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村人B【問題編】
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僕の名前は村人B、今世界を破壊しているんだ。
何故村人の僕が世界を破壊しなければいけないのか。
どこであの穏やかで平凡な僕の日常はねじ曲がったのだろうか。
~3週間前~
「今日は畑仕事の手伝いと屋根の修理か…あと井戸も古くなってきてるからどうにかしないとなぁ…ふあぁぁ…」
僕の朝は日の出と同時に始まる、朝起きたら今日のスケジュールの確認。
今日は楽な方だ、いつもは村の畑用の水路を作ったり家の建築の手伝いなどをしている。
力作業は苦手だけど手先は器用なので細かい仕事をよく任される。
今日の最初の仕事は屋根の修理かな。
最近嵐が来たせいで屋根が壊れ、雨漏れしている民家が多数あるのだ。
そういう仕事は全部僕が受け持つ、僕自身あまり嫌じゃないからね。
コンコンコン
「よし、これでいいかな?」
《技術が向上しました325→326》
「またか…」
このメッセージは僕が物心付く前、恐らく生まれた頃から目の前に突如現れる。
昔は頻繁に出てきたが今は全然出てこない、週に2~3回程度だ。
これは他の人からは見えていないらしく、昔両親に相談して引かれたのでそれ以降他人には言ってない。
これには技術が向上したと書いてあるがなんの技術かわからない、技術にも色々あるのだ。
何かを扱う技術だったり、何かを作る技術だったり。
結局技術が向上した事以外、分からず終いでその文字はスゥーと消えていく。
このメッセージは何か作業をしている時によく出てくる。
力仕事のときは筋力が上昇したり、本を読んでいるときはは知力が向上したり。
でも一番上がるのが魔物との戦いの時だ、魔物を倒すと俊敏や体力や魔力が上がる。
僕は村人だが一応魔法も使えるし剣も多少は扱える、でも魔物が怖くて走り回ってるからよく転ぶ。
その時は魔法でなんとかするけど初級魔法の威力は高が知れている、けれどもこの近辺の魔物は初級魔法で難なく対処出来る程の弱さだ、最初から魔法で倒せばいいだけの話だが魔法だけだと心許無いので剣術も使いながら戦う。
最もあまり使えていないんだけどね。
「完了…っと」
畑の手伝いが終わり日が暮れてきた、井戸の件はなんとかしたいけど…あの井戸からは髪の長い白い服を来た女の人が這い出てきそうな雰囲気が漂っているのであまり近づきたくはない。
僕は家に帰り最近始めた日課の魔法トレーニングをして晩御飯を食べて布団に入り眠りについた。
~一週間後~
ガタガタガタ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ヒュゥゥゥウウウ
また嵐だ、少し前にも来たばかりなのに。
これじゃ畑の被害は大きそうだな…。
畑は予想通り大規模な被害を受けていた、みんな少しは落ち込んでいるものの目にはやる気と希望が満ち溢れている。
これは僕も落ち込んでられないな…!
その日は村人全員で修復作業を行い、荒れ果てた畑は新たに苗が植えられとても綺麗な緑が広がっていた。
民家は塗装などが剥がれていた為塗り直し、真っ白な壁になっていた。
屋根はボロボロの物じゃなく新品で艶のある木製の物に変えた。
村民全員でやったおかげかたったの3日で終わってしまった。
「今夜はパーティーだぁ~!」
村の一人がそう言うと皆「おー!」と歓喜の声を上げて乗り気でいる、僕はお祭り騒ぎは苦手なのだが今回は別だ。
「おー!」
出来る限りの大声で、心の底から喜んだ。
その晩、村の一番大きな祭りなどの催し物に使われる建物を借りてパーティーが開かれた。
「みんな、よくぞやってくれたのぉ今夜は騒げぇい!」
村長の一声で一気に場が騒がしくなる。
1時間経ってもその勢いは止むことを知らずワイワイと騒いでいる。
僕も一応混ざってはいるが。
「ほらほら飲め飲めぇ~!」
「うえぇぇぇえええい!」
「じゃんじゃん飲むぜぇ!ははははは!」
「ははははは!」
みんなの気迫がすごくて少し疲れている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「なんだ?この音」
「おい、誰か外の様子見てこい」
僕はここぞとばかりに「僕が行きます!」と自ら名乗り出た。
休憩する丁度いいチャンスだ、逃すのは惜しい。
木製の少し大きい両開きの扉を押して開けると。
ヒュォォォオオオ!
もの凄い風が扉を押してすぐに閉まってしまった。
その音にみんな酔が覚め、青い顔をする。
その原因はお酒を飲み過ぎたからじゃない、再び嵐が来たのだと知り、絶望しているからだ。
「また来たのか…!?」
「嘘だろ」
「俺達の苦労がぁ…」
みんな目頭を押さえて涙を堪えている、村長は険しい顔で机の上に立った。
「挫けるな!人が作ったものは必ず壊れるのじゃ!今回はそれが早かっただけの事!時間はある!やり直しは何回でも出来るのじゃ!希望を持てい!」
最後にニカッと笑って机を降りた、村長の言葉は何故か心の芯まで響く。
素質というものだろう、リーダーに相応しい素質だ。
「村長の言うとおりだ!」
「3日で直せたんだ!皆で協力すれば出来ないことは無い!」
と、皆を元気付けようとする一方
「でもよ、もう3回目だぜ…」
「俺、疲れちまったよ…」
と泣き言を言う者も現れた。
僕はこの嵐は何か原因があるんじゃないかと睨んでいる、立て続けに3回も起こるのは流石におかしい。
村長も薄々勘付いているようだ。
村の修復が終わった途端嵐が来た、つまり人為的に誰かがこの村を狙っているのか、それとも偶々自然現象が重なっただけなのか。
だが十中八九誰かが、もしくは何かが嵐を起こしているに違いない。
王都の兵士さんに頼んで調査してもらおうか。
いやでも調査するのにもお金がかかる、今この村にそんなお金はない。
村の修復に使ってしまったからだ。
どうする…何か打開策は…
トントン
後ろから肩を叩かれ振り向くと村長が手招きをしていた、耳を貸せという事だろう。
「お主はもう分かっておるのじゃろう?行くのじゃ」
僕は村長が何を言っているのか分からなかった。
僕が?どこに?嵐の原因を確かめに?
「なんの事でしょうか?村長」
「む?お主気付いておらぬのか?賢いお主なら既に気付いておるとおもぅたが…」
僕が気づけてない?何か気づけていないこと…心当りは無いけど…ん?
「もしかしてあのメッセージの事ですか?」
「そうじゃ、あれは世界の声と呼ばれるものでな。あれが見える者には計り知れない力と可能性が授けられるのじゃ」
計り知れない力と可能性…僕にそんな事が
「…剣を振ってみよ、さすれば分かる」
僕は腰の剣を抜き2~3度振ってみる、いつもと同じ風切音が聞こえるだけだ。
何が伝えたいのかよくわからない、もっと振れば分かるのだろうか?
「よせよせ、もう良い。お主は見た目によらず鈍感なのじゃな…」
「すみません村長、何が伝えたいのかよく分からなくて…」
何故村人の僕が世界を破壊しなければいけないのか。
どこであの穏やかで平凡な僕の日常はねじ曲がったのだろうか。
~3週間前~
「今日は畑仕事の手伝いと屋根の修理か…あと井戸も古くなってきてるからどうにかしないとなぁ…ふあぁぁ…」
僕の朝は日の出と同時に始まる、朝起きたら今日のスケジュールの確認。
今日は楽な方だ、いつもは村の畑用の水路を作ったり家の建築の手伝いなどをしている。
力作業は苦手だけど手先は器用なので細かい仕事をよく任される。
今日の最初の仕事は屋根の修理かな。
最近嵐が来たせいで屋根が壊れ、雨漏れしている民家が多数あるのだ。
そういう仕事は全部僕が受け持つ、僕自身あまり嫌じゃないからね。
コンコンコン
「よし、これでいいかな?」
《技術が向上しました325→326》
「またか…」
このメッセージは僕が物心付く前、恐らく生まれた頃から目の前に突如現れる。
昔は頻繁に出てきたが今は全然出てこない、週に2~3回程度だ。
これは他の人からは見えていないらしく、昔両親に相談して引かれたのでそれ以降他人には言ってない。
これには技術が向上したと書いてあるがなんの技術かわからない、技術にも色々あるのだ。
何かを扱う技術だったり、何かを作る技術だったり。
結局技術が向上した事以外、分からず終いでその文字はスゥーと消えていく。
このメッセージは何か作業をしている時によく出てくる。
力仕事のときは筋力が上昇したり、本を読んでいるときはは知力が向上したり。
でも一番上がるのが魔物との戦いの時だ、魔物を倒すと俊敏や体力や魔力が上がる。
僕は村人だが一応魔法も使えるし剣も多少は扱える、でも魔物が怖くて走り回ってるからよく転ぶ。
その時は魔法でなんとかするけど初級魔法の威力は高が知れている、けれどもこの近辺の魔物は初級魔法で難なく対処出来る程の弱さだ、最初から魔法で倒せばいいだけの話だが魔法だけだと心許無いので剣術も使いながら戦う。
最もあまり使えていないんだけどね。
「完了…っと」
畑の手伝いが終わり日が暮れてきた、井戸の件はなんとかしたいけど…あの井戸からは髪の長い白い服を来た女の人が這い出てきそうな雰囲気が漂っているのであまり近づきたくはない。
僕は家に帰り最近始めた日課の魔法トレーニングをして晩御飯を食べて布団に入り眠りについた。
~一週間後~
ガタガタガタ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ヒュゥゥゥウウウ
また嵐だ、少し前にも来たばかりなのに。
これじゃ畑の被害は大きそうだな…。
畑は予想通り大規模な被害を受けていた、みんな少しは落ち込んでいるものの目にはやる気と希望が満ち溢れている。
これは僕も落ち込んでられないな…!
その日は村人全員で修復作業を行い、荒れ果てた畑は新たに苗が植えられとても綺麗な緑が広がっていた。
民家は塗装などが剥がれていた為塗り直し、真っ白な壁になっていた。
屋根はボロボロの物じゃなく新品で艶のある木製の物に変えた。
村民全員でやったおかげかたったの3日で終わってしまった。
「今夜はパーティーだぁ~!」
村の一人がそう言うと皆「おー!」と歓喜の声を上げて乗り気でいる、僕はお祭り騒ぎは苦手なのだが今回は別だ。
「おー!」
出来る限りの大声で、心の底から喜んだ。
その晩、村の一番大きな祭りなどの催し物に使われる建物を借りてパーティーが開かれた。
「みんな、よくぞやってくれたのぉ今夜は騒げぇい!」
村長の一声で一気に場が騒がしくなる。
1時間経ってもその勢いは止むことを知らずワイワイと騒いでいる。
僕も一応混ざってはいるが。
「ほらほら飲め飲めぇ~!」
「うえぇぇぇえええい!」
「じゃんじゃん飲むぜぇ!ははははは!」
「ははははは!」
みんなの気迫がすごくて少し疲れている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「なんだ?この音」
「おい、誰か外の様子見てこい」
僕はここぞとばかりに「僕が行きます!」と自ら名乗り出た。
休憩する丁度いいチャンスだ、逃すのは惜しい。
木製の少し大きい両開きの扉を押して開けると。
ヒュォォォオオオ!
もの凄い風が扉を押してすぐに閉まってしまった。
その音にみんな酔が覚め、青い顔をする。
その原因はお酒を飲み過ぎたからじゃない、再び嵐が来たのだと知り、絶望しているからだ。
「また来たのか…!?」
「嘘だろ」
「俺達の苦労がぁ…」
みんな目頭を押さえて涙を堪えている、村長は険しい顔で机の上に立った。
「挫けるな!人が作ったものは必ず壊れるのじゃ!今回はそれが早かっただけの事!時間はある!やり直しは何回でも出来るのじゃ!希望を持てい!」
最後にニカッと笑って机を降りた、村長の言葉は何故か心の芯まで響く。
素質というものだろう、リーダーに相応しい素質だ。
「村長の言うとおりだ!」
「3日で直せたんだ!皆で協力すれば出来ないことは無い!」
と、皆を元気付けようとする一方
「でもよ、もう3回目だぜ…」
「俺、疲れちまったよ…」
と泣き言を言う者も現れた。
僕はこの嵐は何か原因があるんじゃないかと睨んでいる、立て続けに3回も起こるのは流石におかしい。
村長も薄々勘付いているようだ。
村の修復が終わった途端嵐が来た、つまり人為的に誰かがこの村を狙っているのか、それとも偶々自然現象が重なっただけなのか。
だが十中八九誰かが、もしくは何かが嵐を起こしているに違いない。
王都の兵士さんに頼んで調査してもらおうか。
いやでも調査するのにもお金がかかる、今この村にそんなお金はない。
村の修復に使ってしまったからだ。
どうする…何か打開策は…
トントン
後ろから肩を叩かれ振り向くと村長が手招きをしていた、耳を貸せという事だろう。
「お主はもう分かっておるのじゃろう?行くのじゃ」
僕は村長が何を言っているのか分からなかった。
僕が?どこに?嵐の原因を確かめに?
「なんの事でしょうか?村長」
「む?お主気付いておらぬのか?賢いお主なら既に気付いておるとおもぅたが…」
僕が気づけてない?何か気づけていないこと…心当りは無いけど…ん?
「もしかしてあのメッセージの事ですか?」
「そうじゃ、あれは世界の声と呼ばれるものでな。あれが見える者には計り知れない力と可能性が授けられるのじゃ」
計り知れない力と可能性…僕にそんな事が
「…剣を振ってみよ、さすれば分かる」
僕は腰の剣を抜き2~3度振ってみる、いつもと同じ風切音が聞こえるだけだ。
何が伝えたいのかよくわからない、もっと振れば分かるのだろうか?
「よせよせ、もう良い。お主は見た目によらず鈍感なのじゃな…」
「すみません村長、何が伝えたいのかよく分からなくて…」
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