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第12話
家族の在り方 3
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「私は全てを知るために来ました。」
「全てを知る?何を急に」
ディラストは、嫌そうな顔をして顔を背ける。まるで何も聞かれたくないとその背中から伝わる。だが、突如怒声が響いた。レミーとバーネットを超えて今まで以上に本気になった者。
「いい加減にして下さい。お二人共、俺たちが来た理由がもはや一ミリも分からないとでも言いたいのですか?」
ザティスだった。
今までザティスが庇いこそすれど、怒りを表した事なんか一度も無い。そんなザティスが、バーネットに支えられながらも目で顔で声で、身体全てで怒りを表していた。
そんなザティスに対してバーネットは驚き目を見張るが、すぐにその頬が薄ピンクに染まりザティスから目が離せなくなっていた。
そうしてザティスは沈黙に声を荒げた。
「俺たちは父様がレミーのお婆様の養子で、バーネットの父親とディラスト殿と三人で暮された事も。ディラスト殿が何故バーネットの元へ行ったのかおおよその話は知っています。ですから此処に貴方達から真実を聞きに来たのです!」
「な、何故お前がそれを!?」
「二人共…本当なのか?…その為に…」
バーネットとレミーは立ち上がる。そしてディラストとバーン伯爵にはっきりと言った。
「「当たり前」です」
それを聞いてディラストは、どこか寂しそうに顔を伏せた。そうして小さく呟いた。
その小さな声は、掠れたようにレミーにほんの少しだけ聞こえた。
"俺は…また……失…のか…"
そうしてバーン伯爵とディラストは観念して三人で暮らした時の話しと何故こうなったかの顛末を話し出した。
「全てを知る?何を急に」
ディラストは、嫌そうな顔をして顔を背ける。まるで何も聞かれたくないとその背中から伝わる。だが、突如怒声が響いた。レミーとバーネットを超えて今まで以上に本気になった者。
「いい加減にして下さい。お二人共、俺たちが来た理由がもはや一ミリも分からないとでも言いたいのですか?」
ザティスだった。
今までザティスが庇いこそすれど、怒りを表した事なんか一度も無い。そんなザティスが、バーネットに支えられながらも目で顔で声で、身体全てで怒りを表していた。
そんなザティスに対してバーネットは驚き目を見張るが、すぐにその頬が薄ピンクに染まりザティスから目が離せなくなっていた。
そうしてザティスは沈黙に声を荒げた。
「俺たちは父様がレミーのお婆様の養子で、バーネットの父親とディラスト殿と三人で暮された事も。ディラスト殿が何故バーネットの元へ行ったのかおおよその話は知っています。ですから此処に貴方達から真実を聞きに来たのです!」
「な、何故お前がそれを!?」
「二人共…本当なのか?…その為に…」
バーネットとレミーは立ち上がる。そしてディラストとバーン伯爵にはっきりと言った。
「「当たり前」です」
それを聞いてディラストは、どこか寂しそうに顔を伏せた。そうして小さく呟いた。
その小さな声は、掠れたようにレミーにほんの少しだけ聞こえた。
"俺は…また……失…のか…"
そうしてバーン伯爵とディラストは観念して三人で暮らした時の話しと何故こうなったかの顛末を話し出した。
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