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第2章 あの世界とこの世界

鏡と手紙

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 鏡に映るのは、元の俺の姿では無い。
 全く知らない姿で俺はそこに居た。
 だが、何処か見覚えのある姿。

【左目を覆う輝く金髪に右目はパッチリとしたアイスブルーの瞳。
 背丈は、小学生の高学年くらいの大きさ。
 きっと10歳くらいだろうと思うほどの幼い顔。】

 そう、死の直前に見た彼と似た容姿だった。
 俺は彼と何故こうも似ているのかを謎に感じながらも残る手紙を手に取る。
 そして、そこにはまさかの事態が書かれていた。

《貴方がいる世界は、貴方の知らない事だらけでしょう。混乱させてしまい申し訳ありませんが、安心して下さい。》

「"僕"が教えます?」

 誰も居ない事を周りを見ながら確認する。俺以外はやはり誰もいないし何もない。何処にでもあるような家具が存在するだけだ。
 それを踏まえてもう一度手紙に目を向ける。すると手紙には続けて書かれていた。

《貴方は、今天界に居ます。外をご覧下さい。貴方の世界では無かった風景が広がって居るはずです。空は青くそして地上は見えない程に真っ白の筈です。》

 俺はそこに書いてある通りにしてみた。すると空は青過ぎるし、地上は全く見えない程に真っ白だった。しかも鳥すら飛んでいなかった。

《貴方が次に気になる事は貴方自身の事の筈。ですが、今の貴方には名前はありません。代わりにこの世界での役職があります。それは、天界に住む神様の見習いです。》

「名前も無いのに、何故神様の見習い??」
(そんな仕事聞いた事無い、やはり異世界なのは確かだけど…不安だ…
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