魔王転生に巻き込まれた!?ならば、私は騎士になる!

レラン

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本編

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 アムールの返事は「は?」だった。
 やっぱりダメか。気軽に見せることの出来る姿じゃないんだろうな。
 そう考え私は諦めて下を向く。
 見たかったな~半獣化。
 あ、ちなみに半獣化とは、獣人の姿が人間のように二足歩行で歩くが、顔などは動物の姿という姿のことだ。
 全人化が完璧な人間姿。今のアムール達の姿がそうだ。
 全獣化が完璧な獣姿。確か、この姿の時は獣本来の力が発揮されるんじゃなかったかな?

「‥‥‥なんで見たいんだ?」

 ガッカリしていると、そんな声が頭上から聞こえた。まぁ、頭上と言っても私は頭を下げているから横からと言う感じだが。
 顔を上げると、そこには不安そうな顔のアムールがいた。

「そんなの決まってるじゃないですか!獣姿だったらもふもふ出来る!」

 私はガッツポーズでそう答えた。
 すると、また皆がポカーンと口を開けたまま固まってしまった。
 なんか、朝だけなのに皆のこの顔何回見たよ。いい加減飽きたぞ?その顔。

「‥‥‥お前変わってるな」

 そう言ったアムールはとても優しい目で嬉しそうだった。

「変わってるって褒め言葉として受け取ってもいいですか?」

 私の言葉に獣戦駆隊の全員が優しいほほ笑みで頷いた。
 そっか。褒め言葉か。

「へへへ」

 なんか照れくさかったので、それを笑って誤魔化した。

「レムンくん。頬が治ったよ」

 ブランシュにそう言われて気づく。頬の痛みがスッカリ引いていた。
 ブランシュにお礼を言って立ち上がろうとすると、ブランシュに抱きしめられて止められた。
 不思議に思いブランシュを見ると、寂しそうな顔をしたシロクマの顔があった。

「え、し、シロクマ!?」

「うん。僕はシロクマの獣人なんだ。アムールよりももふもふ出来るよ?」

「ああ!?なんだとブランシュ!俺だってもふもふ出来る!」

 そう言って、半獣化をしたアムールは金色のチーターの顔だった。
 そして、そのまま私を抱きしめ始める。

「えー?アムールは僕より毛が短いじゃないか。僕の方が毛が長いからもふもふ出来るよ」

「あぁ?毛が短い方が今の時期いいだろ!お前の毛は暑いんだよ!」

 今は夏の時期。確かにシロクマの毛は長いから暑い。
 でも、今私は別に汗かいてないし、逆にちょっと涼しいぐらいだ。なぜ?

「ふん!僕は氷魔法使えるから冷気で涼しくできるから、夏は涼しく冬は暖かくでもふもふ出来るだよ?アムールは炎の魔法だから無理でしょ?ふふふ」

「っ!くっそ~」

 私の腕でチーターとシロクマが良い争いをするが、これはシロクマが有利そうだ。
 てかそういう事か。氷魔法で冷気を出してるから涼しいんだ。

「おいおい!お前らだけズリーぞ!俺も混ぜろ!」

「「「うわぁ!」」」

 急に飛び込んできたのは茶色いクマの獣人。
 そこからはもう大変。クマの獣人が入った事から、他の獣人の皆さんも半獣化して私達の近くにくる始末。
 さ、さすがに暑い。
 色々な動物に囲まれ、ブランシュの冷気があるとしてもどんどん熱気で熱くなっていく。

「あ、暑い」

 皆が何故ここまで嬉しそうなのかは分からないが、私的には色々な動物に囲まえれて楽しいのが事実なので、嬉しくはある。
 でも、そんなおしくらまんじゅうはすぐに終わりを迎えた。

「こらー!半獣化した獣共!ここをどこと思ってるんだい!」

 鍋を叩く音と共に聞こえた声は、カウンターでいつも受け取り番号を叫ぶ女性の声だった。
 すぐに獣人の皆さんはおしくらまんじゅうを止めて自分の席につく。

「たく!毛が待って料理に入っちまうよ!受け入れられて嬉しいのは分かるが、なんでこうも大人しく出来ないかね~」

 『受け入れられて嬉しいの』?どういう意味だろう。
 意味を聞こうとしたが、女性はスタスタとカウンターへと戻って行った。
 そこで私はある事に気がついた。レクターだ。

「おいレクター!大丈夫か?」

「あ、レ、レン‥‥‥俺は夢を見てるのか?」

 震えて顔まで真っ青のレクター。どうしてこうなっているのかが分からない私は、サレスにヘルプの目線を送った。

「はぁー。レクターは俺に任せてお前は朝ごはんを食べろ」

 私は素直にそれに従ってご飯を食べた。
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