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第1章 幕開けは復讐から
5 愛する弟
◇
「んん……いま何時……?」
寝起きは頭が回らない。でもかなり、かなーり寝た気がする。精霊は飲食不要なので時間を忘れて寝続けてしまった。俺は前世から人間としての強制的な機能が無ければ、本当に文字通りいつまででも寝ていられるくらいだった。眠ると色々すっきりするから良いんだよ。暇さえあれば寝てるか読書をしていた。そういえば宮にもそれぞれ書庫があったよね?
ぼんやりと立ち上がり、廊下に出て精霊に時間を聞いてみると俺が眠ってから半年経ったらしい。起こされなかった理由はずっと忙しくしていたからだってさ。たしかに転生初日、俺は廊下で寝ててルーに注意された。廊下で寝てしまうくらい疲れていたんだろうね。
だとしてもすごいねー? ずっと寝てたよ。この世界は前世と似ている所が多いから、時間や日付けが分かりやすい。俺のいた世界からの転生者に優しいね。
「お腹は空かないけど人間は食事を必要としてたから……少しだけ、何か食べたいな……でも水の宮に食べ物あったっけ?」
厨房はあるけどどうなんだろ? とりあえず、食料があるか分からないし確認するのが面倒だから諦めることにした。精霊達と戯れながら宮内を散策してみる。暇だからね。宮はかなりの広さがあるから一人で住むには寂しくなると思うんだけど、精霊達はいつでも入れるようにしてあるからその辺りは問題ない。立ち入り禁止にしてる時もあるけど。
宮の中には空気がある。結界を張ってあるからガラス窓とは違うんだけど、ガラス窓よりも透明度は高いよ。廊下に出れば海の中が見れるようになってる。精霊がちゃんと管理してるから前世ではネットでも見たことがないくらい綺麗なんだよ。魚もたくさんいるし、精霊も泳いだりして遊んでる。
「海といえば……直人くん、元気にしてるかなー……」
直人というのは俺の弟。俺が助けた子のことね。幼い……と言っても、俺が死んだ時点で十二歳だった。五歳差だったから俺からしたら可愛い弟だったよ。二人兄弟でかなり仲が良かったと思う。直人くんには俺のことなんて忘れて良いから幸せに生きてほしいなー。直人くんだけじゃなくて父さんと母さんもだけどね。家族仲は本当に良かった。
でも愛されていたのを知ってるからね、悲しんでるだろうなーとも思う。親孝行出来なかったのは申し訳ない。直人くんとももっと遊んであげたかったし、彼が大人になるまで一緒にいたかったよ。この前アルフォンスくんを助けたのも、一番は直人くんと年齢が近そうで姿が重なったからなんだよね。もちろん見殺しにしたくないって気持ちもあった。
……そっか、もう会えないんだね。父さんにも母さんにも直人くんにも。こうして考えてみると悲しいねぇ。半年経って眠っていただけではあるけど、ある程度時間が経過することでやっと現実を受け止められたって感じかなー?
「……ナギサ、さま」
「ん? どうしたの、ルー」
起きてからずっと海を見ながら宮の中を散歩してたけど、まだまだ終わりが見えない。前から歩いてきたルーがふと俺の前で立ち止まり、酷く動揺した様子で心配そうな顔をしていた。子供は笑ってるのが一番だよ? 子供に悲し気な顔は似合わないからさ。
「大丈夫……ですか?」
「何が?」
「その、涙が……」
涙……? え………なんで、俺は泣いてなんて……
「……っ! ……あはは、大丈夫だよ? ちょっと眠くて欠伸しただけー。君はまた遊んでおいで」
「んん……いま何時……?」
寝起きは頭が回らない。でもかなり、かなーり寝た気がする。精霊は飲食不要なので時間を忘れて寝続けてしまった。俺は前世から人間としての強制的な機能が無ければ、本当に文字通りいつまででも寝ていられるくらいだった。眠ると色々すっきりするから良いんだよ。暇さえあれば寝てるか読書をしていた。そういえば宮にもそれぞれ書庫があったよね?
ぼんやりと立ち上がり、廊下に出て精霊に時間を聞いてみると俺が眠ってから半年経ったらしい。起こされなかった理由はずっと忙しくしていたからだってさ。たしかに転生初日、俺は廊下で寝ててルーに注意された。廊下で寝てしまうくらい疲れていたんだろうね。
だとしてもすごいねー? ずっと寝てたよ。この世界は前世と似ている所が多いから、時間や日付けが分かりやすい。俺のいた世界からの転生者に優しいね。
「お腹は空かないけど人間は食事を必要としてたから……少しだけ、何か食べたいな……でも水の宮に食べ物あったっけ?」
厨房はあるけどどうなんだろ? とりあえず、食料があるか分からないし確認するのが面倒だから諦めることにした。精霊達と戯れながら宮内を散策してみる。暇だからね。宮はかなりの広さがあるから一人で住むには寂しくなると思うんだけど、精霊達はいつでも入れるようにしてあるからその辺りは問題ない。立ち入り禁止にしてる時もあるけど。
宮の中には空気がある。結界を張ってあるからガラス窓とは違うんだけど、ガラス窓よりも透明度は高いよ。廊下に出れば海の中が見れるようになってる。精霊がちゃんと管理してるから前世ではネットでも見たことがないくらい綺麗なんだよ。魚もたくさんいるし、精霊も泳いだりして遊んでる。
「海といえば……直人くん、元気にしてるかなー……」
直人というのは俺の弟。俺が助けた子のことね。幼い……と言っても、俺が死んだ時点で十二歳だった。五歳差だったから俺からしたら可愛い弟だったよ。二人兄弟でかなり仲が良かったと思う。直人くんには俺のことなんて忘れて良いから幸せに生きてほしいなー。直人くんだけじゃなくて父さんと母さんもだけどね。家族仲は本当に良かった。
でも愛されていたのを知ってるからね、悲しんでるだろうなーとも思う。親孝行出来なかったのは申し訳ない。直人くんとももっと遊んであげたかったし、彼が大人になるまで一緒にいたかったよ。この前アルフォンスくんを助けたのも、一番は直人くんと年齢が近そうで姿が重なったからなんだよね。もちろん見殺しにしたくないって気持ちもあった。
……そっか、もう会えないんだね。父さんにも母さんにも直人くんにも。こうして考えてみると悲しいねぇ。半年経って眠っていただけではあるけど、ある程度時間が経過することでやっと現実を受け止められたって感じかなー?
「……ナギサ、さま」
「ん? どうしたの、ルー」
起きてからずっと海を見ながら宮の中を散歩してたけど、まだまだ終わりが見えない。前から歩いてきたルーがふと俺の前で立ち止まり、酷く動揺した様子で心配そうな顔をしていた。子供は笑ってるのが一番だよ? 子供に悲し気な顔は似合わないからさ。
「大丈夫……ですか?」
「何が?」
「その、涙が……」
涙……? え………なんで、俺は泣いてなんて……
「……っ! ……あはは、大丈夫だよ? ちょっと眠くて欠伸しただけー。君はまた遊んでおいで」
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