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第11話

バーン伯爵家へ 5

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「あっ…」
「っ…」

「ザティス‼︎大丈夫‼︎」
「わた…しは、大丈夫です。バーネット様、は?」

「私は大丈夫ですわ。…なんて、無茶を!?」

 バーネットは、自らの下敷きになったザティスの手を引いて座らせる。ザティスはそんなバーネットに気をわせない様にいつも通りにしようと自らの足で立ち上がろうとするが、足は上手く体重を乗せられない様で何度も何度もふらついてしまう。
 そんなザティスをバーネットは力一杯支える。そうしてなんとか側にあったソファーに2人寄り添って座る。

 その姿をバーン伯爵もディラストも見ないように目を伏せる。
 彼らはそうして見ないフリしていたのだとその時レミーは思った。

「伯爵、それにディラスト殿。貴方達が何故目を伏せるのですか、そんな事出来る立場じゃ無いですよね。」

「わた、私は!!何も、こ…コイツが‼︎」
「…。」

 伯爵もディラストも聞き分け無く動きもしません。大人は何故こうも意地を張り、自分は違うと否定をするのでしょうか?
 力持つ者ほど多いこの行動は、どの本にもいつも書かれています。だからこそ私は思うのです。

「間違いがあれば、相手に対して不義があれば、謝る。それは力があっても無くても、関係ありません。ましてや大人も子供も関係ないはずです。…だから謝って下さい。」

 そこまでレミーが言っても2人は頑なに口をつぐみます。どれだけ理屈で言っても懇願しても人の意思も意地も揺るがす事は出来ないのかも知れません。ですが、私は引き下がる訳には行きませんでした。ーー何故なら

「バーネットもザティスも私の大切な友人です。彼らの為になら喜んで権力にも牙を剥きましょう!知識だけは貴方達に勝るはずです。いざとなれば覚悟して下さい。」

 私の怒りは彼らに届いたのでしょう。
 
 レミーがそう言った後すぐに、彼らはバーネットとザティスに謝りました。
 そうです。私は私の大切だと思った人や物たちを傷つける者を今も昔も許しはしないのだから。
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