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我が主について①[side:猫のテル子]
ワタシは猫のテル子。
働いていた猫カフェが閉店する事になり、貰い手がなく行く行くは殺処分になっていたであろうワタシを快く引き取ってくれたのが、我が主、高瀬 漣サマ。
毛色のせいか、あまり見た目の美しくないワタシを優しく迎え入れてくれた漣サマには大変感謝している。
落ち着いた低い声、細いけれども優しい人柄を現している目……
ワタシはすっかり漣サマの虜だ。
仕事から帰ってくると、真っ先にワタシを抱き上げる漣サマ。
「ただいま。良い子にしてた?」
穏やかな笑みと優しく響く声が大好きで、思わず「ニャア…」と甘えた声を出してしまう。
それを聞いて、漣サマは只でさえ細い目を細める。
「可愛いな、お前は」
ワタシの頭を撫でる大きな手も堪らなく好きだ。
「あぁ、そうだ。おやつをあげるよ」
漣サマの機嫌が良い時は、ちゅ~るというおやつが出てくる。
「夢中で食べて………そんなに旨い?」
「ンニャァァ……」
ちゅ~るが嫌いな猫なんてこの世にいるのか?というくらい、最高においしい。
けれども…
ちゅ~るが出てくる=漣サマのご機嫌な日=あの女が来る日……
おやつを完食した側から、悪寒がした。
「いらっしゃい、てるり」
「うむ、参ったでごわす。本日のお勤めご苦労さんどすえ」
「色々と日本語がおかしいけど………取り敢えずてるりもお疲れ」
玄関先で妙な会話を繰り広げた後、あの女……
つまりは、てるりとかいう変な女がワタシに向かって猛烈に突進してくる。
「うおぉぉぉぉ……テ~ルにゃ~ん!!myスウィートラブリーエンジェ~ル!!」
大きく見開いた血走った目に、荒い鼻息、暑苦しい顔が訳の分からない事を言いながら向かって来るこの瞬間
とてつもない恐怖を感じる。
堪らず、全身の毛を逆立てて威嚇。
「フーッ!!」
「ふははははっ、そんな威嚇、怖くも何ともないわ!」
高笑いしながらにじり寄ってくる変な女。
「どんなに嫌がっても、キミは私の腕の中に収まる運命なのだよ」
部屋の隅に追い込まれては、逃げ場はない。
こういう時、漣サマは冷たい。
見て見ぬふりで決して助けてくれない。
呆気なく捕まった後は、女の気が済むまで弄ばれる。
「レッツもふもふー!」
言うが早いか、ワタシの腹辺りに顔を埋める女。
スリスリと脂っぽい顔を擦りつける。
「ハァハァ……いいよぉ~いいよぉ~最高だよぉ~」
何がだよ!
「ふあぁ………駄目だ、蕩けるぅ~」
やめろ、やめろ!
毛繕いしたばかりの毛に皮脂が付くだろ!
顔面すり下ろしの刑が済んだ後、今度はワタシの手を掴み、肉球を押す。
「ハァハァ……いいねぇ~」
顔が近い。
そして、鼻息が掛かって気持ち悪い。
「あぁ、もう………テルにゃんは人を駄目にしちゃうけしからん猫ですたい」
いや……アンタは元から駄目な人だ。
「どれ、こっちはどうかな?」
肉球に飽きたらしい女が今度は爪の間の匂い嗅ぐ。
2度程スーハーしてから、嬉しそうに
「くっさ………でも、癖になるわぁ…」
コイツ………とんでもない変態だ。
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