30日で立ち直る別れの短編集 ~終電で泣いた夜から、新しい恋が始まるまで~

月下花音

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第30話:新しい恋の始まり。でも今度は大丈夫



カフェで田中さんを待っている。

今日は、私から田中さんに気持ちを伝える日。

昨日の海でのデートで、確信した。

私は、田中さんのことが好き。

心臓がドキドキしているけれど、不安はない。



「お疲れ様!」

田中さんが、いつもの優しい笑顔で現れた。

「お疲れ様です」

「今日は、どうしたんですか?急にお会いしたいって」

「実は、お話があって」

田中さんの表情が、少し真剣になる。



コーヒーが運ばれてきて、向かい合って座る。

「昨日のこと、ありがとうございました」

「こちらこそ。とても楽しかったです」

「私も、とても楽しくて」

そして、深呼吸して言った。

「田中さん、私、あなたのことが好きになりました」



田中さんの目が、パッと明るくなった。

「本当ですか?」

「はい。昨日、確信しました」

「僕も、ずっと待っていました」

「もしよろしければ、お付き合いしてください」

「もちろんです。こちらこそ、よろしくお願いします」



お互いに笑顔になる。

自然な流れで、恋人になった。

優也の時とは全然違う。

激しい恋愛感情ではなく、穏やかで確実な愛情。

でも、これが本当の恋なのかもしれない。



「こころさんから告白してくれて、とても嬉しいです」

「私も、勇気を出して良かったです」

「僕たち、ゆっくりと関係を築いてきましたね」

「はい。焦らなくて良かったです」

時間をかけて育んだ関係だからこそ、確信を持てる。



「これからも、お互いのペースを大切にしましょう」

田中さんが言う。

「はい。無理をしないで、自然体でいたいです」

「僕も、そう思います」

優也との関係では、いつも相手に合わせようとしていた。

でも、田中さんとは、お互いを尊重し合える。



カフェを出て、手を繋いで歩く。

初めて繋ぐ、恋人としての手。

温かくて、安心する。

「今度は、恋人としてのデートですね」

「はい。楽しみです」

「どこに行きましょうか?」

「田中さんにお任せします」



公園のベンチに座って、これからのことを話す。

「僕、こころさんを大切にします」

「私も、田中さんを大切にします」

「お互いを高め合える関係でいたいですね」

「はい。そうしましょう」

対等な関係。それが、私たちの理想。



夕方、駅で別れる。

「今日は、ありがとうございました」

「こちらこそ。素敵な一日でした」

「また明日、連絡しますね」

「はい。お疲れ様でした」

恋人になっても、変わらない優しさ。

それが、田中さんの魅力。



家に帰って、美咲にLINEした。

『田中さんと付き合うことになった』

『やったー!おめでとう!』

『ありがとう。今度は大丈夫な気がする』

『どうして?』

『お互いを尊重し合えるから』

『それって、すごく大切だよね』

『うん。優也の時とは全然違う』



お風呂に入りながら、今の気持ちを確認する。

田中さんと恋人になった。

とても嬉しい。

でも、浮かれているわけじゃない。

穏やかで、確実な幸せ。

これが、大人の恋愛なのかもしれない。



ベッドに入って、これまでのことを振り返る。

優也と別れてから、約1年。

辛い時期もあったけれど、たくさんのことを学んだ。

一人でいることの価値。

自分を大切にすることの大切さ。

そして、本当の愛とは何かということ。



田中さんとの恋愛は、優也との恋愛とは全然違う。

激しくはないけれど、深い。

刺激的ではないけれど、安定している。

お互いを高め合える関係。

これが、私の求めていた恋愛。



優也との別れは、辛かった。

でも、あの経験があったからこそ、今の幸せがある。

田中さんとの出会いがある。

全部、意味のあることだった。



新しい恋の始まり。

ふと、優也の最後のLINEを思い出した。

『やり直したい』

あの時は、既読無視した。

でも今は、田中さんがいる。

今度は、きっと大丈夫。

でも今は、こっち。

田中さんとの穏やかな愛を選んだ私。

お互いを尊重し合って、ゆっくりと愛を育んでいこう。

焦らず、自然体で。

そんな気持ちで、眠りについた。

明日から、新しい私の物語が始まる。
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