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第8章 勇者の覚悟 ラルトside

集められた五人

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 その日ラルト・アーランドは誕生日を迎え年の功は15になった。
 ミーラが居なくなった日から5年。
 ラルトは両親から離れ王都のフィル・フィラータを訪ねていた。
 何故誕生日にまで王都に行かなければならないのか?
 答えは簡単。ミーラが居なくなってから数年の間に魔族は行動を起こす為に人間との戦を始める為に動き出したらしい。
 その為に5人の勇者候補を密かに育成しこの日まで収集しなかったらしい。
 あの日母さん達が王都に呼ばれたのはこの日の打ち合わせをする為だと聞いた。

「やっぱり…避けられないのか…」

 勇者候補と呼ばれた五人の戦士達も各地方や村から国から集められ王の間へ通されていた。
 ラルトの身長は180センチと同世代の中では高身長の方だと思っていたがどうやらそうでもないようだ。
 ラルト以外の四人の内一人は女性。名を「アミラ」と名乗り、短く切り揃えられた金髪を持つ、ミーラより少し背の低い黄金の様な瞳の少女。綺麗な瞳におしとやかな印象だが、目はしっかりと前を意思を持ち先を見据えたようだった。
 そしてもう二人目はしっかりとした肉体に茶色の瞳と髪をした青年だ。名を「ザルハルート」と名乗る彼の腕にはどこから持って来たのか身の丈以上の大きな盾がある。どうやら彼は盾を使った防御力の高い人らしい。
 三人目は、自分の身の丈以上の槍を持った少年。名を「ダット」と名乗った。彼の身長はこれから先大きく育つだろう期待を持てるほどの小柄だが、手に持つ槍は他を寄せ付けない程の力を感じさせる面持ちだった。
 そして最後の四人目は頭からスッポリとフードを被った人だった。名を「バルン」と名乗る者は、性別はおろか姿を隠している様子から情報を何も得られない。
 そうして集まった五人は、王フィル・フィラータを前に片膝をついてこうべを垂れる。
 そんなバラバラの五人を集めて一体何が起きようとしているのか…


 今思えばこの時に気付くべきだったのかもしれないな…
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