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しおりを挟む「センセー、こんなところで女子生徒と密会は周囲に誤解されませんかね?」
鏡を見なくても、自分が不貞腐れたような顔をしているのは分かってる。
言葉の端々に棘が付いてるのも気付いてる。
だけど、これが自分が制御出来る限界だ。
言いようのない苛立ちを、今精一杯抑え込んでる。
「何馬鹿言ってんだ。顧問として指導してるだけだろ」
「ふぅん……じゃこれから俺にも指導してくれんの?」
挑発するように下から睨め付けると、百田は薄く笑みを浮かべる。
「時間があればそうしたいのは山々だが……生憎、これからリモート会議が入っててな」
百田は、まるで俺じゃ相手にならないと言いたげに大人の余裕を醸し出している。
「黛、あとは頼むな。いつも通り戸締まり等々も頼む」
踵を返して図書室入口の方へと向かう背中に向かって、アイブロウ先輩は「はぁい」と甘ったるい声で返事をした。
百田の姿が完全に見えなくなるまで名残惜しそうに視線を送る彼女の横顔を、俺は怒りに似た感情を込めて見てた。
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