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第10章 初めての討伐 ラルトside
勇者ラルトと聖剣
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ブラック・ラビット撃退は、思いの外楽に進んだ。ラルトを筆頭にダットとバルンが先行しアミラが後方から支援または魔法を放つ。そして、アミラを狙うブラック・ラビットの群れをザルが正面から受ける。ザルの盾を使った防御力に驚いた群れの一部をアミラの魔法、火焔弾が追尾し辺りは焼け野原になる。そうして突き進むダットとバルンは、ラルトの為に道を作る。ダットの槍が群れの大将までの道を真っ直ぐに開ける。バルンは群れから離れた辺りのブラック・ラビットを追いつめ討伐する。
そうして皆の力を持ってラルトは、グラピーの元へと辿り着く。
目の前にいるグラピーは、やはり他のブラック・ラビットとは違う印象を受けた。
身体から放つ魔力はアミラ以上の勢いだ。ましてや放たれる拳はウサギの手と同様の指の数のくせにそばにある岩すら砕く程の勢いだ。
ラルトは、瞬間にかわすが砕け散った破片が肩口や足先をかすめる。
「つっ…さすが…」
「ラルト!大丈夫か?!」
「あぁ!不覚をとったが大丈夫だ!」
ザルが遠くから呼びかける。ここまで調子良く進んで来たツケが回ってきているのか?という有様だ。
しかし、ここで折れてはいけない。
そうなんとか身体を奮い立たせたラルトは、改めて強くキツく聖剣を握った。
そして前を向いて息を吐いた。
(ふぅぅ…行くよ、聖剣!)
まだ力をどう使うか?なんて知らない。
聖剣を握った幼い頃から使い方なんて聞いてもいないし、誰も知らない。だけれど今はそんな事より目の前の魔獣グラピーをどうにかして村から遠ざけなければならない。
ラルトは、考えた。考えた結果一つの考えが浮かんだ。
(もしかして…)
グラピーは、ラルトに他のブラック・ラビットとは違い急には飛びかかりはしなかった。初めからラルトを敵を見極めるかのように戦っている。なにせ、近くの岩を砕いてまで直接は攻撃しては来ないのだから…もしかしたらを考えた。
「グラピー!!君には俺たちの言葉が通じたりするのか?!」
「…ふっ…」
「!」
魔獣グラピーは、その大きなウサギの身体でニヤリと笑った。やはり!彼は(いや?彼女かもしれない)は言葉が通じる!
魔物を統率するぐらいだから、ある程度の知能は高いはずだと考えたラルトは間違ってはいなかった。そう理解したラルトは次の行動に出た。
「なら、君に話がしたい!一時的に戦闘を止めてくれないか!」
「なぜ、お前の話を聞く必要がある?お前達は我が子達を倒し苛めあまつさえ、我が領域すらも犯そうとさえする。そんなお前達の話をなぜ聞く必要がある?」
「いや…それは…だからこそ話す必要があるんだ!」
「なら五分だけ話を聞く。だが、あくまで聞くだけだ!敵と認識したら直ちに戦闘に戻る」
「あぁ、ありがとう。グラピー」
魔獣グラピーはなんの気紛れか話しを聞いてくれると言った。
それがすごく嬉しかった。
「しかし、その前になぜ我に説得を試みる?人間の勇者よ」
「なぜ?…俺は、魔族も人間も同じ生命には違いないから。助けたいし守りたいんだ。1人でも多くを」
「…甘い勇者だ…それでは魔王様に敵わぬぞ?」
「あぁ、敵わないだろな。けれど」
俺はグラピーの真っ黒な瞳を見つめなおしてしっかりと力強く言った。
「俺は、魔王とも分かり合えると信じているから。魔王とも戦わない。」
グラピーは、ラルトの言葉を聞いた途端。ラルトには、その真っ黒だった瞳にわずかな光を宿したように見えた。
「ふっ…やはり甘いな。だが、悪くない。君は少なくても嘘は付いていないみたいだしな。」
「なら?!」
「あぁ、分かった。我らは、群れを率いてこの地を去る。だが、まだこの地には魔獣が居る。気を抜くなよ?次代の勇者よ」
「あぁ!あぁ!ありがとうグラピー」
そして、この瞬間グラピーは山一つ吹き飛ばすくらいの大声で吠えた。
その声に引き続いてブラック・ラビットは、生き残った仲間を連れて山へ引いていった。
「良かった…」
多少の犠牲は出てしまったが、それでもお互いにとって最善な状況にはなった。大勢の犠牲は免れたのだ。そして戦いはラルト達の勝利となった。
その夜宴が行われた。
勇者一行への感謝と今後の活躍を期待しての宴にアミラやザル達は丁重に扱われ勇者一行は、ひと時戦やこれからの事を忘れて楽しんだ。
ただ、1人を除いて…
だが、この夜の闇に紛れ1人。
姿を消した。
翌朝、魔獣グラピーの首を手に勇者一行の元へと戻って来た者が居た。
勇者ラルト。
彼は聖剣を右手に持ち、左手には魔獣グラピーの首を手に山から戻って来た。誰も気づかぬうちに。ただ1人瞳に闇を宿し帰ってきた。
だが、この時ラルトは覚えていない。
どうやって倒したかも、いつ宴を抜けたのかも…何も知らない。
なぜなら…
"やったのはラルトでは無く"
"聖剣だから"…
そして、ラルトを出迎えた影があった。
「お疲れ様です。勇者ラルト、無事聖剣が扱えたようで。」
「あぁ、だがこの体夜しか動かせぬ。」
「その様ですね。私が昼間は監視しておりますのでご安心下さい聖剣様。」
「ふむ。まぁ、仕方ない。後は任せたぞバルン」
「はっ。」
そうして勇者ラルトにより魔獣グラピー討伐は完了した。
その勇者は、バルンの腕の中電池が切れたかのように倒れ眠りについた。
そうして皆の力を持ってラルトは、グラピーの元へと辿り着く。
目の前にいるグラピーは、やはり他のブラック・ラビットとは違う印象を受けた。
身体から放つ魔力はアミラ以上の勢いだ。ましてや放たれる拳はウサギの手と同様の指の数のくせにそばにある岩すら砕く程の勢いだ。
ラルトは、瞬間にかわすが砕け散った破片が肩口や足先をかすめる。
「つっ…さすが…」
「ラルト!大丈夫か?!」
「あぁ!不覚をとったが大丈夫だ!」
ザルが遠くから呼びかける。ここまで調子良く進んで来たツケが回ってきているのか?という有様だ。
しかし、ここで折れてはいけない。
そうなんとか身体を奮い立たせたラルトは、改めて強くキツく聖剣を握った。
そして前を向いて息を吐いた。
(ふぅぅ…行くよ、聖剣!)
まだ力をどう使うか?なんて知らない。
聖剣を握った幼い頃から使い方なんて聞いてもいないし、誰も知らない。だけれど今はそんな事より目の前の魔獣グラピーをどうにかして村から遠ざけなければならない。
ラルトは、考えた。考えた結果一つの考えが浮かんだ。
(もしかして…)
グラピーは、ラルトに他のブラック・ラビットとは違い急には飛びかかりはしなかった。初めからラルトを敵を見極めるかのように戦っている。なにせ、近くの岩を砕いてまで直接は攻撃しては来ないのだから…もしかしたらを考えた。
「グラピー!!君には俺たちの言葉が通じたりするのか?!」
「…ふっ…」
「!」
魔獣グラピーは、その大きなウサギの身体でニヤリと笑った。やはり!彼は(いや?彼女かもしれない)は言葉が通じる!
魔物を統率するぐらいだから、ある程度の知能は高いはずだと考えたラルトは間違ってはいなかった。そう理解したラルトは次の行動に出た。
「なら、君に話がしたい!一時的に戦闘を止めてくれないか!」
「なぜ、お前の話を聞く必要がある?お前達は我が子達を倒し苛めあまつさえ、我が領域すらも犯そうとさえする。そんなお前達の話をなぜ聞く必要がある?」
「いや…それは…だからこそ話す必要があるんだ!」
「なら五分だけ話を聞く。だが、あくまで聞くだけだ!敵と認識したら直ちに戦闘に戻る」
「あぁ、ありがとう。グラピー」
魔獣グラピーはなんの気紛れか話しを聞いてくれると言った。
それがすごく嬉しかった。
「しかし、その前になぜ我に説得を試みる?人間の勇者よ」
「なぜ?…俺は、魔族も人間も同じ生命には違いないから。助けたいし守りたいんだ。1人でも多くを」
「…甘い勇者だ…それでは魔王様に敵わぬぞ?」
「あぁ、敵わないだろな。けれど」
俺はグラピーの真っ黒な瞳を見つめなおしてしっかりと力強く言った。
「俺は、魔王とも分かり合えると信じているから。魔王とも戦わない。」
グラピーは、ラルトの言葉を聞いた途端。ラルトには、その真っ黒だった瞳にわずかな光を宿したように見えた。
「ふっ…やはり甘いな。だが、悪くない。君は少なくても嘘は付いていないみたいだしな。」
「なら?!」
「あぁ、分かった。我らは、群れを率いてこの地を去る。だが、まだこの地には魔獣が居る。気を抜くなよ?次代の勇者よ」
「あぁ!あぁ!ありがとうグラピー」
そして、この瞬間グラピーは山一つ吹き飛ばすくらいの大声で吠えた。
その声に引き続いてブラック・ラビットは、生き残った仲間を連れて山へ引いていった。
「良かった…」
多少の犠牲は出てしまったが、それでもお互いにとって最善な状況にはなった。大勢の犠牲は免れたのだ。そして戦いはラルト達の勝利となった。
その夜宴が行われた。
勇者一行への感謝と今後の活躍を期待しての宴にアミラやザル達は丁重に扱われ勇者一行は、ひと時戦やこれからの事を忘れて楽しんだ。
ただ、1人を除いて…
だが、この夜の闇に紛れ1人。
姿を消した。
翌朝、魔獣グラピーの首を手に勇者一行の元へと戻って来た者が居た。
勇者ラルト。
彼は聖剣を右手に持ち、左手には魔獣グラピーの首を手に山から戻って来た。誰も気づかぬうちに。ただ1人瞳に闇を宿し帰ってきた。
だが、この時ラルトは覚えていない。
どうやって倒したかも、いつ宴を抜けたのかも…何も知らない。
なぜなら…
"やったのはラルトでは無く"
"聖剣だから"…
そして、ラルトを出迎えた影があった。
「お疲れ様です。勇者ラルト、無事聖剣が扱えたようで。」
「あぁ、だがこの体夜しか動かせぬ。」
「その様ですね。私が昼間は監視しておりますのでご安心下さい聖剣様。」
「ふむ。まぁ、仕方ない。後は任せたぞバルン」
「はっ。」
そうして勇者ラルトにより魔獣グラピー討伐は完了した。
その勇者は、バルンの腕の中電池が切れたかのように倒れ眠りについた。
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