1 / 1
山本優子は幸せにならない
しおりを挟む
私こと山本優子は平凡な人間だ。
そこそこ栄えている地方都市で産まれ育ち、
そこそこの大学を卒業した。通勤範囲は実家から公共交通機関で2時間以内と定められた東証一部上場企業の地域限定総合職として5年働いた。
22歳から付き合っていた太一君とそろそろ結婚しようと思残業が多かった会社を辞め、中小企業の契約社員となった。
結婚するなら私の死んだ両親のお墓に挨拶しなきゃねと話していた太一君が無職ニートになる前はそこそこ幸せだった。
太一君は仕事を辞めたことを私に黙っていた。折半している家賃などの支払いが滞り、問い詰めたら会社を辞めていたことを私へ打ち明けた。
正社員として働いていた時期ならともかく、契約社員の身で二人の生活を支えることはできなかった。太一君も仕事を探してはいると言ったが、家賃や 光熱費を滞納することに耐えられなかった私は正社員への転職活動を始めた。
28歳未婚女性で取り立てて資格もない平凡な私の転職活動は上手くいかなかった。高いサラリーを求め何社へもエントリーを続け、東京勤務でという条件でなら二人の生活を支えるだけのサラリーを貰える会社から内定を貰えた。
太一君就職活動は私以上に思わしくなく、日雇い労働で糊口を凌いでいる。
私は東京の会社へと行くことを決めた。太一君は地元に残ったままで、時々東京に遊びに来る。私は自分が住んでい東京と太一君と住んでいた地元の家の生活費を出している。
太一君とは半年以上会っていない。
私が忙しいのもあるが、太一君も私と会うことに労力をさくのを嫌がった。
私のサラリーが高い理由は海外貿易に携わる会社であり取引先との時差が影響して残業がとても多い。
慣れない英語での業務と昼夜問わず働くことで私は精神も肉体も疲労している。それでも自分が選んだ仕事だしやりがいもあるし働けることはとても有難い。太一君と会えないことや連絡がつかないことも気にならない。
少し悲しかったことは太一君とかなえちゃんの公開されていたFacebookでのやり取りだ。かなえちゃんとは私と太一君との共通した友達である女性だ。正確には元々は太一君の友達で、私にとっては知人。
かなえちゃんが長年の夢を叶えたようで太一君のおかげだよ、いくら感謝しても足りないよとかなえちゃんが太一君あてにメッセージを送っていた。かなえちゃんが夢に挑戦してた時期は、私も仕事で行き詰まり上司と喧嘩をし、辛かった時期なのでできれば太一君に私も勇気付けられてたり助けて欲しかったなぁと思った。
私の存在は太一君にとってかなえちゃんよりウエイトが低かったのだと思うと一緒に過ごした五年間はなんだってのかと虚しくなった。そのメッセージを読んだ翌日は朝七時から会議だったのでわーわー泣きながらも資料の確認をして眠りについた。
太一君はまだ私と暮らしていた地元のマンションに住んでいる。マンションは私が死んだ両親から受け継いだファミリー向け分譲マンションだ。私はもうじき勤務先の海外現地法人へ向かう。何年かは海外勤務になるだろう。地元のマンションは太一君へあげるつもりで残していく。帰国したら登記変更など必要だろう。
私は個人として手にはいる物や幸せはいらなくなってしまった。
暖かな人間関係も愛も喜びも財産もなにもかもいらない。
目まぐるしい仕事に忙殺され、仕事の目標達成のことしか考えたくない。私は仕事が好きだった。
ううん、本当は仕事はそんなに好きじゃない。
プライベートで悩む余裕なんてないくらい、他のことで疲弊したいだけ。
太一君が仕事を辞めず、結婚できていたら子どもが産まれて慣れ親しんだ地元で暮らしいけたかと思うと、そんな未来を手に入れたかったけれど。壊れた約束にしがみつくことはできないし。無くなった愛を取り戻すことはできない。そもそも愛が存在したかどうかも疑わしい。
私はきっと他人からみたらきっと不幸なのだと思う。自分でも何か欠落したと思う。
それでも、目の前にある仕事があるから私は生きていけるのだ。
そこそこ栄えている地方都市で産まれ育ち、
そこそこの大学を卒業した。通勤範囲は実家から公共交通機関で2時間以内と定められた東証一部上場企業の地域限定総合職として5年働いた。
22歳から付き合っていた太一君とそろそろ結婚しようと思残業が多かった会社を辞め、中小企業の契約社員となった。
結婚するなら私の死んだ両親のお墓に挨拶しなきゃねと話していた太一君が無職ニートになる前はそこそこ幸せだった。
太一君は仕事を辞めたことを私に黙っていた。折半している家賃などの支払いが滞り、問い詰めたら会社を辞めていたことを私へ打ち明けた。
正社員として働いていた時期ならともかく、契約社員の身で二人の生活を支えることはできなかった。太一君も仕事を探してはいると言ったが、家賃や 光熱費を滞納することに耐えられなかった私は正社員への転職活動を始めた。
28歳未婚女性で取り立てて資格もない平凡な私の転職活動は上手くいかなかった。高いサラリーを求め何社へもエントリーを続け、東京勤務でという条件でなら二人の生活を支えるだけのサラリーを貰える会社から内定を貰えた。
太一君就職活動は私以上に思わしくなく、日雇い労働で糊口を凌いでいる。
私は東京の会社へと行くことを決めた。太一君は地元に残ったままで、時々東京に遊びに来る。私は自分が住んでい東京と太一君と住んでいた地元の家の生活費を出している。
太一君とは半年以上会っていない。
私が忙しいのもあるが、太一君も私と会うことに労力をさくのを嫌がった。
私のサラリーが高い理由は海外貿易に携わる会社であり取引先との時差が影響して残業がとても多い。
慣れない英語での業務と昼夜問わず働くことで私は精神も肉体も疲労している。それでも自分が選んだ仕事だしやりがいもあるし働けることはとても有難い。太一君と会えないことや連絡がつかないことも気にならない。
少し悲しかったことは太一君とかなえちゃんの公開されていたFacebookでのやり取りだ。かなえちゃんとは私と太一君との共通した友達である女性だ。正確には元々は太一君の友達で、私にとっては知人。
かなえちゃんが長年の夢を叶えたようで太一君のおかげだよ、いくら感謝しても足りないよとかなえちゃんが太一君あてにメッセージを送っていた。かなえちゃんが夢に挑戦してた時期は、私も仕事で行き詰まり上司と喧嘩をし、辛かった時期なのでできれば太一君に私も勇気付けられてたり助けて欲しかったなぁと思った。
私の存在は太一君にとってかなえちゃんよりウエイトが低かったのだと思うと一緒に過ごした五年間はなんだってのかと虚しくなった。そのメッセージを読んだ翌日は朝七時から会議だったのでわーわー泣きながらも資料の確認をして眠りについた。
太一君はまだ私と暮らしていた地元のマンションに住んでいる。マンションは私が死んだ両親から受け継いだファミリー向け分譲マンションだ。私はもうじき勤務先の海外現地法人へ向かう。何年かは海外勤務になるだろう。地元のマンションは太一君へあげるつもりで残していく。帰国したら登記変更など必要だろう。
私は個人として手にはいる物や幸せはいらなくなってしまった。
暖かな人間関係も愛も喜びも財産もなにもかもいらない。
目まぐるしい仕事に忙殺され、仕事の目標達成のことしか考えたくない。私は仕事が好きだった。
ううん、本当は仕事はそんなに好きじゃない。
プライベートで悩む余裕なんてないくらい、他のことで疲弊したいだけ。
太一君が仕事を辞めず、結婚できていたら子どもが産まれて慣れ親しんだ地元で暮らしいけたかと思うと、そんな未来を手に入れたかったけれど。壊れた約束にしがみつくことはできないし。無くなった愛を取り戻すことはできない。そもそも愛が存在したかどうかも疑わしい。
私はきっと他人からみたらきっと不幸なのだと思う。自分でも何か欠落したと思う。
それでも、目の前にある仕事があるから私は生きていけるのだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
真実の愛の祝福
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。
だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。
それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。
カクヨム、小説家になろうにも掲載。
筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる