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いつもの休日①[side:漣]
昔から、目立つ事が苦手だった。
ナンバーワンだとかオンリーワンより、大勢の中の一人としてひっそりと埋もれている方が好きだったし、その方が自分の性に合っていると思う。
周りからはよく冷めてる……なんて揶揄されてきたけど、少年漫画の主人公みたいに熱くなれないし、どうしても一歩引いた目で見てしまう。
癖というか、性格なんだろう。
地味を好む辺り、性質は陰気で根暗なんだと自己分析出来る。
人生は可もなく、不可もなく……ただ平穏に生きていければ十分。
ヒーローになるより、モブとして地道に堅実に歩んでいた方が幸せを掴めるもんなんじゃないかな……って、常日頃から思ってる。
言うならば、面白味のない人間って事で。
休日の朝、昼のちょっと前に目が覚めた。
疲れが微かに残った体を起こして、キッチンのテーブルに無造作に置かれたままのパンの袋を手に取った。
ちぎったパンをテキトーに口へと放り込み、いつものようにコーヒーを入れる。
立ち込める香りと苦みを味わいながら、今日は何しようか?と考える。
といっても、すぐに頭に浮かぶのは、よく通ってるあの場所。
「我ながら、潤いのない私生活だな……」
自嘲しながら、簡単な朝食を済ませた。
テキトーな格好にテキトーなボサ髪で目的地まで出掛けた。
最近新規オープンした大型店舗に客を取られたのか、いつもより客が少ない。
まぁ、台選び放題だしいっか……なんて思いながら店内をうろつく。
ふと、【人気アイドル、人気ライター近日来店!!】と書かれたド派手なポスターが目を引いて、足を止めた。
「………人気ライターねぇ…」
顔写真付きのポスターをじっくり見ながら、人気っていう程知られてないでしょ?……なんて毒づいてみた。
アイドルの方は、名前くらいは知ってるけど、全盛期は何年前?って聞きたくなるようなお年頃。
ウチの父親世代なら喜んだだろう。
流石に“元”って付けたら失礼か。
いつもは気分で台を選んでいる。
エヴァとか、海物語とか。
今日は何となく、蒼天の拳の気分だった。
ハンドル片手に、ヘソから打ち出される銀の玉をぼんやり眺める。
パチ屋は、音が半端なくうるさい。
けど、それが逆に心地好かったりする。
無駄な情報が一切耳に入って来ないから。
誰しも目の前の台に集中していて、他人になんて関心ナシ。
パチンコ自体は、馬鹿みたくハマる程好きじゃないけど、この空間と無心になれる時間が好きだから、つい通ってしまう。
ま、儲けたら儲けたで嬉しいんだけど。
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