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第18章  魔王であり父である

開戦の脅威 3

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「魔王なんてのは、恐る恐るに足らず‼︎」

「人間が勝利者だ‼︎」

「王様や勇者に従えば負けはしない!!」

 あらゆる者達が彼らの家を襲いそう叫ぶ。片手に棒切れや鍬など農機具くらいしか無い彼らは、なす術がない。
 それは彼らを襲う者達の持つ武器が剣や槍だったから、ただそれだけでも恐怖だった事であり。彼らが魔界へ持ってきた全ての武器が剣や槍以外にも数え切れない程溢れていたからだ。
 人間の持つ武器は、この魔界では異質な剣であってもただの剣では無いし、槍でも全く違う物。

ーー魔を滅する力。

 が全て備わった、対"魔"用なのだ。
 ある武器は、魔族だけに攻撃が当たる武器。またある武器は、魔族の力である魔力を吸う武器。そしてまたある武器は、特殊な魔族にのみ力を発揮する武器。
 人質にされた半魔族達は、口々に呟く。

「魔界も、魔王様も…魔族も…全て消えてしまう…」

「人間の…王…勇者…」

「そんな知らない者達に…私達はっ…‼︎」

「もぅ…助からない…うっ…」

 彼らは魔王の居る地に人質を連れて侵攻する。魔族達は、声にならない掠れ力の無い状態で何度も呟き歩く。

 ーー破壊と終焉の境を目指すかの様に…
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