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Day 27:さよなら、「許せなかった」私
机の引き出しの奥から、あの夜に決意を綴った、あのノートを取り出した。窓の外では、雲がゆっくりと流れている。
もう二度と開かないと決めていたけれど、今日だけは、どうしても書かなければならないことがあった。
新しいページを開く。
あの夜に使った万年筆ではなく、一番書き慣れたボールペンを手に取った。
そして、一文字一文字、確かめるように、こう書いた。
『優也へ』
あの日と同じ書き出し。でも、今はもう、訣別のための言葉じゃない。
インクが、滑らかに紙の上を走る。
『2年間、本当にありがとう。』
この言葉を、何の痛みも、何の皮肉もなく、心の底から書ける日が来るなんて、27日前には想像もできなかった。
でも今、私の心は驚くほど穏やかだった。
『あなたと過ごした時間は、間違いなく幸せでした。たくさんの初めてを経験させてもらったし、たくさんの美しい景色を見せてもらいました。あなたがいたから、私は知らなかった世界を知ることができた。それは、紛れもない事実です。』
楽しかった思い出が、映画のワンシーンのように頭をよぎる。でも、もうそれは、胸を締め付ける痛みではなかった。色褪せない、美しいアルバムの一ページとして、そこに存在している。
『別れは、本当に辛かった。世界が終わると思ったし、あなたのことを、心の底から憎んだ時もありました。でも、今ならわかる。あなたは、私を自由にしてくれたんだって。』
そう。彼は、私を縛っていたのではない。彼に依存し、彼を中心に世界を回していたのは、私自身だったのだ。彼は、その歪んだ関係性を、終わらせてくれただけなのだ。
『あなたと別れたから、私は本当の自分を探す旅に出ることができました。一人でカフェに行くことも、自分のために花を買うことも、髪を切る勇気も、新しい音楽に出会う喜びも、全部、あなたがいなくなったからこそ、手に入れることができたものです。あなたは、私から愛を奪ったけれど、同時に、私に「私自身」をプレゼントしてくれた。』
ペンを走らせる指は、もう震えていなかった。
そこには、静かな感謝の念だけがあった。
『だから、本当に、ありがとう。あなたのおかげで、私は、前よりも少しだけ強い私になれました。どうか、あなたも、あなたの道で、幸せでいてください。』
最後の句点を打ち、ペンを置く。
それは、彼を「許す」という行為だった。
そして、彼を許すことは、彼に依存し、自分を見失っていた過去の自分自身を、許すことでもあった。
ノートを閉じる。
もう、このノートに書くことは何もない。
重たい鎖が、音を立てて身体から解き放たれていく。
窓を開けると、心地よい風が吹き込んできて、書き終えたばかりのページのインクを、優しく乾かしていった。
もう二度と開かないと決めていたけれど、今日だけは、どうしても書かなければならないことがあった。
新しいページを開く。
あの夜に使った万年筆ではなく、一番書き慣れたボールペンを手に取った。
そして、一文字一文字、確かめるように、こう書いた。
『優也へ』
あの日と同じ書き出し。でも、今はもう、訣別のための言葉じゃない。
インクが、滑らかに紙の上を走る。
『2年間、本当にありがとう。』
この言葉を、何の痛みも、何の皮肉もなく、心の底から書ける日が来るなんて、27日前には想像もできなかった。
でも今、私の心は驚くほど穏やかだった。
『あなたと過ごした時間は、間違いなく幸せでした。たくさんの初めてを経験させてもらったし、たくさんの美しい景色を見せてもらいました。あなたがいたから、私は知らなかった世界を知ることができた。それは、紛れもない事実です。』
楽しかった思い出が、映画のワンシーンのように頭をよぎる。でも、もうそれは、胸を締め付ける痛みではなかった。色褪せない、美しいアルバムの一ページとして、そこに存在している。
『別れは、本当に辛かった。世界が終わると思ったし、あなたのことを、心の底から憎んだ時もありました。でも、今ならわかる。あなたは、私を自由にしてくれたんだって。』
そう。彼は、私を縛っていたのではない。彼に依存し、彼を中心に世界を回していたのは、私自身だったのだ。彼は、その歪んだ関係性を、終わらせてくれただけなのだ。
『あなたと別れたから、私は本当の自分を探す旅に出ることができました。一人でカフェに行くことも、自分のために花を買うことも、髪を切る勇気も、新しい音楽に出会う喜びも、全部、あなたがいなくなったからこそ、手に入れることができたものです。あなたは、私から愛を奪ったけれど、同時に、私に「私自身」をプレゼントしてくれた。』
ペンを走らせる指は、もう震えていなかった。
そこには、静かな感謝の念だけがあった。
『だから、本当に、ありがとう。あなたのおかげで、私は、前よりも少しだけ強い私になれました。どうか、あなたも、あなたの道で、幸せでいてください。』
最後の句点を打ち、ペンを置く。
それは、彼を「許す」という行為だった。
そして、彼を許すことは、彼に依存し、自分を見失っていた過去の自分自身を、許すことでもあった。
ノートを閉じる。
もう、このノートに書くことは何もない。
重たい鎖が、音を立てて身体から解き放たれていく。
窓を開けると、心地よい風が吹き込んできて、書き終えたばかりのページのインクを、優しく乾かしていった。
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