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レイは立ち会う
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王都の新しい館も雑貨屋2号店も完成して、レイ達は荷物を運び入れた。
「棚が埋まるか心配だったけど、いい感じに小洒落た店になったね」
2号店では古い服は並べない替わりに、ウィステリア染めの布に刺繍をさした小物がおかれる。経験の浅いお針子が刺したもので、王都で購入されれば彼女たちの収入にも、自信につながる。
「お前は本当に領も領民も大好きだよな」
「当たり前でしょ。領主なんだし自分がずっと住みたい場所にしていくよ」
「レイ様、薬の確認お願いします」
ポールもエヴァも張り切って準備していた。
「王都では風邪や腹痛、胃痛とか内科系の薬を多めに準備して」
騎士団内にも守備隊にも薬草士は常駐しているので傷薬は領ほどには必要ない。
開店準備をしているとお腹の大きくなってきたブリジットが訪ねて来た。
「レイ、あとで診療所にも顔出してね」
「お世話になるよ。よろしくね」
投薬まで必要のない者はレイの民間療法も取り入れられる。
「この間、授乳中の母親にキャベツの葉をシップ代わりに渡したでしょう。半信半疑だったけど乳房の痛みが取れたって喜んでたわ」
「雑貨屋に来ていた母親から聞いたんだよ、その人も改善してよかった」
女医は少ないのでブリジットを頼る女性は多い。現在妊娠中のブリジットだが子が産まれても診療を続ける。
「妊婦さんにオススメの鉄分、ビタミン補給のブレンドティー。飲みすぎないでね」
レイが紙袋をブリジットに渡した。
「オリビアも飲んでいたお茶ね。ありがとう」
ブリジットは優しくなでながら、お腹の子に語り掛けた。
手伝いをしていたアナもブリジットに触らせてとそっと手を当てた。
「動いた! ブリジット伯母様! 今動いた!」
「すごく元気なの。男の子かな? あと少しよ、楽しみだわ」
またねとブリジットが腰をさすりながら帰って行った。
開店の日。グレースに作ってもらった白衣風の制服を身に着けたポールとエヴァが、緊張した様子でカウンターに立っていた。
「いらっしゃいませだけでいいのかな」
カチコチに固まったエヴァはポールに小声で確認する。
「ウィステリアと変わらないよ。貴族様がきても第一声はいらっしゃいませだ」
やや緊張気味のポールだがエヴァには気づかれないよう平静を装っている。
「そうよね。がんばりましょう」
カランカラン、ドアのベルが鳴る。
「いらっしゃ…」
「こちらはレイモンド様の新しいお店ですわね。お祝いをお持ちしました」
顔が隠れるほどの大きな赤い花束を持った、赤髪のご令嬢が入ってきた。
「いらっしゃいませ?」
「これがレイモンド様ご愛用の入浴剤かしら。これいただくわ。あとこれも…」
カウンターに次々と商品がおかれ、赤髪のご令嬢は支払いを済ますと見つからないうちにと言って、そそくさと帰った。
「…ありがとうございました」
「第1号のお客様よね。すごく急いでいたけど、見つからないうちにって何?」
「あっ、レイ様。今貴族のお嬢様からこれをいただきましたよ」
「見ていたよ。馬車の紋章みて隠れてた。花は外の目立たないところに飾っておいて」
目立たないところってどこ? まあいいか。
その日は1日レイも店に立ち、祝いを持ってきた貴族や通りがかりにのぞきにきた客の対応をした。
「初日にしては売上上々だ。しばらくは僕も店に出るよ。僕がいないときはフローレンスに来てくれるよう言ってあるから心配しないで」
「良かった。貴族様が来るとすごく緊張します」
「慣れだよ。困った貴族客が来たら顧客名簿に書かせるか、名前聞いておいてね」
「聞いてどうするんだ?」
荷物運びに駆り出されているヴィンが聞く。
「聞くだけで大方の者は黙ると思うよ。ここ王族経営の店だから」
「さすが姐さん。でも困ったらいつでも言いな。俺も黙らせる方法は知っているから」
同じく駆り出されたハリーも手を休め、いつでも頼れと親指を立てる。雑貨屋の両隣がこの国の2大公爵の住まいだと知らない貴族はいないが、どこにでも困ったさんはいる。やっぱり貴族様は怖いなと思うポールとエヴァだった。
朝から酷い嵐の日。雨風が窓を打ち付ける。
客は来れないだろう。レイが店じまいを始めていると、レオンの屋敷から遣いがきた。
「レイモンド様、ブリジット様が破水されました。すぐに来ていただけないでしょうか」
「産婆はどうしたの? 僕では役に立たないよ。それに少し予定日より早くないか?」
「実は産婆の孫娘がちょうど予定日で一昨日から出かけているのです。遣いをだしましたが、この嵐では明日の朝になるかもしれません」
「とりあえず行こう。ヴィン、フローレンスを連れてきてほしい」
「わかった。先に行ってくれ」
大雨の中レイは隣の兄の屋敷に向かった。
「レイ、少し早いけど陣痛が始まっているわ。お産婆さんがくるまでここにいてくれると助かる」
「わかった。初産だからすぐにお産はすすまないよ。到着までに準備をしておこう」
「こんなことならオリビアの時に立ち会ってもらえば良かったわ」
「無理だよ。僕でも倒れる。さあ楽にしていて」
「レイ、私はどうしたらいいのかな?」
「レオ兄様はブリジットの側にいてくれればいいよ」
「わかった。ブリジット、痛いのか? 我が子には会いたいがこれは辛そうだな」
レオンはどうしていいかわからず、途方にくれている。
「大丈夫ですよ。腰をちょっと強めに押して…そう楽になるわ」
レイは脈をとり、陣痛の間隔を計り、清潔なタオルなどを用意させた。
「何か食べられそうなら、口に入れた方がいいよ」
小さく切ったサンドイッチと水を差し出す。
陣痛の間隔が狭まるがまだ大丈夫。一応レイも白衣を着ている。
「まだ着かないのか」
レオンは焦りが隠せない。時間がたつのが遅い気がする。
「外も明るくなってきたね。雨も小やみだし、もうすぐ着くよ」
レイも実は焦っていた。このまま産婆が来なければ、妊婦のブリジットに聞きながら取り上げるしかない。
男性医師ではどうしても嫌だとブリジットが呼ばせない。なら自分は? 家族だからいいのだと言う。知らない産婆も嫌だと言われたらどうしようもない。
朝になり痛みの間隔がさらに短くなる。
「レイ…もう限界かも…レオン様は部屋をでて」
「フローレンス入って。消毒薬を僕の腕から指先までかけて欲しい」
「わかりました」
同じく白衣を着たフローレンスが大きな瓶を抱えて入ってきた。入れ替わるようにレオンが出ていく。出産経験のある侍女も手伝いに呼ばれた。
「レイ、みんなもお願いね」
子宮口の開き具合を確認したレイがいよいよだと皆に伝える。
「ブリジットが落ち着いていて助かる。じゃゆっくり呼吸して」
ぎりぎりまでがまんして、いきむタイミングは出産経験のある侍女がだした。
レイは頭が見えて来たとブリジットに伝える。
「ブリジット、赤ちゃんにもうすぐ会えるよ」
励ますことしかできない。
ブリジットが痛みに耐え、大粒の汗を流しながらいきむ。
「肩が出てくる、もうすぐ…」
清潔なタオルを広げ、赤子を受け取ろうとレイは待ち構えた。
その時ばたんとドアが開き、産婆が入ってきた。
「お婆ちゃん待ってたよ!! あとはお願い」
「ここまでついていたなら、最後までいなさい」
安堵したレイが部屋から出ようとすると、ベテラン産婆のルイーゼがレイを呼び止める。ブリジットもいてくれというので側で見守ることにした。
それからはあっという間だった。
「産まれた…」
まだへその緒がつながったままの赤子をみて、レイは一言しか出ない。
その後タオルに包まれた赤子が泣き出した。
「早く顔見せて」
涙を流すブリジットはもう痛みを忘れている。
「処置が終わるまで外に出ていなさい。母子共に無事とレオン様に伝えてきておくれ」
産婆に言われレイは白衣も脱がず、廊下へ出た。
「レイ! 泣き声が聞こえたがどっちだ?」
放心状態のままレイがレオンに報告する。
「男の子」
「もう入ってもいいですよ」
にこにこと笑ったフローレンスが呼びに来た。
レオンが素早く中へ入ると、廊下まで歓喜の声が聞こえた。
「棚が埋まるか心配だったけど、いい感じに小洒落た店になったね」
2号店では古い服は並べない替わりに、ウィステリア染めの布に刺繍をさした小物がおかれる。経験の浅いお針子が刺したもので、王都で購入されれば彼女たちの収入にも、自信につながる。
「お前は本当に領も領民も大好きだよな」
「当たり前でしょ。領主なんだし自分がずっと住みたい場所にしていくよ」
「レイ様、薬の確認お願いします」
ポールもエヴァも張り切って準備していた。
「王都では風邪や腹痛、胃痛とか内科系の薬を多めに準備して」
騎士団内にも守備隊にも薬草士は常駐しているので傷薬は領ほどには必要ない。
開店準備をしているとお腹の大きくなってきたブリジットが訪ねて来た。
「レイ、あとで診療所にも顔出してね」
「お世話になるよ。よろしくね」
投薬まで必要のない者はレイの民間療法も取り入れられる。
「この間、授乳中の母親にキャベツの葉をシップ代わりに渡したでしょう。半信半疑だったけど乳房の痛みが取れたって喜んでたわ」
「雑貨屋に来ていた母親から聞いたんだよ、その人も改善してよかった」
女医は少ないのでブリジットを頼る女性は多い。現在妊娠中のブリジットだが子が産まれても診療を続ける。
「妊婦さんにオススメの鉄分、ビタミン補給のブレンドティー。飲みすぎないでね」
レイが紙袋をブリジットに渡した。
「オリビアも飲んでいたお茶ね。ありがとう」
ブリジットは優しくなでながら、お腹の子に語り掛けた。
手伝いをしていたアナもブリジットに触らせてとそっと手を当てた。
「動いた! ブリジット伯母様! 今動いた!」
「すごく元気なの。男の子かな? あと少しよ、楽しみだわ」
またねとブリジットが腰をさすりながら帰って行った。
開店の日。グレースに作ってもらった白衣風の制服を身に着けたポールとエヴァが、緊張した様子でカウンターに立っていた。
「いらっしゃいませだけでいいのかな」
カチコチに固まったエヴァはポールに小声で確認する。
「ウィステリアと変わらないよ。貴族様がきても第一声はいらっしゃいませだ」
やや緊張気味のポールだがエヴァには気づかれないよう平静を装っている。
「そうよね。がんばりましょう」
カランカラン、ドアのベルが鳴る。
「いらっしゃ…」
「こちらはレイモンド様の新しいお店ですわね。お祝いをお持ちしました」
顔が隠れるほどの大きな赤い花束を持った、赤髪のご令嬢が入ってきた。
「いらっしゃいませ?」
「これがレイモンド様ご愛用の入浴剤かしら。これいただくわ。あとこれも…」
カウンターに次々と商品がおかれ、赤髪のご令嬢は支払いを済ますと見つからないうちにと言って、そそくさと帰った。
「…ありがとうございました」
「第1号のお客様よね。すごく急いでいたけど、見つからないうちにって何?」
「あっ、レイ様。今貴族のお嬢様からこれをいただきましたよ」
「見ていたよ。馬車の紋章みて隠れてた。花は外の目立たないところに飾っておいて」
目立たないところってどこ? まあいいか。
その日は1日レイも店に立ち、祝いを持ってきた貴族や通りがかりにのぞきにきた客の対応をした。
「初日にしては売上上々だ。しばらくは僕も店に出るよ。僕がいないときはフローレンスに来てくれるよう言ってあるから心配しないで」
「良かった。貴族様が来るとすごく緊張します」
「慣れだよ。困った貴族客が来たら顧客名簿に書かせるか、名前聞いておいてね」
「聞いてどうするんだ?」
荷物運びに駆り出されているヴィンが聞く。
「聞くだけで大方の者は黙ると思うよ。ここ王族経営の店だから」
「さすが姐さん。でも困ったらいつでも言いな。俺も黙らせる方法は知っているから」
同じく駆り出されたハリーも手を休め、いつでも頼れと親指を立てる。雑貨屋の両隣がこの国の2大公爵の住まいだと知らない貴族はいないが、どこにでも困ったさんはいる。やっぱり貴族様は怖いなと思うポールとエヴァだった。
朝から酷い嵐の日。雨風が窓を打ち付ける。
客は来れないだろう。レイが店じまいを始めていると、レオンの屋敷から遣いがきた。
「レイモンド様、ブリジット様が破水されました。すぐに来ていただけないでしょうか」
「産婆はどうしたの? 僕では役に立たないよ。それに少し予定日より早くないか?」
「実は産婆の孫娘がちょうど予定日で一昨日から出かけているのです。遣いをだしましたが、この嵐では明日の朝になるかもしれません」
「とりあえず行こう。ヴィン、フローレンスを連れてきてほしい」
「わかった。先に行ってくれ」
大雨の中レイは隣の兄の屋敷に向かった。
「レイ、少し早いけど陣痛が始まっているわ。お産婆さんがくるまでここにいてくれると助かる」
「わかった。初産だからすぐにお産はすすまないよ。到着までに準備をしておこう」
「こんなことならオリビアの時に立ち会ってもらえば良かったわ」
「無理だよ。僕でも倒れる。さあ楽にしていて」
「レイ、私はどうしたらいいのかな?」
「レオ兄様はブリジットの側にいてくれればいいよ」
「わかった。ブリジット、痛いのか? 我が子には会いたいがこれは辛そうだな」
レオンはどうしていいかわからず、途方にくれている。
「大丈夫ですよ。腰をちょっと強めに押して…そう楽になるわ」
レイは脈をとり、陣痛の間隔を計り、清潔なタオルなどを用意させた。
「何か食べられそうなら、口に入れた方がいいよ」
小さく切ったサンドイッチと水を差し出す。
陣痛の間隔が狭まるがまだ大丈夫。一応レイも白衣を着ている。
「まだ着かないのか」
レオンは焦りが隠せない。時間がたつのが遅い気がする。
「外も明るくなってきたね。雨も小やみだし、もうすぐ着くよ」
レイも実は焦っていた。このまま産婆が来なければ、妊婦のブリジットに聞きながら取り上げるしかない。
男性医師ではどうしても嫌だとブリジットが呼ばせない。なら自分は? 家族だからいいのだと言う。知らない産婆も嫌だと言われたらどうしようもない。
朝になり痛みの間隔がさらに短くなる。
「レイ…もう限界かも…レオン様は部屋をでて」
「フローレンス入って。消毒薬を僕の腕から指先までかけて欲しい」
「わかりました」
同じく白衣を着たフローレンスが大きな瓶を抱えて入ってきた。入れ替わるようにレオンが出ていく。出産経験のある侍女も手伝いに呼ばれた。
「レイ、みんなもお願いね」
子宮口の開き具合を確認したレイがいよいよだと皆に伝える。
「ブリジットが落ち着いていて助かる。じゃゆっくり呼吸して」
ぎりぎりまでがまんして、いきむタイミングは出産経験のある侍女がだした。
レイは頭が見えて来たとブリジットに伝える。
「ブリジット、赤ちゃんにもうすぐ会えるよ」
励ますことしかできない。
ブリジットが痛みに耐え、大粒の汗を流しながらいきむ。
「肩が出てくる、もうすぐ…」
清潔なタオルを広げ、赤子を受け取ろうとレイは待ち構えた。
その時ばたんとドアが開き、産婆が入ってきた。
「お婆ちゃん待ってたよ!! あとはお願い」
「ここまでついていたなら、最後までいなさい」
安堵したレイが部屋から出ようとすると、ベテラン産婆のルイーゼがレイを呼び止める。ブリジットもいてくれというので側で見守ることにした。
それからはあっという間だった。
「産まれた…」
まだへその緒がつながったままの赤子をみて、レイは一言しか出ない。
その後タオルに包まれた赤子が泣き出した。
「早く顔見せて」
涙を流すブリジットはもう痛みを忘れている。
「処置が終わるまで外に出ていなさい。母子共に無事とレオン様に伝えてきておくれ」
産婆に言われレイは白衣も脱がず、廊下へ出た。
「レイ! 泣き声が聞こえたがどっちだ?」
放心状態のままレイがレオンに報告する。
「男の子」
「もう入ってもいいですよ」
にこにこと笑ったフローレンスが呼びに来た。
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兄の料理の腕におばさん軍団から優しくしてもらったり、姉の外見でおっさんたちから優遇してもらったり、小次郎がうっかりワイバーン討伐しちゃったり。
え? 私の「手芸創作」ってそんなことができちゃうの?
そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。
※更新は不定期です
※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています
※ゆるい設定でなんちゃって世界観で書いております。
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