生い立ち他

ゆら

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4.生い立ち1 いじめられた過去

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 私は、小学生の頃、クラスの男子にいじめられていた。



口癖のように吐かれる暴言の数々



あからさまに避けられたり、嫌な顔をされる。



傍から見れば、ただのおふざけ。悪ノリの延長線。



気づいていても、沈黙を貫く傍観者たち。



小さな少女にとって、



たかだか30人くらいしかいない教室が、



この世界の全てだった。



外には広い世界が広がっていることなど、



想像できるわけがなかった。



私はひとりで全部抱え込んでしまう不器用な性格だった。



親にも友達にも悟られぬように、作り笑顔で泣きっ面を上書きして過ごした。



誰にも言えず、ひとりで声を押し殺して泣いた。



私が辛い思いをしていることなんて気づかれなかった。



誰にも知られないことに少しだけ安堵した。



でも、本当は誰かに助けてほしかった。



その頃の私にとって、助けを求めることも、泣いて縋り付くことも恥でしかなかった。



自分が弱い人間だと認めることだと思い込んでいた。



笑顔で学校に行き、暴言を吐かれても笑顔で受け流しているフリをして、笑顔で帰宅する。



偽りの仮面を四六時中つけっぱなしにする日々が続いた。



しかし、そんなのはいずれ限界がくる。



私はこの世界でいらない人間なんだと思い込み、本気で死のうかと思った。



…あの近所のマンション古くて、今どきの割にセキュリティーガバガバなんだよな。



誰でも最上階へ上がれてしまう。



…最上階からの景色きれいだったな……




プツン




私は怖くなって、そこで初めて助けを求めた。



小さな心で大きな勇気を振り絞った。



学生生活アンケートで、私は担任に辛い思いをしていることを告げた。



涙を浮かべながら、話を聞いてくれた。



担任はすぐに私の親に連絡した。




家に帰ると、母が気づけなくてごめんねと言ってきた。



私が死んでも誰も悲しまないと思ったと言うと、そんなこと絶対にないと抱きしめられた。



私はそこで初めて自分が愛されていることを知った。



担任はクラスの男子を集め、話をして、いじめは一時的に収まった。



大人に言ってもどうせ何も変わらない。そう思っていた私はこんなにすぐに収まるとは思わなかった。



人を頼るということを11歳の少女は学んだ。
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