本より好きになれるなら

黒狼 リュイ

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第11話

バーン伯爵家へ 3

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 バーン伯爵は、目を泳がせながらきっとこの場をどう逃げるか思案しているのだろう。だが、レミーを見た途端目が驚愕の表情を表していた。

「な、なぜ、ロアー嬢が…くっ…」

「私はもう"ロアー嬢"と呼ばれるような立場ではありません。ただのレミー・ロアーです。」

 レミーはバーン伯爵を見て言った。横ではザティスが俯いていた。そんなザティスはバーン伯爵とは一度も目を合わせていない。きっと彼にも何かあるのだろう。そう感じたが、今は自分とバーネットの話だ。こんなタイミングはもう無い。またと無い機会だ。

「僭越ながら、バーン伯爵。私ロアー家とアリッサ家の事でお聞きしたい事があります。すみませんが少々お時間頂きます。」

「私は、私は何も知らない‼︎何を聞かれようと答える義理も義務もない!」

 どうにもバーン伯爵は、聞かないの一点張りでまともに話しすら出来ない状態だった。
 やんやわんやと騒ぎ出すは、あちこち歩き落ち着きは無いは、しまいには怒り出す。…本当に大変だ。
 押さえつける訳にも行かない3人は、なんとかしたいのは山々だが、動けない状態だ。なにせ、相手は伯爵。それだけならいいが、おばあちゃんの家族だ。手荒な事はしたくない。
 
 バンっ…

 動けずにいたレミー達の前に急に扉を蹴破って来た人。
 ーーディラスト・アリッサ

 ーー父が…なんで此処に…

 ディラストは、レミーに一瞥もくれずバーン伯爵に詰め寄りあろう事か、胸ぐらを掴み物凄い剣幕で言った。

「このやろうっ‼︎お前が…まだお前は…っ…」

 レミー達3人は、目の前で何が起こったのか分からないが急いでディラストをバーン伯爵から引き剥がしたのだった。
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