転生もの主人公ではなく悪女側室だったのでオタクは世界一の黒幕と結婚します

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三章・推しとの境界線

13・黒幕様を微力ながらもお助けしたいのです

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 雨が降り続く街中にて、一軒のシックな雰囲気のカフェで黒のクッション椅子に座りながらアイスコーヒーが置かれた白のテーブル越しに見つめてくる謎の美形と眉を寄せ睨みつけながら隣に座るマリンを見比べ恐る恐る口を開く。

「それで、あの…あなたは一体…?」

「私は‥」

ダンッ!

「もう我慢出来ません。どうしてここに居るんですか?さん」

「え…」

シュリア…?

 立ち上がり無表情のまま怒りを滲ませた声でそう言ったマリンに首を傾げるとシュリアと呼ばれた目の前の人物が諦めた様に肩を落とし笑みを零した。

「あーあ、仕方ないかぁ…」

 そう言うなりシュリアは眩い光と共に一瞬にして女性へと姿を変えた。

「へ…?」

女の人…?

「取り敢えず、説明するから座って?マリン」

「…‥」

 低い声から高い声に変わりなだめる様にそう言ったシュリアにマリンは不満気に眉を顰めたまま大人しく座り直した。

「改めまして、私は魔塔に所属するシュリアと申します」

「魔塔?…って言う事はマリンとは昔の魔塔での知り合いという事ですか?」

「うーん、まぁ…そんな所かしら?」

「へ?そんな所?」

「シュリアさん」

「ああ、えっと…そう!昔、魔塔で知り合ったのよ!」

「そうなんですか…」

 何だろう?何か、はぐらかされている様な…?

 不自然な感じでそう言うシュリアに不信感を抱いていると再度シュリアが口を開いた。

「ちなみに、私は魔塔主様…リリタリオン公爵様の弟子なんだけど…」

「え!?ノアの弟子!?」

「ええ。それで、さっそく本題に入るんだけどね…リリタリオン公爵様を助けてみない?婚約者のミリア・ロドムーシ侯爵様」

「ノアを助ける…?」

どういう事…?

 突然の提案に瞬きをし戸惑っているとそれまで黙って聞いていたマリンが疑う様に口を開いた。

「それで、でここに来たんですか?」

「うっ…怒られるかどうかはロドムーシ侯爵様に嘘をついて貰えば万事解決でしょ?」

「へ?」

「ミリア様を利用しないで下さい」

「してないわよ~?ただちょ~と嘘をついて貰って魔塔主様を助けて貰おうかな~?って思っただけで」

「それを利用してると言うんです」

「もぅ…少しくらいいいじゃない?」

「良くないです。そんな事、私が許しません」

「ちょ、ちょっと待って!」

「…?」

「ミリア様?」

 二人だけで言い合いをするシュリアとマリンの間に入るなりシュリアに向き直り再度口を開く。

「嘘をつくとかは後で詳しく聞くとして、話を戻しますけど…ノアを助けるってどういう事ですか?」

「ロドムーシ侯爵様…あ、やっぱりミリアさんって呼んでいいかしら?」

「ご自由にどうぞ」

「ふふっ‥じゃあ、ミリアさん…今日の昼間に裁判に行っていたわよね?ナナリー子爵令嬢とジュシュ子爵令嬢の」

「はい」

「しかも、そこにはジュシュ子爵夫人と血縁関係だったロブリティス伯爵もいた。だけど、ロブリティス伯爵はジュシュ子爵家とは絶縁関係だと言って逃げたわ。そこで、ここからが重要なんだけど…三日後にその逃げたロブリティス伯爵が経営している大きなサロンで仮面パーティーが開かれるのよ。そこに魔塔主様が仕事で潜入する事になってるんだけど…ミリアさんも潜入してみない?魔塔主様を助ける為に」

「は…えっ!?」

潜入!?

「要は、ロブリティス伯爵やロブリティス小伯爵を探る為の潜入の仕事に内緒で潜入して魔塔主様を助けちゃおうって感じね!どう?やってみない?」

「ロブリティス伯爵とロブリティス小伯爵…」

 ノアの仕事の邪魔はしたくないけど、ロブリティス小伯爵にはアイリスの件もあるし…

「ミリア様、お断りして下さい。関わっても良い事にはなりません」

「マリン…」

 シュリアを睨みつけながらも真剣な口調でそう述べるマリンに気持ちが揺れ動く。

「ねぇ、最近魔塔主様って忙しいでしょ?」

「それは、そうですけど…」

 マリンの視線や忠告を他所に再度口を開き問いかけたシュリアに戸惑いの表情を浮かべる。

「そんな忙しくて休む暇もない魔塔主様を婚約者として助けたいと思わない?」

「っ…」

 正直に言えば、ノアを助けたい気持ちもある。でも…

「私が潜入した所で本当にノアを助ける事が出来るんでしょうか?」

「大丈夫!私も裏でサポートするから!」

 本当に大丈夫かな?不安しかないんだけど…

 翡翠色の瞳を輝かせ満面の笑みを浮かべながらそう断言するシュリアに不安しか湧かなかった。

 だけど、一応魔塔所属でノアの弟子だし…んー…

「分かり…ました。その提案、お引き受けします」

「ミリア様!?」

「ノアを助けたい気持ちもあるし個人的にロブリティス小伯爵にも用があるから‥」

パチッ!

「そうこなくっちゃ!よし、そうと決まったら早く準備しないとね!取り敢えず、先にこれを‥」

 シュリアは手を合わせ喜ぶなり小さな空間魔法を発動させその中から薄茶色の中くらいの紙袋を一つ取り出すとそれを差し出した。

「…?」

「ミリアさんにプレゼントよ。私が裏でサポートする代わりにこれを潜入が終わった後に魔塔主様に着て見せて欲しいのよ」

ガサッ…

「え…」

 シュリアから紙袋を受け取るなり中身を確認し言葉を失う。

バサッ!

「む、むむ無理ですっ!?これを着るだなんて…絶対無理っ!」

 慌てて紙袋を閉じるなり抱き締め必死で首を横に振るがシュリアは小悪魔の様な笑みを浮かべ不満気な声を漏らした。

「え~?絶対喜ぶと思うけどなぁ…魔塔主様。それに、これ以外の取引案は提示するつもりないから否定しても無駄よ?」

「そ、そんな…‥」

 こうして半ば強引に押し切られ私は小悪魔の様なシュリアの提案を引き受ける事となったのだった。














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