碌の塔

ゆか太郎

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瓶底の向こう色

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「それじゃあ好きな色を選んで」
 小瓶の詰まった箱を机の上に持ち出して、一つ一つ並べていく。小さな四角い瓶にはそれぞれ違う色の液体が詰められている。
「自分の心に従って。これだと思う色を選んでごらん」
 もう一押し、そう呟けば目の前の男はゆっくりと指を動かした。
「じゃあ、この色を……」
 揺れる瞳と指が、ぴたりとある一つの瓶の前で止まる。男が指差したその瓶を手にとって、私は蓋を開ける。キュ、という小さな音が鳴って微かに花の香りが漂う。
 男が選んだのは濃い赤い色。その液体を小さなスポイトで吸い上げて、小皿に移す。
「これは……?」
「ただのインクですよ。今はまだ、ね」
 インクを広げた小皿と筆を男の前に広げる。
「この筆でインクをとって、この絵の中に落とすんです」
「この白い部分にですか?」
「ええ、他の部分は私が色付けしてありますが最後の仕上げを行うのは貴方自身ですから」
 男は戸惑いながらも筆を手にとる。小皿に筆の先をつけると、筆に赤色が吸い上げられていく。たっぷりと色を吸った筆を、男はゆっくりと紙の上へ持っていく。
 机の上には、既に多彩な色で染められた絵が置かれている。薄水色に煌めく美しい女性が、情熱的な赤い炎をまとっている絵だ。切り絵の白い部分を鮮やかに染めたような、ステンドグラスのような絵の中央に一箇所だけ白い部分が残っている。
「貴方の思いを、ただ純粋に絞り出して」
「思い、を」
「貴方の望みを、願いを、そのインクに乗せて、この絵の白い部分に染み込ませるんです」
 男の持っていた筆の先から、ぽたりとインクが落ちる。その雫が紙の白い部分に触れた途端、さぁと赤色が広がった。細く黒い線に縁取られた最後の白いパーツが、濃い赤色に染まっていく。ぽたりぽたりと落ち続けるインクを男はただ見つめている。いや、男が見つめているのは色を変えていく紙でも、落ち続けるインクでもない。その先を、インクが映す男の奥底を見つめている。
 微動だにしなくなった男の腕を掴むと、男はハッとして顔を上げた。
「インクを垂らしすぎると紙が弱ってしまいますからね。これくらいにしておきましょう」
 そう言いながらゆっくりと男の指を解き、筆を取る。ついでに小皿も回収して手元に戻した。
「あとは額縁に入れて完成です。これは特殊なインクですぐに乾きますから、額縁も選んでくださいね」
 しばらく筆を持っていた時のまま固まっていた男は、額縁をいくつか取り出す物音でようやく動きを取り戻した。男が選んだのはシックな色合いの、しかし飾りの多い額縁だった。
 絵を額縁に入れて男に手渡すと、しばらく見惚れた後、嬉しそうに笑った。
「こんなに素敵な作品をありがとうございます。しかも自分の手で完成させられるなんて、こんな貴重な体験そうそうないですよ」
「そう言っていただけて何よりです」
「これで、俺もますます自信がつきました」
 男はそう言ってお代を手渡すと、嬉しそうに絵を鞄にしまい、浮き足立ったまま店を出て行き、街の雑踏の中へと消えていった。
 そんな男の後ろ姿を見送って、店の表の看板を下げる。扉にかけたプレートを裏返して中に戻ると鍵を閉めた。
 今日もお客さんはまずまずというところだった。最近は絵の売れ行きも調子が良い。どうやら口コミが広がっているようだ。
 曰く、ここの絵を家に飾ってから宝くじが当たっただとか、好きな人に告白されただとか、病気が治っただとか。不思議な噂が噂を呼び、その噂がお客さんをここへ呼び寄せる。最近ではリピーターもいるくらいだ。
「今日も作業しますか」
 ありがたいことに最近はこうして制作作業の時間を取るようにしないと作品の補充が追いつかないくらいだ。
 机の引き出しから紙と小さいカッターナイフを取り出す。紙は黒と白の二色で水分に強い特製のものを。カッターナイフはデザインナイフというペン型になっているものだ。白い紙は脇に置いて、黒い紙を正面にナイフを手にとる。しばらくうんうんと唸りながらデザインが降ってくるのを待つ。調子のいい時は案が溢れてくるのに、そうでない時は全く降りてこなかったりするから厄介だ。今日はどうやら調子のいい日だったようでパッと絵のイメージが浮かんできた。そのイメージを形にするように、ナイフの先を黒い紙に入れる。ナイフを動かせば黒い紙にすっと線が入る。一度手が動き始めればしばらく止まることはない。ナイフは黒い紙の上を滑らかに動き、様々な形を切り取っていく。やがて黒い紙の大半が削り取られ、細い線のみになる。不安定なそれをそっと白い紙の上に載せると、黒い線によって描かれた絵があらわになる。それは恋する少女の絵だった。最近はバレンタインが近いこともあってか、恋や愛がテーマのものがお客さんに人気なのでちょうどいいかもしれない。黒の切り絵を丁寧に白い紙に接着すると、より切り絵がはっきり見えるようになった。
 出来上がった下絵に満足しながら、さらにイメージを膨らませる。次はこの下絵に付ける色選びだ。下の白い紙をインクで着色することで、ステンドグラスのような絵が出来上がる。しかし、その色選びは慎重に行わなければいけない。黒い紙で仕切られているのでインクが混ざることはないが、その分色選びに失敗すると個々の色が喧嘩してしまう。なので全体の仕上がりを想像しながら色選びを行わなければいけない。下絵をじっと見つめながら、頭の中で色を置いていく。納得するイメージが出来上がったら、机の下の大きな引き出しからインク瓶を出していく。色の種類は多すぎても少なすぎてもいけない。多過ぎればうるさく、少な過ぎれば単調な絵になってしまう。ちょうどいい具合の色の数を選び出して、机の上にインク瓶を並べる。そしてインク瓶からインクをスポイトで吸い上げ、切り絵の白い部分に落とす。落とす部分を間違えないように、インクを落としすぎないように慎重に、しかし素早く色付けを行う。やがて白黒だった絵が彩られていく。空は輝く青春のような青に。なびく少女の紙は風を感じさせる深緑に。恋する少女の肌は大切な思いを含んだ薄桃色に。中央にある、少女が抱えているハートの部分以外を全て色付けすれば作品の下準備は終わりだ。
「よし、こんなものかな」
 色付けが終わった絵をまっすぐ持って見つめる。滑らかな黒い線も、バランスの取れた色合いも美しい。満足のいく出来にうんうんと頷きながら、絵を作品が入っている箱へ追加する。作品の補充は今日は一つだけで良さそうだ。大小様々な作品が入った箱を閉めて、部屋の壁に並んだ棚の方へと向かう。
 小さなインク瓶が並んだ棚を開け、残りが少なくなっているものを選んでいく。最近はバレンタインが近いからか、赤やピンク色のものが減りが早くなっているような気がする。瓶を五つほど持って机に置いた。

 噂通り、この絵には不思議な力がある。しかしその理由は下絵になっている切り絵でもなく、私があらかじめ着けている色でもない。秘密は、お客さんが使うこのインクにある。
 蓋を開け、瓶の上で手を握り込める。瓶を見つめ、心を落ち着かせる。頭の中を空っぽにして、凪のような空気で体を満たす。やがて握ったこぶしの隙間からぽたりと透明な雫が落ちる。その雫は瓶の中のインクに波紋を落として溶けた。
 元はただのインクだが、この液体を混ぜることで不思議な力を発揮する。私が元々付けている色は純粋なインクを使っているが、お客さんが最後に色付けをするのはこの特殊な液体が混ざった方のインクだ。ぽたりぽたりと点滴のように液体は手から落ちていくのに、不思議なことに瓶の中のインクは薄まることはない。
 やがて十分な量の液体が溜まったのを確認して、瓶の蓋を閉める。重くなった瓶を机の上に戻して、次の瓶を手にとる。それを五つほど繰り返す。瓶たっぷりになったインクを確認して、棚に戻す。
 棚にはありとあらゆる色のインクが並んでいる。この全てに、私の手のひらからこぼれ落ちた液体が混ぜられている。
 お客さんは、自分の欲しい絵を選び、その絵を最後に完成させる色をここから選ぶ。そしてその色に自分の願いを込めるのだ。お金が欲しい、好きな人と結ばれたい、幸せになりたい。そんな想いが込められたインクが、不思議なことにお客さんの願いを叶えてくれる。そんな噂。
「本当、ありがたい勘違いだよね」
「それは私に言っているのかい?」
 こぼした言葉に、私の背後から返事が返ってくる。低く、くぐもった老人のような、しかし艶美さを感じさせる声。
「ここには貴方しかいないでしょう」
「それもそうだ。しかし、勘違いとはまた上手いことを言う。勘違いさせているのは一体どこの誰なのだろうね」
「勘違いというのは勝手にされるものだし、私は噂を肯定したことなんて一度もないよ」
「相変わらず口が達者なことで」
 この声の主こそが、願いを叶えるインクの元であり、私がこのような商売をすることになったきっかけだ。姿は見えない、見たこともない、そもそも実体があるのかすらわからない。そんな何かが、いつからか私に取り憑いている。

 この取り憑いている何かは、ある日突然私の元へやってきた。私がまだ絵を趣味としていた頃だった。それは自分のことを呪いのようなものだと言った。名前もなく、人間にとりつくだけが精一杯の何か。できることはささやかな願いを叶えること。消す方法は呪いを分散させるしかないこと。そんな取扱説明書のようなことを至極丁寧に伝えてきた。そして自分を消す手伝いをして欲しいと頼んできた。
 悲しいかな、得体の知れないものの存在には幾度も出会ってきたので別に今更驚きはしなかった。しかし一体なぜ私がそんなことをしなければならないのか。願いを叶える力があるのならば、別にいてくれてもいいくらいだと私はその希望を突っぱねた。だがその直後、私はこの存在の特異さと面倒さに直面することになる。
 存在自体が大きすぎて、私の微かな言動や願いが増幅されて身の回りに降りかかる。願いを叶えると一言に言っても、その方法は様々だ。決して良い事ばかりではない。今では思い出したくもないようなことに巻き込まれたのも両手で数えきれないくらいあった。
 そんなこんなで、私は本格的にこの何かを消す方法を編み出すことにした。私が平穏に暮らすためならばと動くのは早かった。色々な方法を試して、たどり着いたのが呪いを絞り出す方法だった。
 呪いは願いに反応する。ならば、一瞬でも願いを持たない状態にすればいい。やがて、無心で集中することで、この得体の知れない何かを液体として抽出できることに気がついた。実体を持ってしまえばこちらのものだ。あとはそれを強い願いを持つ誰かに買って貰えばいい。
 そこで思いついたのが、インクを使った商売だった。元々絵にインクを使うのが好きで沢山揃えていたので、手筈はすぐに整った。私は面倒な呪いを消せて、自分の絵が沢山売れて有名になる。お客さんは願いを叶えることができる。呪いは消えることができる。こんなに徳しかない方法を思いつくなんて、私はもしかしたら天才なのかもしれないとさえ思った。
 絵が売れて、願いが叶えばさらにその噂が広まって絵が売れる。最近では願いなど関係なしに絵を気に入ってくれる人も増えてきた。商売とは一度軌道に乗ってしまえば早いもので、インクを補充していく度に取り憑いている何かの気配は段々と薄まっていった。
「もうそろそろ、貴方ともお別れかな」
 なんとなくだが、そんな予感がする。もう数ヶ月もすれば、この呪いは私から綺麗さっぱり消えるだろう。
「何だ、寂しいのか?」
「いや別に。さっさと絞り出して全部この店から出て行ってくれると嬉しいよ」
「そうか、それは寂しいな」
 その意外な返事に、私はきょとんとした。この何かから「寂しい」などという世俗的な言葉が出てきたのは初めてだった。
「お前の願いは心地いい。混沌としていて、それでいて垂直だ」
「はぁ」
 訳のわからない言葉に、気の抜けた返事をする。一体これは何を言っているのだろうか。
「わからなくとも良い。言葉は捻じ曲がる。あるのはただ、願いだけでいいのだから」
「まぁ、何はともあれ、誰かさんの願いを叶えてくれれば私はそれでいいよ」
 私がそうきっぱり言い割ると、それは口をつぐんだ。つぐむ口があるかどうかは別だが、顔があればむすりと不機嫌そうな表情をしているだろうなということはわかった。

 この絵は決して、必ずしもいい結果を運んでくるとは限らない。しかしそれは私の知ったことではない。お金持ちになった原因が、宝くじだろうが大量の保険金だろうが。恋の成就の道のりが、甘酸っぱい青春だろうが泥沼の愛憎劇だろうが。その人が願った幸せが、誰かを幸せにしようが不幸にしようが。願いを叶える方法は問わない。それがこの呪いの力なのだから。
 だから私も手段を問わない。私の絵が知られ、売れ、この呪いが消えてくれるのならば、その方法はなんだっていい。結局のところ、私の願いもこの呪いに叶えられているのかもしれないけれど。
 そんな思いつきを閉じ込めるように、静かに棚の鍵を閉めた。
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