物語の始まりは…

江上蒼羽

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「黛先輩はさぁ、作文は得意?」


机の上に拡げた真っ白な原稿用紙を忌々しげに睨みながら、向かいに座る先輩に聞いてみた。


「普通。その質問からして、私に課題を押し付けようとしてないよね?」


先輩は笑いを含ませて言う。


「私がするのは、あくまでもアドバイスのみだよ。手を出さずに口だけ出して、清原くんが課題を終えるのを見届けるのが百田先生からの依頼。自分の力で頑張ろうね」

「ですよねー……」


可愛い顔して厳しい先輩は、またノートに何かを書いている。


「素朴な疑問なんすけど………」


昨日から何となく思っていた事がある。

それを口にしようと前置くと先輩の手が止まる。

そして「何?」と言いたげに上目遣いに俺を見た。

俺とした事が、不覚にも


「………その上目遣い、ヤバイっす」

「は?」


やべぇ可愛い!!とか思ってしまった。

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