14 / 100
真夏の夜、花火の下で②
「二人共、浴衣可愛いね」
眩しいカズさんスマイル付きで言われたら卒倒しそう。
「凛香ちゃんは色っぽいし、輝子ちゃんは清楚で良いね。髪飾りも可愛い」
可愛いと言われ慣れてなくてあたふたする私の代わりに凛ちゃんが応える。
「ありがとうございます。カズさんも素敵です」
「そう?嬉しいな」
きっとカズさんも格好良いとか、素敵だとか言われ慣れてるんだろう。
凛ちゃんの(微塵にも思っていない)褒め言葉を受けても特に照れたりせず、普通に流している。
「先に出店覗く?それとも、漣を冷やかしに屋台パレードやってる通りに行ってみる?」
カズさんの問いを受け、私が「りんご飴が食べたい」と言う前に、凛ちゃんに先を越される。
「高瀬冷やかしに行こうよ」
これまた「くぅ~!」だ。
花火会場付近は交通規制がされていて、歩行者天国として解放されていた。
夏休み中だからか、浴衣や甚平を着た女の子の集団や、Tシャツ短パンの男の子の集団が目立つ。
当然、仲睦まじいカップルも多数。
チッ………と胸の内で舌打ちしながら、高瀬さんが居ると思われる通りを目指す。
「わっ、あの人カッコイイー」
「超イケメン!」
擦れ違う女子達がカズさんを必ず二度見する。
そんな人と一緒に歩いている私の鼻はとてつもなく高い。
でしょ?でしょ?超イケメンなんだから!と、ほくそ笑んでいたりする。
「どっちが彼女?」
「えっ、美人な方に決まってんじゃん」
これには思わずムッ。
確かに凛ちゃんの方がカズさんの彼女っぽいけど、凛ちゃんには心に決めた人(あの冴えない男)がいる。
カズさんの彼女になるのは私。
こうなれば良くある、普通の女の子
のヒロインと誰もが羨むイケメンの組み合わせが出来上がる。
カズさんに俺様気質があれば、尚更完璧なんだけど。
「確か……漣の町内は船の形した黒っぽい山車だって言ってたけど…」
カズさんが目の前にズラリと並ぶ山車を前にキョロキョロ。
「凄い数………迫力ありますね」
思っていたより大きい山車に圧倒される。
山車のデザインは其々で、船の形をしたもの、神様を模した像が飾られているもの、やたら金ピカしているもの……とにかく様々。
「人も多いですね…」
山車の周りには、着物や法被を着た男衆がわらわら居て、笛をピーヒャラ吹いたり、太鼓をドンドコ叩いたりしている。
とても賑やかだ。
「取り敢えず………片っ端から探してく?」
「うーん……そうしますか…」
別に高瀬さんなんかどうでも良い私は、さっさと出店で食べ物を調達して、花火が良く見えるスポットに移動したい。
けど、凛ちゃんがなぁ…
人並みを掻き分けながら、高瀬さんの姿を探す。
折角の浴衣とヘアアレンジが崩れてしまいそうだ。
無理に進まなくても……と思いながらも、高瀬さんを探す凛ちゃんの気迫を前に何も言えなくて。
「あ、漣発見!」
辺りがまだ明るかった為、直に高瀬さんに遭遇。
「カズに………楠木に輝子ちゃん……マジで来たの?」
驚く高瀬さんは、時代劇に出てくる火消し野郎みたいな格好に法被を羽織っていた。
副総代と書かれた襷を掛け、町名が入った提灯を持っている。
「漣、ビシッと決まってんじゃん」
「まぁ、今年は副総代任されてるもんで」
気合いの現れなのか、前髪を逆立てて、幅の広い鉢巻きを巻いている高瀬さん。
そして、やっぱり目が細い。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
【完結】泡になった約束
山田森湖
恋愛
三十九歳、専業主婦。
夫と娘を送り出し、静まり返ったキッチンで食器を洗う朝。
洗剤の泡が立っては消えるその繰り返しに、自分の人生を重ねながら、彼女は「ごく普通」の日常を受け入れている。
愛がないわけではない。けれど、満たされているとも言い切れない。
そんな午前中、何気なく出かけたスーパーで、背後から名前を呼ばれる。
振り返った先にいたのは、かつて確かに愛した男――元恋人・佐々木拓也。
平穏だったはずの毎日に、静かな波紋が広がり始める。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。