ヒロインになりたい!!

江上蒼羽

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真夏の夜、花火の下で②



「二人共、浴衣可愛いね」


眩しいカズさんスマイル付きで言われたら卒倒しそう。


「凛香ちゃんは色っぽいし、輝子ちゃんは清楚で良いね。髪飾りも可愛い」


可愛いと言われ慣れてなくてあたふたする私の代わりに凛ちゃんが応える。


「ありがとうございます。カズさんも素敵です」

「そう?嬉しいな」


きっとカズさんも格好良いとか、素敵だとか言われ慣れてるんだろう。

凛ちゃんの(微塵にも思っていない)褒め言葉を受けても特に照れたりせず、普通に流している。


「先に出店覗く?それとも、漣を冷やかしに屋台パレードやってる通りに行ってみる?」


カズさんの問いを受け、私が「りんご飴が食べたい」と言う前に、凛ちゃんに先を越される。


「高瀬冷やかしに行こうよ」


これまた「くぅ~!」だ。



花火会場付近は交通規制がされていて、歩行者天国として解放されていた。

夏休み中だからか、浴衣や甚平を着た女の子の集団や、Tシャツ短パンの男の子の集団が目立つ。

当然、仲睦まじいカップルも多数。

チッ………と胸の内で舌打ちしながら、高瀬さんが居ると思われる通りを目指す。


「わっ、あの人カッコイイー」

「超イケメン!」


擦れ違う女子達がカズさんを必ず二度見する。

そんな人と一緒に歩いている私の鼻はとてつもなく高い。

でしょ?でしょ?超イケメンなんだから!と、ほくそ笑んでいたりする。


「どっちが彼女?」

「えっ、美人な方に決まってんじゃん」


これには思わずムッ。

確かに凛ちゃんの方がカズさんの彼女っぽいけど、凛ちゃんには心に決めた人(あの冴えない男)がいる。

カズさんの彼女になるのは私。

こうなれば良くある、普通の女の子
のヒロインと誰もが羨むイケメンの組み合わせが出来上がる。

カズさんに俺様気質があれば、尚更完璧なんだけど。


「確か……漣の町内は船の形した黒っぽい山車だって言ってたけど…」


カズさんが目の前にズラリと並ぶ山車を前にキョロキョロ。


「凄い数………迫力ありますね」


思っていたより大きい山車に圧倒される。

山車のデザインは其々で、船の形をしたもの、神様を模した像が飾られているもの、やたら金ピカしているもの……とにかく様々。


「人も多いですね…」


山車の周りには、着物や法被を着た男衆がわらわら居て、笛をピーヒャラ吹いたり、太鼓をドンドコ叩いたりしている。

とても賑やかだ。


「取り敢えず………片っ端から探してく?」

「うーん……そうしますか…」


別に高瀬さんなんかどうでも良い私は、さっさと出店で食べ物を調達して、花火が良く見えるスポットに移動したい。

けど、凛ちゃんがなぁ…

人並みを掻き分けながら、高瀬さんの姿を探す。

折角の浴衣とヘアアレンジが崩れてしまいそうだ。

無理に進まなくても……と思いながらも、高瀬さんを探す凛ちゃんの気迫を前に何も言えなくて。


「あ、漣発見!」


辺りがまだ明るかった為、直に高瀬さんに遭遇。


「カズに………楠木に輝子ちゃん……マジで来たの?」


驚く高瀬さんは、時代劇に出てくる火消し野郎みたいな格好に法被を羽織っていた。

副総代と書かれた襷を掛け、町名が入った提灯を持っている。


「漣、ビシッと決まってんじゃん」

「まぁ、今年は副総代任されてるもんで」


気合いの現れなのか、前髪を逆立てて、幅の広い鉢巻きを巻いている高瀬さん。

そして、やっぱり目が細い。

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