転生もの主人公ではなく悪女側室だったのでオタクは世界一の黒幕と結婚します

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二章・黒幕の妻になりたいのです

23・黒幕様からは逃げられません

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 ミリアがエリンゼルとノアの話で盛り上がっていた頃、ノアはエルセンと共にノハモータル帝国から南に位置する国である避暑地としても有名なティスファ王国の北端へと来ていた。

「マスター、見つけました」

「ああ、俺も見つけた」

 人々が行き交う街中で一軒の誰も入って行かなさそうな古びた雑貨店に入って行く癖のある長い黒髪にセピア色の瞳を持ちアイボリーのコットと茶色のシュールコーを着た一人の女性を路地の隙間から黒髪をハーフ団子にし灰色の瞳を持ち右耳にルビーのピアスと目元に黒い仮面をつけ黒のタートルネックとズボンに革のブーツを履きローブを羽織り手袋をつけたノアは冷ややかな声で呟いた。

「中に入るぞ」

「ま‥っ!?少し待って下さい!」

「は?」

「変身魔法がまだ解けなくて‥っ」

 その言葉に店の前で佇む一匹の茶色の猫に呆れた視線を向ける。

「先に行く」

 そう冷たく言い放つと幻影魔法を起動している状態で店の中へと入って行った。

…ドンッ!

「ゴホッ!ゴホッ!」

「な…っ!?」

 数分後、変身魔法を無事に解除した同じく黒の装いに黒い仮面をつけ紺色の髪に茶色の瞳をしたエルセンと共に自身も幻影魔法を解除し店の中に入るなり地下へと続く扉を吹き飛ばし中にいる者達を冷ややかな目で見渡す。

「彼奴の情報通りでしたね」

御託ごたくはいい。防音魔法をこの店全体に張った。ターゲット以外は手加減するな」

 変声魔法で声を変え淡々とそう言うとエルセンはニヤリと笑みを浮かべた。

「了解です」

更に数分後…

「あんた達、何者…?」

 床に転がった血まみれの者達を他所に座り込み魔法で拘束された女は顔を上げセピア色の瞳で睨みつけた。

「ルーデン王太子殿下から依頼され皇室に潜入し皇室騎士団に入団した後、王太子殿下と協力しミリア・ロドムーシに毒を飲ませその後はこのティスファ王国に逃亡という名の帰郷をした…ナビーデ・スティア」

「誰の差し金…?」

 冷たく淡々と述べる血で汚れたノアとエルセンを見上げ冷静に問いかけるナビーデにノアは冷たく見下ろした。

「こちらの情報を話すつもりはない」

「っ…」

「王太子も隣国の闇ギルドに依頼すればバレる心配はないと思ったのだろうが、甘かったな」

「知ってる事なら全部話すわ。だから、命だけは見逃して」

「‥…」

ピチャ‥

 その言葉にノアは無言でナビーデに近づくと冷たさのこもった灰色の瞳で見下ろし口を開いた。

「この状況で嘘をつくとはいい度胸だな?」

「っ…」

 ナビーデは顔を強ばらせ唇を噛むとノアは顔を背けるなりエルセンに視線を移した。

「後は頼んだ」

「了解です」

 そう言い残すなりノアは転移魔法でその場から消え去った。

「それじゃあ、楽しい尋問を始めましょうか?」

「ひ…っ」

 その後、エルセンにより尋問を受けたナビーデはシルバーガラスの地下の牢に入れられた。ちなみに、残された血まみれの残骸はエルセンの手によって跡形もなく消え去ったのだった。

…タッ‥

「おかえりなさいませ」

「…‥」

カタッ‥

 時刻は夜の二十二時、肩まである銀色の髪を下の方で一つに束ね藍色の瞳を持ち白いシャツにアイスブルーのシャツと灰色のウエストコートとズボンを履き黒の靴に着替え直したノアは公務室にて待っていたジョアンを一瞥するなり右手に持っていた丸眼鏡を机の上に置いた。

「はぁ…‥」

 溜息を吐きながら黒いゴムを外し髪を解くとジョアンが口を開いた。

「今日は、特にお忙しかったようですね」

「ああ…」

 ナビーデを捕獲後、一度ギルドに戻るなり身なりを整え正装するなりリリタリオン公爵としてティスファ王国に戻り国王と内密に謁見しナビーデの件について話し合った。その結果、ナビーデを国外追放とし切り捨てる事に決めた国王の決断を承諾した後は魔塔でのアーティファクトの開発と売上の確認。屋敷に帰宅した後は公爵としての書類処理…まだ仕事が残っている。だが、先に…

「ミリアは?」

「それが…」

 ミリアの名前を出すなり困った様に言い淀むジョアンに疑いの目を向ける。

「何かあったのか?」

「それが、大変申し上げにくいのですが…午後に突然、マスト伯爵令嬢が訪問されまして‥」

「何だと!?」

 あのマスト伯爵令嬢が家にまでやって来るとは…今朝の新聞の影響か?

 不意に、今朝の新聞のミリアとの婚約の記事が脳裏に過ぎり顔を顰める。

「ですが、公爵様が心配なさるような事はありませんでした」

「どういう意味ですか?」

「それが、ミリア様がマスト伯爵令嬢と親しくなられたようで…」

「何をどうしたらその様な状況になるのですか?」

 その言葉に呆れた目を向けながら問いかけるとジョアンは苦笑いを浮かべた。

「私にも分かりかねます」









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