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第15章 隠された真実

母ラルフ 1

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 母様の力があんなに弱いなんて。人間に負けるなんてと思い疑った事は何度かある。だが、その度聞かなかった。きっと母様は本気を出していないだけだから。といつも思っていた。

 翌日、父様の部屋からミーラの部屋へ戻って来た。ミーラは父様から聞かされた父様の記憶について謎に思った部分があった。

ーー母様は"何"?

 ミーラは、母様について屋敷で修行の合間を使い調べた。母様が魔界に居たのだから魔族だと疑わ無かったけれど、もしかしたら…
 屋敷中のアルバムを見た。だが、そこにはいつも大きくなった母様と父様しか居なかった。それに小さな私が映る程度しか変わらない。小さな父様は居ても母様はいない…

ーー母様は…魔族…じゃ、ない…

 ミーラは、焦った。誰か知らないのかと屋敷内の従者やメイド、調理場の人や屋敷外にいる人達にも聞きに行った。
 この時父様には聞けなかった。
 父様は、ミーラが部屋を出る直前に重大な会議があると行ってしまったから。
 そんな時、ミーラに思い当たる最後の人が居ることを思い出した。

 ゼーラルだ。
 母様と昔から居た彼なら父様の記憶の事も母様の事も知っているはず!

 ミーラは、急ぎ文を書き鳥の魔族に渡す様に言った。ミーラは、幼い頃に別れてしまったゼーラルの位置が分からないからだ。
 そして、ゼーラル以外にバルンハルトが居るが何故か聞いてはいけない気がしている自分を不思議に感じつつ、返事を待った。
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