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7.ペガサス「お客さんどちらまで?」女勇者「前の車(ドラゴン)を追って下さい」
しおりを挟む◆冒険者労働組合『ギルド』の相談窓口――
男商人「こんにちわ、相談係さん」
相談係「これは商人様、どうもご無沙汰しております」
女勇者「やっほ~相談係さん、また来たよ♪」
相談係「これは女勇者様、どうぞお疲れの出ませんように」
女勇者「うふふ、異世界美女の塩対応……我々の業界ではご褒美です」
男商人「やめろ女勇者、相談係さんが火竜変化しそうな微笑みを浮べて
いるぞ」
相談係「ご安心下さいませ……範囲攻撃は使わないように致しますわ」
男商人「ならば良し。焼き加減は丹念によろしく」
女勇者「おもしろい冗談ですねぇ~商人の腕は離しませんよぉ~?」
男商人「今日は相談係さんに、この案件を相談したくて来たんだ」
相談係「この業務依頼書……ご相談の内容は「天翼馬に供した青薬草
の購入代に関して」でございますか? その件につきましては
すでに女勇者様からお話を伺いましたが、残念ながら――」
男商人「まあ、とりあえず商人の考えを聞いてくれないか? この運搬
系案件は、納品先が遠い上にかなりの短納期だ。業務遂行のた
めには天翼馬の移動能力が必要だったと考えている。つまり、
この業務遂行において天翼馬は……とても大切な「協業相手」
ということだ」
女勇者「びじねす……ぱーとなぁ?」
相談係「……なるほど。どうぞ続きを」
男商人「一方、思慮深い天翼馬は人里の喧噪を嫌うと聞くけど?」
相談係「その通りですわ。故に、物静かな天翼馬と交流を持ち、親交を
深めることは我々のみならず、冒険者でも至難の業だと言える
でしょう」
男商人「だよな。そうすると……女勇者が手渡す青薬草を天翼馬が食べ
たというのは、すごく珍しいことなんだろ?」
相談係「はい、その通りですわ」
女勇者「え~と、あの、それが何なの?」
男商人「つまりだ。女勇者が天翼馬に手渡しで青薬草を食べさせたこと
は……業務遂行において必要不可欠な「親交を深める行為」だ
ったと考えている」
女勇者「え? え?」
相談係「まさか、つまり商人様は――」
男商人「おう。今回の青薬草の購入代は……とても大切な協業相手で
ある天翼馬との親交を深めるために支出した「接待交際費」だ
と主張する!」
女勇者「な、何ですとー!?」
※接待交際費とは
得意先や仕入れ先など、事業に関係する者等に対する接待・供応・
慰安・贈答その他これらに類する行為のための支出を計上する勘定科目。
例:飲食代、香典などの慶弔代、お中元・お歳暮などの贈答代、見舞金など
相談係「……」
女勇者「いやいや商人さん、いくら何でも動物に対する「接待交際費」
が許されるわけ――」
相談係「わかりました。「接待交際費」であれば経費として認めますわ」
女勇者「え、えええーっ!?」
男商人「それは良かった。正直、否認されるかと緊張したよ」
相談係「あら、ご謙遜を。さすが商人様ですわ……天翼馬などの神聖な
霊獣を動物や荷馬車と同列に考えては決して至らぬ発想です」
女勇者「あ、そうか。異世界では神聖な霊獣を人間と対等の関係だと
考える……だから「接待相手」に成りえるってこと?」
男商人「そういうことだ。冷静に考えてみればさ……日本の常識や簿記
が、異世界の常識に合致するとは限らないよな。今回は商人も
良い勉強になったよ」
相談係「そうですわね。冒険業を営む上で、異世界の価値観をご理解
頂きますと経理面は楽になりますわよ?」
男商人「ちなみに「接待交際費」は公私混合されやすい費目だから、
領収書の裏面にでも「年月日、接待相手の氏名、用件など」
を記録しておくと良いぞ」
女勇者「なるほど。いやぁ~女勇者は「接待交際費」と聞くと「取引先
のお偉いさんと歓楽街で豪遊する」みたいな悪い印象があった
ですよ。ちゃんと経費になるんですねぇ……」
相談係「きちんと要件を満たせば「接待交際費」も立派な経費ですわ」
女勇者「ふむふむ。……ねぇねぇ商人さん、ひょっとして商人さんとの
食事代とかも仕事仲間との交流として「接待交際費」になっ
ちゃいますか♪(←ヒソヒソ声)」
男商人「あのなぁ……過剰な「接待交際費」の増額は、税務調査の可能
性を高めるから気をつけような?」
女勇者「あう、やっぱり最後は税務署ですか……」
相談係「今、何か仰いましたでしょうか?(ゴゴゴッ)」
女勇者「ひゃい!?」
男商人「あ、こらっ女勇者、商人を盾にするな!?」
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