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本編
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「落ち着きましたか?」
「う、はい。すみませんでした。それと、ありがとうございました」
私達は今、王都の大通りを進んでいる。騎士が集まる騎士団生活場にはここを通るのが1番早いらしい。
私は王都の中に入ってしばらく経つまでずっと泣いていた。入国する時は、後ろの騎士が大きな外套を貸してくれて、泣き顔を門番に見せないですんだ。感謝している。
「はは。どうってことないよ」
な、なんという紳士なんだ。これは世の女性が放っておかないだろう」
「あ、ハハ。そ、そんなことは無いよ?女性は僕に興味が無いだろうから」
「え、今心読みました!?」
自分が思っていたことにまさかの返答が来たので、私は思わず後ろを振り返ってしまった。
そのせいでバランスを崩してしまい、一瞬落ちそうになってしまった。
「うわ!危ないよ?」
「す、すみません」
「ぷ‥‥ははは!」
いきなり後ろの騎士が笑いだしたので、私は意味がわからず首をかしげてしまった。
「ご、ごめんごめん。君、さっき心の中で考えてたつもりなんだろうけど、バッチリ声にでてたよ?」
「え、マジですか?」
「うん」
は、恥ずかし~。
私は馬に乗ったまま顔を手でおおって倒れ込んでしまった。
何故だ。この騎士には、自分の恥ずかしい部分ばっかりこの短時間で色々見せてしまっている気がする。
「ほら、機嫌直してよ。ぷぷ。街の説明してあげるからさ?ふふ」
「う~。嬉しいですけど、そういうのは笑いが収まってから言ってくださいよ」
「ご、ごめん。フフフ」
この人、謝ってるけど本当に申し訳ないと思ってるのか?
「ブルルルル」
「ん?何?」
ランビックがいきなりこちらを見ながら話しかけてきたので返事をしたが、残念ながら私は動物の言葉が分からない。なのでランビックの首元を叩いてやった。
(説明しよう!馬の首元を叩かれることは、馬を褒めていることと同じ行為なのだ!)
「ラ、ランビック!私そんな事は思っていない!縁起でもないこと言わないでくれ!」
すると、顔を真っ赤にした騎士が後ろから顔を出してランビックを怒ってきた。
「え、騎士さんランビックの言うことがわかるんですか!?」
騎士がランビックの言うことを分かっているようだっので、そう聞いてみたら、騎士は困ったような笑みをして、話してくれた。
「ああ。騎士になる時に教えて貰った魔法で、『動物との意思疎通』と言うのがあるんだけど、それは門外支出の魔法なんだ。だからそこら辺の人達は知らない。それに、これには意思疎通したい動物との絶対的絆がいるんだ」
「へぇ~‥‥いいですね。それ」
私はもう一度ランビックの首を撫でながら、ランビックに話しかけてみた。
「ランビック。俺の名前はレムンって言うんだ。でも、友達からはレンって呼ばれてるんだ。よろしくな」
「ヒヒーン」
私の言葉に答えるようにランビックが1度いなないた。
それを聞いた騎士は驚いたような顔をして、俺にランビックの言ったことを通訳してくれた。
「″こちらこそ″だってよ。珍しいなー。ランビックが私以外の誰かと話すなんて」
そう騎士が言った瞬間に、ランビックが騎士を睨んだ気がした。
多分それは間違いじゃないと思う。だって、私がそう感じた瞬間騎士がビクって体を動かしたもん。
「あ、そう言えば、さっきランビックはなんて言ったんですか?」
「さ、さっきって?」
「ほら。騎士さんが『縁起でもないこと言わないでくれ!』って叫んだやつですよ」
そう私が聞いた瞬間に騎士が慌てだした。誰から見ても挙動不審と思うほどあからさまに慌てだした。
「そ、それは‥‥‥なんて言うか‥‥その」
「ブルル」
「っ!ランビック!だから違うんだって!」
ありゃりゃ。騎士とランビックが喧嘩始めちゃったよ。
私は近づいてくる王宮を見ながら、1人と1頭の喧嘩を聞き流した。
「う、はい。すみませんでした。それと、ありがとうございました」
私達は今、王都の大通りを進んでいる。騎士が集まる騎士団生活場にはここを通るのが1番早いらしい。
私は王都の中に入ってしばらく経つまでずっと泣いていた。入国する時は、後ろの騎士が大きな外套を貸してくれて、泣き顔を門番に見せないですんだ。感謝している。
「はは。どうってことないよ」
な、なんという紳士なんだ。これは世の女性が放っておかないだろう」
「あ、ハハ。そ、そんなことは無いよ?女性は僕に興味が無いだろうから」
「え、今心読みました!?」
自分が思っていたことにまさかの返答が来たので、私は思わず後ろを振り返ってしまった。
そのせいでバランスを崩してしまい、一瞬落ちそうになってしまった。
「うわ!危ないよ?」
「す、すみません」
「ぷ‥‥ははは!」
いきなり後ろの騎士が笑いだしたので、私は意味がわからず首をかしげてしまった。
「ご、ごめんごめん。君、さっき心の中で考えてたつもりなんだろうけど、バッチリ声にでてたよ?」
「え、マジですか?」
「うん」
は、恥ずかし~。
私は馬に乗ったまま顔を手でおおって倒れ込んでしまった。
何故だ。この騎士には、自分の恥ずかしい部分ばっかりこの短時間で色々見せてしまっている気がする。
「ほら、機嫌直してよ。ぷぷ。街の説明してあげるからさ?ふふ」
「う~。嬉しいですけど、そういうのは笑いが収まってから言ってくださいよ」
「ご、ごめん。フフフ」
この人、謝ってるけど本当に申し訳ないと思ってるのか?
「ブルルルル」
「ん?何?」
ランビックがいきなりこちらを見ながら話しかけてきたので返事をしたが、残念ながら私は動物の言葉が分からない。なのでランビックの首元を叩いてやった。
(説明しよう!馬の首元を叩かれることは、馬を褒めていることと同じ行為なのだ!)
「ラ、ランビック!私そんな事は思っていない!縁起でもないこと言わないでくれ!」
すると、顔を真っ赤にした騎士が後ろから顔を出してランビックを怒ってきた。
「え、騎士さんランビックの言うことがわかるんですか!?」
騎士がランビックの言うことを分かっているようだっので、そう聞いてみたら、騎士は困ったような笑みをして、話してくれた。
「ああ。騎士になる時に教えて貰った魔法で、『動物との意思疎通』と言うのがあるんだけど、それは門外支出の魔法なんだ。だからそこら辺の人達は知らない。それに、これには意思疎通したい動物との絶対的絆がいるんだ」
「へぇ~‥‥いいですね。それ」
私はもう一度ランビックの首を撫でながら、ランビックに話しかけてみた。
「ランビック。俺の名前はレムンって言うんだ。でも、友達からはレンって呼ばれてるんだ。よろしくな」
「ヒヒーン」
私の言葉に答えるようにランビックが1度いなないた。
それを聞いた騎士は驚いたような顔をして、俺にランビックの言ったことを通訳してくれた。
「″こちらこそ″だってよ。珍しいなー。ランビックが私以外の誰かと話すなんて」
そう騎士が言った瞬間に、ランビックが騎士を睨んだ気がした。
多分それは間違いじゃないと思う。だって、私がそう感じた瞬間騎士がビクって体を動かしたもん。
「あ、そう言えば、さっきランビックはなんて言ったんですか?」
「さ、さっきって?」
「ほら。騎士さんが『縁起でもないこと言わないでくれ!』って叫んだやつですよ」
そう私が聞いた瞬間に騎士が慌てだした。誰から見ても挙動不審と思うほどあからさまに慌てだした。
「そ、それは‥‥‥なんて言うか‥‥その」
「ブルル」
「っ!ランビック!だから違うんだって!」
ありゃりゃ。騎士とランビックが喧嘩始めちゃったよ。
私は近づいてくる王宮を見ながら、1人と1頭の喧嘩を聞き流した。
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