夜になると

ぴーなっつ

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夜になると

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7/19 16:41 T県M市

 その日は、その地区の学校が夏休みに入った初日であった。


「そろそろ時間だから帰ろっかー」

 まだ空は十分青いが、そろそろ17時。きっと親との約束か何かがあるのだろう。

 遊びに来ていた子供達が「また明日」と言いながら、散り散りに散っていく。その内の2人が、恐らく兄弟であろう2人が何故か戻ってきた。

「ここら辺に落としたんだよね?大賀?」

「うん、明人にいちゃん、ありがと」

 兄は明人で弟は大賀、というらしい。何か落とし物をしたという。帰らなければならないと言っていたが、大丈夫なのだろうか?

「見つかったよ!大賀!」

「ありがと明人兄!」

 良かった。自分の物を失くしてしまうとその時には気にしていなくとも、後々後悔することもあるだろう。

「ここ、夜になると泣いてる霊が出るって噂あるから早く帰ろ?」

「そうだね…ねぇ、お兄ちゃん、あれ、何…?」

何かあったのだろうか、こちらも向いて何か顔が強張っている。

「お、お化け…?」

何?お化けだと?俺の後ろに居るのか??

「大賀…帰るよ!」

まただ、最近は毎日俺の後ろに霊が居るらしい。

 そろそろ空が赤く、そして段々と暗くなってきた。






今日もこれからこの空き地で、 








1人で、








俺はひたすら、










泣き叫ぶ。









俺の1日が、始まる。
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