリシアは答えた。「お越しいただき光栄です、ローゼンベルク様」
笑顔は崩さなかった。
声も揺れなかった。
ただ、胸の奥の、どこか小さな場所が音もなく、冷えていった。
夜が来た。
祝宴の灯りが遠ざかり、花びらが散り、客人たちが帰っていく。
エリシアは公爵邸の廊下を歩きながら、今夜見た全てを、静かに整理していた。
初夜の寝室まで、あと数歩。
今夜、彼は何を言うだろう。
期待ではなかった。ただの予感だった。
何かが起きる気がした。この結婚の、本当の始まりが。
扉を開けた。
レオンハルトは、既に室内にいた。
窓の外の夜景を見つめて、背を向けて立っていた。その背中は広く、真っ直ぐで、やはり完璧だった。
エリシアは静かに扉を閉めた。
「……」
沈黙が、部屋を満たした。
エリシアは何も言わなかった。レオンハルトが振り返るのを、ただ待った。
やがて彼は、ゆっくりと振り向いた。
その顔に、感情はなかった。披露宴の仮面と同じ顔だった。
いや一つだけ違うものがあった。
迷い、だろうか。
ほんのわずかな、人間らしい揺らぎが、彼の目の奥にあった。
レオンハルトは口を開いた。
低く、静かな、よく通る声で。
「君は、私を好きになっては困る」
エリシアは動かなかった。
息を止めた。心臓が、一瞬だけ痛いくらい跳ねてそれからゆっくりと、静かになった。
ああ。
そういうことか。
頭の中で、今日一日の全てが繋がっていった。
政略結婚。冷たい誓いの声。披露宴で初めて見せた人間らしい顔それがセレスティアに向けられたものだったこと。
全部、繋がった。
「わかりました」
自分の声が、思いのほか静かだったことに、エリシアは少し驚いた。
「旦那様のご意向、承りました」
レオンハルトは何も言わなかった。
ただ一度、深くエリシアを見て踵を返し、寝室を出ていった。
扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。
エリシアは一人になった。
窓の外には月があった。丸く、白く、何も知らない顔で。
エリシアはドレスのまま、椅子に腰を下ろした。
泣かなかった。
泣く理由がわからなかった。最初から愛のない結婚だと、知っていたはずだから。
ただ胸の奥の、さっき冷えた場所が、今度は少しだけ痛かった。
好きになるな。
その言葉を、エリシアはゆっくりと、自分の中に仕舞った。
鍵をかけるように。
もう二度と、取り出さないように。
夜明けまで、まだずいぶんあった。
エリシアはただ、月を見ていた。
これが、私の結婚の始まりだった。
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