叶わぬ願いと望まぬ結末

黒狼 リュイ

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第9章 結成勇者パーティー ラルトside

”バルン”と呼ばれた男の過去

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 バルンは、俺たちを前にいきなり立ち上がった。

「これより始まりますわ!騎士バルンの生い立ちに御座ります。みなさまどうかお楽しみ下さい!」
「ちょっ!?あんた何いきなり!」
「びっくりしたっ!」
「…バカバカしい…」

 それぞれ驚きザルなんて思わず丸太から落ちそうになっているくらいだ。
 だが、確かにいきなり過ぎた。
 まだ、村の大人達は起きている時間帯だが子供たちは寝ているのだ。みんなでバルンを抑えようとしたが、バルンは何故か乗り気でもう止まらなかった…

「おほん。昔々あるところに1人の少年が居ました。少年は大層家柄もよく上流階級に当時ありましたとさ。しかし、ある日魔族の長が少年の家族を襲いました。」
「長??長って?」

 俺は思わず聞き返したがバルンは止まらない。

「少年も家族も当時何も出来ませんでした。そんな魔族の長は少年だけを命が尽きないギリギリの状態で残し家族はみな殺し。そんな少年は、自分も同じようになるだろう事を理解し命が尽きるのを今か今かと待って居ました。しかし、少年の前に1人の人間が立ちはだかり魔族の長から少年を救いました。後に彼は王直結部隊の騎士団長である事を知りました。」
「それで、バルンは騎士団に入ったって訳か。」
「ザル…なんで、あなたはそんな簡単にまとめるのよ。」
「おっザルハルート君正解!」
 ザルの一言にバルンはどこか茶化しながら続けた。
「そして、その後に騎士団に入団した少年は青年になり騎士団では一二を争う程の男になった。そしてそんな青年に王は、最重要任務を課せました。」
「それが、今回の魔王討伐…そう言う事か…」
「…だが、僕が見ている限りお前は何もしてないじゃないか?」
「あらーダット君は鋭い!あー胸が痛いよぅ。だって私たち騎士団が初めから手を出しては、勇者様達が成長しないじゃん?魔王甘くないしね~」

 ダットの質問にも茶化しながら返すバルンは、きっと本当の事を話してくれてると信じたいが…
 例え俺がそう思いたくても、俺が完全に信用してしまうほど、バルンの内容と応答の行動と軽い言葉は安心出来はしない。むしろ気が抜けないとさえ思う。だからこそ…バルンを信用する事はミーラが危なくなる可能性が高いのだ。
 ならば、現状だけでも信用している風に装い、今は目先の魔獣を撃退することを優先した方が良い。
 
「ありがとう。バルン、話してくれて。」
「いえいえ、勇者様の為なら何でも話しますよ~」
「ほんとかよ?バルン。」

「それじゃあ、次はブラック・ラビットと魔獣グラピーの討伐もしくは撃退の計画を立てようか。」

 暗い夜、俺たちは互いを理解する為に月夜に焚き火を囲んでそれぞれの過去を少しだけ話した。
 そこには、少しの歩み寄りと少しの嘘。少しの隠し事を含ませ少しだけの信頼を作る為に俺たちはこの日少しだけ昔話しをした。
 さぁ、これからが本番だ。

ーー計画を始めよう。
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