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第30話:新しい恋の始まり。でも今度は大丈夫
カフェで田中さんを待っている。
今日は、私から田中さんに気持ちを伝える日。
昨日の海でのデートで、確信した。
私は、田中さんのことが好き。
心臓がドキドキしているけれど、不安はない。
*
「お疲れ様!」
田中さんが、いつもの優しい笑顔で現れた。
「お疲れ様です」
「今日は、どうしたんですか?急にお会いしたいって」
「実は、お話があって」
田中さんの表情が、少し真剣になる。
*
コーヒーが運ばれてきて、向かい合って座る。
「昨日のこと、ありがとうございました」
「こちらこそ。とても楽しかったです」
「私も、とても楽しくて」
そして、深呼吸して言った。
「田中さん、私、あなたのことが好きになりました」
*
田中さんの目が、パッと明るくなった。
「本当ですか?」
「はい。昨日、確信しました」
「僕も、ずっと待っていました」
「もしよろしければ、お付き合いしてください」
「もちろんです。こちらこそ、よろしくお願いします」
*
お互いに笑顔になる。
自然な流れで、恋人になった。
優也の時とは全然違う。
激しい恋愛感情ではなく、穏やかで確実な愛情。
でも、これが本当の恋なのかもしれない。
*
「こころさんから告白してくれて、とても嬉しいです」
「私も、勇気を出して良かったです」
「僕たち、ゆっくりと関係を築いてきましたね」
「はい。焦らなくて良かったです」
時間をかけて育んだ関係だからこそ、確信を持てる。
*
「これからも、お互いのペースを大切にしましょう」
田中さんが言う。
「はい。無理をしないで、自然体でいたいです」
「僕も、そう思います」
優也との関係では、いつも相手に合わせようとしていた。
でも、田中さんとは、お互いを尊重し合える。
*
カフェを出て、手を繋いで歩く。
初めて繋ぐ、恋人としての手。
温かくて、安心する。
「今度は、恋人としてのデートですね」
「はい。楽しみです」
「どこに行きましょうか?」
「田中さんにお任せします」
*
公園のベンチに座って、これからのことを話す。
「僕、こころさんを大切にします」
「私も、田中さんを大切にします」
「お互いを高め合える関係でいたいですね」
「はい。そうしましょう」
対等な関係。それが、私たちの理想。
*
夕方、駅で別れる。
「今日は、ありがとうございました」
「こちらこそ。素敵な一日でした」
「また明日、連絡しますね」
「はい。お疲れ様でした」
恋人になっても、変わらない優しさ。
それが、田中さんの魅力。
*
家に帰って、美咲にLINEした。
『田中さんと付き合うことになった』
『やったー!おめでとう!』
『ありがとう。今度は大丈夫な気がする』
『どうして?』
『お互いを尊重し合えるから』
『それって、すごく大切だよね』
『うん。優也の時とは全然違う』
*
お風呂に入りながら、今の気持ちを確認する。
田中さんと恋人になった。
とても嬉しい。
でも、浮かれているわけじゃない。
穏やかで、確実な幸せ。
これが、大人の恋愛なのかもしれない。
*
ベッドに入って、これまでのことを振り返る。
優也と別れてから、約1年。
辛い時期もあったけれど、たくさんのことを学んだ。
一人でいることの価値。
自分を大切にすることの大切さ。
そして、本当の愛とは何かということ。
*
田中さんとの恋愛は、優也との恋愛とは全然違う。
激しくはないけれど、深い。
刺激的ではないけれど、安定している。
お互いを高め合える関係。
これが、私の求めていた恋愛。
*
優也との別れは、辛かった。
でも、あの経験があったからこそ、今の幸せがある。
田中さんとの出会いがある。
全部、意味のあることだった。
*
新しい恋の始まり。
ふと、優也の最後のLINEを思い出した。
『やり直したい』
あの時は、既読無視した。
でも今は、田中さんがいる。
今度は、きっと大丈夫。
でも今は、こっち。
田中さんとの穏やかな愛を選んだ私。
お互いを尊重し合って、ゆっくりと愛を育んでいこう。
焦らず、自然体で。
そんな気持ちで、眠りについた。
明日から、新しい私の物語が始まる。
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