上 下
120 / 138
第23章 炎と聖剣

伸ばされた手は、救いか、破壊か? 3

しおりを挟む
「何分?何秒?それとも何日?眠っていた?!」

 ラルトが目を覚ました時、口を開き一番に聞いたのは時間だった。
 それに対し、そばにいたザルとアミラはラルトとは反対にお互い口を閉ざした。
 その様子を見てラルトは、アミラの回復魔法のおかげでなんなく動けるようになった脚で安全地帯であった物置にも似た場所から飛び出した。
 目の前に広がる景色に、「あぁ、そうか」としか思えなかったし言えなかった。

 焼けた家や土地は、マグマの様に溶けて跡形も無くなっていた。
 
 ラルトは、その場で足から崩れる。力が入らない。立つ事も、話す事もままならない…焼けた大地を見て思考がごちゃごちゃになったのだ。

「ラルト…」「ラル…おれっ」

 ザルがラルトに話しかけ様とするのをアミラは止めた。何を言えばいいのか、その場にいる誰もが分からなかった。
 ただただ、ラルトはその場に立ち尽くす。
 項垂れ、叫び、地面を殴り、唇を噛み…さまざまな事をした。

 だが、しばらくした後にラルトはその場からふらふらと何処かへ引き寄せられる様に歩いていく。
しおりを挟む

処理中です...