女勇者は「個人事業主」だから確定申告しなさい!

書記係K君

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2.冒険者は「個人事業主」となります。

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 それは今から数ヶ月前の出来事でした――

「こ、これは、ひょっとして……」

 目が覚めたら、私は見知らぬ建物の中にいた。
 石造りの壁に赤絨毯の敷かれた床、どこか古めかしい装飾品の数々にどこか中世ヨーロッパのお城っぽさを感じさせる――が、きっとそうじゃない。周囲を見れば私と同様にキョロキョロと見回したり、呆然とする人達がいた。
 ……うん。この状況は「物語の幕開け」として王道だよね。

 そこまで考えたところで、は扉を開けて部屋に入ってきた。
 どこか銀行のOLさんを想像させる民族衣装。片眼鏡がとてもオシャレな感じ。雪のように白い肌。輝くような碧色みどりの瞳。サラッとした蜂蜜色の金髪。

 そして――

 ファンタジー小説などに登場する、典型的な「エルフ」のお姉さんだった。私の推測が確信に変わると同時に、エルフのお姉さんは静かに告げた。

「ようこそ、異世界から参られた『冒険者』の皆さま。
 お逢いして早々にお願い申し上げるのは大変心苦しいのですが、
 どうか我々の住まう、この異世界『リーフエンド』をお救い下さいませ」


 こうして私は「女子高校生」から「女勇者」に転職ジョブ・チェンジしたのであった――


◇◆◇◆◇◆◇

 先ほど登場したエルフの女性、冒険者労働組合『ギルド』の職員キノミナさんの説明してくれた内容は――私のよく知ってるものとほぼ同じだった。

 この異世界『リーフエンド』では、およそ一千年前から「闇の精霊」に精神汚染された「魔物モンスター」が出現する様になった。この異世界の住人である「エルフ族」は精霊魔法を使って「魔物モンスター」と戦っていたが、もともと長寿が故に繁殖能力の低かった少数民族のエルフ達は衰退の一途を辿る。エルフ達は悩んだ末、この世界を救ってくれる者を異世界から召喚する事にした。
 それが私たち、異世界からの転移者――通称『冒険者』との事である。

 私たち『冒険者』には個々に「レベル」が設定されている。モンスターを倒すと「経験値」を獲得して、一定基準を満たすと「レベル」が上がる。「レベル」が上がると身体能力などの「ステータス」が上昇して、さらに「職業」に応じて「スキル」を習得または強化する事ができる。
 また、この異世界には『冒険者』を支援する冒険者労働組合『ギルド』がある。『ギルド』から「依頼クエスト」を受注して達成すると、成功報酬が得られたり、業績評価として「冒険者ランク」が付与される。などなど…。

 ――うん。ここまでは「異世界転移ファンタジー」の王道だね。本当にRPGみたいだなぁ。
 しかもこの異世界『リーフエンド』には、私たちの『地球』とは別の異世界から召喚された転移者もいるらしい。つまり、狩猟を得意とする獣耳&尻尾の生えた「ヴァーナ族」、明るく陽気な小人の「フィルボル族」、高度な錬金術と頑強な体躯を誇る職人気質の「ドワーフ族」にも会えるのだ。おぉ~オラわくわくすっぞ。

 「異世界転移ファンタジー」の主人公のように異世界で生活を営み、人と出逢い、冒険する。
 そう考えるだけで、私は胸の鼓動が高鳴るのを感じた――のだが、エルフのお姉さんが最後に全く聞き覚えのない「設定」を説明した事で私の思考は急停止した。



「尚、冒険者は『個人事業主』となります。
 最初の冒険から1ヶ月以内に『開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)』を
 作成して、早めに『ギルド』までご提出下さい」



<次回につづく…!>
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