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第二章 将軍様のお家に居候!
第17話 馬竜パニック☆
しおりを挟むしばらく腹を抱えていたイバンの笑いが収まってから、2人は俺を外の広場に連れてきてくれた。
そこは訓練場になっているようで、そこかしこで兵士達が鍛錬に励んでいる。
さすが馬軍というだけあって、馬と一緒に訓練する兵達も多く居た。
設置された障害物を避けたり飛び越えたりする馬は迫力があって、見ているのが楽しい。
こちらに気付いた兵達が動きを止めるが、バルギーが手を振ると軽い敬礼程度で再び鍛錬を再開する。
「ケイタ、あそこに居るのが私の隊の者達だ」
訓練場の一角で20人程の兵達が馬に乗って訓練している。
近くまで行くと全員素早く馬から降りバルギーに敬礼する。
さっき会ったカルシクとハガンも居た。
「皆、楽にして良い。カルシクとハガンから聞いていると思うが、今日は私の恩人を紹介しておく。ケイタだ。この小さな体で、私をカルバックの森から国境の砦まで運んでくれたのだ」
バルギーが皆に紹介するように、俺の背中にそっと手を添えた。
「ケイタです。ヨロシクお願いします」
さっきと同じ様に自己紹介すると、皆が優しい目を向けてくる。
・・・何というか、子供の発表会を微笑ましく見る大人達みたいな感じだ。
多分、外国人の俺が必死でカタコトで話す様子が微笑ましいんだろう。
「ケイタ、皆の馬を見せてもらうと良い」
バルギーが目くばせすると、兵士達がそれぞれ手綱を握っている馬を俺の近くに連れてきてくれた。
「危ないから、急に手を出しては駄目だぞ」
バルギーの注意に頷いて馬竜達を見上げると、色々な毛色の馬達が興味深そうに俺を見下ろしてきた。
『えっと、こんにちは』
ラビクにするように声に出さずに挨拶してみると、馬達の耳が反応するように真っ直ぐに立つ。
【驚いた、本当に話しかけてきた】
【ラビクとジャビの言っていた通りだ】
【お前、ケイタと言うんだろう?聞いているぞ】
すでに馬達はラビクとジャビ経由で俺の話を聞いていたらしく、一斉に話しかけてくる。
『俺の事、もう知ってんだ?』
【あぁ、ラビク達に聞いた。竜と言葉を交わせる面白い人間が居ると。竜の間で噂になっているぞ】
なんと、竜達に噂されてたとは・・・・。
『えぇ~・・・何、俺有名人じゃん。じゃあ、この辺の馬竜達は皆俺の事知ってんの?』
【馬竜というか、他の竜達もだ】
『他?』
【向こう側に居る飛竜達も知っているぞ】
一頭の馬が、飛軍側の方向を鼻先で指すように顔を上げる。
『なんと!?飛竜も俺の事知ってんの?後で飛竜にも会いに行くんだけど』
【そうか、飛竜は浪竜と違って話の通じる連中だ。安心して会いに行け】
【あぁ、きっと歓迎してくれるぞ】
『・・・浪竜は違うのか?』
【あの連中は馬鹿ばっかりだ】
【本当に頭の悪い竜達だ】
【いつも馬鹿騒ぎで、うるさい】
【全く、船に乗せられる時は本当に憂鬱だ】
なぜか馬達が一斉に浪竜をコキおろし始めた。
まだ会ったことの無い竜だけど、馬達にそこまで言われるなんて逆にどんな竜なのか気になるな。
【それにしても、本当にお前は臭く無いんだな】
【あぁ、何だか私達に近い匂いがする】
『えっ?!』
俺の頭を嗅ぐ馬達の内の一頭が、衝撃的な発言をしてくれた。
『えっ、えっ、ちょっと待って。俺って馬臭いの?!』
ちょっと、ショックなんだけど。
【馬臭いとは何だ。我々は臭くないぞ失礼な】
大きな馬面が、文句を言うようにブフンッと荒く息を吐く。
『あ、ごめん。でも馬の匂いに似てるって言われるのはちょっと・・・俺人間だし』
【馬の匂いではなく、竜の匂いだ】
『竜?竜の匂いって何だ?』
【何だと言われてもなぁ・・・竜の匂いは竜の匂いだ】
【あぁ、同族を識別する為の匂いだ】
『何それ、よく分かんねぇ』
首を傾げると、馬達もよく分からないと一緒に首を傾げた。
【説明するのが難しいが・・お前はなんだか人間よりも同族に似た気配で落ち着くな】
【あぁ、そこらの人間と違って不快感が無いな。浪竜よりも賢そうだし、話もできる】
【ケイタと言ったな?私は気に入ったぞ】
【私も嫌いじゃ無い】
馬達が頷くようにして、俺に顔を近づけてくる。
『お、おお。ありがとう。じゃあ、これからも仲良くしてくれよ』
結局匂い云々はよく分からなかったけど、嫌われていないなら良いや。
【あぁ、何時でも遊びに来い】
「ケイタは妙に馬に懐かれるな。ラビクも大丈夫だったから問題無いとは思っていたが・・・」
「そうですね。契約していない人間に、馬達がここまで気を許しているのも珍しい」
そばに立つバルギーとイバンは、俺と馬の様子を興味深そうに見ている。
そんな2人を見て、俺もふと気づく。
もしかして周りから見たら、俺は馬達と無言で見つめあっている変なヤツじゃないか?
『なぁなぁ・・・触っても良いか?毛とか撫でてみたい』
ちゃんと馬との触れ合いを楽しんでいるアピールをしておこうと、近くの馬に声を掛けてみた。
バルギーがいきなり触ったら駄目だって言ってたから、馬本人に一応許可を取っておく。
【あぁ、お前なら別に構わないぞ】
声をかけた馬は、あっさりと頷いて俺の手が届くとこまで首を下げてくれた。
綺麗に手入れされた鬣は、シルクのように艶々だ。
『おぉ・・・綺麗だなぁ』
【ふふ、ありがとう】
そっと手を伸ばして鬣に触れてみると、指先に触れた毛は見た目通りにツルツルで最高の感触だった。
「あっ・・・・」
だけど、馬に触れた瞬間、手綱を握っていた兵士が何故か少し緊張した様に体を強張らせた。
なんだ、やっぱり触ったら不味かったのか。
『触っちゃいけなかったか?』
兵士の様子に、鬣を触らせてくれてる馬へ確認してみる。
【あぁ、私がケイタを攻撃するかもしれないと警戒したんだろう。普通は契約した人間以外にはあまり触らせないからな】
『え、そうなの?ごめん、嫌だったか?』
【不快じゃないから、ケイタは良い。それよりももう少し上の方を掻いてくれ。さっきからそこが痒いんだ】
『って、俺は孫の手かよ。ここか?』
【あぁ、そこだそこだ】
言われた場所をワシワシと掻いてやったら、馬は気持ちよさそうに目を細めた。
それを見ていた他の馬が、グイっと俺に顔を近づけてきた。
【私も掻いてくれ、さっきから鼻の上がチクチク痒いんだ】
差し出された鼻先を見たら、小さな藁屑が刺さっている。
『あぁ、藁が刺さってるぞ』
抜いてやろうと鼻先に手を伸ばしたところで、今度はハッキリと周りの兵達が焦ったように声をあげた。
「ケイタッ!顔は駄目だっ」
横からバルギーが俺の手を掴み、手綱を握っていた兵士が俺から離すように馬を強く引っ張る。
だが、それは馬の機嫌を損なうものだったらしい。
【む?なんだ、邪魔をするな】
「っぐぉ!」
『うわぁっ』
綱を引っ張られた事が気に入らなかったのか、馬が手綱を握る兵士の体を顔で薙ぎ払った。
とても軽い動作に見えたけど、大きな兵士の体は見事に吹っ飛んでった。
「馬鹿者!何をしている。早く馬を抑えろ!」
バルギーが倒れた兵士に怒鳴りながら、庇うように素早く俺と馬の間に立つ。
だけど何時の間にそばに来ていたのか、別の馬が俺の服を齧るとそのまま強く引っ張って、バルギーと俺を引き離してしまった。
『おぉ?!』
【ケイタは今我々と話しているんだ。邪魔をするな】
「あっ!こらっ!」
【ケイタ、こっちにおいで】
「うわっ、やめろっ」
【人間よりも、私たちと遊ぼう】
「こらっ、駄目だってっ」
焦ったように手綱を引っ張る兵士達などお構いなしに、彼らを引き摺ったまま馬達が俺の周りをぐるりと取り囲む。
何時の間にか、俺の視界は巨大な馬体で一杯だ。
「ケイタっ!お前達何をしているのだっ。自分の馬も抑えられないのかっ」
馬の向こうからバルギーの叱責と、兵達の焦ったような声が聞こえるけど、俺からは何も見えない。
【ほら、掻いてくれ】
外の喧騒など全く気にした様子もなく、さっきの馬が俺に顔を差し出す。
『あ、あぁ・・・。なぁ、良いのか?何か皆すごい騒いでるけど、お前ら怒られないか?』
刺さっていた藁を抜いて、そこを軽く掻いてやる。
【気にしなくていい。契約していても、気に入らなければ私達は耳を貸さない】
『そうなの?』
【あぁ。契約はあくまでも対等なもので主従関係ではないからな】
【お互い利益があっての関係だ。人間には脚を貸してやる代わりに、私達の世話をさせている】
あ、世話はして貰うんじゃなくて、させているってスタンスなのか。
なんか、竜の契約って思ってたのとちょっと違うな。
『契約関係って、もっと人間と竜の友情とか信頼とかそういうのだと思ってた』
【勿論、ある程度そういうものもあるがな】
順番に出される顔を撫でたり掻いてやったりしている間も、馬の向こう側でバルギー達が大騒ぎだ。
早く戻ってバルギー達を安心させてやりたいんだけど、馬達は一向に動く気配が無い。
『なぁ、何で顔を触ろうとしたら、皆あんなに慌てたんだ?』
仕方ないから、こいつらの気が済むまで付き合うか。
今のうちに聞きたいことは聞いておこう。
正直、バルギー達よりも馬達の方が言葉が通じるからな。
【我らは、人間に顔まわりを触られるのが余り好きでは無いからな】
【鼻の近くに手を出されると、臭いから嫌なんだ。必要以外では触らせない】
『あぁ、なるほど。俺は臭く無いから大丈夫ってことか』
【そうだ】
【契約したばかりの人間達は知らずにベタベタ触ってこようとする者もいるからな
。そう言う時はさっきみたいに、ちょっと躾けてやるんだ】
『躾け・・・・』
さっきの吹っ飛んでいった兵士の姿が蘇る。
倒れた後、痛そうに脇腹抑えてたよな。
俺だったら、死んでそう・・・・。
【竜と契約している人間は誰でも大体同じような経験をしているからな。ケイタが同じ目に合うとでも思ったのだろう】
『あー、成程な』
ようやく、皆の態度に合点がいく。
そりゃ、俺がいきなり手を出したら焦る訳だわ。
バルギーが馬に勝手に手を出すなって言ってたのは、そう言うことだったのか。
馬本人に許可取ればいいと思ってたけど、バルギー達から見たら俺はいきなり馬の危険ポイントに手を出したアホな訳だ。
後で、バルギーに怒られそうだな。
最初に注意されてたのに、俺はあっさり無視してこの騒ぎだ。
・・・・・よし、ここは言葉が分からなかったフリでもしとこう。
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―――
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