38 / 100
行動を起こせ!③
「前髪はどうされますか?見本の通りだと大分オデコが出ちゃいますけど」
「えっ?」
私がオーダーしたのは、涼しげだけど女の子らしさのある、ふんわり可愛いボブ。
前髪は長めで斜めに流してあって………
おっ………おやおや?
誰だ?鏡の中に居る、このワカメちゃんチックなちんちくりんは?
「なっ………えっ?えぇ?」
ふんわりエアリーなモテヘアな筈が、昭和な香り漂うおかっぱヘアへと変貌を遂げていた。
勿論、こんなヘアスタイルをオーダーしたつもりはない。
「すみません、雑誌見せて下さい」
見本として差し出した雑誌を受け取り、オーダーした筈のヘアスタイルを確認する。
「………あ…」
おいおいおい……何てこったい。
ページは合っていたものの、貼っておいた付箋の位置が大いにずれている。
可愛いボブをオーダーした筈が、あろう事か、似合う人を限定するシルエットのベリーショートをオーダーしてしまっていたらしい。
独特のヘアスタイルが見事に似合っている雑誌の中のモデルとは違い、明らかに似合っていない私。
顔とヘアスタイルがミスマッチし過ぎて、ヅラを乗せているみたいだ。
「ど、どうしよう……」
残念ながら、切った髪は元には戻らない。
これは、私のミス?いやいや、スタッフのこの女性が、もっとちゃんと確認を取ってくれていればこんな悲劇は起こらなかった筈だ。
これ、怒って良い所なんだよね?
困惑する私にスタッフの女性が「どうされます?」と結論を急かしてくる。
返答に困り果てて……&現実を受け止め切れずに雑誌と鏡を交互に眺めていると、店の電話が鳴り出した。
「申し訳ございません、少々お待ち下さい」
ワカメちゃんヘアの私を置いて、スタッフがレジの方へと向かう。
「…………」
あぁぁ……どうすんの?これ……と絶望感に打ちひしがれていると、カズさんが傍を通り掛かる。
タイミング悪し。
「輝子ちゃん、思い切ったね」
「あ、ははは……」
これ、笑うしかない。
「でも、結構良い感じ。似合ってるよ」
「えっ?本当ですか?」
見え見えのお世辞ながらも、カズさんが言うなら本当だと思い込める。
「うん、可愛い」
最上級の笑顔で言われたら、自分が最高に可愛い女の子だと錯覚させられる。
ときめかずにはいられない。
心の中で喜びの絶叫をしていると、カズさんが「あのさ…」と気まずそうに切り出してくる。
「凛香ちゃんて………元気かな?」
「え……凛ちゃん、ですか?」
一気にテンションダウン。
「うん………あれから何度かLINE送ってるんだけど、既読スルーされまくってて…」
「そ、そうなんですか……」
私にはLINEして来ないのに、凛ちゃんにはしてるんだ……って、ショックだった。
どうでも良いような人からのLINEは来るけどさ。
「やっぱり、まだ怒ってるのかな?」
イケメンは、シュンとする姿も絵になる。
良いよな、凛ちゃんは。
こんなイケメンの心を引き寄せられて。
「凛ちゃんて、真っ直ぐっていうか……筋の通らない事が嫌いなタイプで。一度怒ると結構尾を引くし」
「あー……やっぱり…」
凛ちゃんは、気が強いし、気難しい。
長年親友をやって来てるから、彼女への接し方は心得ているけど、時々地雷を踏んで痛い目を見る事がある。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
【完結】泡になった約束
山田森湖
恋愛
三十九歳、専業主婦。
夫と娘を送り出し、静まり返ったキッチンで食器を洗う朝。
洗剤の泡が立っては消えるその繰り返しに、自分の人生を重ねながら、彼女は「ごく普通」の日常を受け入れている。
愛がないわけではない。けれど、満たされているとも言い切れない。
そんな午前中、何気なく出かけたスーパーで、背後から名前を呼ばれる。
振り返った先にいたのは、かつて確かに愛した男――元恋人・佐々木拓也。
平穏だったはずの毎日に、静かな波紋が広がり始める。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。