22 / 22
最終章 永遠の誓い
しおりを挟む王宮の大広間は、純白と金色の装飾で埋め尽くされていた。
長い赤絨毯の先、玉座の前に立つアランは、いつも以上に堂々とした姿を見せている。
その隣には私――純白のドレスを纏い、王妃としての正装を身にまとったエリシアがいた。
聖銀の冠は玉座の傍らに飾られ、その輝きはまるでこの日のために磨かれたかのようにまばゆい。
神官が厳かに言葉を紡ぎ、私の前に冠を捧げ持つ。
「エリシア・レイフォード殿。あなたは王国の守護と民の幸福を誓いますか」
「はい、誓います」
静かに、しかし迷いなく答えると、神官の手からアランが冠を受け取り、そっと私の頭上に置いた。
「……これから先、何があろうと、俺の隣はお前だけだ」
その声は王としての宣言であり、一人の男としての愛の誓いでもあった。
冠を戴いた瞬間、広間中に拍手と歓声が湧き上がった。
臣下も民も、この日を待ちわびていたかのように喜びの表情を浮かべている。
アランが私の手を取り、玉座の階段を共に降りる。
その温もりが、これまでの不安や孤独をすべて溶かしていく。
就任式の後、二人きりになった回廊で、アランは私を壁際に引き寄せた。
「……やっと、正式にお前を俺のものにできた」
「今までも、そうだったではありませんか」
からかうように笑うと、アランの瞳が甘く細まった。
「違う。今日からは誰も文句を言えない。お前は王妃だ。――俺の妻だ」
そう囁かれ、唇が重なる。
長く、深く、永遠を誓う口づけだった。
幾多の陰謀と危機を乗り越え、私はようやく彼の隣に辿り着いた。
もう迷わない。
この国の王妃として、そして一人の女性として、彼と共に歩んでいく。
――それが、私の選んだ永遠だった。
73
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
『選ばれなかった令嬢は、世界の外で静かに微笑む』
ふわふわ
恋愛
婚約者エステランス・ショウシユウに一方的な婚約破棄を告げられ、
偽ヒロイン・エア・ソフィアの引き立て役として切り捨てられた令嬢
シャウ・エッセン。
「君はもう必要ない」
そう言われた瞬間、彼女は絶望しなかった。
――なぜなら、その言葉は“自由”の始まりだったから。
王宮の表舞台から退き、誰にも選ばれない立場を自ら選んだシャウ。
だが皮肉なことに、彼女が去った後の世界は、少しずつ歪みを正し始める。
奇跡に頼らず、誰かを神格化せず、
一人に負担を押し付けない仕組みへ――
それは、彼女がかつて静かに築き、手放した「考え方」そのものだった。
元婚約者はようやく理解し、
偽ヒロインは役割を降り、
世界は「彼女がいなくても回る場所」へと変わっていく。
復讐も断罪もない。
あるのは、物語の中心から降りるという、最も静かな“ざまぁ”。
これは、
選ばれなかった令嬢が、
誰の期待にも縛られず、
名もなき日々を生きることを選ぶ物語。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
王家の血を引いていないと判明した私は、何故か変わらず愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女であるスレリアは、自身が王家の血筋ではないことを知った。
それによって彼女は、家族との関係が終わると思っていた。父や母、兄弟の面々に事実をどう受け止められるのか、彼女は不安だったのだ。
しかしそれは、杞憂に終わった。
スレリアの家族は、彼女を家族として愛しており、排斥するつもりなどはなかったのだ。
ただその愛し方は、それぞれであった。
今まで通りの距離を保つ者、溺愛してくる者、さらには求婚してくる者、そんな家族の様々な対応に、スレリアは少々困惑するのだった。
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
ある公爵令嬢の死に様
鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。
まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。
だが、彼女は言った。
「私は、死にたくないの。
──悪いけど、付き合ってもらうわよ」
かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。
生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら
自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。
「無能な妻」と蔑まれた令嬢は、離婚後に隣国の王子に溺愛されました。
腐ったバナナ
恋愛
公爵令嬢アリアンナは、魔力を持たないという理由で、夫である侯爵エドガーから無能な妻と蔑まれる日々を送っていた。
魔力至上主義の貴族社会で価値を見いだされないことに絶望したアリアンナは、ついに離婚を決断。
多額の慰謝料と引き換えに、無能な妻という足枷を捨て、自由な平民として辺境へと旅立つ。
婚約破棄された私ですが、領地も結婚も大成功でした
鍛高譚
恋愛
婚約破棄――
それは、貴族令嬢ヴェルナの人生を大きく変える出来事だった。
理不尽な理由で婚約を破棄され、社交界からも距離を置かれた彼女は、
失意の中で「自分にできること」を見つめ直す。
――守るべきは、名誉ではなく、人々の暮らし。
領地に戻ったヴェルナは、教育・医療・雇用といった
“生きるために本当に必要なもの”に向き合い、
誠実に、地道に改革を進めていく。
やがてその努力は住民たちの信頼を集め、
彼女は「模範的な領主」として名を知られる存在へと成confirm。
そんな彼女の隣に立ったのは、
権力や野心ではなく、同じ未来を見据える誠実な領主・エリオットだった。
過去に囚われる者は没落し、
前を向いた者だけが未来を掴む――。
婚約破棄から始まる逆転の物語は、
やがて“幸せな結婚”と“領地の繁栄”という、
誰もが望む結末へと辿り着く。
これは、捨てられた令嬢が
自らの手で人生と未来を取り戻す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
「決戦前夜」が重複していて 一番重要かつ読みたい「玉座の裁き」が無いのですが…
感想ありがとうございます!
ご指摘いただいた重複部分を直し、抜けていた「王座の裁き」を追加しました。
一番盛り上がる場面ですので、ぜひ改めてお楽しみいただけたら嬉しいです。