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家庭教師の勇二君に学園祭のお化け屋敷に誘われる。男の娘の江実矢君もチアガールの衣装を着て学園祭に来てる。
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あらすじ
親友の彩香ちゃんに誘われて有紀は彩香ちゃんの家庭教師の大学生の勇二君の学園祭に出かけた。学園祭には江実矢君もチアガールの代役で来ていた。お化け屋敷にはロボットの秀美ちゃんもいて脅かされてびっくりしちゃった。
五時間目の数学の授業のあと有紀は親友の彩香ちゃんと一緒いつものように区立北川中学校の裏門を出て二人でに帰り道を歩き始めた。
今年から新しい数学の先生がきて新学期から有紀のクラスの数学の授業を受け持つようになった。
まだ大学を出たばかりの女の先生で、いつも紺のスーツを着ていて服装がまるで就職の面接に行く時みたいだと彩香ちゃんが言っていた。
授業も聞いていてさっぱり判らないし、めちゃめちゃ厳しくてその上無駄話も多くて困った先生だ。
彩香ちゃんが数学の先生の悪口をしばらく続けた後、急に「ねえ、有紀ちゃんこんどの新しい家庭教師の人なんだけどね。勇二さんて言うの」と話しを切り出した。
中学三年になってそろそろ高校受験の準備をしないといけないからと、彩香ちゃんのママが家庭教師の先生をつけてくれたと前にも聞いたことがある。
新しい数学の先生の授業がさっぱり判らないという話しが彩香ちゃんのママの耳にも伝わったらしい。
彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生は凄い大学の電子工学部の大学生で頭もいいらしい。
今度その大学で学園祭があるからとその家庭教師の先生に誘われたみたい。
だけど相手は先生とは言え一応は男性だ。
「男の人と二人っきりになるなんてどう考えても危ないわよね」と彩香ちゃんが言うのでそれももっともだと有紀は思った。
いくら大学生でも中学生の女の子が好きってことはあり得ない話しではない。
とりわけ彩香ちゃんはまだ中学生だけど胸は自慢のFカップだ。
人気の居ない場所で二人っきりになんかなったりしたら、男だったら変な気を起こしたりするかもしれない。
当日は大学の近くの地下鉄の駅で、勇二君と待ち合わせをすることにした。
彩香ちゃんの話では江実矢君も誘ったんだけど断られちゃったらしい。
江実矢君は小学校の時からの同級生で今は同じ区立北川中学の三年生だ。
江実矢君はお爺ちゃんがロシア人で、肌が白くて眼も青い。
身体も小柄なので小学生の時は女の子みたいだといつも虐められていた。
彩香ちゃんは小学校の時からちょっと大柄で胸も大きくて、男の子なんかより強かった。
江実矢君がいじめられていると、いつも彩香ちゃんが助けていたので江実矢君は彩香ちゃんには頭が上がらない。
彩香ちゃんの誕生会にも毎年かならず江実矢君は呼ばれていて一度も断ったことはない。
中学生になってからはも時々彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人で原宿に買い物に行ってた。
彩香ちゃんに誘わて江実矢君が断ったことなんか今までなかったんだけど、最近は理由をつけて断る事もあるので彩香ちゃんは不満顔だ。
江実矢君は男の子だけど立志館学園の中等部のチアリーダーチームのラブファイターズに助っ人で参加してる。
立志館学園は彩香ちゃんのお姉ちゃんの沙織ちゃんが通ってる学校で、中等部と高等部がある。
来年は彩香ちゃんもお姉ちゃんと同じ立志館学園の高等部を受験する予定だ。
それで彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生をつけることなった。
数学だったら江実矢君が得意だけど、江実矢君を彩香ちゃんの家庭教師にする訳にもいかない。
学園祭に行く当日は彩香ちゃんがいつものように有紀の家まで迎えに来た。
地下鉄に乗るのは春休みに原宿に行って以来なので有紀は気分がうきうきして胸が膨らんだ。
地下鉄の駅を降りて階段を上がり駅前にでると、駅前には小さな広場がある。
広場のベンチに座って待っていると、迎えに来たのはちょっと太めであまり背の高くない男の子。
彩香ちゃんの話では、格好いくて素敵な男性という事だったけど随分話が違う。
髪の毛も長くしていて、後ろ姿だけ見るとちょっと太めの女の子みたいだ。
さっそく勇二君に案内されて大学まで行くことになった。
大学なんて初めてだ。
中学校よりはおっきい所らしいけど、どんだけ大きいかは見てみないと判らない。
駅前の商店街を通り過ぎて、角の大通りを曲がると学園祭の大きな看板が目に入った。
音楽が流れていて学園祭のために流してるらしい。
正面の門も入る、大きな校舎が並んでいる。
門のすぐ近く奥には模擬店が沢山ならんでいて、焼きそばやおでん、焼き鳥などまるで縁日の屋台みたい。
店番をしてるのはみんな大学生らしい。
だけど模擬店の周りには、お客らしい姿は誰もいない。
「まだ時間が早いんだ、お客さんが来るのは昼過ぎだからね」と勇二君が教えてくれた。
模擬店の並んだ通路をしばらく進むと、右手に大きな噴水が見えた。
噴水のすぐ横には机を並べて作った舞台があって大きな看板も見える。
しばらく待ってるとヒップホップダンスクラブの女の子達が大勢舞台に並んだ。
女の子達の背後には男の子も大勢居て、音楽が始まるとすぐに踊りが始まった。
音楽が何曲か過ぎると、舞台に変な格好の男の子達が並んだ。
まるでロボットみたいに、機械仕掛けみたいな衣装を付けていて踊りもまるでロボットみたい。
変な格好で踊るので、彩香ちゃんは笑いが止まらない。
ヒップホップのダンスが終わると今度はチアリーダーの女の子達が一列に並んだ。
体つきは華奢で顔付きもまだ幼い。
どう見ても中学生だ。
大学のチアリーダー部ではないらしいので、有紀は舞台の横の看板を見てみた。
立志館学院の中等部のラブファイターズの女の子達らしい。
一番前で踊ってる子は見覚えがある。
江実矢君とは幼なじみの希美ちゃんだ。
幼稚園の時、転勤でお父さんと一緒にアメリカに行ってたはずだけど、戻ってきたらしい。
真っ赤なチアリーディングの衣装の胸にはラブファイターズと英語の文字が見える。
ピラミッドを組んで一番上の女の子が宙返りして地面に降りたのを見て、有紀はびっくりした。
お化粧をして女の子の格好をしてるけど江実矢君だ。
江実矢君が立志館学園の中等部のラブファイターズに助っ人をしてるのは前にも彩香ちゃんに聞いたことがある。
チアリーディングのトップパーソンの女の子がたまたま怪我をしたので、代役で江実矢君がかり出されたって話しだ。
トップパーソンは宙返りができないと勤まらないので、それには江実矢君がぴったしだ。
だけどまさか女の子の格好をさせられてるなんて全然知らなかった。
踊りを続けてる江実矢君の胸を見ると、何か詰めて膨らませてるらしくて女の子みたいに大きい。
それに足を上げるたびにスカートの下から見えるのは真っ赤なアンダースコートだ。
お化粧だってつけまつげをして髪をしっかり結ってどう見ても女の子。
彩香ちゃんもびっくりして江実矢君が踊るのを見てた。
彩香ちゃんが学園祭に江実矢君を誘っても断られたのはこのチアリーディングの公演があるからだと彩香ちゃんも気が付いたみたいだ。
女の子の格好をさせられてチアリーディングの助っ人をしてるなんて事を江実矢君が彩香ちゃんに言えなかったのは確かに気持ちが分かる。
チアリーディングの演技のあと、チアガールの女の子達が舞台の前で記念写真を撮ってる。
希美ちゃんが江実矢君に抱きついてるのを見て、彩香ちゃんは口を膨らませて怒った顔。
勇二君はなぜか江実矢君の事を気に入ったらしくて、しきりにデジカメで写真を撮りまくってる。
彩香ちゃんは江実矢君が男の子だと教えようと思ったけど、目の前で可愛らしくポーズを取る江実矢君を見て何も言えなかった。
チアリーディングの公演が終わった後、勇二君が学園祭の展示を一通り案内してくれた。
大きな大学で、構内を歩いて回るだけでも大変だ。
習字の展示や、写真の展示とか生け花とか、あとは研究発表とか中学の学園祭では見られないような出し物も一杯あった。
一通り見て回ったあと、勇二君が特別に彩香ちゃんに見せたい物があると言って体育館の裏に連れて行こうとした。
何だか心配な気がして有紀はちょうど通りがかった江実矢君に声を掛けた。
江実矢君は他のチアガールの女の子達と一緒にチアガールの衣装を着たまま学園祭の見物をしてたらしい。
女の子達はみな手にチョコバナナを持って歩きながら食べてる。
有紀が江実矢君を誘うと一緒に来てくれる事になった。
彩香ちゃんはお腹がすいてたらしくて、江実矢君の手からチョコバナナを取り上げたけど江実矢君は何も言わなかった。
体育館の裏手に案内されると小さい小屋の前には、お化け屋敷と看板が出てるけど周りには誰もいない。
入り口を入ると中は真っ暗で枯れ木を並べた狭い通路になってる。
少し先で角を曲がると気持ち悪いお化けが一杯でてきてとても怖くて歩けない。
もう少しで出口という所で急に天井からろくろっ首が舞い降りてきて、彩香ちゃんのおでこにぶつかった。
彩香ちゃんはそのままの格好で後ろ向きに倒れてしばらく起きあがれない。
床に頭を打ったらしい。
勇二君が部屋の電気をつけると慌てて彩香ちゃんを抱き起こした。
チョコバナナが半分彩香ちゃんの口のなかに入って息が苦しそうにしてる。
勇二君が慌ててチョコバナナを口から取ると、彩香ちゃんの体を何度も揺すった。
彩香ちゃんが眼を開けると、恐かったらしくて勇二君にしがみついて震えてる。
お化け屋敷だと思っていた部屋は体育館裏のロッカールームだ。
ロッカーのドアにその辺から取ってきた枯れ木の枝を飾っただけの部屋。
暗いから怖かっただけで、電気がついてみると何でもな普通のロッカールームだった。
部屋の中には小さな人形みたいな物がいくつか置いてある。
中に人が入ってるのだとばかり思ってたけど、お化けはみんな小さな人形だった。
勇二君が「秀美」と声を掛けると、小さな人形の顔がこっちを向いたので有紀はびっくりして腰を抜かしそうに成った。
人形の目がくりくりと輝いて有紀の方を見ると「今日は、初めまして、私秀美です」と声が聞こえた。
なんだか機械が出してるような声で、コンピューターが内蔵されていて喋るらしい。
「ここに置いてあるのはみんな、ロボットでね、内の研究室で開発してるんだ」と勇二君が話してくれた。
「凄いんですね、ホントに勇二さんて、頭いいんですね」と彩香ちゃんがちょっとお世辞を言うと勇二君も顔を綻ばせてる。
親友の彩香ちゃんに誘われて有紀は彩香ちゃんの家庭教師の大学生の勇二君の学園祭に出かけた。学園祭には江実矢君もチアガールの代役で来ていた。お化け屋敷にはロボットの秀美ちゃんもいて脅かされてびっくりしちゃった。
五時間目の数学の授業のあと有紀は親友の彩香ちゃんと一緒いつものように区立北川中学校の裏門を出て二人でに帰り道を歩き始めた。
今年から新しい数学の先生がきて新学期から有紀のクラスの数学の授業を受け持つようになった。
まだ大学を出たばかりの女の先生で、いつも紺のスーツを着ていて服装がまるで就職の面接に行く時みたいだと彩香ちゃんが言っていた。
授業も聞いていてさっぱり判らないし、めちゃめちゃ厳しくてその上無駄話も多くて困った先生だ。
彩香ちゃんが数学の先生の悪口をしばらく続けた後、急に「ねえ、有紀ちゃんこんどの新しい家庭教師の人なんだけどね。勇二さんて言うの」と話しを切り出した。
中学三年になってそろそろ高校受験の準備をしないといけないからと、彩香ちゃんのママが家庭教師の先生をつけてくれたと前にも聞いたことがある。
新しい数学の先生の授業がさっぱり判らないという話しが彩香ちゃんのママの耳にも伝わったらしい。
彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生は凄い大学の電子工学部の大学生で頭もいいらしい。
今度その大学で学園祭があるからとその家庭教師の先生に誘われたみたい。
だけど相手は先生とは言え一応は男性だ。
「男の人と二人っきりになるなんてどう考えても危ないわよね」と彩香ちゃんが言うのでそれももっともだと有紀は思った。
いくら大学生でも中学生の女の子が好きってことはあり得ない話しではない。
とりわけ彩香ちゃんはまだ中学生だけど胸は自慢のFカップだ。
人気の居ない場所で二人っきりになんかなったりしたら、男だったら変な気を起こしたりするかもしれない。
当日は大学の近くの地下鉄の駅で、勇二君と待ち合わせをすることにした。
彩香ちゃんの話では江実矢君も誘ったんだけど断られちゃったらしい。
江実矢君は小学校の時からの同級生で今は同じ区立北川中学の三年生だ。
江実矢君はお爺ちゃんがロシア人で、肌が白くて眼も青い。
身体も小柄なので小学生の時は女の子みたいだといつも虐められていた。
彩香ちゃんは小学校の時からちょっと大柄で胸も大きくて、男の子なんかより強かった。
江実矢君がいじめられていると、いつも彩香ちゃんが助けていたので江実矢君は彩香ちゃんには頭が上がらない。
彩香ちゃんの誕生会にも毎年かならず江実矢君は呼ばれていて一度も断ったことはない。
中学生になってからはも時々彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人で原宿に買い物に行ってた。
彩香ちゃんに誘わて江実矢君が断ったことなんか今までなかったんだけど、最近は理由をつけて断る事もあるので彩香ちゃんは不満顔だ。
江実矢君は男の子だけど立志館学園の中等部のチアリーダーチームのラブファイターズに助っ人で参加してる。
立志館学園は彩香ちゃんのお姉ちゃんの沙織ちゃんが通ってる学校で、中等部と高等部がある。
来年は彩香ちゃんもお姉ちゃんと同じ立志館学園の高等部を受験する予定だ。
それで彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生をつけることなった。
数学だったら江実矢君が得意だけど、江実矢君を彩香ちゃんの家庭教師にする訳にもいかない。
学園祭に行く当日は彩香ちゃんがいつものように有紀の家まで迎えに来た。
地下鉄に乗るのは春休みに原宿に行って以来なので有紀は気分がうきうきして胸が膨らんだ。
地下鉄の駅を降りて階段を上がり駅前にでると、駅前には小さな広場がある。
広場のベンチに座って待っていると、迎えに来たのはちょっと太めであまり背の高くない男の子。
彩香ちゃんの話では、格好いくて素敵な男性という事だったけど随分話が違う。
髪の毛も長くしていて、後ろ姿だけ見るとちょっと太めの女の子みたいだ。
さっそく勇二君に案内されて大学まで行くことになった。
大学なんて初めてだ。
中学校よりはおっきい所らしいけど、どんだけ大きいかは見てみないと判らない。
駅前の商店街を通り過ぎて、角の大通りを曲がると学園祭の大きな看板が目に入った。
音楽が流れていて学園祭のために流してるらしい。
正面の門も入る、大きな校舎が並んでいる。
門のすぐ近く奥には模擬店が沢山ならんでいて、焼きそばやおでん、焼き鳥などまるで縁日の屋台みたい。
店番をしてるのはみんな大学生らしい。
だけど模擬店の周りには、お客らしい姿は誰もいない。
「まだ時間が早いんだ、お客さんが来るのは昼過ぎだからね」と勇二君が教えてくれた。
模擬店の並んだ通路をしばらく進むと、右手に大きな噴水が見えた。
噴水のすぐ横には机を並べて作った舞台があって大きな看板も見える。
しばらく待ってるとヒップホップダンスクラブの女の子達が大勢舞台に並んだ。
女の子達の背後には男の子も大勢居て、音楽が始まるとすぐに踊りが始まった。
音楽が何曲か過ぎると、舞台に変な格好の男の子達が並んだ。
まるでロボットみたいに、機械仕掛けみたいな衣装を付けていて踊りもまるでロボットみたい。
変な格好で踊るので、彩香ちゃんは笑いが止まらない。
ヒップホップのダンスが終わると今度はチアリーダーの女の子達が一列に並んだ。
体つきは華奢で顔付きもまだ幼い。
どう見ても中学生だ。
大学のチアリーダー部ではないらしいので、有紀は舞台の横の看板を見てみた。
立志館学院の中等部のラブファイターズの女の子達らしい。
一番前で踊ってる子は見覚えがある。
江実矢君とは幼なじみの希美ちゃんだ。
幼稚園の時、転勤でお父さんと一緒にアメリカに行ってたはずだけど、戻ってきたらしい。
真っ赤なチアリーディングの衣装の胸にはラブファイターズと英語の文字が見える。
ピラミッドを組んで一番上の女の子が宙返りして地面に降りたのを見て、有紀はびっくりした。
お化粧をして女の子の格好をしてるけど江実矢君だ。
江実矢君が立志館学園の中等部のラブファイターズに助っ人をしてるのは前にも彩香ちゃんに聞いたことがある。
チアリーディングのトップパーソンの女の子がたまたま怪我をしたので、代役で江実矢君がかり出されたって話しだ。
トップパーソンは宙返りができないと勤まらないので、それには江実矢君がぴったしだ。
だけどまさか女の子の格好をさせられてるなんて全然知らなかった。
踊りを続けてる江実矢君の胸を見ると、何か詰めて膨らませてるらしくて女の子みたいに大きい。
それに足を上げるたびにスカートの下から見えるのは真っ赤なアンダースコートだ。
お化粧だってつけまつげをして髪をしっかり結ってどう見ても女の子。
彩香ちゃんもびっくりして江実矢君が踊るのを見てた。
彩香ちゃんが学園祭に江実矢君を誘っても断られたのはこのチアリーディングの公演があるからだと彩香ちゃんも気が付いたみたいだ。
女の子の格好をさせられてチアリーディングの助っ人をしてるなんて事を江実矢君が彩香ちゃんに言えなかったのは確かに気持ちが分かる。
チアリーディングの演技のあと、チアガールの女の子達が舞台の前で記念写真を撮ってる。
希美ちゃんが江実矢君に抱きついてるのを見て、彩香ちゃんは口を膨らませて怒った顔。
勇二君はなぜか江実矢君の事を気に入ったらしくて、しきりにデジカメで写真を撮りまくってる。
彩香ちゃんは江実矢君が男の子だと教えようと思ったけど、目の前で可愛らしくポーズを取る江実矢君を見て何も言えなかった。
チアリーディングの公演が終わった後、勇二君が学園祭の展示を一通り案内してくれた。
大きな大学で、構内を歩いて回るだけでも大変だ。
習字の展示や、写真の展示とか生け花とか、あとは研究発表とか中学の学園祭では見られないような出し物も一杯あった。
一通り見て回ったあと、勇二君が特別に彩香ちゃんに見せたい物があると言って体育館の裏に連れて行こうとした。
何だか心配な気がして有紀はちょうど通りがかった江実矢君に声を掛けた。
江実矢君は他のチアガールの女の子達と一緒にチアガールの衣装を着たまま学園祭の見物をしてたらしい。
女の子達はみな手にチョコバナナを持って歩きながら食べてる。
有紀が江実矢君を誘うと一緒に来てくれる事になった。
彩香ちゃんはお腹がすいてたらしくて、江実矢君の手からチョコバナナを取り上げたけど江実矢君は何も言わなかった。
体育館の裏手に案内されると小さい小屋の前には、お化け屋敷と看板が出てるけど周りには誰もいない。
入り口を入ると中は真っ暗で枯れ木を並べた狭い通路になってる。
少し先で角を曲がると気持ち悪いお化けが一杯でてきてとても怖くて歩けない。
もう少しで出口という所で急に天井からろくろっ首が舞い降りてきて、彩香ちゃんのおでこにぶつかった。
彩香ちゃんはそのままの格好で後ろ向きに倒れてしばらく起きあがれない。
床に頭を打ったらしい。
勇二君が部屋の電気をつけると慌てて彩香ちゃんを抱き起こした。
チョコバナナが半分彩香ちゃんの口のなかに入って息が苦しそうにしてる。
勇二君が慌ててチョコバナナを口から取ると、彩香ちゃんの体を何度も揺すった。
彩香ちゃんが眼を開けると、恐かったらしくて勇二君にしがみついて震えてる。
お化け屋敷だと思っていた部屋は体育館裏のロッカールームだ。
ロッカーのドアにその辺から取ってきた枯れ木の枝を飾っただけの部屋。
暗いから怖かっただけで、電気がついてみると何でもな普通のロッカールームだった。
部屋の中には小さな人形みたいな物がいくつか置いてある。
中に人が入ってるのだとばかり思ってたけど、お化けはみんな小さな人形だった。
勇二君が「秀美」と声を掛けると、小さな人形の顔がこっちを向いたので有紀はびっくりして腰を抜かしそうに成った。
人形の目がくりくりと輝いて有紀の方を見ると「今日は、初めまして、私秀美です」と声が聞こえた。
なんだか機械が出してるような声で、コンピューターが内蔵されていて喋るらしい。
「ここに置いてあるのはみんな、ロボットでね、内の研究室で開発してるんだ」と勇二君が話してくれた。
「凄いんですね、ホントに勇二さんて、頭いいんですね」と彩香ちゃんがちょっとお世辞を言うと勇二君も顔を綻ばせてる。
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