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9.大円満フィニッシュ!
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事後のベッドの中でも、藤野は雄弁だった。ずっと俺の腕にしがみついて話をしている。
「先生大好き」
セックスの間に何度も聞いた言葉。俺は藤野の頭を撫でていた。
「悪かったな、お前に冷たい態度とって」
「気にしてないし、先生も寂しかったでしょ?僕が畑中と仲良くしてたから」
寂しかったのは間違い無いのだが、畑中がいたから自分の気持ちに正直になれたのは間違いない。彼には申し訳ないけど感謝だ。
「ごめんね、先生がやきもちやくかなって思って畑中に協力してもらったんだ。作戦は大成功!」
それを聞いて、畑中の気持ちは一ミリも藤野に届いてなかったんだなと思い、少しかわいそうな気すらしてしまった。
畑中よ、お前の完敗だな。
「塩谷先生、お弁当持ってきたよ!」
昼休み中、湯浅教授と話をしていると研究室のドアを勢いよく開けて藤野が入ってきた。
「おや藤野くん」
「あ!教授す、すみません!」
湯浅教授がいると思ってなかったようで、藤野は弁当箱を持ったまま硬直している。その様子を教授が見て笑顔になった。
「いいなあ、お弁当。今度私のも作ってきてくれないかなあ」
教授がそう言うと、キョトンとした藤野はすぐ答えた。
「いいですよ!今度持ってきますね!」
藤野のその言葉にギョッとした。お前安請け合いしすぎだろ!
そして笑いながら湯浅教授がコソッと話しかけてきた。
「まあ、ほどほどにね~。うちの奥さんに見つからないように」
「…はい」
教授は何でもお見通だ。
****
それから二年経過して、藤野が卒業した年に、我が大学からBL小説作家が数人誕生し、その中でデビュー作でありながら大ヒットとなった作品をうみだした作家がいた。コミカライズ化され、もしかしたら映画化かという噂まで出ている。『桜花BL大学』からこのように活躍するクリエイターたちがでるのは、教育に携わるものとして喜ばしいんだけど…
***
「先生、この作品のモデルって僕らみたいよ」
朝食のパンを頬張りながら、その小説の単行本を見せる藤野。彼は現在会社勤めをしながら、公募に挑戦している。
俺は相変わらず、桜花BL大学で准教授だ。もちろん童貞心理学を教えている。ちなみにまだ童貞のまま。
藤野の卒業と同時に同棲を初めて今に至る。結構俺はしっかりと藤野に捕まったわけだ。
「そうみたいだな…『藤山と塩野推しの会』ってのが出てきてるし」
「どう見ても僕らだよね。それにしてもキャラ設定やこの惹きつけられる文章!さすが、土井さん、首席卒業の作家さんだよね。いやー、僕も頑張らなきゃ」
「お前の作品も、面白いし胸キュンするよ」
藤野の額にキスをするとヘラっと笑った。まだ見慣れないスーツ姿と相まって眩しい。
「おでこぉ?」
そう言いながら藤野が唇を重ねてきた。眩しい朝にふさわしく軽いキス…んんん?
後頭部を掴まれて、俺はそのまま口を離すことができない。藤野の舌が口の中に入ってきて、絡ませろ、とねだってきた。
「んぅ…」
濃厚なキスにトロンとしてきた頃、ようやく口を離す。
「あー、やばい。エッチしたくなってきた」
「お前が変なことするからだろっ」
年下の恋人はこれからも何かと手がかかりそうだ。
【了】
「先生大好き」
セックスの間に何度も聞いた言葉。俺は藤野の頭を撫でていた。
「悪かったな、お前に冷たい態度とって」
「気にしてないし、先生も寂しかったでしょ?僕が畑中と仲良くしてたから」
寂しかったのは間違い無いのだが、畑中がいたから自分の気持ちに正直になれたのは間違いない。彼には申し訳ないけど感謝だ。
「ごめんね、先生がやきもちやくかなって思って畑中に協力してもらったんだ。作戦は大成功!」
それを聞いて、畑中の気持ちは一ミリも藤野に届いてなかったんだなと思い、少しかわいそうな気すらしてしまった。
畑中よ、お前の完敗だな。
「塩谷先生、お弁当持ってきたよ!」
昼休み中、湯浅教授と話をしていると研究室のドアを勢いよく開けて藤野が入ってきた。
「おや藤野くん」
「あ!教授す、すみません!」
湯浅教授がいると思ってなかったようで、藤野は弁当箱を持ったまま硬直している。その様子を教授が見て笑顔になった。
「いいなあ、お弁当。今度私のも作ってきてくれないかなあ」
教授がそう言うと、キョトンとした藤野はすぐ答えた。
「いいですよ!今度持ってきますね!」
藤野のその言葉にギョッとした。お前安請け合いしすぎだろ!
そして笑いながら湯浅教授がコソッと話しかけてきた。
「まあ、ほどほどにね~。うちの奥さんに見つからないように」
「…はい」
教授は何でもお見通だ。
****
それから二年経過して、藤野が卒業した年に、我が大学からBL小説作家が数人誕生し、その中でデビュー作でありながら大ヒットとなった作品をうみだした作家がいた。コミカライズ化され、もしかしたら映画化かという噂まで出ている。『桜花BL大学』からこのように活躍するクリエイターたちがでるのは、教育に携わるものとして喜ばしいんだけど…
***
「先生、この作品のモデルって僕らみたいよ」
朝食のパンを頬張りながら、その小説の単行本を見せる藤野。彼は現在会社勤めをしながら、公募に挑戦している。
俺は相変わらず、桜花BL大学で准教授だ。もちろん童貞心理学を教えている。ちなみにまだ童貞のまま。
藤野の卒業と同時に同棲を初めて今に至る。結構俺はしっかりと藤野に捕まったわけだ。
「そうみたいだな…『藤山と塩野推しの会』ってのが出てきてるし」
「どう見ても僕らだよね。それにしてもキャラ設定やこの惹きつけられる文章!さすが、土井さん、首席卒業の作家さんだよね。いやー、僕も頑張らなきゃ」
「お前の作品も、面白いし胸キュンするよ」
藤野の額にキスをするとヘラっと笑った。まだ見慣れないスーツ姿と相まって眩しい。
「おでこぉ?」
そう言いながら藤野が唇を重ねてきた。眩しい朝にふさわしく軽いキス…んんん?
後頭部を掴まれて、俺はそのまま口を離すことができない。藤野の舌が口の中に入ってきて、絡ませろ、とねだってきた。
「んぅ…」
濃厚なキスにトロンとしてきた頃、ようやく口を離す。
「あー、やばい。エッチしたくなってきた」
「お前が変なことするからだろっ」
年下の恋人はこれからも何かと手がかかりそうだ。
【了】
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