本より好きになれるなら

黒狼 リュイ

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第15話

本当の家族の形  1

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 翌日、ハルーは目を覚ました。
 バーン伯爵を連れて行ったディラストは、帰り道ロアー家に立ち寄った。
 バーネットは、ザティスが心配だと言い出して聞かずレミーと共にロアー家に泊まる事にしていた。
 そして、再びバーン伯爵家に一同集まり全てを収め始めた。

「バーネット嬢!お、オレはだいっ…!」

「駄目ですわ!ザティス、貴方は安静にすべきですわ!」

 何故か、伯爵の件の後からバーネットはザティスから一歩も距離を置かず日増しに距離を近づけようとしていた。だが、ザティスは自身の体調より、父の件でバーネットに迷惑をかけた事を気にしてバーネットが距離を近づけようとする度に距離を取ろうとして居た。だが、勿論バーネットがへこたれる訳も無く結局は、バーネットの腕に捕まりザティスは真っ赤な顔をしてしまうのだ。

 そんなザティス達をレミーは面白げに見ている。
 そしてディラストは、兄弟と同じ様に接して居たバーンの事を何度も謝罪しに来るが、バーネットもザティスもハルーも「気にして居ない」と何度も言い聞かせる。
 そんなディラストは、レミーにも同じ様に謝罪をした。

「レミー…俺は、父親失格だ…すまない」

「レミロア…」

 目が覚めたばかりのハルーは、レミーを気にかけてくれる。そんなハルーが目を覚まさなかったら、あのままだったら違う応えになって居たかも知れない。レミーはそう感じて居た。
 だから、レミーのディラストへの気持ちも応えも以前とは違った。

「ディラスト・アリッサ…いや、ディラスト父様。」

「レ、レミー!?」

 ディラストは、ガタガタ震えて居た。まるで言葉を聞き取れなかった様に、この場に居れないと体が拒絶しているかの様に震えて居た。

「父様、私は誤解していました。父様は昔と変わらない。そう思い、恨んでいました。…だけど、変わりましたね。母さん達を大切に、私を大切に思って下さった。」

 ディラストは、レミーの言葉に泣き崩れた。ボロボロの姿にレミーは、愛おしさを初めてディラストに父に感じた。
 これが、本当のディラスト・アリッサ。
 いや、ディラスト・ロアーの姿なのだ。
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